2016(03)
■コソアドテレパス
++++
「リーツー」
「あー、自分は何も聞こえナイ」
「リィーツゥー」
「何のコトすかねェー」
「聞こえてンだろ耳から手ェ外せリツ」
「オメーがンな呼び方すッとか悪い予感しかしネーわ」
週末で実家に帰ってきた冴が自分から搾取しようとしている。双子の片割れは考えていることがわかるとかシンクロするとか聞きヤすけど、自分ら双子に関しては完全にンなこたァねーんスわ。
大体、星大なンて向島大学に行くよか近いンすから、わざわざ一人暮らしをする必要性はないンすよねェー。ただ、それを言ったら一番上の姉である怜にも殺されかねないンすよねェー。公立のリツさんは国立の姉たちには勝てヤせん。
さて、か弱い末っ子のリツさんが搾取されようとしている現場にて。ニタニタとした笑顔で迫ってくる冴にいい予感を覚えろと言う方がどうかしていて、過去にこれでどれだけ好き放題やられたか。防衛本能が働くのがフツーすよネ。
「リツ、自分お腹空いたンすわ」
「で?」
「アレが食べたいなァー」
「アレ」
「リツが作ったアレが食べたいなァー」
「いや、だからアレって」
「アレ。ジャ、あと頼んだ。7時に呼んでくーださい」
そう言って冴は服をぽいぽいと脱ぎ散らかして風呂場へと消えていった。つか脱ぎ散らかした服を片すの誰だと思ってンすかねェー。しかしまァーた好き勝手なコトを言いやがりヤすわ。
冴の言う“アレ”とは何ぞや。パターンからすると栗きんとん。いや、自分が作った物って言うからには既製品の栗きんとんじゃなくてそれらしい料理だろうな。でも、自分は言うほど家じゃ料理しないンすけど。バイト先でちょちょっとやるくらいで。
自分が過去に冴がいたときに作った料理を思い返しても、統一性がまるでない。インスタントのラーメンだったりカレーだったり。無茶振りで筑前煮を作らされたこともあった。あー、正統派の喫茶メニューなんてのもあった。
いっそのこと、冴の言う“アレ”は無視して家にある材料で作れる物を作ることにした。冴のことだから、アレというのは逃げ道なんスわ。5時のアレと7時のアレは違っていたとしても何ら不思議じゃない。
材料を下拵えして、冴が風呂から上がったタイミングで仕上げをするというところまできた。それを親らが覗いていて、今日の夕飯はこれにしたいと言った物だから、しゃーなしスよとスタンバる。
さて、冴が風呂から上がったのを確認して最後の仕上げ。バイト先とは火力やソースがいろいろ違うけど、食えるモンにはなってるはずスわ。つかお前はこっちをチラチラ見てるならさっさと服着ろ。
「さァーて、出来やした」
「おーっ! さすがリツ! これこれ、ナポリタン!」
古きよき喫茶の定番メニュー、ナポリタン。自分がバイトしている喫茶にも当然のようにあるメニュー。なかなか無茶振りの多いサ店でメニューにないメニューを作ることも多々あるけれど、ナポリタンだけは一定のオーダー数を保っている。
「さすがリツすわ。名前が出てこなかったモンをここまで正確に当てるとは。さすが双子スわ」
「へーへー。感謝してるならか弱いリツさんをもっと労ってもらいたいモンすわ」
別に双子だから冴の欲するモンがわかったとかじゃなくて、完全に自分が自分のしたいように動いた結果がこうだっただけなんスけどネ。まあ、外してギタギタにされるよりはマシなんで、双子だからっつーコトにしときヤしょうか。
「ついでなんでコーヒーも淹れときヤした」
「おーっ、至れり尽くせり! 優雅な夕飯だなあ。怜に画像送ろっと」
end.
++++
金曜日なのにMMPのサークルはどうしたという疑問が発生したけど、いい双子の日なのでMMPより土田双子の方がエコさんの中で優先度が高かった模様。
土田家の3姉弟は末っ子のりっちゃんがか弱いと自称してしまうほどお姉さんたちがアレらしい。ノサカは信じてないけどこれが真実である。
りっちゃんは程よく料理が出来るのね。ムチャ振りで筑前煮なんてのも作ってしまうし、もしかしたらMMPじゃ圭斗さんの次……いや、もしかしたら圭斗さんより出来るのかもしれん
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「リーツー」
「あー、自分は何も聞こえナイ」
「リィーツゥー」
「何のコトすかねェー」
「聞こえてンだろ耳から手ェ外せリツ」
「オメーがンな呼び方すッとか悪い予感しかしネーわ」
週末で実家に帰ってきた冴が自分から搾取しようとしている。双子の片割れは考えていることがわかるとかシンクロするとか聞きヤすけど、自分ら双子に関しては完全にンなこたァねーんスわ。
大体、星大なンて向島大学に行くよか近いンすから、わざわざ一人暮らしをする必要性はないンすよねェー。ただ、それを言ったら一番上の姉である怜にも殺されかねないンすよねェー。公立のリツさんは国立の姉たちには勝てヤせん。
さて、か弱い末っ子のリツさんが搾取されようとしている現場にて。ニタニタとした笑顔で迫ってくる冴にいい予感を覚えろと言う方がどうかしていて、過去にこれでどれだけ好き放題やられたか。防衛本能が働くのがフツーすよネ。
「リツ、自分お腹空いたンすわ」
「で?」
「アレが食べたいなァー」
「アレ」
「リツが作ったアレが食べたいなァー」
「いや、だからアレって」
「アレ。ジャ、あと頼んだ。7時に呼んでくーださい」
そう言って冴は服をぽいぽいと脱ぎ散らかして風呂場へと消えていった。つか脱ぎ散らかした服を片すの誰だと思ってンすかねェー。しかしまァーた好き勝手なコトを言いやがりヤすわ。
冴の言う“アレ”とは何ぞや。パターンからすると栗きんとん。いや、自分が作った物って言うからには既製品の栗きんとんじゃなくてそれらしい料理だろうな。でも、自分は言うほど家じゃ料理しないンすけど。バイト先でちょちょっとやるくらいで。
自分が過去に冴がいたときに作った料理を思い返しても、統一性がまるでない。インスタントのラーメンだったりカレーだったり。無茶振りで筑前煮を作らされたこともあった。あー、正統派の喫茶メニューなんてのもあった。
いっそのこと、冴の言う“アレ”は無視して家にある材料で作れる物を作ることにした。冴のことだから、アレというのは逃げ道なんスわ。5時のアレと7時のアレは違っていたとしても何ら不思議じゃない。
材料を下拵えして、冴が風呂から上がったタイミングで仕上げをするというところまできた。それを親らが覗いていて、今日の夕飯はこれにしたいと言った物だから、しゃーなしスよとスタンバる。
さて、冴が風呂から上がったのを確認して最後の仕上げ。バイト先とは火力やソースがいろいろ違うけど、食えるモンにはなってるはずスわ。つかお前はこっちをチラチラ見てるならさっさと服着ろ。
「さァーて、出来やした」
「おーっ! さすがリツ! これこれ、ナポリタン!」
古きよき喫茶の定番メニュー、ナポリタン。自分がバイトしている喫茶にも当然のようにあるメニュー。なかなか無茶振りの多いサ店でメニューにないメニューを作ることも多々あるけれど、ナポリタンだけは一定のオーダー数を保っている。
「さすがリツすわ。名前が出てこなかったモンをここまで正確に当てるとは。さすが双子スわ」
「へーへー。感謝してるならか弱いリツさんをもっと労ってもらいたいモンすわ」
別に双子だから冴の欲するモンがわかったとかじゃなくて、完全に自分が自分のしたいように動いた結果がこうだっただけなんスけどネ。まあ、外してギタギタにされるよりはマシなんで、双子だからっつーコトにしときヤしょうか。
「ついでなんでコーヒーも淹れときヤした」
「おーっ、至れり尽くせり! 優雅な夕飯だなあ。怜に画像送ろっと」
end.
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金曜日なのにMMPのサークルはどうしたという疑問が発生したけど、いい双子の日なのでMMPより土田双子の方がエコさんの中で優先度が高かった模様。
土田家の3姉弟は末っ子のりっちゃんがか弱いと自称してしまうほどお姉さんたちがアレらしい。ノサカは信じてないけどこれが真実である。
りっちゃんは程よく料理が出来るのね。ムチャ振りで筑前煮なんてのも作ってしまうし、もしかしたらMMPじゃ圭斗さんの次……いや、もしかしたら圭斗さんより出来るのかもしれん
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