2016(03)
■戦いは神の加護の下に
++++
「ユースケ! ねえユースケ!」
「どうした烏丸、騒々しい」
「サツマイモってどうやって食べたら美味しいのかな!」
「サツマイモ?」
やたら騒々しくセンターに駆け込んできた烏丸の手には、サツマイモがたんまり入った袋。しかし、サツマイモなど。確かにシーズンではあるが、ジャガイモもなくならんのにサツマイモか。さらに里芋が襲ってきたりはせんだろうな。
「やァー、サツマイモは濡れた新聞紙に包んで焚き火で焼くのが一番スよ」
「ほう、焼き芋か。確かに美味そうだ」
「ねえユースケ、焚き火って落ち葉集めて火を付けるんだよね!」
「ああ。その中に芋を入れて焼くのが秋によく見る風景として語られるな」
とは言え、星港市内で焚き火の出来る場所など限られる。そう綾瀬が切り出せば、丸の池公園なんかちょうどよくないかとすかさず土田が異を唱える。土田はどうしても焼き芋にしたいらしい。
そもそもその芋の出所はどこなんだというところから始まる。烏丸は食物にあまり執着するタイプでもないから、自分でわざわざ買うということは考えにくい。それでなくても熱を通すと甘くなる。甘い物を贅沢とする烏丸ならむしろ遠ざける物だろう。
「えっ、これ? 星ヶ丘に農業やってる友達がいて、その子がくれたんだ。大学の畑ででたくさん穫れたからって」
「ほう、お前にも友人がいるのだな」
「高専から一緒で、その子も今年こっちに出てきたから。どんなバイトしたらいいかっていう相談とかもしてたんだ」
「なら、この芋もどうやって食えばいいか聞けば良かったんじゃないのか」
「あ、そっか」
焼き芋は食いたいが焚き火の出来る場所が物理的に厳しいとなると、はてさてどうしたものか。春山さんでもいれば何かしら案を提示してくれそうなものだが。意外に美味い物を作る春山さんがこのタイミングでいないのが恨めしい。
土田は焼き芋食いたいスわァーを譫言のように連呼する機械に成り下がった。オレもこの手のことに関しては「美奈に頼む」という選択肢しかない。烏丸は論外となると、残るは川北と何故か未だに居座っている綾瀬。
「あ、うちの豚汁にはサツマイモも入ってましたよー。ほくほくしてー、甘くって美味しいんですよー」
「あー、豚汁も間違いないヤツすわ」
「あとは、栗きんとんとか、おやきの中身とか。あっ、スイートポテトなんかもいいなあ」
「ちょい待ちミドリ、栗きんとんと聞いて冴サンは黙ってないスよ」
「冴さんの地元はまた違うじゃないですかー、あれはあれですごく美味しいですけどー」
「冴ちゃんの地元、栗きんとんが美味しいの?」
「そーいやカナコ、食べたことなかッたっけカ」
「うん、ないない」
「じャあ今度弟に頼んで買ってもらっときヤす」
「りっちゃん先輩生きてー」
「やァー、リツはそれくらいでくたばるタマじゃァーありやせン」
結局どうやって食べるのーと烏丸が芋を柏木のように打ち付けている。悪くなるからそれはやめろと征してやれば、結局どうすればいいんだとしょぼくれている。烏丸に料理をするイメージも出来るイメージもない。どうすればいい。オレに聞かれても困るのだが。
土田と綾瀬は相変わらず栗きんとん談義に忙しいようだし、川北もその話を聞いている。こうなると本格的に何かの間違いで春山さんが現れるのを待つしかないのかと。と言うか、ここは情報センターなのだから調べればいいのではないか。
「あ。思いついたぞ。おい、この中に揚げ物の出来る奴はいないのか」
「どうしたのユースケ、何かわかったの?」
「焼き芋もいいがオレは無性に大学芋を食いたくなった」
「あー、その発想はなかったケド間違いないスわァー、いよっ林原サン天才! さすが!」
「いいですね大学芋ー、外はカリカリ、中はほくほく。蜜が甘くって、ゴマの風味があって~」
「黄金に輝く気高きスイーツ……押しも押されもしないその姿はまるで先輩のよう」
「いや、だからこの中で揚げ物の出来る奴は」
「林原さん! 春山さんに助けてもらいましょう!」
「そースね。ナンダカンダ年の功スわ。春山神の降臨を待ちヤしょう」
end.
++++
冴さんとカナコ、2人とも料理が少し怪しい件について。多分冴さんはりっちゃんより料理出来ないと思われる。カナコは謎。でもパンプキンパイ作れるし、カナコは出来るんだな一応。情報センターじゃ春山さんが一番料理上手だよ!
まあ、料理出来る出来ないに関して言えばミドリは一人暮らしに必要な最低限は出来るとしてもそれくらいだし、3年男子は多分論外なのでやっぱり春山神の降臨が待たれる。
何だか情報センターが食べ物の貯蔵庫みたいになってるんだけど、ここの部屋を管理しているはずの所長という人はこの状況をどう見ているのか!!!w
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「ユースケ! ねえユースケ!」
「どうした烏丸、騒々しい」
「サツマイモってどうやって食べたら美味しいのかな!」
「サツマイモ?」
やたら騒々しくセンターに駆け込んできた烏丸の手には、サツマイモがたんまり入った袋。しかし、サツマイモなど。確かにシーズンではあるが、ジャガイモもなくならんのにサツマイモか。さらに里芋が襲ってきたりはせんだろうな。
「やァー、サツマイモは濡れた新聞紙に包んで焚き火で焼くのが一番スよ」
「ほう、焼き芋か。確かに美味そうだ」
「ねえユースケ、焚き火って落ち葉集めて火を付けるんだよね!」
「ああ。その中に芋を入れて焼くのが秋によく見る風景として語られるな」
とは言え、星港市内で焚き火の出来る場所など限られる。そう綾瀬が切り出せば、丸の池公園なんかちょうどよくないかとすかさず土田が異を唱える。土田はどうしても焼き芋にしたいらしい。
そもそもその芋の出所はどこなんだというところから始まる。烏丸は食物にあまり執着するタイプでもないから、自分でわざわざ買うということは考えにくい。それでなくても熱を通すと甘くなる。甘い物を贅沢とする烏丸ならむしろ遠ざける物だろう。
「えっ、これ? 星ヶ丘に農業やってる友達がいて、その子がくれたんだ。大学の畑ででたくさん穫れたからって」
「ほう、お前にも友人がいるのだな」
「高専から一緒で、その子も今年こっちに出てきたから。どんなバイトしたらいいかっていう相談とかもしてたんだ」
「なら、この芋もどうやって食えばいいか聞けば良かったんじゃないのか」
「あ、そっか」
焼き芋は食いたいが焚き火の出来る場所が物理的に厳しいとなると、はてさてどうしたものか。春山さんでもいれば何かしら案を提示してくれそうなものだが。意外に美味い物を作る春山さんがこのタイミングでいないのが恨めしい。
土田は焼き芋食いたいスわァーを譫言のように連呼する機械に成り下がった。オレもこの手のことに関しては「美奈に頼む」という選択肢しかない。烏丸は論外となると、残るは川北と何故か未だに居座っている綾瀬。
「あ、うちの豚汁にはサツマイモも入ってましたよー。ほくほくしてー、甘くって美味しいんですよー」
「あー、豚汁も間違いないヤツすわ」
「あとは、栗きんとんとか、おやきの中身とか。あっ、スイートポテトなんかもいいなあ」
「ちょい待ちミドリ、栗きんとんと聞いて冴サンは黙ってないスよ」
「冴さんの地元はまた違うじゃないですかー、あれはあれですごく美味しいですけどー」
「冴ちゃんの地元、栗きんとんが美味しいの?」
「そーいやカナコ、食べたことなかッたっけカ」
「うん、ないない」
「じャあ今度弟に頼んで買ってもらっときヤす」
「りっちゃん先輩生きてー」
「やァー、リツはそれくらいでくたばるタマじゃァーありやせン」
結局どうやって食べるのーと烏丸が芋を柏木のように打ち付けている。悪くなるからそれはやめろと征してやれば、結局どうすればいいんだとしょぼくれている。烏丸に料理をするイメージも出来るイメージもない。どうすればいい。オレに聞かれても困るのだが。
土田と綾瀬は相変わらず栗きんとん談義に忙しいようだし、川北もその話を聞いている。こうなると本格的に何かの間違いで春山さんが現れるのを待つしかないのかと。と言うか、ここは情報センターなのだから調べればいいのではないか。
「あ。思いついたぞ。おい、この中に揚げ物の出来る奴はいないのか」
「どうしたのユースケ、何かわかったの?」
「焼き芋もいいがオレは無性に大学芋を食いたくなった」
「あー、その発想はなかったケド間違いないスわァー、いよっ林原サン天才! さすが!」
「いいですね大学芋ー、外はカリカリ、中はほくほく。蜜が甘くって、ゴマの風味があって~」
「黄金に輝く気高きスイーツ……押しも押されもしないその姿はまるで先輩のよう」
「いや、だからこの中で揚げ物の出来る奴は」
「林原さん! 春山さんに助けてもらいましょう!」
「そースね。ナンダカンダ年の功スわ。春山神の降臨を待ちヤしょう」
end.
++++
冴さんとカナコ、2人とも料理が少し怪しい件について。多分冴さんはりっちゃんより料理出来ないと思われる。カナコは謎。でもパンプキンパイ作れるし、カナコは出来るんだな一応。情報センターじゃ春山さんが一番料理上手だよ!
まあ、料理出来る出来ないに関して言えばミドリは一人暮らしに必要な最低限は出来るとしてもそれくらいだし、3年男子は多分論外なのでやっぱり春山神の降臨が待たれる。
何だか情報センターが食べ物の貯蔵庫みたいになってるんだけど、ここの部屋を管理しているはずの所長という人はこの状況をどう見ているのか!!!w
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