2016(02)
■Non Slip www
++++
「トニーちゃぁーん! 久し振りだなー! 友よ、相棒よ!」
「あいたたた、痛い痛い。僕との再会が嬉しいのはわかるけど、あまり強く叩かないでくれるかい」
インターフェイス夏合宿がとうとう始まった。1・2年生が基本の参加者だけど、その中に3年生がいるのは変な感じがする。いや、3年のうちがそう思うのはお前が言うな以外の何物でもないけど、去年からすると変な感じがするのは事実。
オリエンテーション前、ロビーで圭斗の姿を見るなり飛びついてきたド金髪が懐かしい。鳴尾浜茂虎、通称“世界のシゲトラ”だ。うち、そして圭斗とはスキー場DJで同じ班だった間柄で、圭斗とシゲトラはペアを組んでいた。
「あれっ、てかトニーちゃんやつれた? そんな細かったっけ」
「定例会で向舞祭に出ていてね。その疲れがまだ癒えていないんだ」
「そっかそっかー、ステージのことだったら俺に相談してくれれば良かったのに」
「いや、朝霞君からアドバイスはもらっていたんだよ」
「いや? 並の人間が朝霞と同じレベルで動くのは難しいと思うんだよ」
「僕もそれはよくわかったよ」
圭斗とシゲトラのやりとりは、基本的にシゲトラが押せ押せで圭斗は割と無関心を決め込んでいる。多分圭斗はシゲトラのようなタイプの男は苦手と言うか、めんどくさがりそうだ。それは1年の時からそうだ。
うちはと言えば、そうやってめんどくさそうにしている圭斗が面白くて、そんな圭斗をもろともせず押しに押しまくるシゲトラが面白くて笑いを堪えている。1年の時からこの2人には笑わされ続けてきたけど、こんなところで大笑いしようものなら。
「菜月先輩」
「くっ、ぷっ、ノ、ノサカか……くくっ」
「あれが噂に聞く“世界のシゲトラ”先輩ですか」
「あの圭斗があれだけ圧倒されるというのもレアだろ? あーっはっはっは」
「ヒロからは面白い人だと、つばめからはアホみたいなプラス思考だとは聞いていましたが、確かに陽気な方ですね」
ノサカも何だあれはという目でシゲトラを見ている。ただ、シゲトラが面白いのはこういう場だけではない。本当に面白いのは番組中だ。と言うか、シゲトラがここまでツボにハマるのはうちくらいだろう。何が面白いとは言えないけど。
「くぷぷっ、ふふっ、ふひっ」
「あの、菜月先輩?」
「悪い、思い出し笑いだ」
「何を思い出されたのでしょう」
「スキー場に言ったときに、雪の上でイェイイェイイェイ、ウォウウォウウォウって腕を振り振り踊ってて、勢い余って……あっはっはっは!」
勢い余って雪の上で転んだんだけど、話が最後まで通じなくてノサカは意味がわかってなさそうな顔だ。でも、うちの中ではとても面白い出来事だった。最後まで話そうと頑張ったのに、おかしさが先に来てしまう。あー、ムリだ。
「あっ、なっち! なっち!」
「あっはっはっは! シゲトラ、久し振……あっはっはっは!」
「あー、なっちー、好きだー! 俺でこんなに笑ってくれるなっちが1年の頃から好きだー! 友よー!」
シゲトラはうちの手を取ってブンブンと一方的な握手を交わす。うちは別にシゲトラを好きでも嫌いでもないけど、なぜかツボにハマってしまっている。ホント、何なんだ。ノサカはちょっと引いてるし。ああもう、そろそろ顔を元に戻したいのに。
「野坂、彼のそれに大した意味はないから安心していいよ」
「圭斗先輩。シゲトラ先輩の何が菜月先輩のツボにハマるのか、俺にはまだ理解が出来ません」
「生憎、僕にもわからないんだよ。ただ、菜月さんにはハマるみたいなんだよね、1年の頃から。元々笑いのツボはどこかズレてるからね。ハマれば閾値もとても低い」
「ただ、菜月先輩の新たな一面を見せていただいたという意味では感謝しています」
end.
++++
スキー場DJで同じ班だったと語られている話はあったのですが、同じ場所にいたことはないなあと思いました。菜圭とシゲトラ。
シゲトラが朝霞Pをどう見てるのかっていうw 悪い風には思ってない、むしろ普通に友達くらいには思ってそうですが、常人ではないという解釈ではあるのか
シゲトラの何が菜月さんのツボにハマっているのかはまだよくわからないのですが、とにかく面白いらしい。菜月さんは笑いの閾値が低いぞ!
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「トニーちゃぁーん! 久し振りだなー! 友よ、相棒よ!」
「あいたたた、痛い痛い。僕との再会が嬉しいのはわかるけど、あまり強く叩かないでくれるかい」
インターフェイス夏合宿がとうとう始まった。1・2年生が基本の参加者だけど、その中に3年生がいるのは変な感じがする。いや、3年のうちがそう思うのはお前が言うな以外の何物でもないけど、去年からすると変な感じがするのは事実。
オリエンテーション前、ロビーで圭斗の姿を見るなり飛びついてきたド金髪が懐かしい。鳴尾浜茂虎、通称“世界のシゲトラ”だ。うち、そして圭斗とはスキー場DJで同じ班だった間柄で、圭斗とシゲトラはペアを組んでいた。
「あれっ、てかトニーちゃんやつれた? そんな細かったっけ」
「定例会で向舞祭に出ていてね。その疲れがまだ癒えていないんだ」
「そっかそっかー、ステージのことだったら俺に相談してくれれば良かったのに」
「いや、朝霞君からアドバイスはもらっていたんだよ」
「いや? 並の人間が朝霞と同じレベルで動くのは難しいと思うんだよ」
「僕もそれはよくわかったよ」
圭斗とシゲトラのやりとりは、基本的にシゲトラが押せ押せで圭斗は割と無関心を決め込んでいる。多分圭斗はシゲトラのようなタイプの男は苦手と言うか、めんどくさがりそうだ。それは1年の時からそうだ。
うちはと言えば、そうやってめんどくさそうにしている圭斗が面白くて、そんな圭斗をもろともせず押しに押しまくるシゲトラが面白くて笑いを堪えている。1年の時からこの2人には笑わされ続けてきたけど、こんなところで大笑いしようものなら。
「菜月先輩」
「くっ、ぷっ、ノ、ノサカか……くくっ」
「あれが噂に聞く“世界のシゲトラ”先輩ですか」
「あの圭斗があれだけ圧倒されるというのもレアだろ? あーっはっはっは」
「ヒロからは面白い人だと、つばめからはアホみたいなプラス思考だとは聞いていましたが、確かに陽気な方ですね」
ノサカも何だあれはという目でシゲトラを見ている。ただ、シゲトラが面白いのはこういう場だけではない。本当に面白いのは番組中だ。と言うか、シゲトラがここまでツボにハマるのはうちくらいだろう。何が面白いとは言えないけど。
「くぷぷっ、ふふっ、ふひっ」
「あの、菜月先輩?」
「悪い、思い出し笑いだ」
「何を思い出されたのでしょう」
「スキー場に言ったときに、雪の上でイェイイェイイェイ、ウォウウォウウォウって腕を振り振り踊ってて、勢い余って……あっはっはっは!」
勢い余って雪の上で転んだんだけど、話が最後まで通じなくてノサカは意味がわかってなさそうな顔だ。でも、うちの中ではとても面白い出来事だった。最後まで話そうと頑張ったのに、おかしさが先に来てしまう。あー、ムリだ。
「あっ、なっち! なっち!」
「あっはっはっは! シゲトラ、久し振……あっはっはっは!」
「あー、なっちー、好きだー! 俺でこんなに笑ってくれるなっちが1年の頃から好きだー! 友よー!」
シゲトラはうちの手を取ってブンブンと一方的な握手を交わす。うちは別にシゲトラを好きでも嫌いでもないけど、なぜかツボにハマってしまっている。ホント、何なんだ。ノサカはちょっと引いてるし。ああもう、そろそろ顔を元に戻したいのに。
「野坂、彼のそれに大した意味はないから安心していいよ」
「圭斗先輩。シゲトラ先輩の何が菜月先輩のツボにハマるのか、俺にはまだ理解が出来ません」
「生憎、僕にもわからないんだよ。ただ、菜月さんにはハマるみたいなんだよね、1年の頃から。元々笑いのツボはどこかズレてるからね。ハマれば閾値もとても低い」
「ただ、菜月先輩の新たな一面を見せていただいたという意味では感謝しています」
end.
++++
スキー場DJで同じ班だったと語られている話はあったのですが、同じ場所にいたことはないなあと思いました。菜圭とシゲトラ。
シゲトラが朝霞Pをどう見てるのかっていうw 悪い風には思ってない、むしろ普通に友達くらいには思ってそうですが、常人ではないという解釈ではあるのか
シゲトラの何が菜月さんのツボにハマっているのかはまだよくわからないのですが、とにかく面白いらしい。菜月さんは笑いの閾値が低いぞ!
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