2016(02)
■一輪の薔薇を貴女に
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盆だからと言って実家に帰るつもりはない。しかし、墓参りには行っておきたい。俺が高2の時だから、もう4年前になるのか。墓に入っている奴にほとんど面識はないが、祖母ちゃんには顔を見せたい。墓参りに意味が出来たのは、それからだ。
祖母ちゃんは俺のたった一人の味方だった。そんなような気がしていた。俺が捻くれていたからだろうが、何においても他人から双子のダメな方と言われ続けた日々は、俺から素直さを奪うには十分すぎた。
酒に煙草、セックス。それから、殴り合いの喧嘩。中学の時はそんなような日々。優等生の兄とは違うのだと主張したかったのかもしれない。ただ、セックスに関しては女に対する悠希の対応が飛び火したと言うべきで、俺は被害者だと思っている。
高校に上がってからは違う高校に進学した悠希と比較されることも少なくなり、自然と落ち着いていった。俺が落ち着いてからと言うものの、祖母ちゃんは荒れていた頃の俺を回想しては「あの人の若い頃にそっくりなのよ」とよく言っていた。
あの人というのは祖母ちゃんの旦那、つまりクソ爺のことだ。上の兄貴も親父も真っ当と言うか、割と温厚な方で人当たりがいい。つまりいい人だが、クソ爺は本当にこの親父の親父なのかというくらいには頑固で、捻くれている。
頑固で捻くれた同類だと思われているのかは知らねえが、俺はクソ爺にやたら絡まれる。爺は親父や兄貴は骨がないとはよく言っている。それで俺は祖母ちゃんから可愛がられたのかもしれない。爺の面影があると言われるといい気はしないが。
墓参りに必要な道具は揃えてある。数珠に、ろうそく、線香。火は元々持ってるから問題ない。それと、水を入れるペットボトル。花は途中で買うことにしている。評判のいい花屋というから、盆だろうとやっていてほしい。
墓参りだからと言ってそれらしい花を供えなければならない決まりはないと思っている。神も仏も関係ない。祖母ちゃんの好きだった花を供えるのだと。他の先祖には叱られるかもしれないが、知ったこっちゃねえ。
花屋には、やはり時期なのか仏花が仕入れられているようだった。ただ、俺は菊だのなんだのに用事はない。墓参りに使いたいがそのようにしてもらえるかと店員の男に聞けば、要望があれば~と山口を彷彿する間延びした口調で言う。
山口を彷彿する店員には、いろいろなことを聞かれた。花を挿す容器の大きさや何かを。逆に俺が、墓参りで仏花ではなく故人の好きだった花を供えるパターンはあるのかと聞けば、そういう方もいます~と返ってきて少し安心した。
墓参りにはそぐわない、真っ赤なバラ。それと、季節の花で好きだったヒマワリ。バラとヒマワリにまつわる爺との思い出話はよく聞かされた。なんだかんだお熱い恋愛結婚だったのだろう。その話を爺の弱みとして利用することもあった。
認める気は今後もないが、もし俺に爺の面影があるとして、俺が赤いバラを手に祖母ちゃんの前に現れようモンなら魂はあの頃に返るものなのだろうか。いや、そんな非科学的な話、それ以上は考えたくもねえが。
家族揃っての墓参りに顔を出すつもりはねえから、実家の連中からすれば俺は先祖を思う気持ちのない不孝者だろう。それでいい。実際盆は稼ぎ時だ。バイトに精を出している体で。
部屋には仏壇もねえし、誰の命日に何をするでもない。春の彼岸も秋の彼岸もスルーだ。だけど、夏の盆くらいは。家族揃ってとはすんなりいかないところが俺の捻くれたところなのかもしれないが、それは時間が解決するのを待つしかない。
「バラをかざしてプロポーズなんざ、俺には出来ねえな」
end.
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高崎の墓参り。なんだかんだナノスパで盆の墓参りに関する明確な話があるのは高崎くらいだなあ
バラを手にプロポーズが出来そうなのはナノスパじゃ圭斗さんとか…? ホワイトローズ松岡ですしw 他に誰かおらんのかね
もしかすると高崎はおじいちゃん子、おばあちゃん子と言えるのかもしれない。今でもクソ爺からは捻くれのクソガキ扱いだけれども、何やかんやそれが高崎の血なのかもしれない
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盆だからと言って実家に帰るつもりはない。しかし、墓参りには行っておきたい。俺が高2の時だから、もう4年前になるのか。墓に入っている奴にほとんど面識はないが、祖母ちゃんには顔を見せたい。墓参りに意味が出来たのは、それからだ。
祖母ちゃんは俺のたった一人の味方だった。そんなような気がしていた。俺が捻くれていたからだろうが、何においても他人から双子のダメな方と言われ続けた日々は、俺から素直さを奪うには十分すぎた。
酒に煙草、セックス。それから、殴り合いの喧嘩。中学の時はそんなような日々。優等生の兄とは違うのだと主張したかったのかもしれない。ただ、セックスに関しては女に対する悠希の対応が飛び火したと言うべきで、俺は被害者だと思っている。
高校に上がってからは違う高校に進学した悠希と比較されることも少なくなり、自然と落ち着いていった。俺が落ち着いてからと言うものの、祖母ちゃんは荒れていた頃の俺を回想しては「あの人の若い頃にそっくりなのよ」とよく言っていた。
あの人というのは祖母ちゃんの旦那、つまりクソ爺のことだ。上の兄貴も親父も真っ当と言うか、割と温厚な方で人当たりがいい。つまりいい人だが、クソ爺は本当にこの親父の親父なのかというくらいには頑固で、捻くれている。
頑固で捻くれた同類だと思われているのかは知らねえが、俺はクソ爺にやたら絡まれる。爺は親父や兄貴は骨がないとはよく言っている。それで俺は祖母ちゃんから可愛がられたのかもしれない。爺の面影があると言われるといい気はしないが。
墓参りに必要な道具は揃えてある。数珠に、ろうそく、線香。火は元々持ってるから問題ない。それと、水を入れるペットボトル。花は途中で買うことにしている。評判のいい花屋というから、盆だろうとやっていてほしい。
墓参りだからと言ってそれらしい花を供えなければならない決まりはないと思っている。神も仏も関係ない。祖母ちゃんの好きだった花を供えるのだと。他の先祖には叱られるかもしれないが、知ったこっちゃねえ。
花屋には、やはり時期なのか仏花が仕入れられているようだった。ただ、俺は菊だのなんだのに用事はない。墓参りに使いたいがそのようにしてもらえるかと店員の男に聞けば、要望があれば~と山口を彷彿する間延びした口調で言う。
山口を彷彿する店員には、いろいろなことを聞かれた。花を挿す容器の大きさや何かを。逆に俺が、墓参りで仏花ではなく故人の好きだった花を供えるパターンはあるのかと聞けば、そういう方もいます~と返ってきて少し安心した。
墓参りにはそぐわない、真っ赤なバラ。それと、季節の花で好きだったヒマワリ。バラとヒマワリにまつわる爺との思い出話はよく聞かされた。なんだかんだお熱い恋愛結婚だったのだろう。その話を爺の弱みとして利用することもあった。
認める気は今後もないが、もし俺に爺の面影があるとして、俺が赤いバラを手に祖母ちゃんの前に現れようモンなら魂はあの頃に返るものなのだろうか。いや、そんな非科学的な話、それ以上は考えたくもねえが。
家族揃っての墓参りに顔を出すつもりはねえから、実家の連中からすれば俺は先祖を思う気持ちのない不孝者だろう。それでいい。実際盆は稼ぎ時だ。バイトに精を出している体で。
部屋には仏壇もねえし、誰の命日に何をするでもない。春の彼岸も秋の彼岸もスルーだ。だけど、夏の盆くらいは。家族揃ってとはすんなりいかないところが俺の捻くれたところなのかもしれないが、それは時間が解決するのを待つしかない。
「バラをかざしてプロポーズなんざ、俺には出来ねえな」
end.
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高崎の墓参り。なんだかんだナノスパで盆の墓参りに関する明確な話があるのは高崎くらいだなあ
バラを手にプロポーズが出来そうなのはナノスパじゃ圭斗さんとか…? ホワイトローズ松岡ですしw 他に誰かおらんのかね
もしかすると高崎はおじいちゃん子、おばあちゃん子と言えるのかもしれない。今でもクソ爺からは捻くれのクソガキ扱いだけれども、何やかんやそれが高崎の血なのかもしれない
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