2016(02)
■氷の火花と火縄銃
++++
「洋平」
つばちゃんの眉間が、目が、声が、そして纏う空気が。一言で言えばとんでもないことになっていた。不機嫌も不機嫌。いや~、不機嫌とかいう単語で表せるレベルじゃないでしょ~。俺はいつ殴られてもおかしくない。飛んでくる拳を受ける準備だけしてつばちゃんの話に耳を傾ける。
「何なんだアイツ、マジねーよクソが」
「つばちゃん、クソとか言わないの。ど~したの? アイツって誰? まさかまた宇部Pとやり合ったとかじゃないよね?」
「今回は宇部サンじゃない。と言うかこの件に関しては味方だから」
「あれっ、ど~したの? 宇部Pへの敵意が落ち着いてるなんて」
「対策委員の活動報告の時にアイツの話をしたら、多少なら見逃すって」
こないだつばちゃんに“メウ”というミキサーについて聞かれたのを思い出した。それっていうのはメグちゃんのDJネームなんだけど、1年の夏にしかインターフェイスの活動に出ていないメグちゃんのそれをどうしてつばちゃんが知っているのかと言えば、それを知る他校の人がいたから。
対策委員の活動報告と一緒にその話をしたら、メグちゃんにはどこか引っかかったみたい。“彼”が上から目線で物を言うのも今に始まったことじゃないけど、どうやら彼が見もしないで星ヶ丘放送部の活動を小馬鹿にするような発言をしたのが許せなかったみたいで。彼の言うことは真に受けない方がいいんだけどね、本来なら。
彼が言ったそれを朝霞クンに言ってないっていうのはいい判断。朝霞クンにそんなことを言ったら俺たちじゃ手に負えなくなる。そんなことを言われただなんて朝霞クンに知れたら、朝霞クンはいいものを作ろうと不眠不休に絶食、とにかく極限まで自分を追い込むだろうから。
「で、今度は三井クンに何を言われたの?」
「星ヶ丘って毎年作品出展が謎にラジオドラマだけど何でステージの映像出してこないの? ステージかラジオか中途半端な青女でさえ映像で出してくるのに星ヶ丘がステージの映像を出してこないとか、きっと見せられない、見るまでもないステージなんだろうね。……以上原文ママ」
「ウチだけじゃなくて青女さんも下げてるところが彼っぽいな~って思うけど、それ、朝霞クンと宇部Pには」
「まだ誰にも言ってない。アンタが最初。……っだぁああああマジぶっ飛ばす!」
見せられないステージ、見るまでもないステージ、か。
彼にウチの学校の事情を一から話したところで理解してもらえないだろうし、理解してもらう必要もないから別にいいんだけどさ~。三井クンは番組を収録しようとして意図的に機材の電源を落とされたことなんかないだろうし~。でも、別にそういう環境がどうとかじゃなくて、なんだろ、うん。
「つばちゃん、その話は俺で止めとこう。ね? つばちゃんが怒るのもわかる。だけど、やってる俺もこんなにやるせないんだもん。書いてる人たちが今のを聞いたら、大変なことになっちゃうよ」
「でもさ、あんな奴に言われっぱでいいの!?」
「言わせとこう。反論はいくらでも出来るけど、何も生まないからさ」
「へえ、アンタも反論出来るんだ」
「その気になればね~。例えば、向島の作品出展で三井クンがマルチでやってる番組を出してこないのはどうして~、とか。他には~、三井クンの番組って雑誌やネットのコピペばっかりでライブ感とか人間味がないけど、トーク内容自分で考えてる~? ……とか?」
あっ、つばちゃんが引いてる。いけないいけない。
「……洋平、アンタ実は結構怒ってる?」
「え~、そう見える~?」
「見える」
「でも、彼がいろいろ言ってるのがつばちゃんでよかったとは思ってるよ」
「は?」
「ま、よその学校の事情なんて~、所詮憶測でしか語れないし~。ほっとこ~」
彼が好き勝手に言ってる相手が朝霞クンじゃなくてつばちゃんでよかった。これは本当に思っていること。つばちゃんは怒りの発散の仕方を知ってるけど、朝霞クンはそれを溜め込んで、相手にしてないフリをしながら自分の身を削るタイプだから。
今後もきっとつばちゃんはこんな風に火種を抱えて俺のところにやってくるのかもしれない。だとすると、俺が出来るのはそれが暴発しないようにコントロールさせてあげることなんだろうなって。三井クンとある程度やりあっても処罰はしないって監査直々に言われてるみたいだけど、合宿は他の班員もあるコトだからネ。
「つばちゃん、愚痴りたくなったら俺のコト呼び出してネ。日中なら大体空いてるから」
end.
++++
……はっ、もしかして萩さんもこの山口洋平さんに卒論をボコボコにされたのだろうか。恐ろしや山口洋平さん
そろそろにこにこのつばちゃんのお話もやりたい今日この頃。最近エコメモでのつばちゃんは朝霞P以上にカリカリしてるからなあw
三井サンをガチで相手にしてない山口洋平さんである。こないだの朝霞Pと買い物に出かけたときの洋平ちゃんは三井サンにも愛想よかったのに…!
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「洋平」
つばちゃんの眉間が、目が、声が、そして纏う空気が。一言で言えばとんでもないことになっていた。不機嫌も不機嫌。いや~、不機嫌とかいう単語で表せるレベルじゃないでしょ~。俺はいつ殴られてもおかしくない。飛んでくる拳を受ける準備だけしてつばちゃんの話に耳を傾ける。
「何なんだアイツ、マジねーよクソが」
「つばちゃん、クソとか言わないの。ど~したの? アイツって誰? まさかまた宇部Pとやり合ったとかじゃないよね?」
「今回は宇部サンじゃない。と言うかこの件に関しては味方だから」
「あれっ、ど~したの? 宇部Pへの敵意が落ち着いてるなんて」
「対策委員の活動報告の時にアイツの話をしたら、多少なら見逃すって」
こないだつばちゃんに“メウ”というミキサーについて聞かれたのを思い出した。それっていうのはメグちゃんのDJネームなんだけど、1年の夏にしかインターフェイスの活動に出ていないメグちゃんのそれをどうしてつばちゃんが知っているのかと言えば、それを知る他校の人がいたから。
対策委員の活動報告と一緒にその話をしたら、メグちゃんにはどこか引っかかったみたい。“彼”が上から目線で物を言うのも今に始まったことじゃないけど、どうやら彼が見もしないで星ヶ丘放送部の活動を小馬鹿にするような発言をしたのが許せなかったみたいで。彼の言うことは真に受けない方がいいんだけどね、本来なら。
彼が言ったそれを朝霞クンに言ってないっていうのはいい判断。朝霞クンにそんなことを言ったら俺たちじゃ手に負えなくなる。そんなことを言われただなんて朝霞クンに知れたら、朝霞クンはいいものを作ろうと不眠不休に絶食、とにかく極限まで自分を追い込むだろうから。
「で、今度は三井クンに何を言われたの?」
「星ヶ丘って毎年作品出展が謎にラジオドラマだけど何でステージの映像出してこないの? ステージかラジオか中途半端な青女でさえ映像で出してくるのに星ヶ丘がステージの映像を出してこないとか、きっと見せられない、見るまでもないステージなんだろうね。……以上原文ママ」
「ウチだけじゃなくて青女さんも下げてるところが彼っぽいな~って思うけど、それ、朝霞クンと宇部Pには」
「まだ誰にも言ってない。アンタが最初。……っだぁああああマジぶっ飛ばす!」
見せられないステージ、見るまでもないステージ、か。
彼にウチの学校の事情を一から話したところで理解してもらえないだろうし、理解してもらう必要もないから別にいいんだけどさ~。三井クンは番組を収録しようとして意図的に機材の電源を落とされたことなんかないだろうし~。でも、別にそういう環境がどうとかじゃなくて、なんだろ、うん。
「つばちゃん、その話は俺で止めとこう。ね? つばちゃんが怒るのもわかる。だけど、やってる俺もこんなにやるせないんだもん。書いてる人たちが今のを聞いたら、大変なことになっちゃうよ」
「でもさ、あんな奴に言われっぱでいいの!?」
「言わせとこう。反論はいくらでも出来るけど、何も生まないからさ」
「へえ、アンタも反論出来るんだ」
「その気になればね~。例えば、向島の作品出展で三井クンがマルチでやってる番組を出してこないのはどうして~、とか。他には~、三井クンの番組って雑誌やネットのコピペばっかりでライブ感とか人間味がないけど、トーク内容自分で考えてる~? ……とか?」
あっ、つばちゃんが引いてる。いけないいけない。
「……洋平、アンタ実は結構怒ってる?」
「え~、そう見える~?」
「見える」
「でも、彼がいろいろ言ってるのがつばちゃんでよかったとは思ってるよ」
「は?」
「ま、よその学校の事情なんて~、所詮憶測でしか語れないし~。ほっとこ~」
彼が好き勝手に言ってる相手が朝霞クンじゃなくてつばちゃんでよかった。これは本当に思っていること。つばちゃんは怒りの発散の仕方を知ってるけど、朝霞クンはそれを溜め込んで、相手にしてないフリをしながら自分の身を削るタイプだから。
今後もきっとつばちゃんはこんな風に火種を抱えて俺のところにやってくるのかもしれない。だとすると、俺が出来るのはそれが暴発しないようにコントロールさせてあげることなんだろうなって。三井クンとある程度やりあっても処罰はしないって監査直々に言われてるみたいだけど、合宿は他の班員もあるコトだからネ。
「つばちゃん、愚痴りたくなったら俺のコト呼び出してネ。日中なら大体空いてるから」
end.
++++
……はっ、もしかして萩さんもこの山口洋平さんに卒論をボコボコにされたのだろうか。恐ろしや山口洋平さん
そろそろにこにこのつばちゃんのお話もやりたい今日この頃。最近エコメモでのつばちゃんは朝霞P以上にカリカリしてるからなあw
三井サンをガチで相手にしてない山口洋平さんである。こないだの朝霞Pと買い物に出かけたときの洋平ちゃんは三井サンにも愛想よかったのに…!
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