2016(02)

■半端なくフリーダムな

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 初心者講習会を無事に……うん、何事もなかったとは言えないけど、結果としては無事に終え、対策委員は次なるイベントの夏合宿に向けて動き始めている。
 日程は例年通り8月末の週に2泊3日で行うことにした。次なる問題は班編成と、講師をどなたにお願いするかという事柄。初心者講習会から一歩踏み込んだ講習内容になるようお願いしたい所存だ。
 この夏合宿という行事は、2年前まで行われていたスキー場DJに向けた技術向上と参加者のレベルを見てふるい落とすという目的があった。今は各大学の交流と技術向上を目的にしている。

「はい、これで各大学の参加者は出たね」
「しかし向島は大変なことになってんね例によって」
「すみません毎回毎回ウチのことで」
「でも菜月先輩と圭斗先輩も出てくれるし、何かあったら……ね」

 初心者講習会を大層引っ掻き回してくれた三井先輩の名前も夏合宿の一般参加者として名簿にはある。どうする、初心者講習会よりエスカレートしてきたら。
 そんな風に、俺たちの誰もが恐れていた事案が現実となってしまったけれど、菜月先輩と圭斗先輩も一般参加で合宿に来ていただけることになった。先手は打てなくても、抑止力にはなる。そういう狙いだ。

「あ、そーだ忘れてた」
「どうしたつばめ」
「ハマ男も合宿に出るってさ」
「おっ、真司も出るのか」
「班はラジオ系のトコに突っ込んどいてね」

 今年になってインターフェイスの活動に出てくるようになった青敬の浜田真司も夏合宿に参加するようだ。真司と連絡を取り合っているつばめがそう伝える。
 如何せん映像メインの大学でラジオの経験値はない。初心者講習会で触れたくらいの物で、下手すればラジオ系大学の1年生よりも。扱いには逆に苦労することはない。

「ラジオ系だったら、緑ヶ丘かウチの誰かが班長のトコに入れとけばいいってことだな」
「ま、そーゆーことだね。つかヒロと仲良いんだから、ハマ男はヒロが引き取ってもいいんじゃないかなとアタシは思う」
「えっ、ハマちゃんボクの班に来るん? ボクは別にええよ」

 対策委員は夏合宿ではそれぞれ班長になる。現段階では7班編成になりそうな雰囲気。ただ、基本的にふらふらしているヒロが班長というのは若干の不安がある。

「みんな、ヒロの班にはしっかり者の2年生ミキサーを入れて欲しい」
「何やのノサカ! ボクを何やと思っとんの!」
「基本いい加減だしふらっふらしてて不安で仕方ないと思っている」
「ゴメンヒロ、アタシもアンタとハマ男だけだとちょっと不安になってきた」
「あーそう。つばちゃんがそう言うんならしっかりしたミキサーさん入れてくれてええよ」

 ヒロのふらふらっぷりと真司の「マジパねえ」が合わさると、班の打ち合わせも全然進まないんじゃないかとか、そんなアレ。真司は夏合宿も初めてだし1年生が路頭に迷いそうな気がする。
 そんなような“大人の事情”だけど、班を詰めていくいい要素になるのだと実感している。班決めというのはかなり難しいとは先輩たちから聞いていたから。

「しっかり者のミキサーな~」
「テルは論外だしこまっちゃん……は、ちょっと癒し系すぎるな」
「ヒロの班だけに律やこーたは逆効果だしそもそも向島だ」
「決めるところはキメてくれて、ある程度ラジオもやったことがあって……野坂、誰かいる?」
「あっ、直クンがいた! 啓子さん、直クンはどうだろう」
「うん、まあ2年生の顔ぶれなら直が適任かもしれない。7班の副班長は直にお願いしよう」

 ヒロのぐだぐだっぷりと真司の「マジパねえ」、それに直クンのイケメンっぷりが合わされば、多少は何とかなるだろう。直クンには苦労を掛けるかもしれないけど、そこは対策委員の議長として、向島大学の人間としてしっかりお願いしておこう。

「じゃ、他の班も考えるか」


end.


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今年の夏合宿ではこれまでなかなか触れる機会のなかった7班についてもちょいちょいやっていこうとした結果、こんな。
夏合宿の班決めは人間関係やら大学・男女・学年のバランスなどを見ながら考えていかなければいけないのでなかなかな作業になります。
今年は7班単独の話もやりたいなあと密かに思っているのだけど、直クンがんばれ…!

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