2017

■Me and you. Always.

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 今日はファンタジックフェスタのペア打ち合わせ。ファンフェスでは他校の人と3~4人の班を組んで1時間番組をやることになっている。多くの班ではピントークに15分×2人の30分、ダブルトークに30分の枠にしているだろう。
 ピントークは1人トークの形式で、ダブルトークはアナウンサーさんが2人でトークする形式。俺は星ヶ丘の山口先輩率いる班に配属され、ピントークの番組も山口先輩たっての希望で組ませてもらうことになった。

「野坂クンよろしくね~」
「よろしくお願いします」

 星ヶ丘と言えばステージメインで、ラジオの活動はほとんど行っていない。定例会でもそのことに配慮があったらしく、ステージ系班長の班には緑ヶ丘か向島で脇を固める布陣にしているらしい。
 実際ウチから出ているミキサーの神崎耕太も、山口先輩と同じ星ヶ丘の朝霞先輩の班にいる。朝霞先輩の班は3年生にラジオメインがいない分2年生を強力にしたとは圭斗先輩談。2年生はこーたと緑ヶ丘の果林がいる。確かに強力だ。

「えっと~、今日のために議長サンから聞いて予習したんだ~」
「えっ、本当ですか!」
「野坂クンとやるなら議長サンでしょ~って。向島さんで聞けるのが議長サンしかいなかったんだけどさ~」

 ちなみに、山口先輩が言う“議長サン”というのは菜月先輩のことだ。菜月先輩はインターフェイス内の組織である技術向上対策委員会の議長を勤めていた。山口先輩も対策委員の前会計として去年1年間最前線で走り回っていた。
 対策委員については話すと長くなるのでここでは割愛するけれど、その名の通り技術向上や交流を目的とした行事を執り行う組織だ。任期は1年で、各大学の2年生が1人か2人出てきている。

「構成は基本中の基本かな~って思って~。あんまり変わったことは俺も出来ないし~」
「それでは、ごくごく普通の編成ということで」

 山口先輩は金のメッシュが入った髪型やお軽い感じのしゃべり方、そしてコミュ力の塊というイメージからどこか“チャラい”というイメージが強い。だけど、まさか予習をして来るとは思わなかったワケで。何て言うか、俺もうかうかしてられない。
 話で言えば、山口先輩は菜月先輩とあまり関係がよくなかったと聞いている。まさかそんな菜月先輩から俺やラジオのことを予習してまで今回のファンフェスに来てくれている。こう言っちゃ失礼だけどクソ真面目じゃないか。真摯じゃないか。

「ねえ、野坂クン」
「はい、何でしょう」
「議長サンて、言っちゃえば1人で突っ走るところがあるし仕事も全部1人で抱えちゃうし、大事なことを言ってくれないトコあるジャない」
「まあ、否定はしませんが」
「行き先を決めたら周りが見えなくなる子? それでいて自分が盾になろうって、無言で周りを守ろうとして結果ボロボロになる子への寄り添い方って、どうしてる?」
「……それは、俺が菜月先輩にどう向き合っているのか。そう訊ねられているのでしょうか」
「そうだね~。そう解釈してくれていいよ~」

 それは、俺の放送観に繋がるところがある。「ミキサーは一番近いリスナー」であり、俺に出来るのは菜月先輩の話を聞いて、支えること。安心して背中を預けてもらえるような、そんなミキサーでありたいと思い続けている。
 次の昼放送で菜月先輩とペアを組めるかはまだわからない。もし何かが間違ってペアを組めたとするなら、俺は去年よりもっと、ずっとそれを極めていきたいと思っている。技術も気持ちも、より高めていきたいと。

「結局のところ、技術で応えることが信頼を得るには最良なのかなとも思いますし、菜月先輩を支える事にも繋がるのではないかと。しかし難しいですね。あっ、しまった。この場合、質問の内容ってミキサーとしての話ではなかったですよね、すみません」
「ううん~、すっごく参考になったよ~。うんうん、技術で応えるのが最良。ステージスターたれってネ」

 山口先輩の質問の意図はよくわからなかった。菜月先輩との予習で引っかかるところがあったのか、それとも俺という人間の人となりを知ってファンフェスの番組に向けて意志の疎通を図ろうとしたのか。それも菜月先輩のよくやること。

「野坂クン、ベーグル食べに行かない? オイシーお店知ってるから~」
「はい、ぜひ!」
「それじゃ~行こ~」


end.


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土曜日のノサカ。やっぱり違和感がない。ただ、菜月さんでないのが違和感バリバリなのではよ昼放送のターン来い
洋平ちゃんには何か思うところがあったのか。洋平ちゃんから語られる菜月さん観もなかなかに新鮮。
そうか、ピントークで組むのねノサカと洋平ちゃん。ステージ系はラジオ系が補佐するって話だから当然っちゃ当然か。はてさてどうなる。

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