2018(02)
■ビッグウェーブのバイオリズム
++++
「対策委員です」
初心者講習会が終わってしばし。対策委員は夏合宿に向けて動き出していた。今は参加者を募っている段階で、参加率はどうなるかなー、誰が参加するのかなーというところがここのところの関心事。
ただ、俺たち向島からもたらされるビッグニュースはいい意味でも悪い意味でもとてつもなくビッグだ。何て言うか、躁鬱じゃないけど「ドヤァ!」と「どうしよう……」の波が交互に襲ってくる感じ。
「ホント、野坂ってわかりやすい顔してるよね」
「何も喋らないのに何か考えてるっていうののわかりやすさは異常だわ」
「あ、えっと、とりあえず各大学の参加者リストを出しましょうか…?」
議長が一番そわそわしているのは言うまでもない。まあ、基本的に対策委員は男子より女子の方が圧倒的に強いというのが大前提だからな! それをあるのかどうかわからない議長パワーというヤツで何とか同じ土台で話をしているワケですし。
参加者のリストは学年とパートに分けた表で出すことになっている。もしもの事態を想定して追加した3年生の枠を見事に使うことになってしまった向島である。ま、まあ……ウチのせいで作るようになった枠だもんなあ。
「そう、聞いて! ウチはゆず以外1・2年全員来るけど、なんといっちー先輩が参加してくれます!」
「ナ、ナンダッテー!? 伊東先輩が一般参加者として参加されるだって!?」
「カズさんが来てくれるなら百人力だけど、またどうしたの?」
「1・2年生の子ともいろいろ話したいなーって言ってたよ。初心者講習会で講師やったのもあるしね」
「マジか……ありがとうございます!」
よ、よーし! これでウチのバッドニュースをちょっとは中和出来るぞ…!
「あ、そうそう3年と言えばさ、ウチからもシゲトラが出るとか言ってんだって」
「星ヶ丘の3年生は山口先輩と朝霞先輩以外はあまりよく存じないけど」
「まあ、一応スキー場にも行ってるからある程度力はあるよ。何か、圭斗サンとなっちサンに聞いてくれれば自分が怪しい人間じゃないってわかるからって必死こいてた」
「ま、まあ、スキー場に行っている先輩だけあって上手な方であることには違いないんだな。ちなみにつばめ、そのシゲトラ先輩のパートって」
「ミキサー」
「お、ミキサーの先輩か。それはありがたい」
と言うか身元引受人じゃないけど、身分の保証は圭斗先輩と菜月先輩に、という辺りがよくわからないのだけど、これは俺の知らない“あの頃”の話なのだろう。何はともあれスキー場経験者のミキサーは大きい。
「ウチと星ヶ丘は3年生の先輩が出てくるけど、他の大学は3年生ってどう? 特に向島だけど」
「青女は出ません」
「星大も出ません」
「向島は出られます」
「で、でたー!」
「うわ、やっぱり出てきやがったか三井の奴!」
「どうする、誰の班で引き取る」
「ボクイヤやよ!」
「俺もファンフェスで同じ班だったからちょっとなー」
ほら、向島の3年=三井先輩みたいな図式になってみんな途端に悪い知らせを察知してるじゃないか。違うんだ、確かにそのニュースもあるけど俺にはとびっきりビッグな知らせもあってだな。でもみんな三井先輩ショックに沸いている。
「ちょっ、ちょっと待ったみんな。話はまだ終わってない」
「でも野坂、あの人は出てくるんでしょ?」
「三井先輩も参加するけど、聞いて驚け、菜月先輩と圭斗先輩も参加していただけることになってるから!」
「ナ、ナンダッテー!?」
「ノサカいつの間にそんな話になっとったん!? ボク知らんよ!」
「三井先輩に対する抑止力になってくださいと秘密裏にお願いした」
この知らせに対策委員は沸いた。三井先輩が参加するという悪い予感によるものではなく、菜月先輩と圭斗先輩が参加されるということに対する沸き方。あくまで先輩たちは抑止力ではあるのだけど、それ以前に実力者たちなのだ。先輩方の知見を現場で伝えていただければと強く思う。ただ、三井先輩には大人しくしていて欲しいのだけど。
「すげーな向島。1~3年ほとんど出てくるんじゃない?」
「全員出てくるよな」
「うわ、パねえな向島。ウチじゃインターフェイスの前線に出てきてくれるなんてカズ先輩くらいじゃんな」
「あ」
「どうしたつばめ」
「パねえで思い出したけどハマ男も夏合宿出るって」
「おー、真司! 来い来い!」
「そんでさ、青敬の1年生の子がインターフェイスに興味持ち始めてるとかで、そのミキサーの子も出てくるとか言ってんのね」
「いいじゃんか、是非迎え入れよう」
班編成はまだまだこれからだけど、いろいろな風が吹き荒れて対策委員は大変なことになっている。初心者講習会に出ていない子も何人かいるみたいだし、そういう子へのフォローも大事だ。あと、講師問題だな。
「よ、よーし。参加者が粗方出たところで次の議題に移ります」
end.
++++
対策委員が夏合宿に向けて本格的に動き始めました。今回は3年生の参加状況の確認回。
いち氏と向島勢はわかるにしても、謎なのがシゲトラなのでいつかシゲトラにその辺の動機を語らせたい。
青敬の1年生の子がインターフェイスに興味を持ち始めてる件も今年はやってないので、こっしーさんに頑張ってもらおう……
.
++++
「対策委員です」
初心者講習会が終わってしばし。対策委員は夏合宿に向けて動き出していた。今は参加者を募っている段階で、参加率はどうなるかなー、誰が参加するのかなーというところがここのところの関心事。
ただ、俺たち向島からもたらされるビッグニュースはいい意味でも悪い意味でもとてつもなくビッグだ。何て言うか、躁鬱じゃないけど「ドヤァ!」と「どうしよう……」の波が交互に襲ってくる感じ。
「ホント、野坂ってわかりやすい顔してるよね」
「何も喋らないのに何か考えてるっていうののわかりやすさは異常だわ」
「あ、えっと、とりあえず各大学の参加者リストを出しましょうか…?」
議長が一番そわそわしているのは言うまでもない。まあ、基本的に対策委員は男子より女子の方が圧倒的に強いというのが大前提だからな! それをあるのかどうかわからない議長パワーというヤツで何とか同じ土台で話をしているワケですし。
参加者のリストは学年とパートに分けた表で出すことになっている。もしもの事態を想定して追加した3年生の枠を見事に使うことになってしまった向島である。ま、まあ……ウチのせいで作るようになった枠だもんなあ。
「そう、聞いて! ウチはゆず以外1・2年全員来るけど、なんといっちー先輩が参加してくれます!」
「ナ、ナンダッテー!? 伊東先輩が一般参加者として参加されるだって!?」
「カズさんが来てくれるなら百人力だけど、またどうしたの?」
「1・2年生の子ともいろいろ話したいなーって言ってたよ。初心者講習会で講師やったのもあるしね」
「マジか……ありがとうございます!」
よ、よーし! これでウチのバッドニュースをちょっとは中和出来るぞ…!
「あ、そうそう3年と言えばさ、ウチからもシゲトラが出るとか言ってんだって」
「星ヶ丘の3年生は山口先輩と朝霞先輩以外はあまりよく存じないけど」
「まあ、一応スキー場にも行ってるからある程度力はあるよ。何か、圭斗サンとなっちサンに聞いてくれれば自分が怪しい人間じゃないってわかるからって必死こいてた」
「ま、まあ、スキー場に行っている先輩だけあって上手な方であることには違いないんだな。ちなみにつばめ、そのシゲトラ先輩のパートって」
「ミキサー」
「お、ミキサーの先輩か。それはありがたい」
と言うか身元引受人じゃないけど、身分の保証は圭斗先輩と菜月先輩に、という辺りがよくわからないのだけど、これは俺の知らない“あの頃”の話なのだろう。何はともあれスキー場経験者のミキサーは大きい。
「ウチと星ヶ丘は3年生の先輩が出てくるけど、他の大学は3年生ってどう? 特に向島だけど」
「青女は出ません」
「星大も出ません」
「向島は出られます」
「で、でたー!」
「うわ、やっぱり出てきやがったか三井の奴!」
「どうする、誰の班で引き取る」
「ボクイヤやよ!」
「俺もファンフェスで同じ班だったからちょっとなー」
ほら、向島の3年=三井先輩みたいな図式になってみんな途端に悪い知らせを察知してるじゃないか。違うんだ、確かにそのニュースもあるけど俺にはとびっきりビッグな知らせもあってだな。でもみんな三井先輩ショックに沸いている。
「ちょっ、ちょっと待ったみんな。話はまだ終わってない」
「でも野坂、あの人は出てくるんでしょ?」
「三井先輩も参加するけど、聞いて驚け、菜月先輩と圭斗先輩も参加していただけることになってるから!」
「ナ、ナンダッテー!?」
「ノサカいつの間にそんな話になっとったん!? ボク知らんよ!」
「三井先輩に対する抑止力になってくださいと秘密裏にお願いした」
この知らせに対策委員は沸いた。三井先輩が参加するという悪い予感によるものではなく、菜月先輩と圭斗先輩が参加されるということに対する沸き方。あくまで先輩たちは抑止力ではあるのだけど、それ以前に実力者たちなのだ。先輩方の知見を現場で伝えていただければと強く思う。ただ、三井先輩には大人しくしていて欲しいのだけど。
「すげーな向島。1~3年ほとんど出てくるんじゃない?」
「全員出てくるよな」
「うわ、パねえな向島。ウチじゃインターフェイスの前線に出てきてくれるなんてカズ先輩くらいじゃんな」
「あ」
「どうしたつばめ」
「パねえで思い出したけどハマ男も夏合宿出るって」
「おー、真司! 来い来い!」
「そんでさ、青敬の1年生の子がインターフェイスに興味持ち始めてるとかで、そのミキサーの子も出てくるとか言ってんのね」
「いいじゃんか、是非迎え入れよう」
班編成はまだまだこれからだけど、いろいろな風が吹き荒れて対策委員は大変なことになっている。初心者講習会に出ていない子も何人かいるみたいだし、そういう子へのフォローも大事だ。あと、講師問題だな。
「よ、よーし。参加者が粗方出たところで次の議題に移ります」
end.
++++
対策委員が夏合宿に向けて本格的に動き始めました。今回は3年生の参加状況の確認回。
いち氏と向島勢はわかるにしても、謎なのがシゲトラなのでいつかシゲトラにその辺の動機を語らせたい。
青敬の1年生の子がインターフェイスに興味を持ち始めてる件も今年はやってないので、こっしーさんに頑張ってもらおう……
.