2018(02)
■折れた羽を取り戻せ
++++
「ねーねー洋平センパイ、アタシこないだ局の人からすっごい美味しいらしい立ち呑みの店教えてもらったんだけどさ、餃子食べに行かない? 6時までに店に行けば餃子1皿とる~び~1杯がなんと500円!」
「奢りはしないけど~」
「は~つっかえ」
「それは気になるでしょでしょ~。餃子1皿と生1杯がワンコインは良心的だし~。行きたいね~、行こっか~。朝霞クンも行く~? 餃子好きでしょ~?」
「たまには立ち呑みもいいな。それじゃあ早いトコ切り上げて行くか。源、お前はどうする」
「あっ、すみません、俺は遅くなるって連絡もしてないのでまた今度お願いします」
「そうか」
狙いが外れたけど洋平と、どうやらまだまだ飲みで釣れるらしかった朝霞サンを引き連れ星港市某所地下街へ。ここは立ち呑みの店が立ち並んでて、サクッと呑むのにはちょうどいい。
平日夜でも結構な賑わいだけど、時間がまだ少し早いから何とか店に入れるって感じかな。3人でーすと店の人に声をかけてメニュー表を見る。狙いは決まってるけど一応ね。
例のワンコインのセットと小籠包3個を頼んで、しばし待つ。だけど、アタシと洋平はともかく小籠包とか絶対死ぬ人が1人いるけど大丈夫か? まあいいか。食べるタイミングくらいわかるだろ。
「はい、餃子と生です」
「わ~、羽がすっご~い」
「羽付き餃子にる~び~が500円、これは贅沢だわ」
「つばちゃん朝霞クン、はいお箸」
「あ、悪い」
「あんがと」
いただきまーすと手を合わせ、羽で繋がった餃子を箸で恐る恐る分けていく。羽がめっちゃ板みたいに繋がってて境目がわかんないんだよね。どうせなら羽はしっかり残してパリパリな食感を楽しみたい。
1個目の餃子を一口で行くと、焼きたてだから元々あっついけど、肉汁が中からじゅわ~って。皮はもちもち、羽はパリパリ。る~び~が進んで止まらないよね。小籠包だけで足りるかな、追加オーダーしたくなりそう。
「――ってちょっと待って朝霞サン下手くそか!」
「羽がボロボロでしょでしょ~」
「餃子と餃子の境目がマジでわかんねーんだ」
「でも羽は平気じゃんね、朝霞サンレッドブル常備してんだから翼を授ければ復活するって」
「つばちゃんさすがにそれはないでしょ~」
「戸田が俺をバカにしてることだけはよーくわかった」
「そんなんじゃないって。朝霞サンどーせ猫舌なんだし分解してあった方が適温になるの早いよねって」
「うるせえ。今日はたまたまだ。お前マジで覚えとけよ」
おっと、これ以上朝霞サンでゲラゲラ笑ってたら後が怖い。まあ確かに、普段から焼き魚とかはめっちゃ綺麗に食べる人なのは知ってるし、箸の持ち方がヘタとかでもない。本当に今日はたまたま餃子がボロボロになったんだろうね。
洋平は備え付けのカラシやラー油、酢とかで1コずつ味を変えながらどういう味が合うのかを研究してるっぽい。ご飯が欲しいよね~、なんて言いながらあっと言う間に完食してしまった。やっぱ元とは言え体育会系は食うよね。
「小籠包でーす」
「わ~、レンゲも来たよ~。はいつばちゃんレンゲ。朝霞クン小籠包今食べる? それとも後にする?」
「でも今食べたら朝霞サン絶対死ぬよね。小籠包とかいかにもじゃん。それでなくても一口がちっちゃいから一口じゃいけないじゃんね」
「でも今食べないとカピカピになるだろ皮が」
「だろうね~。料理は基本出てきたときが一番美味しいと思うよ~」
「朝霞サン特攻する?」
「する。レンゲをくれ」
3個の小籠包をそれぞれのレンゲに乗せて、せーのでいただきまーす。アタシと洋平もさすがに一口じゃいけなかったから、噛み切ったら餃子以上に肉汁がじゅわ~って。一瞬でレンゲがプールだよね。
「あっふい!」
「でもうっま!」
「朝霞サン、生きてる?」
猫舌の朝霞サンは絶対死ぬヤツだし、生きてるかなと思って様子を見てみたら、まだふーふーして様子を窺ってた。って言うか外だけ適温でも中がアレなんだからさっさと行きゃいいのに。
「で、では……いただきます」
「朝霞クン頑張って~」
「……っ!」
「痛い! 朝霞クン熱いんだネ!? ちょっ痛いってば叩かないの~!」
「あ、死んだ」
恐る恐る小籠包にかじり付いた朝霞サンは、大方の予想通り熱さでもんどりうってる。あまりの熱さに思わず手が出てる。涙目になって洋平をパシンパシンと叩く音が地下通路に響く。地下鉄の音に負けてないな。
「朝霞サンる~び~かレッドブル! 冷やして冷やして!」
やっとの思いで小籠包を飲み込んだら、る~び~で一気にクールダウン。って言うかこの人死ぬのがわかってて特攻するのはそう珍しくないからね。
「朝霞クン大丈夫~?」
「わかってたけど熱い…!」
「はー、この件何回やったかなー」
「うるせえ戸田、覚えとけよ」
あんまり朝霞サンを刺激すると後が怖いからね。今はお茶を濁しとこ。いろいろ突っつかれ始めたら、地下鉄の音で聞き間違えたんじゃないですかーっていう体で。
end.
++++
こういうのをやるにはやっぱり星ヶ丘もとい朝霞班かなって……(飲みと言えば緑ヶ丘だけど、山に近い彼らの立地で立ち呑みはそうそうない)
朝霞Pは安定の猫舌ですし、仮にここにこっしーさんがいたら朝霞Pの分の餃子はきっとしれっと横取りされてただろうなって
最近はつばちゃんの朝霞Pイジりが加速してるような気がする。それもこれもステージのモードがまだもうちょっと薄いからかな?
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「ねーねー洋平センパイ、アタシこないだ局の人からすっごい美味しいらしい立ち呑みの店教えてもらったんだけどさ、餃子食べに行かない? 6時までに店に行けば餃子1皿とる~び~1杯がなんと500円!」
「奢りはしないけど~」
「は~つっかえ」
「それは気になるでしょでしょ~。餃子1皿と生1杯がワンコインは良心的だし~。行きたいね~、行こっか~。朝霞クンも行く~? 餃子好きでしょ~?」
「たまには立ち呑みもいいな。それじゃあ早いトコ切り上げて行くか。源、お前はどうする」
「あっ、すみません、俺は遅くなるって連絡もしてないのでまた今度お願いします」
「そうか」
狙いが外れたけど洋平と、どうやらまだまだ飲みで釣れるらしかった朝霞サンを引き連れ星港市某所地下街へ。ここは立ち呑みの店が立ち並んでて、サクッと呑むのにはちょうどいい。
平日夜でも結構な賑わいだけど、時間がまだ少し早いから何とか店に入れるって感じかな。3人でーすと店の人に声をかけてメニュー表を見る。狙いは決まってるけど一応ね。
例のワンコインのセットと小籠包3個を頼んで、しばし待つ。だけど、アタシと洋平はともかく小籠包とか絶対死ぬ人が1人いるけど大丈夫か? まあいいか。食べるタイミングくらいわかるだろ。
「はい、餃子と生です」
「わ~、羽がすっご~い」
「羽付き餃子にる~び~が500円、これは贅沢だわ」
「つばちゃん朝霞クン、はいお箸」
「あ、悪い」
「あんがと」
いただきまーすと手を合わせ、羽で繋がった餃子を箸で恐る恐る分けていく。羽がめっちゃ板みたいに繋がってて境目がわかんないんだよね。どうせなら羽はしっかり残してパリパリな食感を楽しみたい。
1個目の餃子を一口で行くと、焼きたてだから元々あっついけど、肉汁が中からじゅわ~って。皮はもちもち、羽はパリパリ。る~び~が進んで止まらないよね。小籠包だけで足りるかな、追加オーダーしたくなりそう。
「――ってちょっと待って朝霞サン下手くそか!」
「羽がボロボロでしょでしょ~」
「餃子と餃子の境目がマジでわかんねーんだ」
「でも羽は平気じゃんね、朝霞サンレッドブル常備してんだから翼を授ければ復活するって」
「つばちゃんさすがにそれはないでしょ~」
「戸田が俺をバカにしてることだけはよーくわかった」
「そんなんじゃないって。朝霞サンどーせ猫舌なんだし分解してあった方が適温になるの早いよねって」
「うるせえ。今日はたまたまだ。お前マジで覚えとけよ」
おっと、これ以上朝霞サンでゲラゲラ笑ってたら後が怖い。まあ確かに、普段から焼き魚とかはめっちゃ綺麗に食べる人なのは知ってるし、箸の持ち方がヘタとかでもない。本当に今日はたまたま餃子がボロボロになったんだろうね。
洋平は備え付けのカラシやラー油、酢とかで1コずつ味を変えながらどういう味が合うのかを研究してるっぽい。ご飯が欲しいよね~、なんて言いながらあっと言う間に完食してしまった。やっぱ元とは言え体育会系は食うよね。
「小籠包でーす」
「わ~、レンゲも来たよ~。はいつばちゃんレンゲ。朝霞クン小籠包今食べる? それとも後にする?」
「でも今食べたら朝霞サン絶対死ぬよね。小籠包とかいかにもじゃん。それでなくても一口がちっちゃいから一口じゃいけないじゃんね」
「でも今食べないとカピカピになるだろ皮が」
「だろうね~。料理は基本出てきたときが一番美味しいと思うよ~」
「朝霞サン特攻する?」
「する。レンゲをくれ」
3個の小籠包をそれぞれのレンゲに乗せて、せーのでいただきまーす。アタシと洋平もさすがに一口じゃいけなかったから、噛み切ったら餃子以上に肉汁がじゅわ~って。一瞬でレンゲがプールだよね。
「あっふい!」
「でもうっま!」
「朝霞サン、生きてる?」
猫舌の朝霞サンは絶対死ぬヤツだし、生きてるかなと思って様子を見てみたら、まだふーふーして様子を窺ってた。って言うか外だけ適温でも中がアレなんだからさっさと行きゃいいのに。
「で、では……いただきます」
「朝霞クン頑張って~」
「……っ!」
「痛い! 朝霞クン熱いんだネ!? ちょっ痛いってば叩かないの~!」
「あ、死んだ」
恐る恐る小籠包にかじり付いた朝霞サンは、大方の予想通り熱さでもんどりうってる。あまりの熱さに思わず手が出てる。涙目になって洋平をパシンパシンと叩く音が地下通路に響く。地下鉄の音に負けてないな。
「朝霞サンる~び~かレッドブル! 冷やして冷やして!」
やっとの思いで小籠包を飲み込んだら、る~び~で一気にクールダウン。って言うかこの人死ぬのがわかってて特攻するのはそう珍しくないからね。
「朝霞クン大丈夫~?」
「わかってたけど熱い…!」
「はー、この件何回やったかなー」
「うるせえ戸田、覚えとけよ」
あんまり朝霞サンを刺激すると後が怖いからね。今はお茶を濁しとこ。いろいろ突っつかれ始めたら、地下鉄の音で聞き間違えたんじゃないですかーっていう体で。
end.
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こういうのをやるにはやっぱり星ヶ丘もとい朝霞班かなって……(飲みと言えば緑ヶ丘だけど、山に近い彼らの立地で立ち呑みはそうそうない)
朝霞Pは安定の猫舌ですし、仮にここにこっしーさんがいたら朝霞Pの分の餃子はきっとしれっと横取りされてただろうなって
最近はつばちゃんの朝霞Pイジりが加速してるような気がする。それもこれもステージのモードがまだもうちょっと薄いからかな?
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