2017
■ズルズルステレオ
++++
ここは、青浪敬愛大学放送サークルAKBCの活動場所だ。AKBCは映像作品を作るのが主な活動内容。学科でそういう勉強をしてる人が定期的に入って来るから割とマジパねえクオリティの作品を作れたりするんだ。
サークルを束ねるのは、苦虫を噛み潰したような顔をしているヒロさんこと、長野宏樹。って言うかヒロさん今日はあんまり機嫌よくなさそうだな。呪いの民俗学を専攻していて、サークルでは作品の構成を考えたりしている。
それを補佐するのが冷蔵庫みたいな体をしたヒデさんこと松江英雄。ダウンジャケットを着た姿はマツエックス。ただ、戦闘用ではねーんだなこれが。サークルでは作品の撮影とか編集を担当している。
「今日は何をするんですかー」
「ですか」
「そう逸るなチビたち。あんま宏樹を突っつくと呪われるぞ」
「怖いですー」
「です」
1年生もさっそく入ってきた。諏訪かんな・あやめ姉妹だ。双子で同じ大学同じ学科で、サークルも同じという一卵性双生児。活発で口数も多いのがかんなで、少し大人しくて口数の少ないのがあやめ。
そんな双子たちを宥めるのが俺たちの姐御、ツルさんこと朝倉千鶴姐さん。ツルさんは映像編集がマジパねえんす! やっぱ学科で本格的に勉強してる人は違うなっつー感じでとにかくパねえっす!
「お腹がムカムカするし朝倉にイライラする」
「何でアタシが出てくんだ!」
「ヒロ、大丈夫? 最近ずっとだよね。病院に行った方がいいよ」
「これくらいで? 行かないでしょ」
「長野さん、病弱なんですかー?」
「ですか?」
「長野さんがしんどいなら千鶴さんと好きにやってていいですかー」
「ですか」
「……松江、このちっちゃいステレオなんとかして」
「自分だって小さいです!」
「……です」
つーかヒロさんの顔色の悪さがガチだ。ヒデさんの言うように、ここ最近のAKBCはヒロさんの体調不良発言を聞かない日がない。ヒデさんはヒロさんに病院に行くよう勧めてるんだけど、なかなか耳を貸さないんだ。
ヒロさんと、介抱をするヒデさんをサークル室に残して他のメンバーは外に出ることにした。ツルさんからのお題は各々、好きな構図で素材を撮るというテーマ。基本アナウンサーではある俺もカメラを構える。
あっ、そうだ! 俺は浜田真司! 機械工学をメインに勉強してる2年で、AKBCではヒロさんの下で番組の構成を考えたり、自分で出演したりナレーションを入れたりってことを主にやってんだ、マジパねえ!
「ツルさーん、ヒロさん大丈夫っすかね」
「さあ。ここんトコずっとじゃんね。そろそろヤバいんじゃない?」
「ヤバいって! 病院行った方がいいっすよ!」
「まっつんみたいにやわやわ言ってたんじゃダメだな。まっつんはさあ、力も図体も宏樹よりあるんだからムリヤリ引きずりゃいいのにねえ。ねえハマちゃん」
「そっすねー」
ま、宏樹はちょっと大人しいくらいがちょうどいいわ。そう言ってツルさんは諏訪姉妹の出来を見に行ってしまった。うーん、確かにヒデさんはちょっと優しすぎるんだよなあ。
病院に行った方がいいって件も毎度のことになってるんだけど、その度お金がーとか次しんどかったらーとかってヒロさんが言うんだ。そしたらヒデさんは「次酷くなったら本当に行ってよ」って引き下がるんだ。強弱関係がパねえ。
「ハマちゃん先輩!」
「おーう、どうした。えーとお前は、かんなか」
「はい、かんなです! ハマちゃん先輩ラジコンとかも得意って言ってましたよね! ドローンとかも飛ばせます? 空撮したいですー!」
「おっ、いーじゃんやろーぜ! でも今はないから、今度やろうな! それまでに撮影スポットとか探しといてくれれば助かるぜ!」
「おまかせです!」
活動にはなってるけど、やっぱりどこかでヒロさんのことが引っかかる。何事もなければいいんだけど。でも、あんまり騒いだらヒロさんにまた怒られるだろうし。うーん。でもマジで心配すぎてそわそわがパねえ。
「あやめ、お前はどうする?」
「タイムラプス、です」
「おー! いーじゃん、やろーぜ!」
「です」
「ハマちゃんもすっかり兄貴分だねえ」
「俺はツルさんに比べればまだまだっす! よっ、姐御っ!」
でもなー、やっぱ。よーし、ヒロさんのお見舞いに戻るぞー!
end.
++++
な、なんと、青敬が最初っから6人いるという快挙です。昨年の終わりごろに出てきた諏訪姉妹もぶち込んだよ!
長野っちのいつものイベントもありつつ、とりあえず今は最初なので割と真面目に活動しているのかな。そもそも青敬のサークルの規模などは実は決まってなかったり……
しかしマツエックスよw ダウンジャケットの話は確かにやったけど、何かもう悪ふざけ以外の何物でもないやね
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ここは、青浪敬愛大学放送サークルAKBCの活動場所だ。AKBCは映像作品を作るのが主な活動内容。学科でそういう勉強をしてる人が定期的に入って来るから割とマジパねえクオリティの作品を作れたりするんだ。
サークルを束ねるのは、苦虫を噛み潰したような顔をしているヒロさんこと、長野宏樹。って言うかヒロさん今日はあんまり機嫌よくなさそうだな。呪いの民俗学を専攻していて、サークルでは作品の構成を考えたりしている。
それを補佐するのが冷蔵庫みたいな体をしたヒデさんこと松江英雄。ダウンジャケットを着た姿はマツエックス。ただ、戦闘用ではねーんだなこれが。サークルでは作品の撮影とか編集を担当している。
「今日は何をするんですかー」
「ですか」
「そう逸るなチビたち。あんま宏樹を突っつくと呪われるぞ」
「怖いですー」
「です」
1年生もさっそく入ってきた。諏訪かんな・あやめ姉妹だ。双子で同じ大学同じ学科で、サークルも同じという一卵性双生児。活発で口数も多いのがかんなで、少し大人しくて口数の少ないのがあやめ。
そんな双子たちを宥めるのが俺たちの姐御、ツルさんこと朝倉千鶴姐さん。ツルさんは映像編集がマジパねえんす! やっぱ学科で本格的に勉強してる人は違うなっつー感じでとにかくパねえっす!
「お腹がムカムカするし朝倉にイライラする」
「何でアタシが出てくんだ!」
「ヒロ、大丈夫? 最近ずっとだよね。病院に行った方がいいよ」
「これくらいで? 行かないでしょ」
「長野さん、病弱なんですかー?」
「ですか?」
「長野さんがしんどいなら千鶴さんと好きにやってていいですかー」
「ですか」
「……松江、このちっちゃいステレオなんとかして」
「自分だって小さいです!」
「……です」
つーかヒロさんの顔色の悪さがガチだ。ヒデさんの言うように、ここ最近のAKBCはヒロさんの体調不良発言を聞かない日がない。ヒデさんはヒロさんに病院に行くよう勧めてるんだけど、なかなか耳を貸さないんだ。
ヒロさんと、介抱をするヒデさんをサークル室に残して他のメンバーは外に出ることにした。ツルさんからのお題は各々、好きな構図で素材を撮るというテーマ。基本アナウンサーではある俺もカメラを構える。
あっ、そうだ! 俺は浜田真司! 機械工学をメインに勉強してる2年で、AKBCではヒロさんの下で番組の構成を考えたり、自分で出演したりナレーションを入れたりってことを主にやってんだ、マジパねえ!
「ツルさーん、ヒロさん大丈夫っすかね」
「さあ。ここんトコずっとじゃんね。そろそろヤバいんじゃない?」
「ヤバいって! 病院行った方がいいっすよ!」
「まっつんみたいにやわやわ言ってたんじゃダメだな。まっつんはさあ、力も図体も宏樹よりあるんだからムリヤリ引きずりゃいいのにねえ。ねえハマちゃん」
「そっすねー」
ま、宏樹はちょっと大人しいくらいがちょうどいいわ。そう言ってツルさんは諏訪姉妹の出来を見に行ってしまった。うーん、確かにヒデさんはちょっと優しすぎるんだよなあ。
病院に行った方がいいって件も毎度のことになってるんだけど、その度お金がーとか次しんどかったらーとかってヒロさんが言うんだ。そしたらヒデさんは「次酷くなったら本当に行ってよ」って引き下がるんだ。強弱関係がパねえ。
「ハマちゃん先輩!」
「おーう、どうした。えーとお前は、かんなか」
「はい、かんなです! ハマちゃん先輩ラジコンとかも得意って言ってましたよね! ドローンとかも飛ばせます? 空撮したいですー!」
「おっ、いーじゃんやろーぜ! でも今はないから、今度やろうな! それまでに撮影スポットとか探しといてくれれば助かるぜ!」
「おまかせです!」
活動にはなってるけど、やっぱりどこかでヒロさんのことが引っかかる。何事もなければいいんだけど。でも、あんまり騒いだらヒロさんにまた怒られるだろうし。うーん。でもマジで心配すぎてそわそわがパねえ。
「あやめ、お前はどうする?」
「タイムラプス、です」
「おー! いーじゃん、やろーぜ!」
「です」
「ハマちゃんもすっかり兄貴分だねえ」
「俺はツルさんに比べればまだまだっす! よっ、姐御っ!」
でもなー、やっぱ。よーし、ヒロさんのお見舞いに戻るぞー!
end.
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な、なんと、青敬が最初っから6人いるという快挙です。昨年の終わりごろに出てきた諏訪姉妹もぶち込んだよ!
長野っちのいつものイベントもありつつ、とりあえず今は最初なので割と真面目に活動しているのかな。そもそも青敬のサークルの規模などは実は決まってなかったり……
しかしマツエックスよw ダウンジャケットの話は確かにやったけど、何かもう悪ふざけ以外の何物でもないやね
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