2026
■Let's make use of what we have
++++
「奈々さん、例年MMPってどーゆー感じで学祭回すんすか?」
「基本的には3日間のうち最初の1日目にDJブースをやって、あと2日が食品ブースって感じでやってたね。去年はちょっと例外的に全部食品で回したんだけど、今年はDJも食品もフルッフルで回していくことになっちゃったし、より一層綿密に、それでいて大胆に頑張っていかないとなーとは」
いよいよ今月末に迫った大学祭に向けた動きも本格化してきたので、決めるところは決めてワーッと動いてかなきゃいけないんだけど、如何せんDJブースを経験したことあるのがうちだけだし、人数も増えてブースも2つ回すとなったらてんてこまいでワーッて感じ。
最近は松兄がちょこちょこ学祭当日だとか、当日に向けて細かい流れを確認してくれてるのがホントにありがたい。カノンはカノンで一生懸命やってくれてるんだろうけど、具体的な事がうちの耳には入ってこないし、とりぃはロボコンの方で忙しそうだから無理は言えない。
「装飾の作業はジュンとツッツが進めてくれてて、こないだうちツッツからテントの大きさとか使える敷地の範囲とか聞かれて、きっと看板の大きさを見たかったのかな?」
「安全性とか運びやすさとかも重視しないと~みたいなことを言ってるのは聞いたし、あんま心配しなくてもほっときゃいいモン作ってくれそうっすね」
「DJブースをやる都合上、学祭のステージとかと音がケンカしないようにMMPのブース位置って割と毎年固定されてる感じで、大祭実行さんには今年はDJブースやるんでブース位置お願いしますってお願いしてるし、まあ大体情報棟前の並びかなーって予想」
「あーはいはいあの辺ね」
「えーっと、ブースの中の資料的には」
菜月先輩が撮ってくれてた大学祭の写真を探してアルバムをめくっていく。去年DJブースをやってないだけにマジで貴重な神資料ッ! 写真で見ることによってうちの記憶が蘇ってくる可能性もあるもんね。ブースの設営だとか、運営の仕方は本当にうちしか知らないから責任重大。
「なるほど、こういう感じね。このサークル室のここの座席を、そのままテントの中に持ってったような感覚でいいってコトっすね」
「そうだね。特段難しいことはしてなかったはず」
「しっかしまァこの写真の圭斗サン、マジでキマってますねェ。自分の角度を知ってる人のそれじゃないすか」
「それ確か野坂先輩のお気に入りの写真だったはず。菜月先輩がまた圭斗先輩をキメさせるのが上手いんだよねッ」
「なるほど、モデルとカメラマンの間にある信頼関係的な」
「的な的なッ」
「画角っつーか構図もいいんだよなァまた」
「今年はうっしーがカメラを始めたし、何かしら撮ってくれるんじゃないかなとは」
菜月先輩のアルバムと、絵を描き始めたジュンに感化されたうっしーが新しい趣味としてカメラを始めたって聞いたときにはちょっと驚いた。最初はスマホでちょこちょこ撮り始めたんだけど、コンデジ買いましたーって披露してくれた時に、結構ちゃんと趣味にしたいんだなって思って。
うっしーがよく言う社畜時代の失われた1年の記録は、何時に出社して何時から働いて、タイムカードを切った後何時まで働いてたか、みたいな闇を感じる物が主だったらしい。そんな人が、自分を守るとか武器としてじゃなくて楽しかった瞬間を残したいと思ってくれたことが感動的って言うか。
「あッ!」
「突然どーしたんすか奈々さん。驚かせないでくださいよ」
「ごめんごめんッ、ちょっと思い出したことがあって。えーっとぉ、どこに片付けたっかなー」
確かあれはデータ形式でもらってたし、サークル室にパソコンを導入したときにそっちにも入れたはずだから探せばどこかにはあるはず。誰かが間違って消してない限りではあるけど。
「みぃーつけたッ」
「……何すかこの歌」
「経緯は話せば長くなるんだけど、去年食品ブースの中で流してたくるちゃん歌唱のフライドポテトの歌だよッ」
「なるほど? 確かにこりゃ味がある」
「ただね、ずぅーっと流してると、頭の中で無限ループするっていう副作用もあるんだけどね。あと、くるちゃん版だけじゃなくて、こういうのも」
「おっ、バンドサウンドじゃないすか」
「去年ライブで来てたトリプルメソッドがくるちゃんの歌を気に入って自分たちのバージョンで急遽やったってヤツもあるよ」
「ああ、そこに飾ってあるサイン色紙はそーゆー関係だったってコトすか」
「そうそう。今年もフライドポテトをやるんだったら曲もそのまま使えちゃうなーと思って」
「まあ、ある物は使っていいんじゃないんです? 去年使ってたってことは許可は取れてたってことだろうし」
「トリプルメソッド側には一応もう1回確認しとこうかな」
「くるみはいーんすね」
「緑ヶ丘の大祭は同日だから言わなきゃバレないよ。うっすうっす」
今年はとにかく泥臭く、うちが代表の間は法に触れない程度にある物を使って何だってやってやるぞーってスタンスだからね。トリプルメソッド版に関しては、ひょっとしたらひょっとしちゃうかもしれないけど使いたいには使いたいから、こういうのの確認って事務所なのかな?
「ジャガイモは無事に星大さんから仕入れられたし、下拵えとかはジャックの部屋を借りられるし、塩はパロが何とかしてくれるから、資材調達だねッ。忘れる前にやっとかないと」
「あ、そーだ。ブース回すシフトに関してはもーちょい待っといてください。かっすーとの兼ね合いもあるんでね。あと、2日目はロボコンあるんで春風はいないものとして考えます」
「うんうん、大丈夫だよッ。あ~、松兄がちゃんと兄~」
「何だよちゃんとニイって。何遍も言うけど、歴代最大クラスになったサークルをアンタ1人だけに背負わせるつもりはないんで。ある物は使ってけ? 少なくとも俺はちゃんといるんで」
end.
++++
MMPのサークル室には去年もらったトリプルメソッドのサイン色紙がちゃんと飾ってある。
(本当はもう少し早く上げるつもりだった話。昨今のあれこれで遅れた)
(phase3)
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「奈々さん、例年MMPってどーゆー感じで学祭回すんすか?」
「基本的には3日間のうち最初の1日目にDJブースをやって、あと2日が食品ブースって感じでやってたね。去年はちょっと例外的に全部食品で回したんだけど、今年はDJも食品もフルッフルで回していくことになっちゃったし、より一層綿密に、それでいて大胆に頑張っていかないとなーとは」
いよいよ今月末に迫った大学祭に向けた動きも本格化してきたので、決めるところは決めてワーッと動いてかなきゃいけないんだけど、如何せんDJブースを経験したことあるのがうちだけだし、人数も増えてブースも2つ回すとなったらてんてこまいでワーッて感じ。
最近は松兄がちょこちょこ学祭当日だとか、当日に向けて細かい流れを確認してくれてるのがホントにありがたい。カノンはカノンで一生懸命やってくれてるんだろうけど、具体的な事がうちの耳には入ってこないし、とりぃはロボコンの方で忙しそうだから無理は言えない。
「装飾の作業はジュンとツッツが進めてくれてて、こないだうちツッツからテントの大きさとか使える敷地の範囲とか聞かれて、きっと看板の大きさを見たかったのかな?」
「安全性とか運びやすさとかも重視しないと~みたいなことを言ってるのは聞いたし、あんま心配しなくてもほっときゃいいモン作ってくれそうっすね」
「DJブースをやる都合上、学祭のステージとかと音がケンカしないようにMMPのブース位置って割と毎年固定されてる感じで、大祭実行さんには今年はDJブースやるんでブース位置お願いしますってお願いしてるし、まあ大体情報棟前の並びかなーって予想」
「あーはいはいあの辺ね」
「えーっと、ブースの中の資料的には」
菜月先輩が撮ってくれてた大学祭の写真を探してアルバムをめくっていく。去年DJブースをやってないだけにマジで貴重な神資料ッ! 写真で見ることによってうちの記憶が蘇ってくる可能性もあるもんね。ブースの設営だとか、運営の仕方は本当にうちしか知らないから責任重大。
「なるほど、こういう感じね。このサークル室のここの座席を、そのままテントの中に持ってったような感覚でいいってコトっすね」
「そうだね。特段難しいことはしてなかったはず」
「しっかしまァこの写真の圭斗サン、マジでキマってますねェ。自分の角度を知ってる人のそれじゃないすか」
「それ確か野坂先輩のお気に入りの写真だったはず。菜月先輩がまた圭斗先輩をキメさせるのが上手いんだよねッ」
「なるほど、モデルとカメラマンの間にある信頼関係的な」
「的な的なッ」
「画角っつーか構図もいいんだよなァまた」
「今年はうっしーがカメラを始めたし、何かしら撮ってくれるんじゃないかなとは」
菜月先輩のアルバムと、絵を描き始めたジュンに感化されたうっしーが新しい趣味としてカメラを始めたって聞いたときにはちょっと驚いた。最初はスマホでちょこちょこ撮り始めたんだけど、コンデジ買いましたーって披露してくれた時に、結構ちゃんと趣味にしたいんだなって思って。
うっしーがよく言う社畜時代の失われた1年の記録は、何時に出社して何時から働いて、タイムカードを切った後何時まで働いてたか、みたいな闇を感じる物が主だったらしい。そんな人が、自分を守るとか武器としてじゃなくて楽しかった瞬間を残したいと思ってくれたことが感動的って言うか。
「あッ!」
「突然どーしたんすか奈々さん。驚かせないでくださいよ」
「ごめんごめんッ、ちょっと思い出したことがあって。えーっとぉ、どこに片付けたっかなー」
確かあれはデータ形式でもらってたし、サークル室にパソコンを導入したときにそっちにも入れたはずだから探せばどこかにはあるはず。誰かが間違って消してない限りではあるけど。
「みぃーつけたッ」
「……何すかこの歌」
「経緯は話せば長くなるんだけど、去年食品ブースの中で流してたくるちゃん歌唱のフライドポテトの歌だよッ」
「なるほど? 確かにこりゃ味がある」
「ただね、ずぅーっと流してると、頭の中で無限ループするっていう副作用もあるんだけどね。あと、くるちゃん版だけじゃなくて、こういうのも」
「おっ、バンドサウンドじゃないすか」
「去年ライブで来てたトリプルメソッドがくるちゃんの歌を気に入って自分たちのバージョンで急遽やったってヤツもあるよ」
「ああ、そこに飾ってあるサイン色紙はそーゆー関係だったってコトすか」
「そうそう。今年もフライドポテトをやるんだったら曲もそのまま使えちゃうなーと思って」
「まあ、ある物は使っていいんじゃないんです? 去年使ってたってことは許可は取れてたってことだろうし」
「トリプルメソッド側には一応もう1回確認しとこうかな」
「くるみはいーんすね」
「緑ヶ丘の大祭は同日だから言わなきゃバレないよ。うっすうっす」
今年はとにかく泥臭く、うちが代表の間は法に触れない程度にある物を使って何だってやってやるぞーってスタンスだからね。トリプルメソッド版に関しては、ひょっとしたらひょっとしちゃうかもしれないけど使いたいには使いたいから、こういうのの確認って事務所なのかな?
「ジャガイモは無事に星大さんから仕入れられたし、下拵えとかはジャックの部屋を借りられるし、塩はパロが何とかしてくれるから、資材調達だねッ。忘れる前にやっとかないと」
「あ、そーだ。ブース回すシフトに関してはもーちょい待っといてください。かっすーとの兼ね合いもあるんでね。あと、2日目はロボコンあるんで春風はいないものとして考えます」
「うんうん、大丈夫だよッ。あ~、松兄がちゃんと兄~」
「何だよちゃんとニイって。何遍も言うけど、歴代最大クラスになったサークルをアンタ1人だけに背負わせるつもりはないんで。ある物は使ってけ? 少なくとも俺はちゃんといるんで」
end.
++++
MMPのサークル室には去年もらったトリプルメソッドのサイン色紙がちゃんと飾ってある。
(本当はもう少し早く上げるつもりだった話。昨今のあれこれで遅れた)
(phase3)
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