2026
■いつメン懐メンの記憶
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「越野ー、久し振り~!」
「おー、久し振りー! ってかお前そんな普通に歩いてて大丈夫か?」
「帽子とサングラスだけでもまあまあ顔は隠れてるでしょ?」
「まあそうだけど」
高校の同級生と久々に会った感動もそこそこに、騒ぎにならないかと冷や冷やしながら周りをチラッチラ見てしまう一般人の俺だ。会社の盆休み終盤、水越から連絡が来たからどーしたと思ったら、久々に帰るからご飯でも食べに行こうって。まあ休みだし行くかあ、って現在に至る。
この水越千里ってのは、高校1年の2学期くらいに転校してきてから卒業するまでずっと同じクラスで、同じバスケ部だったこともあって結構仲良くしてた。世間的には俺の相棒ポジは拳悟らしいけど、バスケやる上での相棒は水越だったかもしれない。
で、コイツと会うことの何に俺がそわそわしているのかと言うと、実はコイツは今結構売れてきてるIGNITEっていうアイドルグループのメンバーで、ドラマに出てたり、バラエティーやったりと、まーあそれはもう忙しい! そんな奴がいるってバレた時のことを考えると、というワケだ。
「こっちの店は越野の方が詳しいからって投げちゃってゴメンねー」
「や、問題ない。実際俺が選ぶ方が俺の身の丈に合う店に行けるし。あっ、一応個室で予約はしてあるし、拳悟と高崎も後で合流するって話だから」
「何から何までありがとうございます」
「で、仕事は明日から?」
「そう、明日と明後日かな」
「仕事とは言え、この時期の星港で屋外活動ってのも大変だな」
「ホントにね! 毎日毎日全国の天気予報で星港の数字を見ながら怯えてたよ!」
星港の夏は熱い。星港の夏と夏の向西倉庫は暑いと言うより熱いと言う方が正しいと俺は思っている。水越は向舞祭のゲストとして呼ばれているという話だけど、40度以上の酷暑日も珍しくない向島エリアで夏の野外での仕事なんてロクでもないなと思ってしまう。アイドルも大変だ。
「17時半で予約の越野です。あと2名は後から来ます」
「越野様、ご案内します」
店に着いたので予約の内容を伝え、通されるままに階段を上って店の奥の方にある個室へ。早い時間の方が予約を入れてあったとしてもゆったり入れるかなと思ってこうした。まあ、言っても普通の居酒屋だから、そのうちがやがやはするだろうけど。
「あっ、この店QRで注文する方式か」
「この形式多いよね」
「店員をどこに割くかっていう効率を求めるとこうなるんだろうな」
「越野、何飲む? 俺ビール飲むけど」
「あっ俺もビール」
「じゃあ乾杯の練習ですなあ」
「だな」
高崎と拳悟は今日も普通に働いているので、盆休みの俺が実質的幹事のような感じで切り盛りをしている。ただ、連中が来る前に何杯かは普通に飲んでしまいそうだ。奴らが来てからは飲み放題に切り替える予定なので、それまでに飲み過ぎて酒代がかさまないようにもしたい。
「は~い、ご注文の生2つと~、梅キュウリで~す」
「あざーす」
「いや~越野クン、夏休みを満喫してるようで~」
「山口も、お仕事お疲れさまです」
俺たちの席に最初の一杯を運んできたのはネオいつメンの山口だ。実は店に入った瞬間いるじゃんとは思ってたけど(予約の時点でここで働いてることは知らなかった)、敢えてリアクションは取らないでいた。一秒でも早く個室に入った方がいいかと思って。
「越野、友達?」
「縁があって、最近友達になった」
「山口洋平っていいま~す」
「越野の高校の同級生の、水越千里って言います」
「あっ、じゃあいつメンの1人!?」
「や、後で来るのは高崎と拳悟だけど、いつメンとはちょっと違う枠。でも仲良いのはガチ」
「あれっ、って言うか水越クンてどっかで見た? 芸能の人?」
「わかる?」
「あ~えっと~、IGNITEで合ってる?」
「ありがとうございますー!」
「良かった粗相しなかった~」
「いやお前、お忍びじゃないのかよ」
「個室だし、友達の友達だし、ちゃんとしてる人ってちゃんとしてるから案外大丈夫なんだよ」
「最近はタレントさんのプライベートとプライバシーにご配慮いただきますよお願いします~って言われてるもんね~」
そうは言われていたとしても、こっちが不安になってしまうくらいコイツは堂々とし過ぎなんだ。いや、逆に堂々としていた方がいいという説はあるが。それではごゆっくり~と山口が一旦引っ込み、とりあえず乾杯の練習をする。次何頼もうかとキュウリをかじりつつメニューを見る。
「って言うか俺も彼のこと、なーんかうーっすらだけど、記憶にあるんだよなー。会ったことはないはずなんだけど、何だろ」
「お前高校卒業してから東都だっただろ。そんなことあんのかよ」
「何かで見た、ような?」
「じゃあ生頼むか」
生ビールと枝豆を頼み、とりあえず山口が来てくれないかなという希望を。つか店員と話すために注文入れる、つまり金を積むって一歩間違えばいかがわしくなるな。
「は~い生と枝豆で~す」
「山口くん、いつか、どこかでメディアに出たりした? 会ったこと無いはずなのに、なーんか記憶にある。こっちにいたときっぽいから、高校の時とか」
「高校の時だったら~、ちょっとサッカー頑張ってたんで~、その関係かな~? 水越クンもサッカーやってた~?」
「や、俺はバスケ」
「だよね~」
「あっ!」
「急にデカい声出すなって」
「思い出した! カズのヒーローの! 山口兄弟のお兄ちゃんだ! あーすっきりしたぁー!」
「あーえーと……越野クン? もしかして伊東クンて、高校の頃からサッカートークが弾んでた感じ?」
「何なら部活始まる前にチョロめのサッカーしてたし、ウチの高校で練習試合なんかがあろうモンなら体育館の窓からグラウンド覗いててバスケそっちのけだったりもした」
「あ~はい、察した~、でしょでしょ~」
「てか実物カッコ良!」
「ああそうだ水越、カズな、結婚したってよ」
「えー! 宮ちゃんと!?」
「そーそー宮ちゃんとそのままゴールインよ」
「えっ家でのご飯ってどうしてんの? カズが作るしかないよね?」
「カズが作ってるってよ」
「だよねえ、肉じゃが事件は凄惨だったもん」
「俺の親友が職場で食べるお弁当も作ってくれてるよ~」
「えー話したいことが多すぎる~! 時間がな~い! 山口くん今から休みにならない!?」
「ごめんなさ~い」
end.
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慧梨夏のアレは高校ではメチャクチャ有名という設定。
(phase3)
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「越野ー、久し振り~!」
「おー、久し振りー! ってかお前そんな普通に歩いてて大丈夫か?」
「帽子とサングラスだけでもまあまあ顔は隠れてるでしょ?」
「まあそうだけど」
高校の同級生と久々に会った感動もそこそこに、騒ぎにならないかと冷や冷やしながら周りをチラッチラ見てしまう一般人の俺だ。会社の盆休み終盤、水越から連絡が来たからどーしたと思ったら、久々に帰るからご飯でも食べに行こうって。まあ休みだし行くかあ、って現在に至る。
この水越千里ってのは、高校1年の2学期くらいに転校してきてから卒業するまでずっと同じクラスで、同じバスケ部だったこともあって結構仲良くしてた。世間的には俺の相棒ポジは拳悟らしいけど、バスケやる上での相棒は水越だったかもしれない。
で、コイツと会うことの何に俺がそわそわしているのかと言うと、実はコイツは今結構売れてきてるIGNITEっていうアイドルグループのメンバーで、ドラマに出てたり、バラエティーやったりと、まーあそれはもう忙しい! そんな奴がいるってバレた時のことを考えると、というワケだ。
「こっちの店は越野の方が詳しいからって投げちゃってゴメンねー」
「や、問題ない。実際俺が選ぶ方が俺の身の丈に合う店に行けるし。あっ、一応個室で予約はしてあるし、拳悟と高崎も後で合流するって話だから」
「何から何までありがとうございます」
「で、仕事は明日から?」
「そう、明日と明後日かな」
「仕事とは言え、この時期の星港で屋外活動ってのも大変だな」
「ホントにね! 毎日毎日全国の天気予報で星港の数字を見ながら怯えてたよ!」
星港の夏は熱い。星港の夏と夏の向西倉庫は暑いと言うより熱いと言う方が正しいと俺は思っている。水越は向舞祭のゲストとして呼ばれているという話だけど、40度以上の酷暑日も珍しくない向島エリアで夏の野外での仕事なんてロクでもないなと思ってしまう。アイドルも大変だ。
「17時半で予約の越野です。あと2名は後から来ます」
「越野様、ご案内します」
店に着いたので予約の内容を伝え、通されるままに階段を上って店の奥の方にある個室へ。早い時間の方が予約を入れてあったとしてもゆったり入れるかなと思ってこうした。まあ、言っても普通の居酒屋だから、そのうちがやがやはするだろうけど。
「あっ、この店QRで注文する方式か」
「この形式多いよね」
「店員をどこに割くかっていう効率を求めるとこうなるんだろうな」
「越野、何飲む? 俺ビール飲むけど」
「あっ俺もビール」
「じゃあ乾杯の練習ですなあ」
「だな」
高崎と拳悟は今日も普通に働いているので、盆休みの俺が実質的幹事のような感じで切り盛りをしている。ただ、連中が来る前に何杯かは普通に飲んでしまいそうだ。奴らが来てからは飲み放題に切り替える予定なので、それまでに飲み過ぎて酒代がかさまないようにもしたい。
「は~い、ご注文の生2つと~、梅キュウリで~す」
「あざーす」
「いや~越野クン、夏休みを満喫してるようで~」
「山口も、お仕事お疲れさまです」
俺たちの席に最初の一杯を運んできたのはネオいつメンの山口だ。実は店に入った瞬間いるじゃんとは思ってたけど(予約の時点でここで働いてることは知らなかった)、敢えてリアクションは取らないでいた。一秒でも早く個室に入った方がいいかと思って。
「越野、友達?」
「縁があって、最近友達になった」
「山口洋平っていいま~す」
「越野の高校の同級生の、水越千里って言います」
「あっ、じゃあいつメンの1人!?」
「や、後で来るのは高崎と拳悟だけど、いつメンとはちょっと違う枠。でも仲良いのはガチ」
「あれっ、って言うか水越クンてどっかで見た? 芸能の人?」
「わかる?」
「あ~えっと~、IGNITEで合ってる?」
「ありがとうございますー!」
「良かった粗相しなかった~」
「いやお前、お忍びじゃないのかよ」
「個室だし、友達の友達だし、ちゃんとしてる人ってちゃんとしてるから案外大丈夫なんだよ」
「最近はタレントさんのプライベートとプライバシーにご配慮いただきますよお願いします~って言われてるもんね~」
そうは言われていたとしても、こっちが不安になってしまうくらいコイツは堂々とし過ぎなんだ。いや、逆に堂々としていた方がいいという説はあるが。それではごゆっくり~と山口が一旦引っ込み、とりあえず乾杯の練習をする。次何頼もうかとキュウリをかじりつつメニューを見る。
「って言うか俺も彼のこと、なーんかうーっすらだけど、記憶にあるんだよなー。会ったことはないはずなんだけど、何だろ」
「お前高校卒業してから東都だっただろ。そんなことあんのかよ」
「何かで見た、ような?」
「じゃあ生頼むか」
生ビールと枝豆を頼み、とりあえず山口が来てくれないかなという希望を。つか店員と話すために注文入れる、つまり金を積むって一歩間違えばいかがわしくなるな。
「は~い生と枝豆で~す」
「山口くん、いつか、どこかでメディアに出たりした? 会ったこと無いはずなのに、なーんか記憶にある。こっちにいたときっぽいから、高校の時とか」
「高校の時だったら~、ちょっとサッカー頑張ってたんで~、その関係かな~? 水越クンもサッカーやってた~?」
「や、俺はバスケ」
「だよね~」
「あっ!」
「急にデカい声出すなって」
「思い出した! カズのヒーローの! 山口兄弟のお兄ちゃんだ! あーすっきりしたぁー!」
「あーえーと……越野クン? もしかして伊東クンて、高校の頃からサッカートークが弾んでた感じ?」
「何なら部活始まる前にチョロめのサッカーしてたし、ウチの高校で練習試合なんかがあろうモンなら体育館の窓からグラウンド覗いててバスケそっちのけだったりもした」
「あ~はい、察した~、でしょでしょ~」
「てか実物カッコ良!」
「ああそうだ水越、カズな、結婚したってよ」
「えー! 宮ちゃんと!?」
「そーそー宮ちゃんとそのままゴールインよ」
「えっ家でのご飯ってどうしてんの? カズが作るしかないよね?」
「カズが作ってるってよ」
「だよねえ、肉じゃが事件は凄惨だったもん」
「俺の親友が職場で食べるお弁当も作ってくれてるよ~」
「えー話したいことが多すぎる~! 時間がな~い! 山口くん今から休みにならない!?」
「ごめんなさ~い」
end.
++++
慧梨夏のアレは高校ではメチャクチャ有名という設定。
(phase3)
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