2026

■一歩先の近況報告

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 夏の丸の池ステージに向けて、練習を積み重ねる日々だ。今村班はバンド編成で、音楽ライブを中心としたステージをやる。だから個人でも曲の練度を上げるっていうことが出来る。これが他の班だとみんな揃って台本を読み合わせたり、その台本に沿った音の出し方の確認なんかをやったりするんだろうか。
 今日は1年のハルトと一緒に合わせるかーと話していたので、星港市内某所のスタジオで落ち合う。ハルトはドラム担当だけど、班に脈々と伝わる曲のドラムパートが難しいと大変そうにしている。だから練習出来る時に練習したいし出来れば曲を知ってる先輩たちにアドバイスをして欲しいということで、付き合うことに。自分もやりたかったし。

「深青さんおざっすー」
「おーすハルト」
「マジで練習付き合ってもらって感謝っす。つかウチの班の曲ってやたらドラムムズくないっすか?」
「それは曲を書いてたカンさんが、当時相棒だったドラムのスガさんをめっちゃ信頼してた結果の難易度らしい」
「えっ、そのスガさんて人これをフツーにやってたんすか」
「俺も見たことはないんだけど、怜史さんが言うにはそうらしい」

 カンさんの曲はまあ何かよくわかんねーすごいことを平然とやってるってみんな言うんだけど、特に自分がやる前提の鍵盤と、スガさんを信頼しきってるドラムがヤッバいって話。去年の班長だったコバさんによれば、ベースもだんだん難しくなっていったって話だ。コバさんが上手くなるにつれて曲にもそれが反映されていったとか。人を見て書いてたんだなあ。

「ハルト、インターフェイスの夏合宿はどんな感じ? 班の雰囲気とか」
「インターフェイスの方っすかあ。あー、班は野球の話多めっすね」
「野球。つか誰の班だっけ」
「向島のとりぃさんっすね。班員に野球好きとか経験者がちょこちょこいてー、みたいな」
「まあ、共通の話題があればそれで距離を縮めるのは実際有効だもんなあ」
「緑ヶ丘の周と源班のライさんがタイプはちょっと違うっすけど野球好きでちょっと仲良くなってて、それに青女のまつりさんが今度班でバッセン行こうっつって被せて来てー、みたいな感じっす」
「あーはいはい、まつりな! 結構ガチで野球やってたった話よな」

 ハルトが野球好きだっていう話は聞いたことがないから、盛り上がってる話に乗れてるかなあとちょっと心配になる。ただ、人当たりはいいので野球の話には乗れなくても空気を壊さない程度にコミュニケーションは取れてると思う。

「野球の話が多いんで野球ノータッチっぽい桜貝の女子がちょっとかわいそうだけど、そこは班長さんがフォローしてー、みたいな」
「班って体育会系な感じ?」
「や、そうでもないっす。あと、源班のライさんがふんふん~っつってよく鼻歌歌ってんすけど、それがかわいいって感じっす」
「へー、ライさんってPのあの子だろ、何か大人しそうな、源さんみたいなまったり系の」
「あー、部長系って言われたらそんな感じあるっすね! 深青さんの班はどんな感じっすか?」
「あー、ウチはなー……あー、うん、元気だな」

 ウチの班は班長のくるみがわいわい系で、同じ緑ヶ丘の琉生がふんわりした自由人って感じだ。で、初心者講習会の後にサークルに入ったっていう向島のいろはがキャッキャしてて、その3人がとにかく賑やかにしている。俺も静かな方ではないはずなんだけど、その3人がとにかく元気なので、ツッコミを入れたりするのに忙しいっていう感じだ。

「お前ってインターフェイス的なパート何で出てるんだっけ」
「ミキサーっす」
「あ、ミキサーか」
「あっそうだ! 何かインターフェイスに出んのにDJネーム? みたいなのがあったらいいって何で言ってくれなかったんすか!」
「や、ウチって特にそういうの決める文化なくね? 俺もまんまでやってるし」
「源班は結構決める文化あるっぽいっすよ」
「言って半々ぐらいじゃね? ウチはウチ、ヨソはヨソ」
「えー!」
「や、でも源班でも半分くらいじゃね? DJネームあるのって3年生2人とくらら、あと1年2人だろ?」
「でもモリ子がめっちゃみんなの名前決めたがってたって」
「それなー、彩人への恨みだって話だぞ」
「えっ、何それ物騒なんすけど」
「彩人が“みずき”カブりしてるくららとの区別でモリ子って名前を付けたらしいんだけど、それがダサいって理由で他の1年も巻き添えにしようとしたって話らしい」

 源班にはみずきという名前の女子が2人いる。ただ、先にくららの方の海月がいたので後から来た1年生の呼び方を「じゃあお前は守谷だからモリ子!」という軽いノリで彩人が決めたらしい。インターフェイスの行事に出るんだったら必要になってくるだろって。モリ子本人はダサいという理由で嫌がってるけど、部内でももうモリ子で浸透してるんだよなあ。
 ハルトは適当にリズムを刻みながら、自分もインターフェイスに出る時くらいはDJネームを名乗ってみたいなーと言っている。楽しんでいるようで何よりだ。ただ、俺たちはその前に8月アタマの丸の池ステージがある。まずは目の前のセットリストと向き合って、曲の練度を高めていくこと。つーか、今後は誰か作曲したりすんのかな、どうだろ。ずっとカンさんの曲やってんの?

「って言うかこないだ部の初心者講習会みたいなのあったじゃないすか」
「開いてもらったな」
「よくよく考えたら、やってもらったところでドラムは上手くなんないんすよ!」
「それは他の班の他のパートの奴らも同じ。自分の課題を見つけて工夫して、練習する。まあ、ウチの班が特殊なのは否定しないけど」


end.


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菅野班から続くバンドの班を、少しずつ形に出来ればいいなあと思いつつ、温大くんを形作る。
ついでに源班の中でも影がちょっと薄くなりがちなライさんのキャラ付けもする。
小林班も今村班もカンDの作った曲をずっとやってるけど、どういう経緯でそうなったのかも見たい。

(phase3)

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