2026
■なるようになるけど不安は不安
++++
夏合宿の班割りが発表された。いよいよ夏合宿に向けても動いていくんだなと思ったら、放送部の丸の池ステージとの両立がカギになってくるんだなと、気が引き締まる。1年の時と違って部のステージでもやることは増えてるし、インターフェイスでの役割も違ってくるだろう。
海月がプリントアウトしてきた班割りの紙にはみんなが群がっている。俺は上からひょいっと覗き込んで自分の名前を探す。そしたら、七海の班になったっぽい。知ってる奴だと他には雨竜がいるので、人見知り的には物凄く嬉しい。雨竜はコミュ力とか勢いの面でマジで頼りになる。
「あ、海月」
「どしたの彩人」
「俺の班に名前からじゃ性別不詳の多分1年? が2人いるっぽいけど、その2人って男子? 女子?」
知らない名前を1年と仮定すると、百崎中、玉野千歳、荒島岳という3人がいるっぽいんだけど、岳は多分ガクとかタケシとかみたいな名前だろうし男子と予想。ただ、中……チュウ、ナカ。いや、アタルか? 千歳は多分チトセだろう。すると、青女のちとせの顔が浮かぶので往々にして女子がある。
「彩人の班はみんな男の子じゃなかったかな?」
「おー! マジか助かる! サンキュー海月、俺の女性恐怖に配慮してもらって」
「あ」
「あ?」
「あ、いや……正直、結果論と言うか何と言うか。白状すると、班を組んでるときに彩人の女性恐怖のことはすぽーんと抜けちゃってて、忘れてましたごめん!」
「ああ、まあ、結果男子ばっかの班になってっからいいよ、大丈夫」
「彩人学年上がって心広くなってるよね」
「お前も学年上がって素直に謝ることが出来るようになってんよな」
去年、部にいたヤベー女に性的に襲われ(今だったら性加害って言うんだろう)、ヤられかける寸前までいったところで救助されて以来、知らない女、特にケバくて臭い奴に対する恐怖心というものが生まれた。そーゆー女にすり寄られるとパニくって発作が起きるようにもなった。
それでもインターフェイスの活動には出たいので、一部の人には事情を掻い摘んで説明した上で男子中心の班にしてもらったり、女っ気の少ない女子を入れてもらうという配慮をしてもらって何とかやれている。おかげさまで去年の夏合宿も今年のファンフェスもいい班でした。
で、今年の夏合宿はどうなるだろうと楽しみ半分、不安4割、恐怖1割くらいの感情を抱いてこの班編成の紙を見るじゃん。性別不詳の2人も男子だっていうから海月にめっちゃ感謝したのに、忘れてただあ!? お前もあの日あの非常態勢の中にいただろ!
まあ、最近の俺は部活やインターフェイスの女には慣れたし、同じ班になったモリ子はクソ真面目でステージ一辺倒だし一緒にじゃれてる感覚の後輩だ。きぬに至ってはじゃじゃ馬すぎて操縦するだけで手一杯。端から女性恐怖どうこうの対象ではなかった感があるからしゃーないと言えばしゃーないかもだけど。
「や、つか冷静になって考えて見たら七海・俺・雨竜って2年のラジオ的パワー弱すぎね?」
「だから1年生で補完してるよ。1年生が緑ヶ丘向島星大だからね。緑ヶ丘は言うまでもなくエリートだし、向島の1年生はもう大学の食堂で実戦デビューもしてるそうだから」
「1年強っ」
「逆に、七海が知らない子ばっかりで不安だからって理由で同じ大学のがっくん……ああ、荒島くんのことだけど、その子を一緒にしたっていう経緯があって」
「おいおい七海……班長だろお前」
「それでなくても七海は先頭に立てるタイプじゃないし、あー……このメンツだったら彩人が中心になって話を進めないとダメかも。雨竜は話を広げるのは強いかもだけど、うん、やっぱ進めるのは彩人だね」
「随分辛口で言い切ったな」
「だって普段の会議でも存在感が全っ然ないもん! 委員長なのにだよ!? 大事な進行はシノ当麻カノンに全部持ってかれてるし、くるみちとせ北星のゆるふわトリオと一緒に賑やかしてくれるでもないし、とりぃみたく新人目線で疑問点を投げかけるとか、話の要点をきっちりまとめてくれるでもないんだよ!? いるの!? みたいな」
海月がここまでボロクソに言ってるのを聞いて、対策委員の会議中の七海はさぞ肩身が狭いんだろうなあと、何故か俺の胃がキリキリする。今年の対策委員は向島と青敬が2人ずつ出してる関係で人数が例年より多い。だから埋もれる奴は埋もれちまうんだろうなあ。あっ、俺の胃が痛むのは定例会での自分が重なるからか。
それはそうと、実質的な班長にお前がなれと言われて、顔合わせもまだなのに変な覚悟をしないといけないんだなあと、妙な気持ちになる。まあ、ラジオ的な話に関しては1年の力も借りればいいか。でも合宿でどうするこうするっていうのは2年の経験をベースにするのがいいだろうし。どーするねえ。
「そーいや今年って、去年のエージさんみたいにじゃじゃ馬をシメれる奴っているの? きぬの様子見てたらちょっと不安なんだけど」
「そういうのは案外松兄がちゃんとやってくれるってとりぃが言ってたんで、ちとせの班に預けることになったよ」
「奏多ってそーゆーの出来るんだな」
「皆さんの目には調子のいい面が強く映っているとは思いますが、ああ見えて根は真面目で、場における役割をきちんと理解して動ける人ですし、面倒見はいいので大丈夫だと思います、って話だね」
「今の春風の真似?」
「大体そんな感じで言ってた。松兄の兄貴分的働きに期待して向島の人見知りの子の保護者役にもなってるし」
「まあ、アイツは確かに仕事はデキる奴なんだよな。顔がいい、背高い、運動出来る、頭もいいって何なんだよあのコミュ強の完璧超人。マジで住む世界が違う」
きぬ以外の1年は正直そこまで心配してないし、まあ、俺だよなあ。あと、北星がやらかした時にシバけっていう謎ミッションが与えられたみちるがウケる。対策委員は北星とみちるを何だと思って……いや、合ってるか。当麻が言い出したんなら間違いねーわ。ササは聖人だから北星をシバけない、じゃあみちるだって。マジウケる。シノは北星とリクがボケの混線を起こす可能性があるからツッコミのみちるが必要って言ってたけど、俺的にもその方がしっくりくる。
「合宿のこともそれなりに考えつつ、まずは丸の池! 俺は定例会だから向舞祭もある! 夏は死線!」
「彩人生きてー」
end.
++++
対策委員での話では比較的セリフが少なめの海月からも七海はいるのかいないのかわからない状態らしい。
くるみちとせ北星の仲良しトリオはゆるふわの賑やかしポジなのね。まあ映像に関わらなきゃそうか。
中とパロは確かに名前の字面だけ見てたら男子か女子かわからないかもしれない。
(phase3)
.
++++
夏合宿の班割りが発表された。いよいよ夏合宿に向けても動いていくんだなと思ったら、放送部の丸の池ステージとの両立がカギになってくるんだなと、気が引き締まる。1年の時と違って部のステージでもやることは増えてるし、インターフェイスでの役割も違ってくるだろう。
海月がプリントアウトしてきた班割りの紙にはみんなが群がっている。俺は上からひょいっと覗き込んで自分の名前を探す。そしたら、七海の班になったっぽい。知ってる奴だと他には雨竜がいるので、人見知り的には物凄く嬉しい。雨竜はコミュ力とか勢いの面でマジで頼りになる。
「あ、海月」
「どしたの彩人」
「俺の班に名前からじゃ性別不詳の多分1年? が2人いるっぽいけど、その2人って男子? 女子?」
知らない名前を1年と仮定すると、百崎中、玉野千歳、荒島岳という3人がいるっぽいんだけど、岳は多分ガクとかタケシとかみたいな名前だろうし男子と予想。ただ、中……チュウ、ナカ。いや、アタルか? 千歳は多分チトセだろう。すると、青女のちとせの顔が浮かぶので往々にして女子がある。
「彩人の班はみんな男の子じゃなかったかな?」
「おー! マジか助かる! サンキュー海月、俺の女性恐怖に配慮してもらって」
「あ」
「あ?」
「あ、いや……正直、結果論と言うか何と言うか。白状すると、班を組んでるときに彩人の女性恐怖のことはすぽーんと抜けちゃってて、忘れてましたごめん!」
「ああ、まあ、結果男子ばっかの班になってっからいいよ、大丈夫」
「彩人学年上がって心広くなってるよね」
「お前も学年上がって素直に謝ることが出来るようになってんよな」
去年、部にいたヤベー女に性的に襲われ(今だったら性加害って言うんだろう)、ヤられかける寸前までいったところで救助されて以来、知らない女、特にケバくて臭い奴に対する恐怖心というものが生まれた。そーゆー女にすり寄られるとパニくって発作が起きるようにもなった。
それでもインターフェイスの活動には出たいので、一部の人には事情を掻い摘んで説明した上で男子中心の班にしてもらったり、女っ気の少ない女子を入れてもらうという配慮をしてもらって何とかやれている。おかげさまで去年の夏合宿も今年のファンフェスもいい班でした。
で、今年の夏合宿はどうなるだろうと楽しみ半分、不安4割、恐怖1割くらいの感情を抱いてこの班編成の紙を見るじゃん。性別不詳の2人も男子だっていうから海月にめっちゃ感謝したのに、忘れてただあ!? お前もあの日あの非常態勢の中にいただろ!
まあ、最近の俺は部活やインターフェイスの女には慣れたし、同じ班になったモリ子はクソ真面目でステージ一辺倒だし一緒にじゃれてる感覚の後輩だ。きぬに至ってはじゃじゃ馬すぎて操縦するだけで手一杯。端から女性恐怖どうこうの対象ではなかった感があるからしゃーないと言えばしゃーないかもだけど。
「や、つか冷静になって考えて見たら七海・俺・雨竜って2年のラジオ的パワー弱すぎね?」
「だから1年生で補完してるよ。1年生が緑ヶ丘向島星大だからね。緑ヶ丘は言うまでもなくエリートだし、向島の1年生はもう大学の食堂で実戦デビューもしてるそうだから」
「1年強っ」
「逆に、七海が知らない子ばっかりで不安だからって理由で同じ大学のがっくん……ああ、荒島くんのことだけど、その子を一緒にしたっていう経緯があって」
「おいおい七海……班長だろお前」
「それでなくても七海は先頭に立てるタイプじゃないし、あー……このメンツだったら彩人が中心になって話を進めないとダメかも。雨竜は話を広げるのは強いかもだけど、うん、やっぱ進めるのは彩人だね」
「随分辛口で言い切ったな」
「だって普段の会議でも存在感が全っ然ないもん! 委員長なのにだよ!? 大事な進行はシノ当麻カノンに全部持ってかれてるし、くるみちとせ北星のゆるふわトリオと一緒に賑やかしてくれるでもないし、とりぃみたく新人目線で疑問点を投げかけるとか、話の要点をきっちりまとめてくれるでもないんだよ!? いるの!? みたいな」
海月がここまでボロクソに言ってるのを聞いて、対策委員の会議中の七海はさぞ肩身が狭いんだろうなあと、何故か俺の胃がキリキリする。今年の対策委員は向島と青敬が2人ずつ出してる関係で人数が例年より多い。だから埋もれる奴は埋もれちまうんだろうなあ。あっ、俺の胃が痛むのは定例会での自分が重なるからか。
それはそうと、実質的な班長にお前がなれと言われて、顔合わせもまだなのに変な覚悟をしないといけないんだなあと、妙な気持ちになる。まあ、ラジオ的な話に関しては1年の力も借りればいいか。でも合宿でどうするこうするっていうのは2年の経験をベースにするのがいいだろうし。どーするねえ。
「そーいや今年って、去年のエージさんみたいにじゃじゃ馬をシメれる奴っているの? きぬの様子見てたらちょっと不安なんだけど」
「そういうのは案外松兄がちゃんとやってくれるってとりぃが言ってたんで、ちとせの班に預けることになったよ」
「奏多ってそーゆーの出来るんだな」
「皆さんの目には調子のいい面が強く映っているとは思いますが、ああ見えて根は真面目で、場における役割をきちんと理解して動ける人ですし、面倒見はいいので大丈夫だと思います、って話だね」
「今の春風の真似?」
「大体そんな感じで言ってた。松兄の兄貴分的働きに期待して向島の人見知りの子の保護者役にもなってるし」
「まあ、アイツは確かに仕事はデキる奴なんだよな。顔がいい、背高い、運動出来る、頭もいいって何なんだよあのコミュ強の完璧超人。マジで住む世界が違う」
きぬ以外の1年は正直そこまで心配してないし、まあ、俺だよなあ。あと、北星がやらかした時にシバけっていう謎ミッションが与えられたみちるがウケる。対策委員は北星とみちるを何だと思って……いや、合ってるか。当麻が言い出したんなら間違いねーわ。ササは聖人だから北星をシバけない、じゃあみちるだって。マジウケる。シノは北星とリクがボケの混線を起こす可能性があるからツッコミのみちるが必要って言ってたけど、俺的にもその方がしっくりくる。
「合宿のこともそれなりに考えつつ、まずは丸の池! 俺は定例会だから向舞祭もある! 夏は死線!」
「彩人生きてー」
end.
++++
対策委員での話では比較的セリフが少なめの海月からも七海はいるのかいないのかわからない状態らしい。
くるみちとせ北星の仲良しトリオはゆるふわの賑やかしポジなのね。まあ映像に関わらなきゃそうか。
中とパロは確かに名前の字面だけ見てたら男子か女子かわからないかもしれない。
(phase3)
.