2026
■Lunch efficiency
++++
「クッソ、ロクでもねーことで押しやがって」
2限の講義が先生の雑談で間延びしてしまい、毎回出される課題が出題されるのも普段より10分程度遅くなってしまっています。これにはさすがの奏多も少々焦りを見せていて、キーボードの叩き方が普段よりも雑と言うか苛立ちが隠せていないなと感じるのです。
それと言うのも、今日は昼放送のオンエア日。MMPの昼放送は学食の事務所の機材を使って事前に収録した物を流させてもらっているのですが、その操作をするのは主にミキサーです。課題は提出しないと出席や成績に影響するので、奏多は急いでそれをこなしているのです。
「っし出来た! 春風、俺もう行くしテキトーにつまめるモン買って来てくれ」
「わかった」
そう言うと奏多は足早に教室を出て、学食へと向かったようです。アナウンサーの私はもう少し、この課題と向き合います。この課題も決して簡単ではないはずなのですが、サッとこなしてしまうのは奏多の地力からなるものなのでしょう。
私は授業が終わる少し前に課題を提出し、チャイムと同時に教室を出ます。私たちは3限も授業があるので、昼放送を流している間にサッと食事をとらなければなりません。まずは奏多から頼まれた買い物をしに購買へ寄ります。
余談ですが、情報科学部など理系の学部は3年前期頃までは履修がキツキツなので、社会学部の人と比べると時間的な余裕が少ないと言われています。ですから、昼放送の日の昼食は片手でかつ立ったままでも食べられる物になりがちです。
「奏多、無事に間に合ったようね」
「お前、俺を誰だと思ってんだよ、俺だぜ? 間に合わせるに決まってんだろ」
「腹立たしいことこの上ないけど、あの課題をあの短時間で終わらせて教室を出たのはさすがとしか言いようがないのよね」
「あれぐらいどーだっつーんだよ」
「ああ、そうだ。購買で食べる物を買ってきたんだけど、サンドイッチで良かった?」
「ああ、上等だ。サンキュ。あっ、金払います」
「後でいいわよ。番組のことが終わってからで」
「じゃ、貸しっつーことで」
私も自分用にカツサンドを買いました。事務所の中では奏多が機材の前で待機しているのですが、私は事務所に入ることはせず、事務所前の通路にいます。事務所内の奏多とは窓越しにやり取りが出来ます。基本的にアナウンサーはオンエア時には何もしないので、別にいないならいないで全く問題ないのですが、私は一応見守る派です。
番組オンエアに関するミキサーの仕事としては、実際に番組を流すことの他に、学食の現場に赴き音量バランスを調整することなどがあります。人が多ければ少し音量を上げ、人が少なくなってきたら空間の邪魔をしないようそれとなく音量を下げているそうです。
今も音量バランスを確かめて戻ってきた奏多が、機材のつまみを少し回しているようです。この辺りはミキサーの主観というか、感覚なのでしょう。アナウンサーが行って見てきてもいいのでしょうが、2人の間に感覚や認識のズレがあると大変なことになりそうなので、私は奏多に任せています。
「ふー、安定したかな。メシにしよ」
「いつも思うのだけど、あなたは昼放送の日には本当に食べないわよね。食べなさすぎて心配になるくらいには」
「こんなこともあろうかと朝に重点的に食ってきてるからな。ちょっと足すだけでいいようにはしてあるんだ」
「ミキサーの人は本当に大変なのね」
「まあ、文系の人らだったら俺らよりかは履修に余裕もあるだろうし、ゆったりメシも食えるだろうよ」
「奈々先輩も全休の日があるみたいだものね」
文系と理系では履修の組み方も異なってくるという話ですし、こればかりはどうしようもないことなのかもしれません。
「つーか、お前こそカツサンドだけで足りんのか?」
「サークルの前につまむから何とかなるわよ。そこまでもたせるためのカツサンドなのだから」
奏多にはレタスサンドを買ってきました。奏多のことなので、何かしら野菜を食べたいのではないかなという推測です。長く彼のことを見てきているので何となくわかるのですが、彼はおそらく肉や魚などのメイン料理も嫌いではないにせよ、前菜のサラダの方が好きなのではないかと。ドレッシングの味には少々うるさい印象があります。
「それより、あなたはレタスサンドで良かった? 私の独断で選んできたけど」
「ああ。取り得る最善の択じゃねーか? その辺俺の大体の好みを分かってるのはお前だよな」
「昼放送の立ち食い軽食スタイルでなければカップサラダなども選択肢に含まれたかもしれないけれど、このスタイルならレタスサンドで即決だったわよ」
「どうにかワンハンドで気軽にがっつりサラダを食える方法が増えないモンかねえ」
「緑ヶ丘大学ではサラダクレープなどもあるそうだけど」
「しがない公立と天下の緑ヶ丘を比べんなって」
「そうなのよね」
購買のサンドイッチの中では腹持ちが優秀な方のカツサンドも残りあとわずか。それはそうとして、食べる量が多ければ多いほど野菜も食べた方がいいでしょうから、私も奏多を見習って積極的にサラダなどを選んでいくべきなのでしょう。
「徹平くんから学食の話を聞く度羨ましくて。緑ヶ丘大学の学食は店の数やメニューが豊富な上に、体育学部などの人が食べる大きなサイズも充実しているらしいのよ」
「じゃあ、すがやんに協力してもらって緑大生のフリして学食に潜入してきたらいいんじゃね?」
「本当に出来そうな気がするから敢えて言わないでいるのよ」
end.
++++
リハビリ。奏多とサラダ(レタスサンド)の話。
多分サラダって片手で食べるの難しい。それこそかじるだけの野菜とかになりそう。
MMP昼放送、理系ミキサーバタバタしがち問題。フェーズ1から数えてもノサカくらいか。最近だとあとツッツもいる。
(phase3)
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「クッソ、ロクでもねーことで押しやがって」
2限の講義が先生の雑談で間延びしてしまい、毎回出される課題が出題されるのも普段より10分程度遅くなってしまっています。これにはさすがの奏多も少々焦りを見せていて、キーボードの叩き方が普段よりも雑と言うか苛立ちが隠せていないなと感じるのです。
それと言うのも、今日は昼放送のオンエア日。MMPの昼放送は学食の事務所の機材を使って事前に収録した物を流させてもらっているのですが、その操作をするのは主にミキサーです。課題は提出しないと出席や成績に影響するので、奏多は急いでそれをこなしているのです。
「っし出来た! 春風、俺もう行くしテキトーにつまめるモン買って来てくれ」
「わかった」
そう言うと奏多は足早に教室を出て、学食へと向かったようです。アナウンサーの私はもう少し、この課題と向き合います。この課題も決して簡単ではないはずなのですが、サッとこなしてしまうのは奏多の地力からなるものなのでしょう。
私は授業が終わる少し前に課題を提出し、チャイムと同時に教室を出ます。私たちは3限も授業があるので、昼放送を流している間にサッと食事をとらなければなりません。まずは奏多から頼まれた買い物をしに購買へ寄ります。
余談ですが、情報科学部など理系の学部は3年前期頃までは履修がキツキツなので、社会学部の人と比べると時間的な余裕が少ないと言われています。ですから、昼放送の日の昼食は片手でかつ立ったままでも食べられる物になりがちです。
「奏多、無事に間に合ったようね」
「お前、俺を誰だと思ってんだよ、俺だぜ? 間に合わせるに決まってんだろ」
「腹立たしいことこの上ないけど、あの課題をあの短時間で終わらせて教室を出たのはさすがとしか言いようがないのよね」
「あれぐらいどーだっつーんだよ」
「ああ、そうだ。購買で食べる物を買ってきたんだけど、サンドイッチで良かった?」
「ああ、上等だ。サンキュ。あっ、金払います」
「後でいいわよ。番組のことが終わってからで」
「じゃ、貸しっつーことで」
私も自分用にカツサンドを買いました。事務所の中では奏多が機材の前で待機しているのですが、私は事務所に入ることはせず、事務所前の通路にいます。事務所内の奏多とは窓越しにやり取りが出来ます。基本的にアナウンサーはオンエア時には何もしないので、別にいないならいないで全く問題ないのですが、私は一応見守る派です。
番組オンエアに関するミキサーの仕事としては、実際に番組を流すことの他に、学食の現場に赴き音量バランスを調整することなどがあります。人が多ければ少し音量を上げ、人が少なくなってきたら空間の邪魔をしないようそれとなく音量を下げているそうです。
今も音量バランスを確かめて戻ってきた奏多が、機材のつまみを少し回しているようです。この辺りはミキサーの主観というか、感覚なのでしょう。アナウンサーが行って見てきてもいいのでしょうが、2人の間に感覚や認識のズレがあると大変なことになりそうなので、私は奏多に任せています。
「ふー、安定したかな。メシにしよ」
「いつも思うのだけど、あなたは昼放送の日には本当に食べないわよね。食べなさすぎて心配になるくらいには」
「こんなこともあろうかと朝に重点的に食ってきてるからな。ちょっと足すだけでいいようにはしてあるんだ」
「ミキサーの人は本当に大変なのね」
「まあ、文系の人らだったら俺らよりかは履修に余裕もあるだろうし、ゆったりメシも食えるだろうよ」
「奈々先輩も全休の日があるみたいだものね」
文系と理系では履修の組み方も異なってくるという話ですし、こればかりはどうしようもないことなのかもしれません。
「つーか、お前こそカツサンドだけで足りんのか?」
「サークルの前につまむから何とかなるわよ。そこまでもたせるためのカツサンドなのだから」
奏多にはレタスサンドを買ってきました。奏多のことなので、何かしら野菜を食べたいのではないかなという推測です。長く彼のことを見てきているので何となくわかるのですが、彼はおそらく肉や魚などのメイン料理も嫌いではないにせよ、前菜のサラダの方が好きなのではないかと。ドレッシングの味には少々うるさい印象があります。
「それより、あなたはレタスサンドで良かった? 私の独断で選んできたけど」
「ああ。取り得る最善の択じゃねーか? その辺俺の大体の好みを分かってるのはお前だよな」
「昼放送の立ち食い軽食スタイルでなければカップサラダなども選択肢に含まれたかもしれないけれど、このスタイルならレタスサンドで即決だったわよ」
「どうにかワンハンドで気軽にがっつりサラダを食える方法が増えないモンかねえ」
「緑ヶ丘大学ではサラダクレープなどもあるそうだけど」
「しがない公立と天下の緑ヶ丘を比べんなって」
「そうなのよね」
購買のサンドイッチの中では腹持ちが優秀な方のカツサンドも残りあとわずか。それはそうとして、食べる量が多ければ多いほど野菜も食べた方がいいでしょうから、私も奏多を見習って積極的にサラダなどを選んでいくべきなのでしょう。
「徹平くんから学食の話を聞く度羨ましくて。緑ヶ丘大学の学食は店の数やメニューが豊富な上に、体育学部などの人が食べる大きなサイズも充実しているらしいのよ」
「じゃあ、すがやんに協力してもらって緑大生のフリして学食に潜入してきたらいいんじゃね?」
「本当に出来そうな気がするから敢えて言わないでいるのよ」
end.
++++
リハビリ。奏多とサラダ(レタスサンド)の話。
多分サラダって片手で食べるの難しい。それこそかじるだけの野菜とかになりそう。
MMP昼放送、理系ミキサーバタバタしがち問題。フェーズ1から数えてもノサカくらいか。最近だとあとツッツもいる。
(phase3)
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