2026
■固有イベントは見逃すな
(Phase4)
++++
「こんなのどうすりゃいいんだよー」
佐藤ゼミの2年から4年までが一堂に会したバーベキューの中、ヒゲさんから渡されたカメラの扱いに困っていた。シノキ君、と声をかけられたかと思うと「ラジオ以外の機材の扱いも上手になってもらわないと困るんだよ、君ぃ」と撮影機材を押しつけられたんだ。こんなの渡されたら肉も食ってられねーしマジ最悪。
ゼミではイベントごとに資料とか記録って意味でその様子を撮影してて、卒論発表のゼミ合宿の場で思い出の映像、みたいな感じで流されたりもする。俺はミキサー特化で佐藤ゼミに入れてもらってるとは言え専門はラジオで映像は管轄外。こんなことになるなら対策委員やってるときに当麻と北星にもっと教えてもらっときゃよかった。
「誰をどう撮りゃあいいんだよ」
2年生から4年生までとなると、ざっと60人以上はいる。4年生は自由参加だから全員来てないけど、2年と3年は25人ずつだからそんなモンだ。誰のどんな姿を撮るのがいいのか、素材として使えるモンじゃないといけないよなとか。考えることが多すぎて未だに全然撮れてない。
「シノ、困ってるみたいだね」
「高木先輩。これどーしたらいーんすかね。つか何で俺なんすかね。ヒゲさんはミキサー以外の機材も使えるようになれって言ってましたけど」
「それもあるだろうけどシノがお酒を飲まないからっていうのもあるだろうね」
「あ、そういう?」
「お酒を飲んだ人に高い機材を触らせたくないでしょ。何がどうなるかわからないんだから」
「なるほど、一理あるっす」
「俺も先生からカメラを預けられそうになったけど、君はまずまともな食事をしなさいって言って別の人の方に行ったね」
俺と同じミキサー特化・学力免除で佐藤ゼミに入ってる高木先輩だけど、近頃では先生も高木先輩に関しては諦めていると言うか、何を言っても響かない鈍い子という扱いをしていて自由にのびのびやらせているという感じだ。その分なのか、学業に関する圧が俺の方にかかってきてるんだよな~。
先生から見ると、俺と高木先輩の比較では機材やパソコンの扱いに関しては高木先輩の方がズバ抜けているらしい。あと1年しかないんだからどんな手を使っても技術を受け継げと言われることが増えた。学業に関しては君は最近ちょっと頑張っていると言われる。君の先輩はとグチられても困る。果林先輩ってこんな気持ちだったんだなあ。
「誰の何を撮ればいいのかわかんなくて。映像素材って4年生優先とかあるんすか?」
「ないよ。何なら2、3年生の方がいいね。誰でも、何気ないシーンとかで全然大丈夫だけど、たまにある個人の特殊イベントは押さえておくといいね」
「特殊イベント?」
「例えば、向こうで凛斗がお茶会やろうとしてるね」
「あ、ホントだ」
「お茶会は凛斗以外の人からは発生しないものだから、絶対に押さえるべき。あと、日常のシーンだと、バーベキューなら鵠さんと米福くんとか、相倉くんと来須さんみたいな、網の側で楽しんでる子を押さえておくと、それらしくなるね」
「なるほど」
「広くアンテナを張って、全体の様子を把握しておく。で、面白そうなことがあればそっちに寄って、撮る。これだけで大体何とかなるよ」
ラジオ番組の時とは違うアンテナの張り方があるのだと、また新しいことを勉強する。ファンフェスみたいな公開生放送のときも一応テントの外に気を配ったりするけど、それよりゼミ生の動きは予測がつかない分、より意識的に見ていかないといけない。こちらが発するんじゃなくて、発せられた物をいかに瞬発力をもって捉えるかだもんなあ。
「そーいや高木先輩ってゼミ合宿ん時撮影隊だったっすよね」
「そうだね」
「ちなみにっすけどどんなモンを撮ってたんすか?」
「例えば、暖炉でロッキングチェアに揺られながら読書するササとか」
「ああー、ササと言えばのヤツ~」
「朝からバイキングでたくさん食べるシノとか」
「はずっ! マジで消してください!」
「俺に言われても。撮ったのは来須さんの雪中料理でしょ、あと多分これは俺だから出来たんだろうけど、スキーで滑りながらスノーボードやってる鵠さんと併走したり」
「えっ、ヤバッ。先輩がスキー上手いの知ってますけど、カメラ持ってるってことは杖なしってことっすよね?」
「もちろん傾斜が緩めの人が少ないところでやってるけどね。でも、サーフィンが趣味の鵠さんがああいう板に乗ってるところは撮りたくてさ」
「逆にスキーめっちゃ上手い高木先輩も撮りたいヤツっすねそれ」
「シノが俺について来れるかなあ?」
「併走は無理なんで、下から撮るとかになりそうっすね」
今から思えば先生にGoProとか買ってもらえばもっと安全に出来たよなあ、と先輩は反省している。いくら新しい物好きのヒゲさんとは言え、こうまで好き勝手にあの機材が欲しいこの機材を買ってくれと言えるのは、機材の扱いに特化しまくっている高木先輩だからこそだろう。俺もこの域まで行きたい!
「構図とかは安曇野さんとか、3年生だったら来須さんみたいな上手い人に任せて大丈夫。俺たちみたいな一般のカメラ担当は、悩んでないでとにかく撮ることだね。あと、大事なのはいかに被写体に警戒されないように近付くかとか」
「あー、高木先輩そーゆーの上手そうっすよね」
「シノだったら普通に会話の延長で、みんなの側に寄っていって話してる声とか入れても全然いいと思うよ。俺は遠景多めで目線が足りないって言われたし」
「人によって撮影スタイルも違うってことっすね?」
「そういうこと。真似してもそれが合ってるとは限らない」
高木先輩だったらそーっと自然に溶け込むような撮影の仕方だけど、俺だったらガンガン詰めて行って声を入れても断然いいってことか。なるほど、ちょっとやってみるか。これを誰が編集するのかは知らないけど、まあなんかいい感じの素材になれば万々歳だ。
「安曇野先輩、何を撮ってるんですか?」
「高木の後進育成の現場」
「ああ、高木先輩とシノと、カメラ。撮る人を撮る人」
「アイツのミキサーガチトークはシノ相手じゃないと出ないし」
end.
++++
フェーズ4の世界線ではとことん好きにやってるTKGパイセン。
鵠さんが板状の物に乗ってるのを見たいと思い出す。
TKGなら板を乗りこなす鵠さんやぴょんぴょん飛ぶ高崎も臨場感良く撮れそうだ
(phase4)
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(Phase4)
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「こんなのどうすりゃいいんだよー」
佐藤ゼミの2年から4年までが一堂に会したバーベキューの中、ヒゲさんから渡されたカメラの扱いに困っていた。シノキ君、と声をかけられたかと思うと「ラジオ以外の機材の扱いも上手になってもらわないと困るんだよ、君ぃ」と撮影機材を押しつけられたんだ。こんなの渡されたら肉も食ってられねーしマジ最悪。
ゼミではイベントごとに資料とか記録って意味でその様子を撮影してて、卒論発表のゼミ合宿の場で思い出の映像、みたいな感じで流されたりもする。俺はミキサー特化で佐藤ゼミに入れてもらってるとは言え専門はラジオで映像は管轄外。こんなことになるなら対策委員やってるときに当麻と北星にもっと教えてもらっときゃよかった。
「誰をどう撮りゃあいいんだよ」
2年生から4年生までとなると、ざっと60人以上はいる。4年生は自由参加だから全員来てないけど、2年と3年は25人ずつだからそんなモンだ。誰のどんな姿を撮るのがいいのか、素材として使えるモンじゃないといけないよなとか。考えることが多すぎて未だに全然撮れてない。
「シノ、困ってるみたいだね」
「高木先輩。これどーしたらいーんすかね。つか何で俺なんすかね。ヒゲさんはミキサー以外の機材も使えるようになれって言ってましたけど」
「それもあるだろうけどシノがお酒を飲まないからっていうのもあるだろうね」
「あ、そういう?」
「お酒を飲んだ人に高い機材を触らせたくないでしょ。何がどうなるかわからないんだから」
「なるほど、一理あるっす」
「俺も先生からカメラを預けられそうになったけど、君はまずまともな食事をしなさいって言って別の人の方に行ったね」
俺と同じミキサー特化・学力免除で佐藤ゼミに入ってる高木先輩だけど、近頃では先生も高木先輩に関しては諦めていると言うか、何を言っても響かない鈍い子という扱いをしていて自由にのびのびやらせているという感じだ。その分なのか、学業に関する圧が俺の方にかかってきてるんだよな~。
先生から見ると、俺と高木先輩の比較では機材やパソコンの扱いに関しては高木先輩の方がズバ抜けているらしい。あと1年しかないんだからどんな手を使っても技術を受け継げと言われることが増えた。学業に関しては君は最近ちょっと頑張っていると言われる。君の先輩はとグチられても困る。果林先輩ってこんな気持ちだったんだなあ。
「誰の何を撮ればいいのかわかんなくて。映像素材って4年生優先とかあるんすか?」
「ないよ。何なら2、3年生の方がいいね。誰でも、何気ないシーンとかで全然大丈夫だけど、たまにある個人の特殊イベントは押さえておくといいね」
「特殊イベント?」
「例えば、向こうで凛斗がお茶会やろうとしてるね」
「あ、ホントだ」
「お茶会は凛斗以外の人からは発生しないものだから、絶対に押さえるべき。あと、日常のシーンだと、バーベキューなら鵠さんと米福くんとか、相倉くんと来須さんみたいな、網の側で楽しんでる子を押さえておくと、それらしくなるね」
「なるほど」
「広くアンテナを張って、全体の様子を把握しておく。で、面白そうなことがあればそっちに寄って、撮る。これだけで大体何とかなるよ」
ラジオ番組の時とは違うアンテナの張り方があるのだと、また新しいことを勉強する。ファンフェスみたいな公開生放送のときも一応テントの外に気を配ったりするけど、それよりゼミ生の動きは予測がつかない分、より意識的に見ていかないといけない。こちらが発するんじゃなくて、発せられた物をいかに瞬発力をもって捉えるかだもんなあ。
「そーいや高木先輩ってゼミ合宿ん時撮影隊だったっすよね」
「そうだね」
「ちなみにっすけどどんなモンを撮ってたんすか?」
「例えば、暖炉でロッキングチェアに揺られながら読書するササとか」
「ああー、ササと言えばのヤツ~」
「朝からバイキングでたくさん食べるシノとか」
「はずっ! マジで消してください!」
「俺に言われても。撮ったのは来須さんの雪中料理でしょ、あと多分これは俺だから出来たんだろうけど、スキーで滑りながらスノーボードやってる鵠さんと併走したり」
「えっ、ヤバッ。先輩がスキー上手いの知ってますけど、カメラ持ってるってことは杖なしってことっすよね?」
「もちろん傾斜が緩めの人が少ないところでやってるけどね。でも、サーフィンが趣味の鵠さんがああいう板に乗ってるところは撮りたくてさ」
「逆にスキーめっちゃ上手い高木先輩も撮りたいヤツっすねそれ」
「シノが俺について来れるかなあ?」
「併走は無理なんで、下から撮るとかになりそうっすね」
今から思えば先生にGoProとか買ってもらえばもっと安全に出来たよなあ、と先輩は反省している。いくら新しい物好きのヒゲさんとは言え、こうまで好き勝手にあの機材が欲しいこの機材を買ってくれと言えるのは、機材の扱いに特化しまくっている高木先輩だからこそだろう。俺もこの域まで行きたい!
「構図とかは安曇野さんとか、3年生だったら来須さんみたいな上手い人に任せて大丈夫。俺たちみたいな一般のカメラ担当は、悩んでないでとにかく撮ることだね。あと、大事なのはいかに被写体に警戒されないように近付くかとか」
「あー、高木先輩そーゆーの上手そうっすよね」
「シノだったら普通に会話の延長で、みんなの側に寄っていって話してる声とか入れても全然いいと思うよ。俺は遠景多めで目線が足りないって言われたし」
「人によって撮影スタイルも違うってことっすね?」
「そういうこと。真似してもそれが合ってるとは限らない」
高木先輩だったらそーっと自然に溶け込むような撮影の仕方だけど、俺だったらガンガン詰めて行って声を入れても断然いいってことか。なるほど、ちょっとやってみるか。これを誰が編集するのかは知らないけど、まあなんかいい感じの素材になれば万々歳だ。
「安曇野先輩、何を撮ってるんですか?」
「高木の後進育成の現場」
「ああ、高木先輩とシノと、カメラ。撮る人を撮る人」
「アイツのミキサーガチトークはシノ相手じゃないと出ないし」
end.
++++
フェーズ4の世界線ではとことん好きにやってるTKGパイセン。
鵠さんが板状の物に乗ってるのを見たいと思い出す。
TKGなら板を乗りこなす鵠さんやぴょんぴょん飛ぶ高崎も臨場感良く撮れそうだ
(phase4)
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