2026
■ああもう何も問題ないです
++++
「そうしたら、番組のことについて考えていこうか。じゃあ、とりぃが思う番組の構成を素直に教えてもらっていい?」
ファンタジックフェスタの打ち合わせが始まり、軽い自己紹介を済ませただけで早々に本題に入ることになりました。向島インターフェイス放送委員会で出展するDJブースでは、いくつかの班に分かれて45分番組を行います。一般の人に向けた番組かつ、他の大学の人と行うことなのでより綿密に打ち合わせます。
班長はこの度インターフェイスに復帰することとなった桜貝大学のミソラ先輩です。桜貝大学は映像制作を主とした活動をしていて、ラジオの活動に偏っていた少し前まではインターフェイスに籍があるだけの状態でしたが、映像の活動が増えてくるならばと、少しずつこちらの行事にも参加することになったそうです。
そのミソラ先輩が定例会で言い放ったのが、インターフェイスでやっている“普通”とは違う、少し変わったことをやりたい、ということでした。既存の枠にとらわれず、自由に番組の構成を考えてみたい、と。そういうコンセプトならばと配置されたミキサーが、緑ヶ丘のタカティこと高木先輩です。
高木先輩の代名詞は基本の構成崩しと言われています。基本的に、1年生の本格的なインターフェイスデビューは夏合宿だそうですが、その前の作品出展で自由に制作した番組の構成が各大学の2、3年生に衝撃を与えたそうです。以来、その方向性の番組を極めてきたと聞きました。今ではインターフェイスを代表するミキサーの先輩です。
「ええと……」
「深く考えずに。パッと思いつく感じでいいよ」
「でしたら……本当に率直な感じなのですが、まずオープニングがあって、曲1、トーク1、曲2、トーク2……MMPでの昼放送ではトーク1の後に学食のインフォメーションが挟まって、曲2、トーク2、曲3、という感じになるそうです」
「わかったよ。じゃあ、それを崩していく方向で」
「ええっ!?」
「まあ、それがミソラの希望だしねえ。奈々からこの班のコンセプトは聞いてるでしょ?」
「はい、一応聞きましたが」
「ラジオを始めて3ヶ月くらいで、かつ野坂先輩から基本を教わってるとりぃが思いつく構成なら、余程のことがない限り始めに習う一般的なパターンだろうからね。実際そうだったし」
得意とする番組構成の形であれば、自分と野坂先輩は多分対極にあると思うんだよ、と高木先輩は言います。基本崩しでアドリブ上等の高木先輩と、王道の構成を計画通りに1秒単位で進める野坂先輩では確かに対極なのかもしれません。
「大丈夫大丈夫。とりぃも好き勝手に喋ってくれればいいよ。定例会でタカティが大体何とかしてくれるって聞いてるし」
「ですが、一般の方に向けた番組も初めてなので……」
「でも、大学の食堂ではもうやってるんでしょ?」
「一応やってはいますが、実際に人の顔を見て話しているわけではありませんし」
「って言うか私はラジオが初めてだよ」
「それを言われてしまうと」
「2人とも好きにやってくれればいいよ。一応これっていう構成は決めるけど、生放送だとその通りに行かないこともあるし、ミキサーはそのように準備してるから。俺は6時間までなら経験があるのでどうとでもなります」
「6時間!? それは凄いです…!」
「大学でそんな長時間番組やるの?」
「正確にはゼミでやった番組だけど、公開生放送で6時間、実際にやったよ」
「へー、凄いねー。ウチのチャンネルでもそんな長時間配信やったことないよ」
これは大船に乗ったつもりでいていいのかもしれません。高木先輩の経験が頼もしすぎます。高木先輩としても、まだラジオを始めて間もない私だからこそ思いつくアイディアを気軽に出して欲しいそうなのです。それをいかに番組構成に落とし込むかは自分の仕事だからと。
「でも番組の大きなテーマは考えておきたいかもね」
「テーマですか……うーん。如何せん私の発想が脆弱なので、どうしても星や宇宙の話に寄りがちで」
「別にいいんじゃない? 私がミソラでとりぃはとりぃだし、空と鳥で上を見上げてそうなイメージじゃん。アオゾラジオ、うーん、雨だったら破綻するからオオゾラジオとか」
「なるほど、そのようにして考えていくのですね」
「まあ、番組名は当日が晴れだったらアオゾラジオ、雨だったらオオゾラジオで行こうか」
「おー、AパターンとBパターンを用意するのがチームの作戦って感じでいいね」
「とりぃのターンではホシゾラジオにしてもいいしね」
「そんなことも出来るのですか…?」
それから、私とミソラ先輩が好き勝手に話したり、これまでいろいろな人に教えてもらったインターフェイスラジオでの定石や定説みたいなもの、特に技術的に難しいとか、使う曲の難しさなどについて質問したことに対して、高木先輩は「出来ます」「問題ないです」「ああもう全然大丈夫です」と返してくれるのです。
それは決して見栄などではなく、それはこちらがこういう構成やこういう技術で対応すればいいだけで、それらが難しいと言われるのはよくある構成でやろうとするからだ、と答えるのです。決まりきった構成のためにやりたいことを諦めるのは面白くない、と。何と何をどう組み合わせるのか、パズルをやっていうようにも見えます。
「俺は大体のことには対応できるつもりではいるんだけど、大前提があって」
「前提条件があるのですね」
「うん。それが、曲中にもリアルタイムで打ち合わせて詰めていけることが出来れば、ってことね。曲中にアナウンサーさんが感じてることを伝えてもらって、こっちが構成に落とし込んで、変えるのか、変えないのか判断するって感じ。逆も然りで、こっちが聞いてて感じたことを、受け取ってもらいたい。じゃないと、基本から外れたことは難しいよね」
「普段の番組よりも意志疎通が大切になってくるわけですね」
「そういうことだね」
「ではでは、意志疎通を取りやすくするためにも私はケーキを買ってきますね?」
「うーん、理屈はわからないけど行くなら俺はチーズケーキ頼める? 荷物番してるし」
「とりぃは?」
「あっ、私は自分で行きますよ」
end.
++++
3年生になったTKGパイセンはミキサーとしては結構な大船だ!
フェーズ1、2を経て相手が誰であろうと言うことを言う、意志疎通を図ることが出来るようになったのは良き。
(phase3)
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「そうしたら、番組のことについて考えていこうか。じゃあ、とりぃが思う番組の構成を素直に教えてもらっていい?」
ファンタジックフェスタの打ち合わせが始まり、軽い自己紹介を済ませただけで早々に本題に入ることになりました。向島インターフェイス放送委員会で出展するDJブースでは、いくつかの班に分かれて45分番組を行います。一般の人に向けた番組かつ、他の大学の人と行うことなのでより綿密に打ち合わせます。
班長はこの度インターフェイスに復帰することとなった桜貝大学のミソラ先輩です。桜貝大学は映像制作を主とした活動をしていて、ラジオの活動に偏っていた少し前まではインターフェイスに籍があるだけの状態でしたが、映像の活動が増えてくるならばと、少しずつこちらの行事にも参加することになったそうです。
そのミソラ先輩が定例会で言い放ったのが、インターフェイスでやっている“普通”とは違う、少し変わったことをやりたい、ということでした。既存の枠にとらわれず、自由に番組の構成を考えてみたい、と。そういうコンセプトならばと配置されたミキサーが、緑ヶ丘のタカティこと高木先輩です。
高木先輩の代名詞は基本の構成崩しと言われています。基本的に、1年生の本格的なインターフェイスデビューは夏合宿だそうですが、その前の作品出展で自由に制作した番組の構成が各大学の2、3年生に衝撃を与えたそうです。以来、その方向性の番組を極めてきたと聞きました。今ではインターフェイスを代表するミキサーの先輩です。
「ええと……」
「深く考えずに。パッと思いつく感じでいいよ」
「でしたら……本当に率直な感じなのですが、まずオープニングがあって、曲1、トーク1、曲2、トーク2……MMPでの昼放送ではトーク1の後に学食のインフォメーションが挟まって、曲2、トーク2、曲3、という感じになるそうです」
「わかったよ。じゃあ、それを崩していく方向で」
「ええっ!?」
「まあ、それがミソラの希望だしねえ。奈々からこの班のコンセプトは聞いてるでしょ?」
「はい、一応聞きましたが」
「ラジオを始めて3ヶ月くらいで、かつ野坂先輩から基本を教わってるとりぃが思いつく構成なら、余程のことがない限り始めに習う一般的なパターンだろうからね。実際そうだったし」
得意とする番組構成の形であれば、自分と野坂先輩は多分対極にあると思うんだよ、と高木先輩は言います。基本崩しでアドリブ上等の高木先輩と、王道の構成を計画通りに1秒単位で進める野坂先輩では確かに対極なのかもしれません。
「大丈夫大丈夫。とりぃも好き勝手に喋ってくれればいいよ。定例会でタカティが大体何とかしてくれるって聞いてるし」
「ですが、一般の方に向けた番組も初めてなので……」
「でも、大学の食堂ではもうやってるんでしょ?」
「一応やってはいますが、実際に人の顔を見て話しているわけではありませんし」
「って言うか私はラジオが初めてだよ」
「それを言われてしまうと」
「2人とも好きにやってくれればいいよ。一応これっていう構成は決めるけど、生放送だとその通りに行かないこともあるし、ミキサーはそのように準備してるから。俺は6時間までなら経験があるのでどうとでもなります」
「6時間!? それは凄いです…!」
「大学でそんな長時間番組やるの?」
「正確にはゼミでやった番組だけど、公開生放送で6時間、実際にやったよ」
「へー、凄いねー。ウチのチャンネルでもそんな長時間配信やったことないよ」
これは大船に乗ったつもりでいていいのかもしれません。高木先輩の経験が頼もしすぎます。高木先輩としても、まだラジオを始めて間もない私だからこそ思いつくアイディアを気軽に出して欲しいそうなのです。それをいかに番組構成に落とし込むかは自分の仕事だからと。
「でも番組の大きなテーマは考えておきたいかもね」
「テーマですか……うーん。如何せん私の発想が脆弱なので、どうしても星や宇宙の話に寄りがちで」
「別にいいんじゃない? 私がミソラでとりぃはとりぃだし、空と鳥で上を見上げてそうなイメージじゃん。アオゾラジオ、うーん、雨だったら破綻するからオオゾラジオとか」
「なるほど、そのようにして考えていくのですね」
「まあ、番組名は当日が晴れだったらアオゾラジオ、雨だったらオオゾラジオで行こうか」
「おー、AパターンとBパターンを用意するのがチームの作戦って感じでいいね」
「とりぃのターンではホシゾラジオにしてもいいしね」
「そんなことも出来るのですか…?」
それから、私とミソラ先輩が好き勝手に話したり、これまでいろいろな人に教えてもらったインターフェイスラジオでの定石や定説みたいなもの、特に技術的に難しいとか、使う曲の難しさなどについて質問したことに対して、高木先輩は「出来ます」「問題ないです」「ああもう全然大丈夫です」と返してくれるのです。
それは決して見栄などではなく、それはこちらがこういう構成やこういう技術で対応すればいいだけで、それらが難しいと言われるのはよくある構成でやろうとするからだ、と答えるのです。決まりきった構成のためにやりたいことを諦めるのは面白くない、と。何と何をどう組み合わせるのか、パズルをやっていうようにも見えます。
「俺は大体のことには対応できるつもりではいるんだけど、大前提があって」
「前提条件があるのですね」
「うん。それが、曲中にもリアルタイムで打ち合わせて詰めていけることが出来れば、ってことね。曲中にアナウンサーさんが感じてることを伝えてもらって、こっちが構成に落とし込んで、変えるのか、変えないのか判断するって感じ。逆も然りで、こっちが聞いてて感じたことを、受け取ってもらいたい。じゃないと、基本から外れたことは難しいよね」
「普段の番組よりも意志疎通が大切になってくるわけですね」
「そういうことだね」
「ではでは、意志疎通を取りやすくするためにも私はケーキを買ってきますね?」
「うーん、理屈はわからないけど行くなら俺はチーズケーキ頼める? 荷物番してるし」
「とりぃは?」
「あっ、私は自分で行きますよ」
end.
++++
3年生になったTKGパイセンはミキサーとしては結構な大船だ!
フェーズ1、2を経て相手が誰であろうと言うことを言う、意志疎通を図ることが出来るようになったのは良き。
(phase3)
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