2026
■Ride on, Ride on!
++++
「ファンフェスの班が決まったよーッ」
「おっ、ようやく正式に決まりましたか」
「定例会の現場だけじゃ決まりきらなかった分はオンラインで結構頑張ってたらしいね」
「らしいねて。何でアンタがそんな他人事なんすか」
「頑張ってたのは主におハナとユキちゃんとマリンだから」
ファンフェスというのは、5月の上旬に花栄で行われる屋外イベント、ファンタジックフェスタの略称です。向島インターフェイス放送委員会では、毎年このイベントにDJブースを出展しているそうで、一般の方に番組を聞いてもらう機会となっています。
この班編成は、インターフェイスに所属する大学の中からイベントへの参加希望者を募り、学年やパート、実力などのバランスを見ながら定例会の方々が決めるのですが、今回はやや難しいポイントがあったそうで会議時間だけでは決まりきらず、発表が延びてしまったそうなのです。
「あっ1年生向けに説明すると、インターフェイスで出てるイベントね。じゃあこれ紙に出してきたしみんな見といてねーッ」
奈々先輩が印刷してくれた一覧に、希くんが我先にと飛びつきます。奏多も上から覗き込むように見ています。私は、2人が粗方見終えてから落ち着いて見ようと一拍置きます。2年生にとっては初めて一般の人の前で番組をやる機会ですから、妙な緊張感が走るのもわかりますが。
「奈々先輩これ俺何か気をつけることとかあるっすかねえ!?」
「カノンてどこの班だっけ」
「ミドリ先輩の班で、あとは俺、くるみ、まつりっす」
「あっ、元気な班ね。まあ、ミドリがふわっとしてるしラジオはカノンとくるちゃんでリードしてもらう感じになるのかな? 案外何でも出来そうな班だし、いろいろ挑戦してみてもいいかもね」
「わかりました! あざっす!」
「奈々さーん、俺はどう立ち回りましょうか」
「……うーん。松兄ねえ。うん、松兄はねえ」
「ちょっ、アンタにしちゃなかなか見ない重さの反応なんだが!?」
「あなたが外で問題を起こさないか心配されているということでしょう? 日頃の言動を省みることね」
「うるせーよお前は。で、奈々さん、ガチめな話実際どーなんです?」
「番組に関しては一切! 心配してないよ。松兄は飲み込みも早いし、お知らせ番組で着実に経験も積んでるし」
「じゃやっぱりアレです?」
「おハナを怒らせないかだけ! 本っ当にそこだけッ!」
「ですよねえ。定例会ン時も言ってましたけど相性悪そうなのわかっててじゃ何でぶつけたっつー話なんすよ」
「その他の事情も込み込みでね? 一応おハナとも言ってたけど同じ班のミキサーが普段ラジオやらない青敬の当麻だから、実質的ミキサーのリーダー的役割は期待されるよ。番組に関しては全然問題ないって念押ししてるし、気をつけるのはマジでおハナに対する態度だけ!」
班編成を見て、その中で誰がどう立ち回るのかがうっすらわかるのも、やはり3年生の経験からなるものなのでしょう。私にはこの表を見ても誰がどういう人で、だからどう立ち回るべきなのかということが全くわかりません。
奈々先輩と奏多のやり取りを見ていると、向島の新メンバーはラジオの実力も着実につけているという風に紹介されているようです。確かに、4月から始まった日々のお知らせ放送などで経験は積ませていただいていますが、さすがに去年からやっている人たちと同等だとは思いません。
「おハナは元々がめっちゃ真面目なんだけど、いろいろあってインターフェイスの現場じゃ警戒心が高くなってるし、特に番組の打ち合わせとなると会話のストライクゾーンはめっちゃ狭いよ。少しでも外したら即フォアボールで歩かれるからね。勝負すらさせてもらえなくなるから」
「バッターの方から申告敬遠してくる感じっすか」
インターフェイスにはいろいろな人がいるのだなあと思います。定例会での会話のノリで奏多は真面目で規律に厳しい先輩の班に入ることになったそうなのですが。奏多本来の真面目さで真摯に向き合えば、むしろ相性は悪くないと思うのですが、どうでしょうか。
「あの、奈々先輩。私はどうしたらいいでしょうか」
「とりぃはねえ、絶対に昔の番組を聞いたり周りの人から話を聞いちゃダメッ! 情報を一切遮断して、自分の班の今の番組にだけ集中してッ! それだけかな」
「ええ…!? それはそれでとても怖いのですが…! ちなみに、どうしてか聞いてもいいですか?」
「班長のミソラが、インターフェイスの普通の番組とは違う構成で番組をやりたいって言い出して、それを叶えるためにミキサーはタカティが入ることになったよね。だから何が起きるかわかんないんだよ。インターフェイス未経験のミソラと、基本の構成をぶっ壊すことに定評のあるタカティでしょ? 誰の何の経験も当てにならないから、情報を入れることで逆に混乱すると思うんだよ。常識と定石は置いてって」
「そ、そんなところに私、ですか…!?」
「でもねえ、とりぃの心の北極星が菜月先輩なんだったらそういう番組は絶対に経験した方がいいし、こんなことでもないと今後出来ないから楽しんだ方がいいと思うんだよねッ。あと、責任は多分3年2人が取るからとりぃは乗っかるだけで大丈夫っす、うっすうっす」
「そうですよね。せっかくですし、先輩たちに甘えて楽しみたいと思います」
「何を隠そう、タカティの代名詞である構成崩しを決定づけたのが、1年の時の夏合宿で菜月先輩たちとやった番組だからねッ」
奈々先輩からの忠告が恐ろしくもありますが、楽しむしかないと腹を括ります。本当に、私は乗っかるだけでいいんですよ、ね…?
end.
++++
奈々のいい意味での雑さが程々に見られる回。
ハナナナの対奏多問答の様子なんかも見てみたさはある。
(phase3)
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「ファンフェスの班が決まったよーッ」
「おっ、ようやく正式に決まりましたか」
「定例会の現場だけじゃ決まりきらなかった分はオンラインで結構頑張ってたらしいね」
「らしいねて。何でアンタがそんな他人事なんすか」
「頑張ってたのは主におハナとユキちゃんとマリンだから」
ファンフェスというのは、5月の上旬に花栄で行われる屋外イベント、ファンタジックフェスタの略称です。向島インターフェイス放送委員会では、毎年このイベントにDJブースを出展しているそうで、一般の方に番組を聞いてもらう機会となっています。
この班編成は、インターフェイスに所属する大学の中からイベントへの参加希望者を募り、学年やパート、実力などのバランスを見ながら定例会の方々が決めるのですが、今回はやや難しいポイントがあったそうで会議時間だけでは決まりきらず、発表が延びてしまったそうなのです。
「あっ1年生向けに説明すると、インターフェイスで出てるイベントね。じゃあこれ紙に出してきたしみんな見といてねーッ」
奈々先輩が印刷してくれた一覧に、希くんが我先にと飛びつきます。奏多も上から覗き込むように見ています。私は、2人が粗方見終えてから落ち着いて見ようと一拍置きます。2年生にとっては初めて一般の人の前で番組をやる機会ですから、妙な緊張感が走るのもわかりますが。
「奈々先輩これ俺何か気をつけることとかあるっすかねえ!?」
「カノンてどこの班だっけ」
「ミドリ先輩の班で、あとは俺、くるみ、まつりっす」
「あっ、元気な班ね。まあ、ミドリがふわっとしてるしラジオはカノンとくるちゃんでリードしてもらう感じになるのかな? 案外何でも出来そうな班だし、いろいろ挑戦してみてもいいかもね」
「わかりました! あざっす!」
「奈々さーん、俺はどう立ち回りましょうか」
「……うーん。松兄ねえ。うん、松兄はねえ」
「ちょっ、アンタにしちゃなかなか見ない重さの反応なんだが!?」
「あなたが外で問題を起こさないか心配されているということでしょう? 日頃の言動を省みることね」
「うるせーよお前は。で、奈々さん、ガチめな話実際どーなんです?」
「番組に関しては一切! 心配してないよ。松兄は飲み込みも早いし、お知らせ番組で着実に経験も積んでるし」
「じゃやっぱりアレです?」
「おハナを怒らせないかだけ! 本っ当にそこだけッ!」
「ですよねえ。定例会ン時も言ってましたけど相性悪そうなのわかっててじゃ何でぶつけたっつー話なんすよ」
「その他の事情も込み込みでね? 一応おハナとも言ってたけど同じ班のミキサーが普段ラジオやらない青敬の当麻だから、実質的ミキサーのリーダー的役割は期待されるよ。番組に関しては全然問題ないって念押ししてるし、気をつけるのはマジでおハナに対する態度だけ!」
班編成を見て、その中で誰がどう立ち回るのかがうっすらわかるのも、やはり3年生の経験からなるものなのでしょう。私にはこの表を見ても誰がどういう人で、だからどう立ち回るべきなのかということが全くわかりません。
奈々先輩と奏多のやり取りを見ていると、向島の新メンバーはラジオの実力も着実につけているという風に紹介されているようです。確かに、4月から始まった日々のお知らせ放送などで経験は積ませていただいていますが、さすがに去年からやっている人たちと同等だとは思いません。
「おハナは元々がめっちゃ真面目なんだけど、いろいろあってインターフェイスの現場じゃ警戒心が高くなってるし、特に番組の打ち合わせとなると会話のストライクゾーンはめっちゃ狭いよ。少しでも外したら即フォアボールで歩かれるからね。勝負すらさせてもらえなくなるから」
「バッターの方から申告敬遠してくる感じっすか」
インターフェイスにはいろいろな人がいるのだなあと思います。定例会での会話のノリで奏多は真面目で規律に厳しい先輩の班に入ることになったそうなのですが。奏多本来の真面目さで真摯に向き合えば、むしろ相性は悪くないと思うのですが、どうでしょうか。
「あの、奈々先輩。私はどうしたらいいでしょうか」
「とりぃはねえ、絶対に昔の番組を聞いたり周りの人から話を聞いちゃダメッ! 情報を一切遮断して、自分の班の今の番組にだけ集中してッ! それだけかな」
「ええ…!? それはそれでとても怖いのですが…! ちなみに、どうしてか聞いてもいいですか?」
「班長のミソラが、インターフェイスの普通の番組とは違う構成で番組をやりたいって言い出して、それを叶えるためにミキサーはタカティが入ることになったよね。だから何が起きるかわかんないんだよ。インターフェイス未経験のミソラと、基本の構成をぶっ壊すことに定評のあるタカティでしょ? 誰の何の経験も当てにならないから、情報を入れることで逆に混乱すると思うんだよ。常識と定石は置いてって」
「そ、そんなところに私、ですか…!?」
「でもねえ、とりぃの心の北極星が菜月先輩なんだったらそういう番組は絶対に経験した方がいいし、こんなことでもないと今後出来ないから楽しんだ方がいいと思うんだよねッ。あと、責任は多分3年2人が取るからとりぃは乗っかるだけで大丈夫っす、うっすうっす」
「そうですよね。せっかくですし、先輩たちに甘えて楽しみたいと思います」
「何を隠そう、タカティの代名詞である構成崩しを決定づけたのが、1年の時の夏合宿で菜月先輩たちとやった番組だからねッ」
奈々先輩からの忠告が恐ろしくもありますが、楽しむしかないと腹を括ります。本当に、私は乗っかるだけでいいんですよ、ね…?
end.
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奈々のいい意味での雑さが程々に見られる回。
ハナナナの対奏多問答の様子なんかも見てみたさはある。
(phase3)
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