2026
■やわやわときゃわきゃわ
++++
「ここがUHBCのサークル室だね」
「へー、楽しみだなあ」
「じゃあ、入ろう。おはようございまーす」
「あっ、おはよう大ちゃん」
「今日はこの前言ってた学科の友達を連れてきました」
星港大学に入学して、やっぱり大学生活と言えば! ということでサークルにだって入っちゃう。大学生になったからには勉強ももちろん頑張るけど、バイトだって始めてライブのチケ代をガンガン稼ぐし、サークルにも興味があるし~って感じで、最初だからか夢と希望でいっぱいだ。同じ学科に友達も何人か出来た。
今日はその友達の中の1人で、俺のしたサークルの話にちょっと興味が湧いたっぽい荒島岳君を見学に連れて来た。がっくんはふわっとしたような雰囲気をしつつも隠しきれない圧倒的ビジュ。背も高いし正直並んで歩くと俺のがっかりさが際立つけど、逆にこのレベルの人と並ばせていただけるのは贅沢だという気付きを得る。
「大ちゃんの友達の子だね。今日は見学でいい?」
「はい」
「良かったら、名前を教えてもらってもいい?」
「荒島岳といいます」
「荒島くんね。へー、背高いねー。俺よりちょっと小さいくらいかなー」
「千颯先輩でも人を背が高いって思うことあるんですね」
「あるよ! 175以上だったら大きい方じゃない? 俺くらいまで行くと実際すごく大きい方に分類されてると思うし」
「確かにそうですね」
「で、大ちゃんと同じ学科ってことは、芸術工学科だね」
「はい」
「何を隠そう俺も芸工。よろしくねー」
2年の千颯先輩は、趣味で描いてる水彩画とデジタルの融合に関する研究をしてるっていう話だ。実際に描いた水彩画を取り込んだ画像を見せてもらったけど、画力がハチャメチャに高い。水と光の表現がずば抜けてるって思った。ちなみにがっくんは舞台装置や照明、音響に興味があるらしくて、本人はダンスをやってた経験があるとか。
「ねえねえ大ちゃん、このサークルって大ちゃんの他に1年生っているの?」
「あー……いるにはいる、いるにはいるんだけど」
「まあ、結構強烈な子ではあるね」
「強烈とかそんな次元じゃないんですよアイツは」
何が悲しくてこんなところでアイツとバッタリ会ってしまったんだろうっていう気持ちが大きかったなあ、ここで鉢合わせた時は。この縁を拗らせて腐れ縁にならなければいいが、と本気で思っている。別に嫌いなワケじゃないけど、何か、何だろう、どっと疲れるんだよなあ。
「おはよーございまー」
噂をすればアイツだ、と思った時のこと。これはヤバいと思った。テンションの上がり方が、完全にスイッチが入ってると、高校からの付き合いの俺は一瞬にして察したワケで!
「何かめっちゃきゃわな子いるんですけど!? 千颯先輩、この子誰ですか!?」
「大ちゃんの学科の友達で、見学に来てくれた荒島くんだよ」
「ひかるんこんなきゃわな子いるの今まで隠してたっしょ! え~、きゃわ~」
「野々市、お前挨拶もそこそこにまとわりつくな! ごめんがっくん、野々市は超弩級の変人で」
「変人とかひかるんひどいですですぅ~」
「えっと、“ひかるん”は、大ちゃん?」
「大野光だからひかるん。きゃわっしょ?」
「いいね。ひかるんの方が俺は好きだな」
「えー!? がっくんお願い、そこで野々市を増長させないで」
「いえーい! ほらぁ、いい加減受け入れなってー、もう何年やってると思ってんの!?」
「3年目ですね!」
「あ、大学からの友達じゃないんだ?」
「すずとひかるんは星高の出身で、同じ時期に生徒会やってたりもした仲なのですです」
「おい野々市、お前星高っつって誰にでも通じると思うな。がっくんは東都からこっちに来てんだぞ」
野々市すず。まず最初に印象を残すのが、ピンクから水色へのグラデーションで染めた髪のハーフツイン。メイクやネイルも独自に研究を重ねて自分の思う“カワイイ”を突き通している。基本的にカワイイものが好きで、何を言ってるかわからないが科学的にカワイイを定義する、みたいなことをやりたいらしい。
何がアレってコイツのこの髪やファッションは大学デビューとかじゃなくて、高校の時には既にこれだったんだ。校則なんかお構いなし。バイトもするし、部活の時間にネイルやアクセサリーを作ってるくらいだ。ちなみに部活は美術部で、「ちゃんとアートだし」が言い訳の決まり文句。細かい絵が実際に結構上手いのが腹立つ。
先生から「高校生らしく」とか「勉学の妨げになるようなことは~」などと指導されても「すずより高校生らしく勉学に励んでる子たちが何人すずよりいい成績取ってますか~?」とワンパン。成績は常時学年3位以内だし、偏差値も余裕で星大に入ってる時点でお察し。バイトも「お金の価値と社会生活を学んでまーす」とかわしていた。学校の規則を守れない奴が~という指導にも、「社会の法を守ってない方を先に指導した方がいいですよー、ほら、あそこからタバコの煙はみ出てますぅ~」とも。
「――という感じのヤツで」
「へー、すごいねー。さすがに受験の時に全く勉強しなかったワケじゃないよね?」
「勉強は普通にしてる。多分、時間の使い方が他の子とは違ってて、すずは周りと同じカワイイとか与えられる流行に興味ないから、SNSとかショート動画とか見ないもん」
「あー、確かにそれで1時間2時間は違って来そうだね」
「でしょ!? がくぴ理解ある~」
「でも、コイツの相手をまともにやってたらメチャクチャ疲れる! これだけははっきりしてる」
「ひかるんはやわですぅ~」
「きゃわじゃなくてね」
「そう! きゃわじゃなくてやわ! あはははは! がくぴきゃわな上に面白い! すずがくぴのファンになった! せっかくだから正式にUHBCに入ってこーよ、ひかるんが誘ってくれたんだし」
「そうだね、楽しそうだから正式に入ってみようかな。活動についてはまあ、なるようになれーで」
「なるようになれー、ですぅ~」
「あーあー、知らないぞー俺はー」
end.
++++
すずとひかるんのコンビが少しずつ盛り上がって来た気配。
UHBCでのがくぴはまだまだまだまだ大人しい子であれ
(phase3)
.
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「ここがUHBCのサークル室だね」
「へー、楽しみだなあ」
「じゃあ、入ろう。おはようございまーす」
「あっ、おはよう大ちゃん」
「今日はこの前言ってた学科の友達を連れてきました」
星港大学に入学して、やっぱり大学生活と言えば! ということでサークルにだって入っちゃう。大学生になったからには勉強ももちろん頑張るけど、バイトだって始めてライブのチケ代をガンガン稼ぐし、サークルにも興味があるし~って感じで、最初だからか夢と希望でいっぱいだ。同じ学科に友達も何人か出来た。
今日はその友達の中の1人で、俺のしたサークルの話にちょっと興味が湧いたっぽい荒島岳君を見学に連れて来た。がっくんはふわっとしたような雰囲気をしつつも隠しきれない圧倒的ビジュ。背も高いし正直並んで歩くと俺のがっかりさが際立つけど、逆にこのレベルの人と並ばせていただけるのは贅沢だという気付きを得る。
「大ちゃんの友達の子だね。今日は見学でいい?」
「はい」
「良かったら、名前を教えてもらってもいい?」
「荒島岳といいます」
「荒島くんね。へー、背高いねー。俺よりちょっと小さいくらいかなー」
「千颯先輩でも人を背が高いって思うことあるんですね」
「あるよ! 175以上だったら大きい方じゃない? 俺くらいまで行くと実際すごく大きい方に分類されてると思うし」
「確かにそうですね」
「で、大ちゃんと同じ学科ってことは、芸術工学科だね」
「はい」
「何を隠そう俺も芸工。よろしくねー」
2年の千颯先輩は、趣味で描いてる水彩画とデジタルの融合に関する研究をしてるっていう話だ。実際に描いた水彩画を取り込んだ画像を見せてもらったけど、画力がハチャメチャに高い。水と光の表現がずば抜けてるって思った。ちなみにがっくんは舞台装置や照明、音響に興味があるらしくて、本人はダンスをやってた経験があるとか。
「ねえねえ大ちゃん、このサークルって大ちゃんの他に1年生っているの?」
「あー……いるにはいる、いるにはいるんだけど」
「まあ、結構強烈な子ではあるね」
「強烈とかそんな次元じゃないんですよアイツは」
何が悲しくてこんなところでアイツとバッタリ会ってしまったんだろうっていう気持ちが大きかったなあ、ここで鉢合わせた時は。この縁を拗らせて腐れ縁にならなければいいが、と本気で思っている。別に嫌いなワケじゃないけど、何か、何だろう、どっと疲れるんだよなあ。
「おはよーございまー」
噂をすればアイツだ、と思った時のこと。これはヤバいと思った。テンションの上がり方が、完全にスイッチが入ってると、高校からの付き合いの俺は一瞬にして察したワケで!
「何かめっちゃきゃわな子いるんですけど!? 千颯先輩、この子誰ですか!?」
「大ちゃんの学科の友達で、見学に来てくれた荒島くんだよ」
「ひかるんこんなきゃわな子いるの今まで隠してたっしょ! え~、きゃわ~」
「野々市、お前挨拶もそこそこにまとわりつくな! ごめんがっくん、野々市は超弩級の変人で」
「変人とかひかるんひどいですですぅ~」
「えっと、“ひかるん”は、大ちゃん?」
「大野光だからひかるん。きゃわっしょ?」
「いいね。ひかるんの方が俺は好きだな」
「えー!? がっくんお願い、そこで野々市を増長させないで」
「いえーい! ほらぁ、いい加減受け入れなってー、もう何年やってると思ってんの!?」
「3年目ですね!」
「あ、大学からの友達じゃないんだ?」
「すずとひかるんは星高の出身で、同じ時期に生徒会やってたりもした仲なのですです」
「おい野々市、お前星高っつって誰にでも通じると思うな。がっくんは東都からこっちに来てんだぞ」
野々市すず。まず最初に印象を残すのが、ピンクから水色へのグラデーションで染めた髪のハーフツイン。メイクやネイルも独自に研究を重ねて自分の思う“カワイイ”を突き通している。基本的にカワイイものが好きで、何を言ってるかわからないが科学的にカワイイを定義する、みたいなことをやりたいらしい。
何がアレってコイツのこの髪やファッションは大学デビューとかじゃなくて、高校の時には既にこれだったんだ。校則なんかお構いなし。バイトもするし、部活の時間にネイルやアクセサリーを作ってるくらいだ。ちなみに部活は美術部で、「ちゃんとアートだし」が言い訳の決まり文句。細かい絵が実際に結構上手いのが腹立つ。
先生から「高校生らしく」とか「勉学の妨げになるようなことは~」などと指導されても「すずより高校生らしく勉学に励んでる子たちが何人すずよりいい成績取ってますか~?」とワンパン。成績は常時学年3位以内だし、偏差値も余裕で星大に入ってる時点でお察し。バイトも「お金の価値と社会生活を学んでまーす」とかわしていた。学校の規則を守れない奴が~という指導にも、「社会の法を守ってない方を先に指導した方がいいですよー、ほら、あそこからタバコの煙はみ出てますぅ~」とも。
「――という感じのヤツで」
「へー、すごいねー。さすがに受験の時に全く勉強しなかったワケじゃないよね?」
「勉強は普通にしてる。多分、時間の使い方が他の子とは違ってて、すずは周りと同じカワイイとか与えられる流行に興味ないから、SNSとかショート動画とか見ないもん」
「あー、確かにそれで1時間2時間は違って来そうだね」
「でしょ!? がくぴ理解ある~」
「でも、コイツの相手をまともにやってたらメチャクチャ疲れる! これだけははっきりしてる」
「ひかるんはやわですぅ~」
「きゃわじゃなくてね」
「そう! きゃわじゃなくてやわ! あはははは! がくぴきゃわな上に面白い! すずがくぴのファンになった! せっかくだから正式にUHBCに入ってこーよ、ひかるんが誘ってくれたんだし」
「そうだね、楽しそうだから正式に入ってみようかな。活動についてはまあ、なるようになれーで」
「なるようになれー、ですぅ~」
「あーあー、知らないぞー俺はー」
end.
++++
すずとひかるんのコンビが少しずつ盛り上がって来た気配。
UHBCでのがくぴはまだまだまだまだ大人しい子であれ
(phase3)
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