2026

■FUN FUN Q&A

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「――で、だ。どーすっかねェ、このっさんのDJネーム」

 なりゆきで見学に行った放送サークルMMPに入って1週間。少しずつサークルの雰囲気が掴めてきたように思う。2、3年生以上のメンバーは4人いて、3年生は1人。ミキサーを担当する奈々先輩がサークルの代表を務めている。
 2年生は3人。去年からサークルにいたのがアナウンサーとミキサーをどちらも練習しているカノン先輩。現在はサークル内のパートバランスを見てアナウンサー寄りで活動しているそうだ。そして、ついこの間の2月頃からMMPで活動するようになったのが、春風先輩と奏多先輩という幼馴染みコンビだ。
 1年は、俺の前にサークルに来た朝宮君、もといジャックと俺の現在2名。2人ともパートはアナウンサーだ。ジャックは配信者の雑談などに憧れてサークルの門を叩いたらしい。俺はなりゆきで。強いて言えば新歓ブースで春風先輩が言っていた「伝わりやすい言語化」という言葉に興味を持ったから、と言うのがそれらしい。
 で、だ。奏多先輩が「このっさん」と指して、ラジオをやる上で名乗ることになるDJネームを考えなければと言っている彼だ。今日見学に来た勝川君というのだけど、第一印象が、まず"デカい"という、それに尽きる。身長は194だそうで、ガタイも分厚い。顔は強面で、口数も少なくミキサー志望だとか。

「ファーストインプレッションだけじゃ決まらないだろうし、サークルに入ってくれる前提なら人となりって言うか、いろいろ聞いてみてから考えてもいいんじゃないかなッ」
「それじゃあその方向で行きますか。あっ、心配しなくてもコイツらも一通りのことは聞かれてるから何もお前さんだけが特別っつーワケじゃァない」

 俺が特筆すべき面白い情報のない人間だから、尋問やカツアゲにも似た質問コーナーも間が保たなかったんだけど、ジャックの時はそれはもう大盛り上がりだったそうだ。多分、アナウンサーとしての適性も見られてそうだ。ジャックのような話し好きの人の方が向いてるとか、あるのだろうか。

「名前が勝川要、社学の環境コース。つか奈々さん、社学ってコースでいろいろ分かれてるんすね、学科じゃなくて」
「何かわかんないけどそうみたいだね。ちなみにうちは現代社会コースで、環境コースは今の2年生の年から出来た新しいコースだから何やってるかはよく知らないんだよね」
「ですが、余程の事情が無い限り、学科は自分で選ぶものだと思いますから、環境に関わる何かしらに関心があるのでしょうね」
「でもさー、そしたら環境科学部じゃね?」
「希くんとしてはそうなりますよね」
「文系と理系じゃそれに対するアプローチの仕方が違うとか、いろいろあんじゃねーか?」

 余談だけど、今のMMPは奈々先輩以外全員理系なので、文系の学部のことは大体みんなふわっとした想像で語っていたりする。ただ、普通に大学生活を送っているだけでは接点のない人とも出会えるのがサークルの良さだとは聞いた。ただ、彼に関しては知らなくてもどこかで目にすれば強い印象を抱くだろうと思う。

「じゃあじゃあ、バイトとかってやってる? うちはホシミナトドーム内の売店で一生ポテト揚げてるよ」
「自分は、農場で働いています」
「農場ッ!? 畑ってこと!?」
「そうです」
「えーッ、いいねいいね、あっ、環境ってそーゆーコト!? 農業に興味ある的な!?」
「農業は、好きです」
「すっご。これからのうちらの食卓を守ってねーッ」
「私からもぜひお願いします。安心安全な野菜が安定的に供給されるかどうかは、大きな問題ですからね」
「でも俺の想像だけど、畑って朝めっちゃ早そうなイメージだわ」
「4時起きです」
「はっや!」
「今は農業のバイトやってて、高校までって何か部活やってた?」
「高校は、園芸部でした」
「筋金入りのファーマーなんだな」
「ですが言葉の印象として、園芸となると野菜だけではなくお花などにも範囲が広がりそうな感じがしますね」
「実際、花もやります」

 彼は畑仕事や花壇の手入れなど、土周りの仕事が好きなんだそうだ。そして先輩たちが話を深掘りしてわかったことがある。彼は誕生日がついこの間の3月だったので、自動車の免許を取るのがやっとで本来欲しかった農機の免許が取れなかったことを残念に思っているそうだ。自動車の免許取るのに駆け足、これは3月生まれあるあるだと思っている。俺もそうだった(免許だけはある)。
 しかし、口数が少ない割に彼への質問コーナーはかなりの盛り上がりを見せているような気がする。彼の一言二言を先輩たちが8にも9にもして広げているのだろう。恐らくだけど、普通に生活しているだけではまず出会わないタイプの人だから、興味関心が強く引かれるのかもしれない。そして、コーナーが盛り上がらなかった俺は面白みがなかったと。

「ここまでの情報で、DJネームの案が何か浮かんだ人ッ」
「はーい」
「さすが松兄ッ! 発表を、どうぞッ」
「殿っつーのはどーすか?」
「その心はッ」
「まず、勝川要っつー名前がめっちゃ縁起いい」
「それは何となくわかる」
「でよ、コイツにどしんと構えられてみーよ。味方だった時の安心感ったらねーぜ?」
「それはめっちゃわかる!」
「これは俺の直感だ。コイツは口数こそ少ないが、その分仕事はちゃんとやる奴だろう。ちゃんと育った暁にはしんがりで俺たちを守ってもらおうじゃねーの。その願いも込みだな」
「意外にそれらしい由来があるのね」
「俺を何だと思ってんだお前は。ま、他にいい案が出ずに、お前がこれでいいっつーんなら、決定しちまうが」
「他に案は出なそうだね。こーゆーのって大体松兄の1人勝ちになりがちだよ」
「……名前負けしないよう、精進します」
「じゃ、そーゆーコトでよろしくな! 殿!」
「よろしく殿ーッ」


end.


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MMPは今も昔も人が1喋るとそれを10くらいに広げてほしい。
今は良識があるけど昔は悪乗りばっかりだったんだろうなあ

(phase3)

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