2025

■夜のワルいこと

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 無制限飲みをやるぞと呼び出されたのはいっちー先輩の家。学生の頃の一人暮らしの部屋と違って、先輩は結婚してるから夫婦の家だしそれまでよりは気軽にお邪魔できる雰囲気ではないですよね。1回だけお邪魔してご飯を食べさせてもらったことがある。
 今回アタシに連絡を入れてきたのが高ピー先輩ということもあって、懐かしい雰囲気も少し。どうやらタカちゃんにも話が行っているようなので、本格的に懐かしいヤツだなあと思いつつも、少しだけイヤ~な予感もしつつ、自分が飲みたい、食べたいだけの飲食物を持って行く。

「いっちーせんぱーい、来ましたー」
「はーい。果林、いらっしゃい」

 いっちー先輩の家に行くと、先に高ピー先輩が来ていた。いっちー先輩に料理してもらう物がたくさんあるからとのこと。納得。いっちー先輩が新居を選ぶに当たって重要視したのが台所の使い勝手だったっていう話だから、今日も美味しい物が出てくるんだろうなって楽しみで楽しみで。

「高ピー先輩は今日休みだったんですか?」
「祝日だからな」
「あ、そうでしたっけ」
「世間一般のカレンダー通りに働く職種とそうじゃねえ職種があるが、俺は前者だから、土日祝は休みだ」
「いっちー先輩もお休みですか?」
「俺は夜勤明けで、明日休み」
「えっ、夜勤終わってから今日この会ですか!?」
「夜勤って言っても結構ちゃんと寝れるし、そこまでハチャメチャにしんどいこともないよ」
「へー。コーヒーショップの夜勤とは違うんですねー」

 高ピー先輩はお役所だし、いっちー先輩は星港市交通局と、同じ星港市の公務員でありながら働き方が全然違うんだなあという学びを得る。そう言えば、玄関から今この部屋に至るまで、静かだったなあという印象だ。あれっ?

「いっちー先輩、慧梨夏さんはいないんですか?」
「今日は水入らずの会だから出掛けてもらってる」
「あっ、追い出したんです!?」
「慧梨夏は慧梨夏で行きたいところがあるみたかったし、ちょうどいい機会だって言ってうきうきで出掛けたから問題なし」
「今日の会って何時終わり想定なんです?」
「明日の朝までいてもらって全然大丈夫だよ。でも高ピーは明日仕事だし日付変わる前には帰るよね?」
「さすがにな」
「慧梨夏は深夜の星港を散策するから帰りませんって言ってるし、ホントに大丈夫」
「えっ、深夜の星港を1人で歩かせてそれこそ問題ないんです?」
「1人じゃない1人じゃない。家にいたらなかなか出来ないワルいことをする会っていうんで、カオルと深夜にカフェでケーキ食べたり、ラーメン食べたり、本屋に行ったりするんだって」
「うわー、ワルいですねー。いっちー先輩の徹底管理があったら絶対に出来ないワルい、でも魅力的なヤツ~!」

 慧梨夏さんは元々夜遊びをあまりしない方なので、いっちー先輩が夜勤でいないとわかっていても、家で趣味に忙しくしているとのこと。だから、今日みたく外で時間を潰してきてくださいというのが絶好の機会だそうで、そういうワルいことが出来る友達として選ばれたのが朝霞P先輩だったらしい。

「前に朝霞から夜の星港でいい場所はないのかって聞かれたことがあるし、奴は奴で夜歩きしたかったんだろ」
「朝霞P先輩は見るからに夜行性っぽい人ですよねー」

 ところで現在時刻は夕方の5時前なので、とことんしこたまやれるだけの時間はあります。家にはいるから早く来る分にはいいよって言われてたんですよね。先にやっててもらっても全然いいしって。

「タカシはもうしばらくかかるかな?」
「あの会社は普通に稼働日らしいし、今日バイトに行ってんなら6時半は過ぎるだろ」
「あれっ、こっしーはどうだったの?」
「万里は有給取ってたそうだ。普通に3連休だと思ってたら稼働日なことに後から気付いたとかで」
「あっ、なるほど。そういうことだからね果林、本日の会の目的は薄々わかってると思うけど」
「ですよねー」
「しこたま飲んで、飯食って、お前らを荒っぽく祝う。だが、やることは特段変わりねえ」

 どこからか先輩たちにもタカちゃんと付き合い始めたことは知れていたらしい。2人ともに無制限飲みのお誘いが来た時点でそうだろうなーとは思ってたけど、まあ大体そんな感じだったっぽい。でも、やることが前までと変わらないならアタシは美味しいご飯をいっぱい食べるだけなんですよねー。

「いっちー先輩、今日ってご飯たくさん用意してもらってあります?」
「もちろん。俺にとっても無制限飲みは戦いだからね。一番ヒリヒリして楽しい機会だから、めちゃくちゃ気合い入ってるよ」
「やったー! 遠慮しないで思いっきり食べていいってことですよね!」
「果林も高ピーもどんどん食べてよ。たくさん用意してるから多分満足してもらえると思うし、余ったら余ったで慧梨夏とカオルのお弁当になるから大丈夫です」
「アタシと高ピー先輩がいっちー先輩のごはんを余らせるワケないじゃないですか」
「それでね果林、今日の目玉はなんと」
「なんと?」
「こちら! 新鷺産高級米! 高ピーがスノボ旅行のお土産で買ってきてくれたんだよ~!」
「えーっ!? 高ピー先輩、そんないい物を寄贈してくれたんですか!? 米所の超高級米とか……普通に学生やってたんじゃなかなか食べられませんよ!」
「荒っぽく祝うっつったろ。御託はともかくまずは飯だ」
「さすが高ピー先輩! えー、タカちゃんも絶対驚きますよ。これ、いいお米があるってわかってたらゼミ合宿でご飯のおとももっとたくさん買って来とくんだったー」
「果林果林、ご飯だけじゃないよ。ケーキだって作ってあるんだから」
「えーっ!? 贅・沢!」
「俺は俺で普段は出来ないワルいこと、目一杯叩き込んでます」


end.


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高いお米をポンと買うのは高崎の財力。そしていちえりちゃんのワルいことがかわいい。
こっしーが休みの時って送迎はどうしたんだろうか。これまで通りちーちゃん? 他に通り道の人いるのかしら。

(phase3)

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