2025
■代替チョコの入手先
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「今日はお集まりいただきありがとうございます」
パロが岳の家でエプロンをしてこんなことを言う時はなーんか嫌な予感がするようになっちまった。俺はその予感を抱いた表情を隠すこともせずに、またロクでもない物を食わせるんじゃないだろうなと牽制する。人を実験台か何かだと思ってるんじゃないだろうな、死なないよな、腹壊さないよな、という恐怖が襲う。
野草の中には食える物があるということはもちろん知っている。メジャーどころではふきのとうによもぎ、わらびとかぜんまいもその類だ。ちょっとマイナーな物でも知る人ぞ知る美味い草はあるらしい。だけども、基本的には誰かが育てた野菜をスーパーとかで買って食うか、然るべきルートで調達された野菜などが適切に調理された状態で出て来る物を食うことがほとんどだ。
最近、パロは野草やキノコの観察が好きだという趣味を大々的に出して来るようになった。この間の謎のキノコグラタンが発端だ。確かにあのキノコグラタンはやたら美味かったし、後から大学の図書館でキノコの本を読んで調べてみたら、育て方が分かっていない高級キノコの仲間ではあるらしかった。でもよ。
「今日のは俺も手伝ったんだよね」
「お前も仕掛け人かよ!」
「がっくんのおかげで材料がたくさん手に入ったし、中に食べてもらって好評だったら僕ら3人以外の人にも試してみてもらおうかなあと思ってて」
「人を毒味役にすんなよ」
「毒味じゃないよ、毒はないってわかってるんだから」
「そーゆーコトじゃねーのよ」
「中が美味しいって言ったら俺は対策委員の会議に持って行こうかと思ってるんだよね」
「お前そのワケわかんないモンを他校の先輩らにも食わそうとしてんのかよ」
「いやいや、まずは1年生からだよ。でも、パロの作った物だし殿は信用して試してくれそうじゃない?」
「普段から殿とは料理の話もしてるからね。信用してくれてるといいんだけど」
「普通の料理と野草料理は別カテゴリーだろ」
岳もここのところは悪乗りが増えて来たと思う。俺も本来軽い感じのキャラクターでのらりくらり核心を避けてつかみどころのない奴のつもりでやってたけど、ガチモンには敵わないなと思ったのもここ最近のことだ。パロと岳が2人で盛り上がると斜め上の方に飛んで行ってツッコミ不在になる。良識の範疇で保たせるためには俺が止めないと、という使命感が生まれたところだ。
「今日作ったのはこれでーす」
「何だこれ、チョコ?」
「最近代替チョコって聞かない?」
「カカオを使わないチョコのことな? ちょっとチョコ食いたいなーと思っても値段バカ上がったもんなァ」
「チョコレートで大事になってくるのがココアバターの口どけとコク、それからカカオマスの味と香りね。それらをどう置き換えるかっていうところなんだけど、香りの成分が近いのがゴボウだってされてるね」
「ゴボウ!? って、あのゴボウか? きんぴらとかで食う」
「そう、あのゴボウだよ。で、ゴボウっぽい草って何かあるかなーって思って」
「いやお前そこはゴボウを買えよ」
「それは本末転倒だよ。で、完成したのがこれでーす」
「食わすのは説明してからにしろよ」
「言ったら食べてくれないかもだし」
「言わない方が食わねーよ」
「大丈夫だよ中、材料は俺も今まで見聞きしたことある物ばかりだったし、こないだのキノコグラタンのときほど未知への恐怖はないよ」
「お前は材料がわかってるからだろ」
チョコの値段が上がったのは普通に生活していて感じる。今までは100円しないで買えてた板チョコが200円近くになってたり。だから代替チョコを試してみようっていうのはまあわかる。問題はその試し方だ。既製品の代替チョコを食ってみる、じゃなくて代替チョコを自分でその辺の草を摘んで作ってみるっていうのがおかしいんだ。
「まあまあ、とりあえず食べてみてよ」
「もう1回聞くけど、毒はないな?」
「ないよ」
「……えーいっ」
意を決して丸い代替チョコらしき物体を口の中に放り入れる。食ってみると、味自体はナッツ? みたいな風味がして、食えないことはない。口どけは、食った瞬間にふわっと溶ける。なんならちょっと溶けすぎ。キノコの時もそうだったけど、パロのやり口は汚い。恐怖を煽っておいて、実は何ともありませんでしたーっていう安心感で結果を上乗せしようとするのが。
「俺も食べてみよーっと。ん、結構イケる!」
「よかったー。中、どう?」
「あー、まあ、食えるけど材料がわかんねートコが不満」
「材料は、ゴボウの代替にタンポポの根っこだね」
「ゴボウの代替じゃねーのよ」
「あと、油脂については今の季節だと菜種がなくって、ツバキ油で代用したよ」
「ツバキってどっちかってーと保湿成分とかで化粧品とかシャンプーとかに入ってるイメージだわ」
「実際そういう使われ方が多いね。でも、食用としても使われてるよ」
「つかタンポポって食えるのかよ」
「タンポポは全部が可食部だね。葉っぱとかはおひたしとか天ぷらにすると苦みが美味しいってタイプの葉っぱでね。野草の中では結構メジャーなヤツだね」
「中も知ってる草だったでしょ?」
「知ってる草ではあるけれども!」
知ってる草ではあるけど、いざ食う、食わされるとなったときに覚える恐怖感は、決して忘れちゃいけないモンだろう。それを忘れた奴から誤食で死んでいくんだ。まあ、パロはその辺わかってるから採る草と採らない草の分別を付けてるんだろうが。
「殿は野草を食べないらしくて、タンポポとつくしのおひたしの話をした時には驚いてたなあ。個人的には結構オススメなんだけど」
「食べる奴の方が少数派なんだよ」
「じゃあ今度は殿も一緒に食べたいねー」
「春の山菜大会かあ、いいね。そのときはまたがっくんの部屋を借りることになるかもだけど」
「全然大歓迎だよ! 中も山菜採りから参加だからね!」
「俺も参加なのかよ!」
end.
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山菜採りもしてそうだけど、タケノコ掘り大会なんかもやって欲しい中パロぴ。
野草からチョコレートっぽい物を作るのには結構な時間がかかるそうな。
(phase3)
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「今日はお集まりいただきありがとうございます」
パロが岳の家でエプロンをしてこんなことを言う時はなーんか嫌な予感がするようになっちまった。俺はその予感を抱いた表情を隠すこともせずに、またロクでもない物を食わせるんじゃないだろうなと牽制する。人を実験台か何かだと思ってるんじゃないだろうな、死なないよな、腹壊さないよな、という恐怖が襲う。
野草の中には食える物があるということはもちろん知っている。メジャーどころではふきのとうによもぎ、わらびとかぜんまいもその類だ。ちょっとマイナーな物でも知る人ぞ知る美味い草はあるらしい。だけども、基本的には誰かが育てた野菜をスーパーとかで買って食うか、然るべきルートで調達された野菜などが適切に調理された状態で出て来る物を食うことがほとんどだ。
最近、パロは野草やキノコの観察が好きだという趣味を大々的に出して来るようになった。この間の謎のキノコグラタンが発端だ。確かにあのキノコグラタンはやたら美味かったし、後から大学の図書館でキノコの本を読んで調べてみたら、育て方が分かっていない高級キノコの仲間ではあるらしかった。でもよ。
「今日のは俺も手伝ったんだよね」
「お前も仕掛け人かよ!」
「がっくんのおかげで材料がたくさん手に入ったし、中に食べてもらって好評だったら僕ら3人以外の人にも試してみてもらおうかなあと思ってて」
「人を毒味役にすんなよ」
「毒味じゃないよ、毒はないってわかってるんだから」
「そーゆーコトじゃねーのよ」
「中が美味しいって言ったら俺は対策委員の会議に持って行こうかと思ってるんだよね」
「お前そのワケわかんないモンを他校の先輩らにも食わそうとしてんのかよ」
「いやいや、まずは1年生からだよ。でも、パロの作った物だし殿は信用して試してくれそうじゃない?」
「普段から殿とは料理の話もしてるからね。信用してくれてるといいんだけど」
「普通の料理と野草料理は別カテゴリーだろ」
岳もここのところは悪乗りが増えて来たと思う。俺も本来軽い感じのキャラクターでのらりくらり核心を避けてつかみどころのない奴のつもりでやってたけど、ガチモンには敵わないなと思ったのもここ最近のことだ。パロと岳が2人で盛り上がると斜め上の方に飛んで行ってツッコミ不在になる。良識の範疇で保たせるためには俺が止めないと、という使命感が生まれたところだ。
「今日作ったのはこれでーす」
「何だこれ、チョコ?」
「最近代替チョコって聞かない?」
「カカオを使わないチョコのことな? ちょっとチョコ食いたいなーと思っても値段バカ上がったもんなァ」
「チョコレートで大事になってくるのがココアバターの口どけとコク、それからカカオマスの味と香りね。それらをどう置き換えるかっていうところなんだけど、香りの成分が近いのがゴボウだってされてるね」
「ゴボウ!? って、あのゴボウか? きんぴらとかで食う」
「そう、あのゴボウだよ。で、ゴボウっぽい草って何かあるかなーって思って」
「いやお前そこはゴボウを買えよ」
「それは本末転倒だよ。で、完成したのがこれでーす」
「食わすのは説明してからにしろよ」
「言ったら食べてくれないかもだし」
「言わない方が食わねーよ」
「大丈夫だよ中、材料は俺も今まで見聞きしたことある物ばかりだったし、こないだのキノコグラタンのときほど未知への恐怖はないよ」
「お前は材料がわかってるからだろ」
チョコの値段が上がったのは普通に生活していて感じる。今までは100円しないで買えてた板チョコが200円近くになってたり。だから代替チョコを試してみようっていうのはまあわかる。問題はその試し方だ。既製品の代替チョコを食ってみる、じゃなくて代替チョコを自分でその辺の草を摘んで作ってみるっていうのがおかしいんだ。
「まあまあ、とりあえず食べてみてよ」
「もう1回聞くけど、毒はないな?」
「ないよ」
「……えーいっ」
意を決して丸い代替チョコらしき物体を口の中に放り入れる。食ってみると、味自体はナッツ? みたいな風味がして、食えないことはない。口どけは、食った瞬間にふわっと溶ける。なんならちょっと溶けすぎ。キノコの時もそうだったけど、パロのやり口は汚い。恐怖を煽っておいて、実は何ともありませんでしたーっていう安心感で結果を上乗せしようとするのが。
「俺も食べてみよーっと。ん、結構イケる!」
「よかったー。中、どう?」
「あー、まあ、食えるけど材料がわかんねートコが不満」
「材料は、ゴボウの代替にタンポポの根っこだね」
「ゴボウの代替じゃねーのよ」
「あと、油脂については今の季節だと菜種がなくって、ツバキ油で代用したよ」
「ツバキってどっちかってーと保湿成分とかで化粧品とかシャンプーとかに入ってるイメージだわ」
「実際そういう使われ方が多いね。でも、食用としても使われてるよ」
「つかタンポポって食えるのかよ」
「タンポポは全部が可食部だね。葉っぱとかはおひたしとか天ぷらにすると苦みが美味しいってタイプの葉っぱでね。野草の中では結構メジャーなヤツだね」
「中も知ってる草だったでしょ?」
「知ってる草ではあるけれども!」
知ってる草ではあるけど、いざ食う、食わされるとなったときに覚える恐怖感は、決して忘れちゃいけないモンだろう。それを忘れた奴から誤食で死んでいくんだ。まあ、パロはその辺わかってるから採る草と採らない草の分別を付けてるんだろうが。
「殿は野草を食べないらしくて、タンポポとつくしのおひたしの話をした時には驚いてたなあ。個人的には結構オススメなんだけど」
「食べる奴の方が少数派なんだよ」
「じゃあ今度は殿も一緒に食べたいねー」
「春の山菜大会かあ、いいね。そのときはまたがっくんの部屋を借りることになるかもだけど」
「全然大歓迎だよ! 中も山菜採りから参加だからね!」
「俺も参加なのかよ!」
end.
++++
山菜採りもしてそうだけど、タケノコ掘り大会なんかもやって欲しい中パロぴ。
野草からチョコレートっぽい物を作るのには結構な時間がかかるそうな。
(phase3)
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