2025
■転生後のPR
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代替わり後2回目の定例会。インターフェイス的にはあまり大きな行事は控えていないので、ささやかな活動報告や作品出展の話が主になりそう。あと、FMにしうみで始まる番組についての報告とか。強いて言えばこないだ対策委員主催で行われた飲み会での出来事に関して何か報告があるのかないのか……というところかな。
「定例会です。さっそくですけれど、青葉女学園大学を代表して、先日の夢子の件で、中さんをはじめ、皆様に深くお詫び申し上げます」
「エマさんに謝ってもらってもなあって気持ちはあるけど、そういうこともある職業だって、改めて学習したんで」
「エマ、琉生が夢子との同班拒否出したから、一応報告しとく」
「ええ、わかりましたわ」
あの後、MBCCのサークルでも中が水をぶっかけられた時の話になった。だけど、中本人も水をかけられたことよりちむりーまで巻き込まれたことに対してふざけんなって言っていたし、琉生もどちらかと言えばそれで怒っていた。中が水をかけられたことに対しては、「中は調子いいこと言ってることもあるし、なくはないから様子を見てた」そうだ。
「彼女からインターフェイスの皆様に対する動画のメッセージを預かっておりますの。ですけれど多忙だったものでわたくしも内容はまだ確認していませんけれど、きっとご迷惑をお掛けしたことに対する謝罪と信じて、この場で流してもよろしくて?」
会議室のモニターにエマのスマホを繋いで、夢子から届いたという動画を再生する。
『みなさぁん、はじめましてぇ~。愛と希望の光、愛紗だよお。これからインターフェイスの仲間入りをするから、イベントで会ったら優しくお迎えして欲しいなっ。愛紗のSNSをフォローと拡散して待っててね~』
ほぼ全員固まってるけど、そうだよね。エマが物凄く頭を抱えている。珍しい物を見た。
「はあ?」
「や、すず、俺のリアクションのやり場がなくなるんだわ」
「内容を確認しておけばよかったですわね……重ね重ね大変申し訳ございませんでした」
「エマ先輩、夢子が愛紗に転生したこと、忘れてた感じですか?」
「ごめんあそばせ。すっかりど忘れしていましたのよ」
「あの、あたしから説明しますね。あの後、夢子は愛紗に転生したっていう体で、夢子名義でやってたことは完全に抹消されたとかで記憶もない体で、新しく活動を始めたっていう設定らしいんです? こんなことどう説明したらいいかわかんないんですけど」
この展開に青女勢も正直困惑しているとかで、こないだから夢子に対してブチ切れてるすずも、エマとゆめに対して詰め寄ることはさすがにしない。何ならこんなの持たされて被害者じゃん! とまで言っている。
「要は、魂のロンダリングってことか?」
「多分今回は、奏多の表現が合ってそうな雰囲気はある」
「ゆーてサキちー、夢子だかアーシャだか知らねーが、中身は一緒なんだろ?」
「まあ、一緒だろうね」
「すずを筆頭に、今後インターフェイスの活動の中で奴と関わりを持たねえって宣言した奴は何人もいる。記憶はありません、夢子は抹消されましたっつったところで、本人の希望通り優しく迎える人間がどんだけいるよ。だったらまだ夢子のままちゃんとケジメつけてた方が望みはあっただろ」
奏多をはじめ事件に直接関係しなかった人も、夢子のこの動画メッセージには引いている。それこそ奏多の言うように、夢子のままケジメを付けるべきではあった。いや、夢子も所詮は作られたキャラクターに過ぎないのだから、それらを演じている弥彦天香本人が出てこないと、話は拗れる一方だ。
「一応お訊ねしますけれど、今後インターフェイスの行事などで、夢子と活動をしたくないと仰っている方は、何人に上りました?」
「ウチははっきりとNGを出したのは琉生だけだけど、中とは近付けない方がいいだろうし、ちむりーも、一応。それから、くるみも」
「サキ、それ、言っちゃって大丈夫か。あんまり大きな声では言えないって言ってたじゃんか」
「インターフェイスには共有すべき話でしょ。くるみは、ファンフェスとかでもし一緒になったら厳しいって。多分、去年の夏のことを思い出したんだと思う」
「……ですわよね。くるみさんの事情は分かりますわ。他の大学は、いかがですの? 遠慮なく申し付けてくださいまし」
「かっすー、誰か何か言ってたか?」
「いや、特にまだ」
「じゃウチは内心どうあれギリセーフって感じか?」
「あ、あの……俺は、正直……」
「お前のはいつものだろ」
「そ、そんな……」
NGを出した人は論外として、NGを出さなかったからと言って、快く受け入れられるかはまた別の問題だ。それでなくても、夢子の時から扱いにくいキャラクターであることには違いなかった。夏合宿では、たまたま班のみんなの口数が少なかったからトラブルが起きなかっただけ。愛紗になって、あの厚かましい感じで行くなら、トラブルが増えそうだ。
「ウチは、がっくんがあんまりいい反応をしてなかったです。逆恨みで中に酷いことをしておいて、謝りもしないのがおかしいって」
「そーよなあ! さすが岳!」
「でしょぉ~? がくぴは最強にきゃわだから!」
「え、そしたらパロは!? 夏合宿同班の絆ってモンはなかったのかよ! 向島さん、パロから何か聞いてません?」
「パロはこんなとき、怒るより先に困り散らかすんじゃね?」
「あと、一応相手の正義も考えるタイプではあるっぽいし」
「アイツはムダに優しすぎんだ! そこは俺の心配だけでオッケーだっつのに!」
「アイツが優しすぎるっつーのには同意だな」
「でしょ!? いやーさすが松兄! わかってますわァ」
「中、あまり奏多を乗せないで。琉生に言って水ぶっかけてもらうよ」
「サキ先輩こっわ!」
end.
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この後に三井サンの事件が起こるので夢子もとい愛紗の話は薄くなっていきそう
(phase3)
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代替わり後2回目の定例会。インターフェイス的にはあまり大きな行事は控えていないので、ささやかな活動報告や作品出展の話が主になりそう。あと、FMにしうみで始まる番組についての報告とか。強いて言えばこないだ対策委員主催で行われた飲み会での出来事に関して何か報告があるのかないのか……というところかな。
「定例会です。さっそくですけれど、青葉女学園大学を代表して、先日の夢子の件で、中さんをはじめ、皆様に深くお詫び申し上げます」
「エマさんに謝ってもらってもなあって気持ちはあるけど、そういうこともある職業だって、改めて学習したんで」
「エマ、琉生が夢子との同班拒否出したから、一応報告しとく」
「ええ、わかりましたわ」
あの後、MBCCのサークルでも中が水をぶっかけられた時の話になった。だけど、中本人も水をかけられたことよりちむりーまで巻き込まれたことに対してふざけんなって言っていたし、琉生もどちらかと言えばそれで怒っていた。中が水をかけられたことに対しては、「中は調子いいこと言ってることもあるし、なくはないから様子を見てた」そうだ。
「彼女からインターフェイスの皆様に対する動画のメッセージを預かっておりますの。ですけれど多忙だったものでわたくしも内容はまだ確認していませんけれど、きっとご迷惑をお掛けしたことに対する謝罪と信じて、この場で流してもよろしくて?」
会議室のモニターにエマのスマホを繋いで、夢子から届いたという動画を再生する。
『みなさぁん、はじめましてぇ~。愛と希望の光、愛紗だよお。これからインターフェイスの仲間入りをするから、イベントで会ったら優しくお迎えして欲しいなっ。愛紗のSNSをフォローと拡散して待っててね~』
ほぼ全員固まってるけど、そうだよね。エマが物凄く頭を抱えている。珍しい物を見た。
「はあ?」
「や、すず、俺のリアクションのやり場がなくなるんだわ」
「内容を確認しておけばよかったですわね……重ね重ね大変申し訳ございませんでした」
「エマ先輩、夢子が愛紗に転生したこと、忘れてた感じですか?」
「ごめんあそばせ。すっかりど忘れしていましたのよ」
「あの、あたしから説明しますね。あの後、夢子は愛紗に転生したっていう体で、夢子名義でやってたことは完全に抹消されたとかで記憶もない体で、新しく活動を始めたっていう設定らしいんです? こんなことどう説明したらいいかわかんないんですけど」
この展開に青女勢も正直困惑しているとかで、こないだから夢子に対してブチ切れてるすずも、エマとゆめに対して詰め寄ることはさすがにしない。何ならこんなの持たされて被害者じゃん! とまで言っている。
「要は、魂のロンダリングってことか?」
「多分今回は、奏多の表現が合ってそうな雰囲気はある」
「ゆーてサキちー、夢子だかアーシャだか知らねーが、中身は一緒なんだろ?」
「まあ、一緒だろうね」
「すずを筆頭に、今後インターフェイスの活動の中で奴と関わりを持たねえって宣言した奴は何人もいる。記憶はありません、夢子は抹消されましたっつったところで、本人の希望通り優しく迎える人間がどんだけいるよ。だったらまだ夢子のままちゃんとケジメつけてた方が望みはあっただろ」
奏多をはじめ事件に直接関係しなかった人も、夢子のこの動画メッセージには引いている。それこそ奏多の言うように、夢子のままケジメを付けるべきではあった。いや、夢子も所詮は作られたキャラクターに過ぎないのだから、それらを演じている弥彦天香本人が出てこないと、話は拗れる一方だ。
「一応お訊ねしますけれど、今後インターフェイスの行事などで、夢子と活動をしたくないと仰っている方は、何人に上りました?」
「ウチははっきりとNGを出したのは琉生だけだけど、中とは近付けない方がいいだろうし、ちむりーも、一応。それから、くるみも」
「サキ、それ、言っちゃって大丈夫か。あんまり大きな声では言えないって言ってたじゃんか」
「インターフェイスには共有すべき話でしょ。くるみは、ファンフェスとかでもし一緒になったら厳しいって。多分、去年の夏のことを思い出したんだと思う」
「……ですわよね。くるみさんの事情は分かりますわ。他の大学は、いかがですの? 遠慮なく申し付けてくださいまし」
「かっすー、誰か何か言ってたか?」
「いや、特にまだ」
「じゃウチは内心どうあれギリセーフって感じか?」
「あ、あの……俺は、正直……」
「お前のはいつものだろ」
「そ、そんな……」
NGを出した人は論外として、NGを出さなかったからと言って、快く受け入れられるかはまた別の問題だ。それでなくても、夢子の時から扱いにくいキャラクターであることには違いなかった。夏合宿では、たまたま班のみんなの口数が少なかったからトラブルが起きなかっただけ。愛紗になって、あの厚かましい感じで行くなら、トラブルが増えそうだ。
「ウチは、がっくんがあんまりいい反応をしてなかったです。逆恨みで中に酷いことをしておいて、謝りもしないのがおかしいって」
「そーよなあ! さすが岳!」
「でしょぉ~? がくぴは最強にきゃわだから!」
「え、そしたらパロは!? 夏合宿同班の絆ってモンはなかったのかよ! 向島さん、パロから何か聞いてません?」
「パロはこんなとき、怒るより先に困り散らかすんじゃね?」
「あと、一応相手の正義も考えるタイプではあるっぽいし」
「アイツはムダに優しすぎんだ! そこは俺の心配だけでオッケーだっつのに!」
「アイツが優しすぎるっつーのには同意だな」
「でしょ!? いやーさすが松兄! わかってますわァ」
「中、あまり奏多を乗せないで。琉生に言って水ぶっかけてもらうよ」
「サキ先輩こっわ!」
end.
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この後に三井サンの事件が起こるので夢子もとい愛紗の話は薄くなっていきそう
(phase3)
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