2025
■Let's get the job done.
++++
今日はサークルの時間に焚き火で焼き芋をやるということで、さっそくその準備に取り掛かることになった。焼き芋をやりますと最初に聞いた時は、放送サークルで焼き芋? と不思議には思ったけど、そもそも俺たちが入学する前のMMPは放送以外の行事も頻繁に行われていたそうだ。焚き火での焼き芋も数ある行事のひとつ。
サツマイモは殿が育てたものを持って来てくれるそうで、焼く前の準備もしてくれるそうだ。殿と一緒に芋の準備をする係はジャックとうっしー。そして、肝心の焚き火に必要な薪などを集める係はパロをリーダーに、俺とツッツで編成されることとなった。2、3時間の焚き火に耐え得る量の薪集めか。皆目見当もつかないが。
「パロ、やれることはやるけどどうして薪集め隊に俺たちを指名したんだ?」
「うん。あ、嫌なワケじゃないけど……」
「山を歩くから単純に体力がある方がいいっていうのと、ツッツは木材の知識があるから活躍してもらえるかなって」
「焚き火に木材の種類が関係して来るのか」
「時間もないし、声を出して話すなら山の中の方が得だから、さっそく行こうか。はい、2人の軍手と、肥料袋ね。これに枝とかを入れてもらって」
パロがとても生き生きしている。もらった軍手を付けて、さっそくサークル棟裏の山に分け入っていく。一歩一歩進む度に乾いた落ち葉がカサカサと音を立て、整備された道とは違うことを実感する。普段学部棟からサークル棟に来る時の上り坂は遊歩道のように整備されているけど、ここは全く手つかずの自然だ。
「焚き火の時は、まず火がつきやすい材料を集めるとよくって、松ぼっくりとかがあればベストかな。あとはスギの枯れ葉。その次に細い枝、中くらいの枝、太い枝、っていう感じでどんどん火を大きく、安定させていくって感じ」
「パロ、詰まってる木とかは、やっぱり後ろの方に持ってくのがいいんでしょ?」
「そうだね。最初はやわらかくて油分の多い木が向いてるって言われてるよ」
「じゃあ、この辺にありそうな木なら、スギとかマツかな」
「うーん、見る感じ、そうだね」
「この辺て意外と広葉樹と針葉樹の分布と言うか植生? のバランスがいいよね」
「わかるー。だから紅葉とか見てて楽しいんだけど」
俺にはツッツとパロが何を話しているのかさっぱりわからないのだけど、どうやら木の種類によって火の付きやすさや持続性に違いがあるらしい。スギやマツなどはやわらかくて火が付きやすいけれども密度が低いのですぐ燃え尽き、カシ、ナラ、クヌギなどは硬くて重いので火が付きにくい代わりに一度火が付いてしまえば長持ちするんそうだ。
俺はもちろん木の見分け方なんか知らないので、膝の上でパキッと折った時の感覚で何となく判断すればいいよとアドバイスをもらった。この間にもパロとツッツのプロ2人は俺が聞いたこともない言葉を飛ばしながらああだこうだと話し合っている。あと、膝で枝を折るのは乾ききった物なら楽しいけど、硬くて生っぽい物は少し痛いということを知る。
「パロ、ここ、松ぼっくりがたくさんあるよ」
「じゃあ、僕のこっちの袋にいれよっか。この袋、焚き付け用にしてるから」
「葉っぱと細い枝も入れとくね」
「ありがとー」
「パロについて歩くのにやっとで気付いてなかったけど、結構山の中に入り込んでるな。すごい斜面だし」
「今はまだ日没してなくて明るいから、遠くで燃料を集めた方が良いんだよね。体力がある方がいいっていうのはそういうこと」
「大学の敷地だってわかってるから、安心だけど……知らない場所だと、少し怖かったかも……」
「まさかとは思うけど、クマなんか出ないよな?」
「ひっ…!」
最近ではクマによる人身被害がよくニュースになっているけど、向島エリアでは全くないと言い切れるのかはわからない。星港市内ならあまり考えなくてもいいだろうけど、ここは豊葦市。と言うか大学構内が結構な山の中にある。もしかしたら、向島エリア内では比較的クマとの遭遇確率が高い場所なのでは?
「豊葦市内でも少し目撃情報はあるけどもっと深い山の方の話だよ。3人固まって行動してるし喋りながら来てるから。一応クマ撃退スプレーは持って来てるし」
「さ、さすがパロ……」
「声の大きさだけならジャックとうっしーの方が良かったかもだけど、この山を散策するならやっぱりジュンとツッツの方が素早く仕事出来そうだから。さ、どんどん薪を集めよう」
序盤の燃料は粗方集まったので、帰りながら中盤以降に使う硬くて重い枝を中心に集めていく。ただ、帰りは登りなので、荷物を持ちながらだとこれが結構キツい。だけどパロは枝を杖代わりにすることもなく脚だけでグイグイと登っていく。俺とツッツがひいひい言いながら落ち葉で滑る斜面でバランスを取っているのに。特殊な靴でもなかったよな?
「薪集め隊、ただ今戻りましたー。とりぃ先輩、燃料です」
「ありがとうございます。こんなにたくさん! すごいですね!」
「ジュンとツッツが大活躍してくれました」
「な、何でパロは疲れてないんだ……」
「体幹が鬼」
俺たちが山から戻ると、先輩たちが会場のセッティングをしてくれていた。そして今日はすがやん先輩や4年生の先輩も招待されているとのこと。とは言え一応は放送サークルなので発声練習くらいはやっておきましょうということになっている。この発声練習もクマ避けになればいいが。あと、パロの体幹はマジで鬼。
「山歩きで疲れたからこそ焼き芋が楽しみだ」
「うん、わかるよ。いい火になればいいけど……」
end.
++++
今回のツッツは木関係の話題なので少々口数が多め。
クマの心配をするジュンはここでも心配性。
(phase3)
.
++++
今日はサークルの時間に焚き火で焼き芋をやるということで、さっそくその準備に取り掛かることになった。焼き芋をやりますと最初に聞いた時は、放送サークルで焼き芋? と不思議には思ったけど、そもそも俺たちが入学する前のMMPは放送以外の行事も頻繁に行われていたそうだ。焚き火での焼き芋も数ある行事のひとつ。
サツマイモは殿が育てたものを持って来てくれるそうで、焼く前の準備もしてくれるそうだ。殿と一緒に芋の準備をする係はジャックとうっしー。そして、肝心の焚き火に必要な薪などを集める係はパロをリーダーに、俺とツッツで編成されることとなった。2、3時間の焚き火に耐え得る量の薪集めか。皆目見当もつかないが。
「パロ、やれることはやるけどどうして薪集め隊に俺たちを指名したんだ?」
「うん。あ、嫌なワケじゃないけど……」
「山を歩くから単純に体力がある方がいいっていうのと、ツッツは木材の知識があるから活躍してもらえるかなって」
「焚き火に木材の種類が関係して来るのか」
「時間もないし、声を出して話すなら山の中の方が得だから、さっそく行こうか。はい、2人の軍手と、肥料袋ね。これに枝とかを入れてもらって」
パロがとても生き生きしている。もらった軍手を付けて、さっそくサークル棟裏の山に分け入っていく。一歩一歩進む度に乾いた落ち葉がカサカサと音を立て、整備された道とは違うことを実感する。普段学部棟からサークル棟に来る時の上り坂は遊歩道のように整備されているけど、ここは全く手つかずの自然だ。
「焚き火の時は、まず火がつきやすい材料を集めるとよくって、松ぼっくりとかがあればベストかな。あとはスギの枯れ葉。その次に細い枝、中くらいの枝、太い枝、っていう感じでどんどん火を大きく、安定させていくって感じ」
「パロ、詰まってる木とかは、やっぱり後ろの方に持ってくのがいいんでしょ?」
「そうだね。最初はやわらかくて油分の多い木が向いてるって言われてるよ」
「じゃあ、この辺にありそうな木なら、スギとかマツかな」
「うーん、見る感じ、そうだね」
「この辺て意外と広葉樹と針葉樹の分布と言うか植生? のバランスがいいよね」
「わかるー。だから紅葉とか見てて楽しいんだけど」
俺にはツッツとパロが何を話しているのかさっぱりわからないのだけど、どうやら木の種類によって火の付きやすさや持続性に違いがあるらしい。スギやマツなどはやわらかくて火が付きやすいけれども密度が低いのですぐ燃え尽き、カシ、ナラ、クヌギなどは硬くて重いので火が付きにくい代わりに一度火が付いてしまえば長持ちするんそうだ。
俺はもちろん木の見分け方なんか知らないので、膝の上でパキッと折った時の感覚で何となく判断すればいいよとアドバイスをもらった。この間にもパロとツッツのプロ2人は俺が聞いたこともない言葉を飛ばしながらああだこうだと話し合っている。あと、膝で枝を折るのは乾ききった物なら楽しいけど、硬くて生っぽい物は少し痛いということを知る。
「パロ、ここ、松ぼっくりがたくさんあるよ」
「じゃあ、僕のこっちの袋にいれよっか。この袋、焚き付け用にしてるから」
「葉っぱと細い枝も入れとくね」
「ありがとー」
「パロについて歩くのにやっとで気付いてなかったけど、結構山の中に入り込んでるな。すごい斜面だし」
「今はまだ日没してなくて明るいから、遠くで燃料を集めた方が良いんだよね。体力がある方がいいっていうのはそういうこと」
「大学の敷地だってわかってるから、安心だけど……知らない場所だと、少し怖かったかも……」
「まさかとは思うけど、クマなんか出ないよな?」
「ひっ…!」
最近ではクマによる人身被害がよくニュースになっているけど、向島エリアでは全くないと言い切れるのかはわからない。星港市内ならあまり考えなくてもいいだろうけど、ここは豊葦市。と言うか大学構内が結構な山の中にある。もしかしたら、向島エリア内では比較的クマとの遭遇確率が高い場所なのでは?
「豊葦市内でも少し目撃情報はあるけどもっと深い山の方の話だよ。3人固まって行動してるし喋りながら来てるから。一応クマ撃退スプレーは持って来てるし」
「さ、さすがパロ……」
「声の大きさだけならジャックとうっしーの方が良かったかもだけど、この山を散策するならやっぱりジュンとツッツの方が素早く仕事出来そうだから。さ、どんどん薪を集めよう」
序盤の燃料は粗方集まったので、帰りながら中盤以降に使う硬くて重い枝を中心に集めていく。ただ、帰りは登りなので、荷物を持ちながらだとこれが結構キツい。だけどパロは枝を杖代わりにすることもなく脚だけでグイグイと登っていく。俺とツッツがひいひい言いながら落ち葉で滑る斜面でバランスを取っているのに。特殊な靴でもなかったよな?
「薪集め隊、ただ今戻りましたー。とりぃ先輩、燃料です」
「ありがとうございます。こんなにたくさん! すごいですね!」
「ジュンとツッツが大活躍してくれました」
「な、何でパロは疲れてないんだ……」
「体幹が鬼」
俺たちが山から戻ると、先輩たちが会場のセッティングをしてくれていた。そして今日はすがやん先輩や4年生の先輩も招待されているとのこと。とは言え一応は放送サークルなので発声練習くらいはやっておきましょうということになっている。この発声練習もクマ避けになればいいが。あと、パロの体幹はマジで鬼。
「山歩きで疲れたからこそ焼き芋が楽しみだ」
「うん、わかるよ。いい火になればいいけど……」
end.
++++
今回のツッツは木関係の話題なので少々口数が多め。
クマの心配をするジュンはここでも心配性。
(phase3)
.