2025

■バターのお菓子ってすっごい!

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 今年もたくさんのジャガイモをありがとうございました、と向島さんから菓子折りをいただいてしまった。これは毎度毎度言っていることだけど、情報センターを埋め尽くしているジャガイモをどうにかしてくれることが人助けなので、引き取ってもらえただけでこちらサイドとしては足を向けて寝られないんだ。
 定例会の時にもそういう説明は奈々にしてるんだけど、たとえそうだったとしても星大さんのジャガイモなしにウチの食品ブースは成り立たなかったから、お礼だけはさせてッと押し切られてしまった。それを無碍にすることも出来ないので、センターのみんなでいただきます、とありがたく受け取って来た。

「カナコさーん、今年も向島さんからジャガイモのお礼にって菓子折りをいただいたので、食べてくださーい」
「ミドリくんありがとー。えっ、すっごいオシャレな包み。どこのお菓子だろ。これ絶対デパ地下とかだよね?」
「確かに何かすっごいですよね」

 定例会の前に奈々と松兄でサクッと選んでくれたそうだけど、お礼のグレードが高い! 前にいただいたお茶の味の一口バウムロールみたいなのは、みんなでいくつか分け合って~っていうのがやりやすい感じだったけど、今回のはとにかくオシャレ! 外装だけじゃ何かわからないし書かれている言語が何語かもわからない! じゃあ英語じゃないかも!

「香りが凄い! ミドリくん見て見て、ガレットだよ!」
「わー、バターの香りがふわ~っとして、これは間違いなく幸せのヤツですね!」
「ミドリくんバター系統のお菓子好きだもんね」
「あっでも北辰のバターサンドが終身名誉1位ですよ」
「知ってる知ってる。何個入ってるのかな、今いるスタッフが7人だから、えーっと」
「16個入ってるっぽいので1人2個で、余り2ですね」

 香りが美味しすぎて毒なので、缶の蓋は閉じておく。誘惑がすンごいんだから。毎回思うけど向島さんの手土産ってセンスがいいんだよね。油断するとお茶会サークルになるUHBCのメンバーとしては必要なスキルだったかもしれない。サークルの方は一応代替わりしたからあと数えるくらいしか行く機会もないかもだけど。

「この余り2はどうします?」
「それは、向島さんにジャガイモのケースを運搬してくれたミドリくんとがっくんで分けるのがいいと思うよ」
「そうですか?」
「うんうん。ジャガイモのお礼って体なんだから」
「一応那須田さんのことも一瞬考えましたけど」
「那須田さんよりは伊指さんにあげたくない?」
「わかんないでもないです」
「まあまあ、ここはミドリくんとがっくんで分けちゃってよ」
「それじゃあ、お言葉に甘えていただいちゃいますね。あと、がっくんの分がプラス1個、っと」

 缶の蓋に、1人2個(がっくんは3個(※ジャガイモ運搬ボーナス!))どうぞと書いた付箋をペタッと貼って机に置いておく。これでみんなちょっとしたときに食べてくれるかな。ちなみに、秋学期の履修登録のときもお世話になっていたのは所長の那須田さんではなく教務課の伊指さんでした! 本当に、どっちが所長なんだか! 那須田さんが次にセンターに来るのはどうせ年賀状の宛名書きを頼みに来る時なんだろうなあ。

「そう言えば、向島さんてこのジャガイモでフライドポテトを作ったって話なんだよね」
「そうらしいですねー。結構人気らしいですよー」
「そりゃそうだよー、あったら食べちゃうよー」
「しかも北辰のジャガイモをこれでもかと贅沢に使ってますからね。Sサイズが100円でMサイズが200円だったかな? そういう価格設定だって聞きました」
「私、他の大学の学祭どころか星大の学祭すらとうとうまともに回れなかったんだよね」
「えっ、そうなんですか!?」
「大学祭は学祭公演やってるからね」
「あっ、演劇部の活動で忙しいからってことですね」
「そうそう。だからそれこそ大学祭ってメディアからの情報でしか知らないんだよね。基本的にずっと講堂にいるからね」

 だからと言ってそれが辛かったというワケでもなく、カナコさんは演劇部の看板女優として、星大演劇部の公演を見に来てくれる人に精一杯の舞台をお見せすることが何より楽しいんだそうだ。そんなカナコさんが立つのは冬公演と卒業公演の2本。就職もお芝居の道だそうだから、本当に覚悟を決めてるんだなって。

「カナコさんて大学祭の期間中はシフト入れないって言ってたじゃないですか」
「うん、そうだね。申し訳なさはあったけど」
「実は他のメンバーもちょこちょこサークルとかバンドの関係でシフトに入れませんって言って来てて」
「って言うか大学祭の期間中にセンター開放することある? って感じではあるよね」
「そうなんですよね。実際利用者なんか来ませんから。仕方ないのでそこまでカツカツじゃないUHBCの俺とアオとがっくんの3人で回すっていう。で、余裕が出来た人が外のテントで適当に食べ物を買って来て~みたいなことをやってました」
「じゃあミドリくんも学祭巡りはあんまり出来てないんだ」
「そうですね、今年は出来なかったですね。センターに缶詰めでした。春山さんと林原さんもこんな感じだったのかなあ」

 ――と思ったけど、俺が1年の時はあの2人がバンドの練習とかで学祭前にちょこちょこいないこともあったので、何だかんだ充実した学祭ライフを送ってたんだなあと思い出す。

「何かちょっと空しくなっちゃったんでガレット食べちゃお。いただきまーす」
「ミドリくん、どう? 美味しい?」
「ん~!? これはとんでもないです! 一瞬で空しさを忘れました! 奈々ー! 松兄ー! ありがとー!」


end.


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ちょっとした空しさだけなら美味しいものを食べれば一瞬で元気になるミドリがかわいい。
ガチな時だとちょっとやそっとじゃ元気になれないし、こういうことがあってもいい。

(phase3)

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