2025

■役職は適材適所で

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「それでは、定例会を始めます」

 インターフェイスの定例会は11月で代替わりをするらしい。加盟大学の多くがそうであるように、大学祭と同じタイミングでインターフェイスの方も頭が変わるそうだ。例外が対策委員で、そっちは年度末での代替わりになるそうだ。
 定例会の次期役職は、代々3年の人らで話し合って決めるそうだ。一方対策委員は、自分たちで話し合って決めるらしい。一長一短ではあるがこっちは定例会だし、今からその制度に異を唱えるつもりもないので余程のことがない限りは発表されるそれを受け入れる。

「今日の本題は定例会の引継になるのかな。これから役職を発表していくんだけど、これまでとの変更点があるのでそれだけお知らせします」

 インターフェイスでも動画チャンネルを活用したりする機会が出てきたということで、これらを統括管理する人間が必要なんじゃないかとミドリさんらは話し合ったそうだ。それで、今度からは映像関係を担当する役職を設立した、と。便宜上役職こそ作ったが、基本的にはみんなで話し合って運営方針を決めて欲しいことには変わりないそうだ。

「それで、その映像関係の仕事は、最初はやっぱり青敬さんにお願いするのがいいのかなということで、雨竜にやってもらいたいと思ってます」
「おー、いいんすか!」
「最初が肝心だしね」
「バシッと任せてくださいよ! ……って、具体的に何すんのかビミョーなんすけど。チャンネルの運営とか?」
「チャンネルの管理だとか、映像作品制作環境の整備になるのかな。ラジオの機材はあるけど映像の環境はインターフェイスじゃまだまだ整ってないでしょ」
「そっすね」
「何にどれくらいお金を使えるのか、どういうペースで、どんな作品をチャンネルに投稿していくのかとか。この係の人が考えられることはいろいろあるけど、最初だからまずは思いつくことを出してもらえれば」

 作品制作という意味ではファンフェスでやった番組の切り抜き版をインターフェイスチャンネルにアップしたりしてたそうだが、そういう動画の編集などをやることになるのだろうか。それ以外にも、作品出展の要領で外に出せる作品を上げたりも出来そうだ。

「機材管理担当とシステム開発担当が、引き続きサキと松兄で」
「わかってたし仕方ないとは言え、嫌すぎる」
「諦めろよサキちー。一蓮托生だ」

 定例会の俺らの学年には純粋にミキサーだけやってる奴が全然いない。俺が定例会に行けと言われたのはそういう理由だ。それでいて、今の4年生の代くらいから始まった音源管理システムなんかの開発がやれるのも俺とサキちーだって感じで、サキちーとは何かと一緒になることが多い。
 正直、映像関係の役職に雨竜が収まることと、機材・システム担当が俺とサキちーになるのは既定路線だから何の驚きもないし賛成も反対もない。それらはそういうモンで、問題はここから。ミドリさんら3年生が何をどう考えたのかが見えてくる頃合いだ。

「それで、議長はエマにお願いしたいと思ってます」

 これには、会議室がザワツいた。これまで聞いた話によれば、インターフェイス関係の役職は大体緑ヶ丘か向島の人間がトップに立ち、その活動を牽引してきたと。つまり定石では残る議長候補がかっすーとすがやんだったワケだ。ここでエマ。これは面白くなってきやがった。
 そもそも役職ってのは適材適所である必要があって、肩書きだとか属性による消去法で埋めるモンじゃないと俺は考えている。どこ大だ、男だ女だ、歳はいくつで在籍何年だ? しょーもねえ。能力で測られるべきだろ。消去法で椅子を埋めて、真に有能な奴が埋もれちゃお笑いだ。

「インターフェイスの活動もラジオだけによらなくなってきたし、FMにしうみの番組のこともあって広がって来た中で、先入観なく、いろいろな人の話を平等に聞けるエマが議長としてはいいのかなと」

 ミドリさんの選出理由を聞きながら、サキちーが小さく頷いている。今まで定例会で活動してきた感じでは、サキちーはエマに対してはちょっと素直だ。と言うか、サキちーの卑屈さや鋭利さがエマには効いていない。1年の頃からの仲だと言うが、エマを知った上で納得したんだろう。

「エマ、大丈夫かな」
「皆さまがわたくしでよろしいのであれば、議長として尽力いたしますわ」
「2年生のみんなもどう?」
「いーんじゃないすか? 基本的なトコとして、背筋が伸びてるだろ? 前だとか、上に立つ人間の姿勢が既に出来てる!」
「え、奏多それ物理的な話?」
「物理以外に何があんだよ」
「いや、精神の話とか?」
「こーゆーのは形からよ。堂々とした立ち姿勢は首長の器ってな」
「まあ、エマなら精神の面でもいいんじゃない」
「サキと奏多が言ってることは納得出来るなー」
「すがやん、乗っかってこないでよ」
「えー!? そんなつもりなかったのに」

 (主に緑ヶ丘と向島4人の所為で)がやがやしがちな2年男子を束ねられるのはエマだろうなあという結論には誰もが納得したので、引き続き、議長を支える役職が発表される。

「委員長は、彩人にお願いします」
「へー……えっ!? 俺!? 何で!? 油断してた!」
「普段定例会では静かだけど、これからは委員長として、考えてることを発言もしていってもらいたいなーって。部では班長になったらしいし、みんなをまとめることに関しては心配してないかな」
「えー……そんな柄じゃなー……」
「副委員長はすがやんに。すがやんはみんなのバランサーじゃないけど、そんなような感じ。一番上じゃないけど、2番手3番手には絶対1人欲しい! 的なタイプだよねって思って」
「これは解釈一致」
「奏多に同じ」
「うわ、奏多とサキの意見が一致してる」
「知らねーだろうけどなかっすー、サキちーは俺の言動に100パー噛みついてくるワケじゃねーのよ。必要があれば同意もする。ごくごく稀だけどな」

 結局定例会人事はみんなきちんと納得した上で決定し、会計が千颯で、かっすーは対策委員兼務だし別に役職が無くてもガンガン前に来るよねということでヒラ委員となった。そう、別に役職の名前だけに力があるワケじゃない。言動の中身がちゃんとしてこそだ。

「これで代替わりなので、次の定例会には1年生のメンバーを連れて来てください」
「どーする奏多、誰を連れてくる? 鳥ちゃんとの兼ね合いもあるし」
「俺に考えがないことはないんだが」

 さーて、アイツをどう引きずってくる。


end.


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次期定例会はカノやんの雑談からなる突飛な発想よりも、サキと奏多の意見の合致が一番の恐怖現象であり、逆らえる者なし的な現象に見られがち。この2人にはエマしか勝てない。

(phase3)

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