2025

■Now, on to the next step.

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 インターフェイス夏合宿が終わり、ひとつの大きな山を越えたように思います。ここからは、MMPでの活動に本腰を入れていくことになります。近い行事であれば、オープンキャンパスで行うDJブースと、インターフェイスの定例会で提出する作品出展の番組制作になります。
 優先順位が高いのは作品出展の番組だと思います。今回の番組は「挿し絵のあるラジオ」をテーマに、星や宇宙の話をやわらかに伝えることを目的とした映像作品に挑戦することになりました。希くんにわがままを言って制作させてもらうことになったのですが、まず私が番組の内容を考えないとジュンが挿し絵を描くことが出来ません。
 サークルにパソコンが導入されたことや、夏合宿をきっかけにジュンが絵を描き、簡単なアニメーションを作ったことなど、いろいろな要素が重なって今回の制作に至っています。向島大学と言えばラジオメイン校の代表格ではあると思いますが、新しいことにも柔軟に挑戦出来るのはとてもいいと思います。

「ざーす。あっ、春風、いたのか」
「野坂先輩。おはようございます。少しサークル関係の作業もしようかと思い」
「この時期だったら、オープンキャンパス?」
「それもありますが、作品出展の作品の案を早々に出さないといけないので、一気にやってしまおうかと。もし行き詰まれば息抜きにロボット大戦のコードとも向き合えるかと、ここでの作業を」
「夏合宿が終わってやっと一段落したと思ったのに、大変だな」
「ですが、作品出展はどうしてもやり抜かないと」

 家であれば資料などにも手が届きますが、同時に誘惑も多くなります。なので場所を変えて、大学でやろうと思い立ちました。ゼミ室であれば時間を問わず入ることが出来ますし、サークル外で個人的に挑戦することにしたロボット大戦の作業も出来ます。
 野坂先輩もロボット大戦の作業をやりにいらしたようでした。野坂先輩は早々に超大手商社からの内定をもらったことで就職活動を終えられ、現在は卒研とロボット大戦の作業を主に行っているそうです。また、うっしーの言うところの“無能の大卒”にならないよう、日々勉強を重ねているとか。

「作品出展って何やんの? ラジドラ?」
「いえ、今年は挿し絵のあるラジオということで、簡単な映像作品に挑戦することになりました」
「はえー、映像とな」
「挿し絵のあるラジオであれば、私のやりたいことが出来るのではないかと思い、希くんに少々強めのわがままを言ってしまいました」
「何だっけ、星や宇宙に興味を持ってもらえるように伝える、だっけ」
「そうですね」
「え、挿し絵は誰が描くの?」
「ジュンが担当します。そうです野坂先輩聞いてください!」
「お、おお、急にすごい圧だな」
「すみません。ですがジュンの絵の話なので熱くならざるを得ません。手始めに私の手帳の表紙を見ていただければわかりやすいかと思います」
「絵が描かれてるな。もしやこれをジュンが?」
「です。かわいいでしょう? あまりの可愛さにジュンにわがままを言って、ラバーキーホルダーを作ってもらっているのですよ」
「ええ……」

 そういうところで結構強引に物事を運ぶタイプなんだな、とやや引き気味に言われてしまったのですが、かわいいのですから仕方ありません。私とて、かわいい物は好きなのですから。

「でも、絵を描ける人間が1人でもいれば大学祭の準備で揉めることもなさそうだし、良かったじゃないか」
「大学祭の準備ですか?」
「大学祭でブースを出すならブースの看板とか、DJブースをやるんであればタイムテーブルとか、いろいろ用意するものはあるからな。装飾の作業が出来る人間がいるのといないのとでは大違いだ」
「ああ……そう言えば大学祭の準備も進めないといけないのですね……。結局食品ブースで何を出すという内容は決まったのでしょうか」
「人数がいると逆にまとまらないっていうのは往々にして多々だからな。まあ、さすがに奈々は考えてるだろうけど」

 また折を見て奈々先輩に何かお手伝い出来ることがないか聞いておかなければなりませんね。あれっ、そう言えば。

「野坂先輩」
「はい」
「あの、気付いてしまったのですが、ロボット大戦に出場するということは、大学祭当日にサークルのブースのお手伝いをすることは難しいということですよね?」
「まあ、そうなるかな。2日目は丸々いないくらいのつもりで考えといた方がいいかもな」
「ああ……何も考えていませんでしたが、これは当日までにしっかりと参加してお手伝いをしないと」
「いや、言って今のMMPなら1人いないくらい大丈夫じゃないか? 10人以上いるんだろ?」
「はい、11人ですね」
「なら大丈夫だって。いや、食品ブースで大きな役割があるとかなら問題かもだけど」
「いえ、私の実力では食品ブースの戦力としてはほぼカウントされません」
「それはそれでどうなんだ」
「恥ずかしながら、料理はこの間始めたばかりなのです」

 料理が出来るメンバーと言えば奈々先輩に奏多、私の師匠である殿に、パロでしょうか。食品ブースはともかく、もしDJブースをやるのであればそちらの方ではきちんと戦力として番組をやることが出来ればなあと思います。

「ちなみに、野坂先輩は料理はされますか?」
「あんまりやんないけど、だし巻き卵であれば圭斗先輩の師事を受けてそれらしい物が作れます。あと唐揚げ?」
「凄いです! 圭斗先輩はお料理も出来るのですね」
「圭斗先輩はもう、めっちゃ上手い。一番ヤバいのは角煮かな。あと、俺らの代なら律も雑に上手い」
「角煮とは、また手の込んだ物を作られるのですね。そう言えば、律先輩の料理の話は殿とパロから聞きました。律先輩のアルバイト先の喫茶店で食べた即興の野菜トーストが美味しかったと」
「律のバイト先って山浪の奥の方だろ。そんなトコまで行ったのか」
「行ってみたかったようですね。ああ、そんな話をしていたら小腹が空いてきました」


end.


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久々にノサカと春風。この辺りは2人の会話内容と実際のSS公開の時系列がごっちゃになりがち。
殿とパロがりっちゃんの地元まで行くときは、電車を乗り継ぐのは非現実的? 殿が運転するのかな?
山奥だし天体観測ついでに北ちゃんと3人で遊んでてもいいね

(phase3)

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