2025

■対極のはずの存在

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「えっ、えーっ!?」
「いや~、いいリアクションでしょでしょ~」
「山口先輩、ホントに、ええっ!?」

 山口先輩から、いついつ、どこどこに来てね~と指定された場所に向かうと、そこには俺たちが1年生の時の4年生である水鈴さんと萩さんがいた。1年生の時の4年生の先輩なんて部活も引退してるしほとんど話したことがないのに、まさか今こうして目の前にいるだなんて本当にビックリしてる。

「源は、卒業間際に雄平と、朝霞班の面々と飲んで以来か。いや、違うな。洋平の誕生会があったか」
「あっはい、去年の山口先輩の誕生会以来です。ご無沙汰しています」
「今や立派に部長業をこなしているとは聞いている」
「いえ、まだまだです」

 萩さんと言えば文化会の監査さんっていう印象が強いかな。パチッと決まったエリートっていう感じの。山口先輩とはゼミの先輩後輩でもあったみたくって、今は百貨店で働いてるらしい。甘い物が好きで、趣味はデパ地下のお菓子を食べることっていう可愛らしい側面があるとか。本当に意外だなあ。

「ゴローちゃん、リラックスリラックス。カタいよ」
「すみません」
「3コ上の先輩と突然ご一緒することになったら大体の後輩は緊張しますって~。大丈夫だよゲンゴロー、俺もいるからね~」
「3コ上って言ってもさ、アタシ奈々のお姉ちゃんだしそんなに肩肘張る感じでもなくない? 奈々の学年ってインターフェイスみんな仲良しなんでしょ?」
「いやあ、奈々のお姉さんだとしても放送部の大先輩であることには変わりないので」
「カオルちゃんも呼んだ方が良かったかなあ」
「朝霞クンは先輩相手には相応の態度ですし~、朝霞クンよりつばちゃんの方がいいかもですね~」
「そうだね、つばめの方がいいわ! この裕貴にもタメ口で暴言吐く後輩なんてつばめくらいだし。実際それ結構好きだったんだもんね裕貴」
「そうだな」

 水鈴さんは夕方の情報番組に出てたりイベントMCをやってるプロのタレントさんで、学生の頃から現役女子大生タレントとして活動してたからそれこそ放送部の伝説。向島の奈々のお姉さんなので奈々からもちょっと話は聞くけど、こうして直接話す機会はあまりなかったので緊張する。
 さて、そんな凄い先輩たちとどうしてご一緒することになってるのかって言ったら、先に放送部版初心者講習会について山口先輩に相談してたからなんだよね。アナウンサー講師問題が一向に解決しない! あーもーどうしようねえって東奔西走。

「洋平から掻い摘んで聞いたけど、放送部で講習会みたいなことをやるんだって?」
「はい、そうなんです。かくかくしかじかで……」

 これこれこういう……と改めて先輩たちにお話しさせてもらって、萩さんにはせっかくなのでプロデューサーとしてのお話だとか、部活を運営する上でのお話なんかも聞きたいところ。後者は完全に個人的なヤツ。水鈴さんにはアナウンサー講習のヒントなんかを聞きたいところ。最悪自分で何とか出来るように!

「ミキサーとディレクターは部長と監査でどうにかなるそうなんですけど、アナウンサーが厳しいみたいなんですって~」
「確かに、講習となると自分がそれをこなせるというだけでは立ち行かない部分もある。講習内容如何でその後どのような影響を与えるのかという責任の所在で後込みする者がいるというのも理解出来る」
「そうなんですよね」
「だったらさ、アタシやろっか? アナウンサーの話」
「えっ!?」
「水鈴、事務所の都合などがあるのではないか」
「オフの日に完全プライベートでやるんなら全然オッケーじゃないかな、一応話は通すけど」

 そう言って水鈴さんはさっそくマネージャーさんに連絡を入れちゃうんだからさすがの行動力だなあって思っちゃうワケで。そうじゃないと学生の頃からガツガツMCの仕事に応募したり出来ないか。でも、本当に水鈴さんに来てもらえるならこれはかなりアツい。

「ゴローちゃん、いいって」
「えーっ! 本当ですか! そしたらお願いできますか!? もちろんスケジュールは水鈴さんの都合にこっちが合わせます!」
「部活やってる時間帯って変わってないよね?」
「ですね」
「じゃああとは曜日の都合だけだね。あっそうだ、ついでだし洋平、助手やんない?」
「えっ、俺が助手ですか~!?」
「せっかくですしお願いします山口先輩! 朝霞班のあのステージを常に一人で回したステージスターの経験と技量は他の誰にもないものですし、ぜひ今の子たちにも伝えて欲しいです!」
「う~ん。俺は水鈴さんのような華もないしネ?」
「戸田班は競争が激しく練習を絶やさないエリート集団であったという風には聞いている。源班も、その路線を継承しているのだろう。その礎を築いた朝霞班のアナウンサー、それもステージスターともなれば、華も箔も、水鈴に引けを取らないはずだ」
「裕貴さんまで~」

 萩さんが、暗に「やれ」と山口先輩に言っている(ような気がする)。でも実際山口先輩は凄いんだからしょうがなくない!? これ以上はパッションあるのみ!

「俺は部のステージが良くなるなら使える手は使いますし何も惜しみません! お仕事の都合なんかがあるのは重々理解してますけど、山口先輩、お願いします!」
「だよね~。ステージが関わるときのゲンゴローからは逃げきれないデショ。水鈴さんにスケジュール合わせた方がいいですよね~」
「洋平、やってくれる?」
「まあ、せっかくなんでネ? それに、ゲンゴローから鬼のプロデューサーみを感じちゃって、引いたらボコボコにされちゃう気がしました」
「さすがに先輩をボコボコには出来ないですよ」
「そういう空気感って話ね~。何でだろうね? ゲンゴローと朝霞クンてタイプ全然違うはずなのに」
「俺も最近知ったんですけど、朝霞先輩は俺が高校1年の時からずっと俺の神様だったんですよ。俺が演劇にのめり込んだきっかけは朝霞先輩でしたし、ステージにここまでガッツリ取り組むきっかけも朝霞先輩でした。なので、舞台を作り上げるときのスタンスは無意識に参考にしちゃってるのかもしれないです」

 さすがに寝食を忘れてステージだけ~って感じではないけど、それでもいいステージにするんだって思いで動くときには先輩たちのことを思い出しちゃうよね。自由にステージのことを考えられるようになった今は、今の子たちと一緒により良いものを作って行きたい。誰がどうとか関係なく。ステージの前には平等であるべきって宇部さんも言ってた。

「直近で休みが合うのは25日ですかね~」
「その日絶対ダメ。光洋行くから」
「あっ、雄平さんの誕生日ですね~。お察ししま~す」
「雄平によろしく伝えてくれ」
「はいはい了解ッ」
「朝霞班の誕生会も懐かしいですねー」
「ホントだね~」


end.


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ゲンゴローがどうやってレジェンドOBたちと話が出来たのかって考えたときにはやっぱやまよが間に入るのかなって

(phase3)

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