2025

■ずっともっと輝いている

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「――というわけで、放送部版の初心者講習会っていうのをやってみようと思ってるんですよね」
「うんうん、すごくいいと思うよ~、でしょでしょ~」

 この間、深青が1年生から上がってきた相談として「インターフェイスではラジオとかの技術の共有があるのに、放送部ではステージの技術の共有がないけどやらないの?」的な話を持ってきた。その話を聞いて、強く納得してぜひ前向きに進めようと動き出したまではよかった。
 1年生に対する部内での技術の共有ならインターフェイスの初心者講習会みたいな感じで講師は自前でいいよね、とミキサーとディレクターに関しては俺とレオで行くことになった。問題は話を説明して交渉から始めなきゃいけないプロデューサーさんとアナウンサーさん。
 プロデューサー講師に関しては現在マリンに交渉中。マリンは1年生の頃から宇部さんの下で修行してきているし、プロデューサーとはっていうところの基礎的な話をしてもらうのには最適だと思っている。でも、マリンは真面目過ぎるから「自分が半人前なのに人に教えるなんて」って言って渋られてるんだよね。
 そっちは最悪押し切るとして、問題はアナウンサー。最初に頼んでたコーキには断られちゃったし。じゃあ他に誰かいる? ってなったときにはスッと出てこなかった。他の子がダメだってワケじゃないけど、1年生の子たちに対する講習って考えたときにはどうしようねえって。レオと一緒にちょっと考えてたら、思い浮かんだ顔があった。

「でもすみません山口先輩、社会人で忙しいのにこんな話聞いてもらっちゃって」
「全然大丈夫だよ~。って言うか俺だからこの時間帯にゲンゴローと会えるんだし~、むしろ頼られてちょっと嬉しいまであるよネ」

 あー誰か助けてーって思ったときにパァッと一筋の光が射したみたいに山口先輩の顔が思い浮かんで、ス、ステージスター! って縋るような気持ちで連絡をしたら「いつ会う~?」ってすぐに返信が来て。仕事の都合上、夜の方が忙しいという話なので、こうして午前中に会わせてもらってる。

「1年生への技術の共有っていうのは本当に難しいけど大事なテーマだっていうのは俺も去年自分事として直面してるから、力になってあげたいし」
「去年ですか? 先輩引退してますよね」
「そうだけど、夏の丸の池の後につばちゃんにメチャクチャ怒られたよ~。お前が元ステージスターとして今からでも何か置いていってくれないと、2・3年にアナがいない班じゃ育成に限界があるーってね。朝霞クンと見てたステージの感想を伝えてる時にさ、海月ちゃんについて突っ込んだときだったネあれは」

 つばめ先輩が1年生のときにいた越谷班では、班長の越谷さんが全部のパートを経験して、それら全てにおいて一人前の実力があった。だからプロデューサーの朝霞先輩、アナウンサーの山口先輩、そしてディレクターのつばめ先輩の全員を越谷さんが指導していたっていう話だ。
 だけどそんなことは普通はムリな話で、戸田班になってからは上にそのパートを専門にやってる先輩がいない海月の育成が課題になっていた。違うパートから客観的に見たときにどうすればいいか、くらいのことしか伝えてあげられないもんね。

「確かに戸田班の時は2・3年生にアナウンサー専任の班員がいませんでしたね」
「そう。班の中ですら技術の共有が出来ていない状況だったってワケ。つまり班毎にやってたんじゃどこかに限界がある。それを部として基礎的な部分だけでもやってもらえるんであれば、全体的なレベルの底上げにもなるよネ?」
「はい、実際それを狙ってやってます。班毎にレベルの差がありすぎても良くないよねって話にもなってて」
「うんうん、ゲンゴローがステージのことを一番に考えられる部長になってて本当に嬉しいよ~」
「部長なのにステージのことばっかりやりすぎだってレオには怒られてばっかりです。部長なんだから他のことにも目を向けろって」
「それもそうだね~」
「でも、机に向かってやるような仕事は苦手で、現場を走り回ってどうステージを良くしていくかとか、機材を触って~みたいな仕事の方が大好きですね」

 他の人から見てると部長が仕事してないって風に見えるのか、最近じゃ俺の居場所が常にレオにリークされるみたいな状況にもなっちゃってる。仕事をちゃんとやってきててもだよ? ヒドくない?

「ゲンゴロー、それでアナとPの講師候補は調整できそう?」
「Pは一応マリンに頼んでるんですけど、最悪の事態も想定して自分が話せるように、自分の手が届く範囲内の歴代のプロデューサーさんに話を聞きたいなとも思ってます。朝霞先輩とか鎌ヶ谷先輩とか」
「いいねいいね。あっ、だったら他の子にも連絡付けようか? メグちゃんとかスガノ君とか」
「えっそんな、何かすみません」
「い~のい~の。その2人は院生だしその辺にはいるだろうからちょっとくらいだったら時間も取ってくれるデショ。何より、2人とも部のことを案じてくれてたし」
「ありがとうございます」
「話を聞くんだったらいろんな人の話を聞いた方がいいデショ? それにマリンちゃんが講師やることになってその資料が講習では使われなくてもゲンゴローの手元には残るから、源班のステージの糧にはなるよネ?」
「なるほど。どっちにしても聞いておいて源班に損はないと」
「そ~いうコトでしょ~」

 山口先輩~! さすがステージスター! 山口先輩はいつだって優しくってもうホントに憧れなんだよ~。山口先輩がニコッて笑いかけてくれると、俺だってえへへって勝手に顔が笑っちゃうんだよね。

「あと、アナウンサー講師が問題なんだっけ?」
「そうなんです。Pよりそっちの方が難しくて」
「う~ん、そうだね~。……あっ、それじゃあ俺も放送部のアナウンサーと聞いて思い浮かんだ顔に話してみていい?」
「えっ、はい。いいですけど、誰に」
「既読がついてからの、お楽しみ~。まあでも忙しい人ではあるからすぐに返事が来る保証もないし、ゲンゴローはゲンゴローの線で探しつつ、最終手段、スペシャルゲストくらいに思っておいて」
「はい、わかりました」
「ホント、朝霞クンじゃないけど俺たちの時代にゲンゴローが部長だったらな~」
「でも、そうだったら多分あの朝霞班ではなかったと思うと、少し複雑なんですよね」
「うん、それもそう。あの4人だからこそ最高の班だったっていうのは本当だからネ。でも、その時より良くしようってゲンゴローが動いてくれてるのが本当に嬉しいし、だからこそ今からでも応援したいんだよ」
「はい。必ずいいステージに、いい部活にします」
「えへへ~、すっかり部長サンだねゲンゴロー」
「ちょっと照れますね」


end.


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朝霞班のほんわかしてた方。尖ってた方はもちろんPつばちゃん。
やまよとゲンゴローは永世中立班出身同士の空気感みたいな物があるのか、相性はいい。

(phase3)

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