2025
■友達100人いるんじゃね?
++++
「シノ」
「お、どーした亮真」
「魚があるんだけど、渡したら食うか?」
「魚? え、自分の家で料理して食うかみたいなこと? あんまやったことないけど、もらえるんなら食いたい。えっ魚あんの?」
ゼミの場で、亮真から話しかけられたから何かと思えば魚の話。くれると言うならもらうけど、唐突なことで驚いている。亮真はどっちかって言うとササと仲が良くて、口数が少なくてササ以上にクールな奴っていう印象だ。ガヤガヤしてる俺とは真逆のタイプっつーか。
そんな亮真だけど、自然科学研究会っていう実質アウトドア部みたいなところに所属してて、普通にアクティブな奴らしい。なんならMBCCに来る前のすがやんがそこにも顔を出してたとかでフツーに友達だって話を聞いたときにはちょっと引いた。あ、すがやんの顔の広さとコミュ力にな。
「俺の家の冷蔵庫には入り切らなくなってきたところだ」
「そんだけ釣りに行ってんのかよ。でも今くらいが外で活動するには一番良かったりすんのかな」
「釣りにも行っているが、最近、徹平が魚を捌く練習をしていて、その成果だ」
「え、そこですがやんが出てくんのか」
「何はともあれ、シノが家で魚を食べるなら持ってくるし、料理の仕方がわからなければ教える。少しでも減らしてくれると助かる」
「そういうことならありがたくもらいます」
魚の種類はシャケに似た感じのヤツだっていうし、練習の成果だからもう捌いてあって、あとは調理方法に応じて切るだけだっていう話なので料理初心者の俺にも何とか扱うことが出来るだろう。もらえる食料はどんだけだってあっていい。最近は何かと高いんだから。
「おはよーございまぁ~す」
「おーす下梨」
「相倉クンとシノキ君なんて変わった組み合わせだねー。佐々木クンがいるならそれっぽいのに。2人、サシだとどんなこと話すの?」
下梨は結構フランクな感じの奴で、言い方が悪くなるけど雑に絡んでも怒らなさそう。コイツは民俗学研究会みたいなところに所属してて、地方の伝統食? ソウルフードみたいなモンに興味があるらしい。俺も今後は美味いモンの話とかを聞かせてもらいたい。
「シノに魚をお裾分けするという話だ」
「あー、アレでしょ? てっちゃんがラブラブを見せつけてくるヤツ」
「え、そこでそーゆー話になんの!?」
「……あれあれ? 相倉クン、言ってなかった系!? シノキ君のリアクションが完全に初耳のヤツだし俺空気読めなかったヤツじゃん!」
「俺が確認したかったのは、シノに魚の需要があるかという一点だけだった。徹平が魚を捌く練習をするに至る経緯は特にいいかと思って言っていなかった」
「ウソ~、それならそう言ってよ~」
「どう言えと」
ちなみに下梨も独自ルートですがやんとは友達だ。例によって引いた、すがやんの顔の広さに。でもこれ下梨もすがやんが魚を捌きたがる事情は知ってるって感じじゃんな。まあ、ラブラブを見せつけてくる、的な話で何となく察したけど。とりぃ絡みの話じゃん。
「シノキ君て、てっちゃんの彼女さん知ってる?」
「ああ、知ってる知ってる。サークル関係で普通にダチだよ」
「今度てっちゃんね、誕生日デートで彼女さんから釣りに誘われたんだって、川釣りに興味あるから教えて欲しいって」
「へー。ああ、まあ、確かにイメージできるかも。好きそう好きそう」
「あっ、ホントにそーゆー感じの子なんだ、てっちゃんにはピッタリだねー。それで、一緒に釣りに行って、現地で釣ったばっかりの魚を食べるには捌かなきゃでしょ? 普段は相倉クンがやってくれてるけど、デートだと自分でやんなきゃだし」
「それで、捌き方を教えていた」
「なるほど」
川釣りデートをするすがやんととりぃの図はスムーズにポンとイメージ出来るので、すがやんの努力が実って欲しいと思うと同時に、釣ったばっかの魚をすぐ捌いて食うとか絶対美味いじゃんっていう羨ましさも出てくる。いいなと思っても、何だかんだそういうところでの積極性が俺にはない気がする。
「でも、そう考えたら魚を捌くスキルって、持っといて損はないよな。スーパーとかで魚をまるごと買って、家で捌くとかも出来るっつーことだよな」
「そうだな」
「亮真って普段から自分で魚捌いてんの?」
「自分で釣った物に関しては」
「へー、カッケー! つか魚捌けるって単純にカッケーわ、憧れる。や、つかすがやんが普段からそれ見てんなら、デート云々関係なくたってやれるようになりたがるってアイツなら。早いか遅いかの違いだったわ」
「――という結論に達するだろうと思っていたから、敢えて経緯を言うことはしていなかった」
「お見逸れしました。さすが相倉クンです」
「徹平の好奇心と、人の話を聞いて自分の物にする力は本当に凄いと思っている」
「あ、それわかるー。彼、そーゆートコあるよね」
「フットワークが軽いんだよな。んで、いろんな奴と関わってるとすげー生き生きしてっから、多分連鎖すんじゃね? わかんないけど」
俺もすがやんの顔の広さにビビってるけど、多分亮真も下梨も行くトコ行くトコですがやんの名前を聞いてビビってると思うんだよな。だけど、そうやって行くトコ行くトコにすがやんの顔があるから、知らない奴との会話のはずなのに、もう話題が出来てんだよな。「すがやんとはどーゆー友達?」から始めればいいんだから。
「おはよう」
「おーす村上ー」
「下梨、これ」
「おー! ありがと助かりまーす! お金払うねー」
「何それ」
「和のお土産。ほら、和って飲み鉄だからいろんなトコ行くでしょ? 行った先でいーモノ買ってきてもらってんの」
「へー」
「ああ、ちょうどよかった。シノ、これを」
「ん? なにこれ」
「サークルの時にでもてっぺーちゃんに渡して欲しい。多分アイツこーゆーの好きだから」
「ああ、わかった」
すがやんの友達ってどこにでもいんだよな、マジで。手渡されたナントカ資料館のパンフレットを見てさらに思う。俺もその友達のうちの1人なんだけど、すがやんの中で俺は何の奴なのかがちょっと気になってきた。まあ、順当にMBCCか。
end.
++++
MBCC2年生6人だと、意外とフットワーク重い方に分類されるシノ。
※すがくるサキが軽すぎんのとレナも意外に軽いので相対的にササシノが重くなる
(phase3)
.
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「シノ」
「お、どーした亮真」
「魚があるんだけど、渡したら食うか?」
「魚? え、自分の家で料理して食うかみたいなこと? あんまやったことないけど、もらえるんなら食いたい。えっ魚あんの?」
ゼミの場で、亮真から話しかけられたから何かと思えば魚の話。くれると言うならもらうけど、唐突なことで驚いている。亮真はどっちかって言うとササと仲が良くて、口数が少なくてササ以上にクールな奴っていう印象だ。ガヤガヤしてる俺とは真逆のタイプっつーか。
そんな亮真だけど、自然科学研究会っていう実質アウトドア部みたいなところに所属してて、普通にアクティブな奴らしい。なんならMBCCに来る前のすがやんがそこにも顔を出してたとかでフツーに友達だって話を聞いたときにはちょっと引いた。あ、すがやんの顔の広さとコミュ力にな。
「俺の家の冷蔵庫には入り切らなくなってきたところだ」
「そんだけ釣りに行ってんのかよ。でも今くらいが外で活動するには一番良かったりすんのかな」
「釣りにも行っているが、最近、徹平が魚を捌く練習をしていて、その成果だ」
「え、そこですがやんが出てくんのか」
「何はともあれ、シノが家で魚を食べるなら持ってくるし、料理の仕方がわからなければ教える。少しでも減らしてくれると助かる」
「そういうことならありがたくもらいます」
魚の種類はシャケに似た感じのヤツだっていうし、練習の成果だからもう捌いてあって、あとは調理方法に応じて切るだけだっていう話なので料理初心者の俺にも何とか扱うことが出来るだろう。もらえる食料はどんだけだってあっていい。最近は何かと高いんだから。
「おはよーございまぁ~す」
「おーす下梨」
「相倉クンとシノキ君なんて変わった組み合わせだねー。佐々木クンがいるならそれっぽいのに。2人、サシだとどんなこと話すの?」
下梨は結構フランクな感じの奴で、言い方が悪くなるけど雑に絡んでも怒らなさそう。コイツは民俗学研究会みたいなところに所属してて、地方の伝統食? ソウルフードみたいなモンに興味があるらしい。俺も今後は美味いモンの話とかを聞かせてもらいたい。
「シノに魚をお裾分けするという話だ」
「あー、アレでしょ? てっちゃんがラブラブを見せつけてくるヤツ」
「え、そこでそーゆー話になんの!?」
「……あれあれ? 相倉クン、言ってなかった系!? シノキ君のリアクションが完全に初耳のヤツだし俺空気読めなかったヤツじゃん!」
「俺が確認したかったのは、シノに魚の需要があるかという一点だけだった。徹平が魚を捌く練習をするに至る経緯は特にいいかと思って言っていなかった」
「ウソ~、それならそう言ってよ~」
「どう言えと」
ちなみに下梨も独自ルートですがやんとは友達だ。例によって引いた、すがやんの顔の広さに。でもこれ下梨もすがやんが魚を捌きたがる事情は知ってるって感じじゃんな。まあ、ラブラブを見せつけてくる、的な話で何となく察したけど。とりぃ絡みの話じゃん。
「シノキ君て、てっちゃんの彼女さん知ってる?」
「ああ、知ってる知ってる。サークル関係で普通にダチだよ」
「今度てっちゃんね、誕生日デートで彼女さんから釣りに誘われたんだって、川釣りに興味あるから教えて欲しいって」
「へー。ああ、まあ、確かにイメージできるかも。好きそう好きそう」
「あっ、ホントにそーゆー感じの子なんだ、てっちゃんにはピッタリだねー。それで、一緒に釣りに行って、現地で釣ったばっかりの魚を食べるには捌かなきゃでしょ? 普段は相倉クンがやってくれてるけど、デートだと自分でやんなきゃだし」
「それで、捌き方を教えていた」
「なるほど」
川釣りデートをするすがやんととりぃの図はスムーズにポンとイメージ出来るので、すがやんの努力が実って欲しいと思うと同時に、釣ったばっかの魚をすぐ捌いて食うとか絶対美味いじゃんっていう羨ましさも出てくる。いいなと思っても、何だかんだそういうところでの積極性が俺にはない気がする。
「でも、そう考えたら魚を捌くスキルって、持っといて損はないよな。スーパーとかで魚をまるごと買って、家で捌くとかも出来るっつーことだよな」
「そうだな」
「亮真って普段から自分で魚捌いてんの?」
「自分で釣った物に関しては」
「へー、カッケー! つか魚捌けるって単純にカッケーわ、憧れる。や、つかすがやんが普段からそれ見てんなら、デート云々関係なくたってやれるようになりたがるってアイツなら。早いか遅いかの違いだったわ」
「――という結論に達するだろうと思っていたから、敢えて経緯を言うことはしていなかった」
「お見逸れしました。さすが相倉クンです」
「徹平の好奇心と、人の話を聞いて自分の物にする力は本当に凄いと思っている」
「あ、それわかるー。彼、そーゆートコあるよね」
「フットワークが軽いんだよな。んで、いろんな奴と関わってるとすげー生き生きしてっから、多分連鎖すんじゃね? わかんないけど」
俺もすがやんの顔の広さにビビってるけど、多分亮真も下梨も行くトコ行くトコですがやんの名前を聞いてビビってると思うんだよな。だけど、そうやって行くトコ行くトコにすがやんの顔があるから、知らない奴との会話のはずなのに、もう話題が出来てんだよな。「すがやんとはどーゆー友達?」から始めればいいんだから。
「おはよう」
「おーす村上ー」
「下梨、これ」
「おー! ありがと助かりまーす! お金払うねー」
「何それ」
「和のお土産。ほら、和って飲み鉄だからいろんなトコ行くでしょ? 行った先でいーモノ買ってきてもらってんの」
「へー」
「ああ、ちょうどよかった。シノ、これを」
「ん? なにこれ」
「サークルの時にでもてっぺーちゃんに渡して欲しい。多分アイツこーゆーの好きだから」
「ああ、わかった」
すがやんの友達ってどこにでもいんだよな、マジで。手渡されたナントカ資料館のパンフレットを見てさらに思う。俺もその友達のうちの1人なんだけど、すがやんの中で俺は何の奴なのかがちょっと気になってきた。まあ、順当にMBCCか。
end.
++++
MBCC2年生6人だと、意外とフットワーク重い方に分類されるシノ。
※すがくるサキが軽すぎんのとレナも意外に軽いので相対的にササシノが重くなる
(phase3)
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