2025

■宵闇の巫女と純白の乙女

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「ユキ先輩! すみません今お時間いいですか?」
「いいよ、どうしたのまつり」
「ステージの台本のことなんですけど、ちょっと相談に乗ってもらって良いですか? 付箋貼ってるトコ、3つほどなんですけど」
「どれどれ」

 青葉女学園大学ABCでは、5月末にやる植物園ステージに向けた準備で大忙し。代々このステージは2年生が主体となって進めるって伝統があって、今年は台本をまつりが担当してくれている。台本って、何となくアナウンサーが書くものだと思ってたけど、パートにこだわらなくていいんだなって発見があったのもこの間のこと。
 ちょっと見て欲しいって言われて台本の付箋を貼ったトコを見てるんだけど、全然大丈夫そうだし、向いてるなあって思うんだよね。さすが、子どもの頃から着ぐるみショーとかそういうテレビが好きで見てたんで、って自信満々だっただけある。あたしより断然書くの上手いし今後もお願いしたいくらい。

「うん、いいと思うよ」
「ありがとうございます! じゃあそのように準備を進めますね!」
「お願ーい」
「エマ、ピアノの調子はどう?」
「ええ、万全ですわよ」
「ナ~イス! 頼りにしてます! サドニナ先輩、歌とダンスはこのステージの肝ですからね、よろしくお願いしますよ!」
「まっかせといてよ!」

 あと、まつりの何がすごいかって、サドニナの扱いだよね。あたしとKちゃん先輩は完全にお手上げだったサドニナを見事に操縦してる。今後もまつりにはサドニナを上手いこと手の上で転がし続けといてもらって、平和的にステージをやりたいなあ。

「ちとせ、刺繍はどう? デザイン決まった?」
「今いる子たちは何となくアイディアが出たよ」
「ありがと~! さとちゃん先輩いなくなってちとせだけが頼りなんだよ~!」

 そう、これまで青女ABCのステージを支えて彩ってくれてたのはさとちゃん先輩の衣装だけど、さとちゃん先輩がサークルを引退したのでこれからはあるものでやっていかなくちゃならない。だけど、簡単な刺繍くらいだったら出来るよ、と1年生のエプロンへの刺繍はちとせが担当してくれることになった。
 ABCには現段階で3人の1年生が入ってくれている。絵を描くのが好きで、今は小道具作りを手伝ってくれているひかりんこと楢葉光莉。ちっさくて可愛らしい感じだけど、我慢強さと根性が自慢の双葉ゆめ。それから、占いとかスピリチュアル?的なことが趣味で形から入ってるんだろうなっていう、宵闇の巫女・夢子こと弥彦天香。

「ゆめちゃんは双葉の葉っぱで、夢子ちゃんは三日月にしようかなって。ひかりんは絵筆かなあ」
「おー、凝ってるねえ。ちとせはすっごいなあ。アタシこんな細かいこと出来ないよ」
「まつりちゃんは台本書いたりみんなを盛り上げたり出来るの、すごいと思うけどな」
「みんな違ってみんな偉い、みわを。はい、新しいエリーゼ。コーヒー味」
「みわありがとー」
「へー、コーヒー味初めてー」
「はい、1年生も食べなー」
「ありがとうございまーす」
「先輩もどーぞー」
「ありがと」

 2年生4人の中だとみわが物凄ーくマイペースだなーって印象だけど、この力の抜け具合が逆にいい効果を生むときもあるかもしれない。この時期はみんな休む間もなく働いてくったくたになるけど、こうやってみわがお菓子を配ってくれると息抜きになるしね。みわのブルボン教も役に立ってて偉い。

「みわは最近エリーゼブーム?」
「いや。新しい物と季節物はとりあえず買う。今のブームはわさび味のチーズおかき」
「そっちかあ」
「って言うかお菓子ばっか食べてるのにみわって太らないよね? 何で!? ズルくない?」
「そんなこと言われてもー」
「美雪先輩、わたくし、うっすらと気付いてしまったのですけれど、みわはお菓子をよく食べている印象こそありますけれど、わたくしたちにもお菓子を配ってくれていますわよね。ですから、印象ほど実は食べていないという説を提唱いたしますわ」
「実は!?」
「ええ」

 確かにみわはお菓子をよく持ってきてるけど、個包装モノが多いからみんなに分けてくれてるし、食べてる印象は強いけど一人でバカ食いっていうのはほとんど見たことがない。ヒビキ先輩がじゃがりこを食べてるときは一人でポリポリって感じだったけど、みわはシェアしてる分実はそこまで食べてないのか。

「夢子の芸名もホワイトロリータ夢子とかにすればいいのにね、耳に馴染むし」
「私は、宵闇の巫女……」
「ホワイトロリータだと服も白くしなきゃじゃん?」
「あーそっかー。黒いかー」

 ちなむと、夢子の世界観はみわには全くと言っていいほど刺さってないし通用してないので、多分天敵とかそういう感じ。仲が悪いとかではないけど、現状良くもないって感じ。いつか誰かに刺さるといいねえ。でも、自分が好きでやってるんだから平気か。

「ホワイトロリータ夢子はどうやって占うの、みわ」
「お菓子そのものの割れ方か、あの、包んでるフィルムの解け方とか。破けた時は大凶」
「実際宵闇の巫女って占い師なの?」
「さあ。巫女さんだし、お守り売ってくれるんじゃないの」

 夢子がまつりに「みわを黙らせろ」的な視線を送ってるけど、みわはミキサー担当なので台本が上がるまでは比較的余裕。大道具制作なんかはやってるけど、それらをやった上でのこの余裕。マイペース故、みんながおしゃべりしてる中でも黙々と手は動いてるんだよね、実は。

「なんか、今日自分でお菓子買いに行ったらホワイトロリータ選びそう」
「ええ、わたくしもきっとそうすると思いますわ」
「みんながホワイトロリータ買うなら、次はチーズおかき持ってくるねー」


end.


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何はともあれ動かしてみる例。みわもキャラ立ちさせたい。
ユキちゃんも3年生になって本格的にサークルを束ねる立場になったらしい。

(phase3)

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