2024(02)

■BLACK and Love&Peace

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「しかし本当に首席で卒業するとはさすが野坂さんですよ、ドン引きです」
「違いないスわァー」

 MMPでは卒業式の後にはサークルのみんなで集まって、その足で食事をしに行き、さらに夜には飲み会を行うという流れになっています。昼の食事でも夜の飲み会でも必ず話題に上るのが、野坂先輩が首席を取られたということです。確かに何度聞いても凄いなと思いますからね。

「と言うか、大学のテストなんかやれば出来るようになってるんだから、何度も擦ることでもないだろ、意味が分からない」
「やらねー自分からすりャ、そこまでやる意味が分かんねーンすわ」
「まあ、律はセンスでやってるような物だからなあ。お前が文系に行かず理系の道をそのまま歩んでいたらどんな面白い発想が生まれたのかと残念でならない。惜しい人材を逃した」
「律先輩は元々理系だったのですか?」
「そースよ。高校の時まではバリバリの理系っした」
「では何故社会学部に。余程勉強したいことがあったのですか?」
「ヤ、単純にバリバリ勉強すんのがめんどくなって、ユルくやってても入れる向島大学の社会学部にしよーっつって受験しただけスわ」
「ええ…? はあ、まあ、そのような進路の選び方もあるのでしょうか……」
「春風、律はこういう奴だ」

 律先輩は勉強するのが面倒になって向島大学に行くことにした、とのことですが、向島大学も一応は入るのがそれなりに難しい大学で、社会学部とてそれは例外でないはずです。もし律先輩が面倒臭がらずに勉学に励んでいればと考えると……その可能性が恐ろしくもあります。

「野坂先輩、ワンチャンりっちゃん先輩がまっくろジュンジュンが一番ぶん殴りたいタイプの可能性はありますかね?」
「うっしー、お前は何てことを言うんだ」
「やァー、自分なンてそんなそんな。殴るなら首席サマをドーゾ」
「いや、殴りませんけど!」
「でも確かにそうか。俺はただのガリ勉だし、奏多も影じゃめちゃくちゃ努力積んでるんだよな? 春風」
「そうですね。本人はそれを言うと物凄く嫌がりますが」
「だからお前は毎度毎度営業妨害すんなっつってんだよ。いやー俺はそんな影の努力なんて柄じゃねーすよ、元々デキる奴なんでね」
「マジでやればもっと行けるのに手抜きで何となく向島大学に入ってふら~っと、のらりくらりやってる律がまっくろジュンジュンの真の敵の可能性は大いにある」
「野坂先輩までやめてくださいよ」
「おっ、ここに来てラブ&ピース対まっくろジュンジュンが見られますかねえ?」
「楽しみですねえ師匠!」

 律先輩の学業絡みの伝説としては、ほとんど出席しなかった講義のレポートを、科目の名前とシラバスに書いてある題目だけで4000字を埋めきってS評価をもらったというものがあります。合計30字に満たない情報で求められている文章を書いてしまうのです。思考の速さが窺えます。ちなみに同じことを菜月先輩もやっているそうです。
 また、書くことに関してはMMPのラジオドラマの原作を何本か残しているというのも上げられます。その作品は実際に収録されることはなく、現在はジュンがコミカライズする際の素材として使わせてもらっているそうですが、半期に2本程度はお話を書いていたそうです。同じ仕事を菜月先輩も担われていたそうです。

「や、ゆーて努力する素地のある連中には敵いヤせんし、張り合おうとも思いヤせん。自分はいつか苦労するのが見えヤすが、野坂だの奏多だの、ジュンは努力を地で行く連中スから、壁にぶつかったとてやることはそれまでと同じでいースからね」
「りっちゃんさん、そこに自分を含めないでもらっていーすかね。俺は地のスペックでやってるだけっすよ」
「野坂にも奏多にも共通してるのは「ちょっとやりゃ出来るだろそんなモン」的なヤツすけど、奏多の方が嫌みがなくていースよね。野坂から滲み出る人を小馬鹿にしてる感!」
「失礼だな」
「奏多は「俺がデキる奴だからちょっとやれば出来る」に対して野坂は「俺は凡人だがお前がやらなさすぎるだけだろ」の論スからねェー」
「確かに野坂さんはそういうところがあります」
「そーやそーやー、ノサカは人をバカにしとるんやー」
「まっくろジュンジュンの地雷も、完璧超人の謙遜でしたね」
「あの、春風先輩? そんなものはないです、はい」

 奏多は元々出来る上に血の滲むような努力を重ねているのでああしてよく言えばフランクなキャラを作ることが出来るのだと思います。先輩としての奏多は本当に凄い人だと素直に尊敬出来るのですが……。たとえ営業妨害だと言われても、私はそのことを推していきたいのです。

「それで結局ラブピ対まっくろジュンジュンはどうなります?」
「自分などが今なおサークルに語り継がれるラブ&ピースの精神と並べられるなど全くもって烏滸がましく、すべては自分の浅ましさからなるものでありまして……今となっては向島大学に入学出来て良かったと心の底から思っていますので……」
「それはそーとして、まっくろジュンジュン的なキャラクターと語彙は残した方がいースよ」
「え。それはどういう」
「自分の中にいくつもの視点を持つ、的なコトすかね。今の自分ならこう考えるけど、まっくろジュンジュンならどう思うかとか。それでなくてもジュンは絵を描いてヤすし、今後オリジナルのマンガを書くようなことが出てくれば、創作にも生きると思いヤす」
「なるほど。ラジオにも生きると思います。じゃあ、かつての自分を無理に殺す必要もないということですね」
「そースね」
「よっしゃー! まっくろジュンジュンが生き延びたぞー! やりましたね春風先輩!」
「やりました!」

 ……と騒いでいると、さっそくジュンが不穏な表情になりかけているので喜んでしまう私とうっしーなのです。もちろん今のジュンもいいと思うのですが、まっくろジュンジュンの雰囲気も尖っていて、たまに見たいなと思ってしまうのです。ジュンに怒られますかね。

「いいですか皆さん。今期の卒業生で真の凡人は私だけですよぉー」
「はぁーい」
「凡人たる私は独学で簿記の資格を取り、スーパーのアルバイトで鍛えられたギフトラッピングの腕が少々周りより上手なだけです」
「首席の野坂さん、センスのりっちゃんさん、金回りのこーたさんってコトすね」
「松兄、ナチュラルに1人入ってませんよ」
「いや、俺ヒロさんのことそんなに知らねーんで、そこはかっすーに補完してもろて」
「傲慢のヒロ」
「怠惰じャないスか?」
「強欲ですかねえ」
「なんやのみんなして!」
「あ、憤怒もあるな」
「七つの大罪コンプリートですか?」


end.


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リハビリ。
MMPのオリジン2年生4人を集めると勝手に喋ってくれるので助かる。

(phase3)

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