2024
■たまの寄り道散歩もグー
++++
「本日はクッキーを焼いてきましたのよ」
「わ~、おいしそう~。エマ先輩、いただきますね~」
「どうぞ。お口に合うとよろしいのですけれど」
何回か夏合宿の班打ち合わせをやっているうちに、ペアを組んだエマと緑ヶ丘のちむりーが結構仲良くなっていたらしい。仲は悪いよりいい方がいいのはもちろんなんだけど、毎回エマがお菓子を持ってくるので言い方は悪いけどエマがちむりーを餌付けしているようにも見える。
ちむりーは甘いものが好きだというのは自己紹介のときに聞いていた。大学ではくるみと日々どんな新スイーツがあーだこーだという話をしているとも。エマはエマで青女のサークルで一般市民の食べる大衆のお菓子を学んでいるという話だから相性は良かったのかもしれない。
「カノンさんも、他の皆さまもぜひ」
「じゃ、いただきます」
俺たちの班の打ち合わせは、カフェとかじゃなくて貸しスペースでやっている。必要なのは部屋代だけで、パソコンがあるから調べ物も出来るし、多少であれば音も出せる。飲み物は備え付けの物があるし、飲食物の持ち込みも出来るから不自由しない。
サークル内でお茶会文化のある星大のわかちゃんと青女のエマがお茶請けを持ってきたのをきっかけに、みんな打ち合わせになると何かしらのお菓子を持ってくるようになったっていうワケだ。俺も簡単なのを用意してる、たまにだけど。
「エマのクッキーうめー」
「ありがとうございます。自分でも焼けるようになりたくて、練習しましたのよ」
「料理って難しいんだろうなー。ちょっと前にウチでメンバーの料理スキルの話になったんだけど、出来る奴が多すぎてちょっと引いちまって。鳥ちゃんも最近になって料理の練習を始めたし、俺もカレーくらい作れるようになった方がいいかなとか、いろいろ考えちまう。わかちゃん料理出来る?」
「あんまり得意ではないなあ。去年のメンバーでもそういう話してなかった?」
「あー、してたかも。すがやんもたっちゃんもあんま出来ないっつってたっけ」
「あれ、すがやん先輩は~、お魚を捌けたと思いますよ~」
「えっ、そーなの!?」
「釣り友達に~、教えてもらったそうですよ~。とりぃ先輩にかっこいいところを見せたいからって~、練習したそうです~」
「えー! 魚捌けるってちむりーの先輩カッコいいね!」
「そうよね~」
「確かに魚を捌けるっていうのは凄いよね」
「骨を断ったりする力と身を分ける繊細な技術が同居しますものね」
「そーゆー特殊スキルも欲しいよなー」
余談だけど、わかちゃんとは2年連続で同じ班になった。班編成の都合と言うか、どうすれば破綻を少なく出来るかって対策委員は一生懸命考えてたんだけど、どーにもこーにも破綻ゼロには出来なかった。なら2年がそれを受け入れようって形でこうなった。
すがやんが魚を捌けるんだって話になると、釣りに行っている映像が浮かんできて「ぽいよな~」という感想が浮かんでくる。緑ヶ丘じゃない1年生たちはすがやんをあまり知らないけど、アウトドアの趣味がさわやかでいいなと好印象のようだ。っぱすがやんなんだよ。
「ねーちむりー、お菓子作りって難しいんでしょ」
「そうね~。私の感覚では、普通のお料理よりも、ずぅっと、繊細で、難しいわ~」
「私は大人しく出来てる物と作れる人のお世話になりまーす」
「モリ子、せっかくこのスペースにはキッチンがあるんだし~、今度、一緒にお菓子を作りましょうよ~」
「いやいや、夏合宿の話をしなきゃでしょ! お菓子なんて作ってる時間ないよちむりー!」
「もちろんプライベートでね~」
「だよねー。……ってムリだよ普通の料理だってそんなにしないのに! 普通の料理よりも繊細で難しいんでしょ!?」
「まあ、楽しそうですわね。よろしければわたくしもご一緒してもよろしくて?」
「わ~、もちろんです~。楽しくなりそうね、モリ子」
星ヶ丘のモリ子は番組に対しては結構バカマジメな印象だ。ファンフェスでのゲンゴロー先輩に憧れてその直後に門下に入ったとか。星ヶ丘では1年は普通もうちょっとしてから自分の行く班を考えることが多いそうだけど、それだけやりたいことのビジョンが強いのかもしれない。
番組面では俺とペアを組んで、それはもうマジメにキューシートを書いている。どんなトークをし、何の曲を使い、自分はどんな風にフェーダーを動かし、音の流れは……などなどミキサーの技術面でも質問責め。俺がMMPでアナミキの二刀流をやってなかったらどうしてたつもりなんだ。
「つかさ、モリ子って番組作る以外の、プライベートではあんまみんなと遊びたくない方? そういうのが嫌いって言うか」
「いえっ、むしろ好きですよ!」
「ならエマとちむりーとお菓子作ったらいいんじゃね? せっかくなんだし」
「みんなでやるのに失敗したくないじゃないですか。その前にレシピに沿って練習しないと」
「あら~、おいしく出来ればもちろん嬉しいけれど~、失敗しても、みんなでのお料理は楽しいものよ~」
「せっかくですもの、楽しんだ方がお菓子も美味しくなりますわよ」
「えっと、じゃあ一緒に作ります! でも、テストとステージがあるので8月5日以降でいいですか!」
「ええ。いいわよ~」
「5日以降ですわね。わたくしたちも向舞祭の練習がありますから、冷たいお菓子がいいですわね」
「ゼリーに、ババロアに、あ~、悩んじゃいますね~」
大体こんな感じで俺の班はエマとちむりーのペースになっていることが多々。でもまあ平和が一番だって強く思う。マジで。モリ子がインターフェイスにラジオだけやりにきてて、みんなで遊ぶのとかが嫌いじゃなくてよかった。活動方針の違いは人間関係のトラブルにもなりかねないから。
「あー、そーだ向舞祭もあったー…!」
「カノンさんは対策委員との兼務ですから、無理は禁物ですわよ」
「あざーす」
end.
++++
フェーズ3は夏合宿の班割りをするだけのキャラがまだいない。カノン班は何となく埋まった(空き1)。
エマちむが組んだら美味しいお菓子の話には絶対なる。高級なヤツと庶民のお菓子とくるみの話。
アナミキ二刀流のカノンがモリ子にミキサー云々の話をしてる話とかも見たいしわかちゃんは星大の存在感向上を頑張れ。
(phase3)
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「本日はクッキーを焼いてきましたのよ」
「わ~、おいしそう~。エマ先輩、いただきますね~」
「どうぞ。お口に合うとよろしいのですけれど」
何回か夏合宿の班打ち合わせをやっているうちに、ペアを組んだエマと緑ヶ丘のちむりーが結構仲良くなっていたらしい。仲は悪いよりいい方がいいのはもちろんなんだけど、毎回エマがお菓子を持ってくるので言い方は悪いけどエマがちむりーを餌付けしているようにも見える。
ちむりーは甘いものが好きだというのは自己紹介のときに聞いていた。大学ではくるみと日々どんな新スイーツがあーだこーだという話をしているとも。エマはエマで青女のサークルで一般市民の食べる大衆のお菓子を学んでいるという話だから相性は良かったのかもしれない。
「カノンさんも、他の皆さまもぜひ」
「じゃ、いただきます」
俺たちの班の打ち合わせは、カフェとかじゃなくて貸しスペースでやっている。必要なのは部屋代だけで、パソコンがあるから調べ物も出来るし、多少であれば音も出せる。飲み物は備え付けの物があるし、飲食物の持ち込みも出来るから不自由しない。
サークル内でお茶会文化のある星大のわかちゃんと青女のエマがお茶請けを持ってきたのをきっかけに、みんな打ち合わせになると何かしらのお菓子を持ってくるようになったっていうワケだ。俺も簡単なのを用意してる、たまにだけど。
「エマのクッキーうめー」
「ありがとうございます。自分でも焼けるようになりたくて、練習しましたのよ」
「料理って難しいんだろうなー。ちょっと前にウチでメンバーの料理スキルの話になったんだけど、出来る奴が多すぎてちょっと引いちまって。鳥ちゃんも最近になって料理の練習を始めたし、俺もカレーくらい作れるようになった方がいいかなとか、いろいろ考えちまう。わかちゃん料理出来る?」
「あんまり得意ではないなあ。去年のメンバーでもそういう話してなかった?」
「あー、してたかも。すがやんもたっちゃんもあんま出来ないっつってたっけ」
「あれ、すがやん先輩は~、お魚を捌けたと思いますよ~」
「えっ、そーなの!?」
「釣り友達に~、教えてもらったそうですよ~。とりぃ先輩にかっこいいところを見せたいからって~、練習したそうです~」
「えー! 魚捌けるってちむりーの先輩カッコいいね!」
「そうよね~」
「確かに魚を捌けるっていうのは凄いよね」
「骨を断ったりする力と身を分ける繊細な技術が同居しますものね」
「そーゆー特殊スキルも欲しいよなー」
余談だけど、わかちゃんとは2年連続で同じ班になった。班編成の都合と言うか、どうすれば破綻を少なく出来るかって対策委員は一生懸命考えてたんだけど、どーにもこーにも破綻ゼロには出来なかった。なら2年がそれを受け入れようって形でこうなった。
すがやんが魚を捌けるんだって話になると、釣りに行っている映像が浮かんできて「ぽいよな~」という感想が浮かんでくる。緑ヶ丘じゃない1年生たちはすがやんをあまり知らないけど、アウトドアの趣味がさわやかでいいなと好印象のようだ。っぱすがやんなんだよ。
「ねーちむりー、お菓子作りって難しいんでしょ」
「そうね~。私の感覚では、普通のお料理よりも、ずぅっと、繊細で、難しいわ~」
「私は大人しく出来てる物と作れる人のお世話になりまーす」
「モリ子、せっかくこのスペースにはキッチンがあるんだし~、今度、一緒にお菓子を作りましょうよ~」
「いやいや、夏合宿の話をしなきゃでしょ! お菓子なんて作ってる時間ないよちむりー!」
「もちろんプライベートでね~」
「だよねー。……ってムリだよ普通の料理だってそんなにしないのに! 普通の料理よりも繊細で難しいんでしょ!?」
「まあ、楽しそうですわね。よろしければわたくしもご一緒してもよろしくて?」
「わ~、もちろんです~。楽しくなりそうね、モリ子」
星ヶ丘のモリ子は番組に対しては結構バカマジメな印象だ。ファンフェスでのゲンゴロー先輩に憧れてその直後に門下に入ったとか。星ヶ丘では1年は普通もうちょっとしてから自分の行く班を考えることが多いそうだけど、それだけやりたいことのビジョンが強いのかもしれない。
番組面では俺とペアを組んで、それはもうマジメにキューシートを書いている。どんなトークをし、何の曲を使い、自分はどんな風にフェーダーを動かし、音の流れは……などなどミキサーの技術面でも質問責め。俺がMMPでアナミキの二刀流をやってなかったらどうしてたつもりなんだ。
「つかさ、モリ子って番組作る以外の、プライベートではあんまみんなと遊びたくない方? そういうのが嫌いって言うか」
「いえっ、むしろ好きですよ!」
「ならエマとちむりーとお菓子作ったらいいんじゃね? せっかくなんだし」
「みんなでやるのに失敗したくないじゃないですか。その前にレシピに沿って練習しないと」
「あら~、おいしく出来ればもちろん嬉しいけれど~、失敗しても、みんなでのお料理は楽しいものよ~」
「せっかくですもの、楽しんだ方がお菓子も美味しくなりますわよ」
「えっと、じゃあ一緒に作ります! でも、テストとステージがあるので8月5日以降でいいですか!」
「ええ。いいわよ~」
「5日以降ですわね。わたくしたちも向舞祭の練習がありますから、冷たいお菓子がいいですわね」
「ゼリーに、ババロアに、あ~、悩んじゃいますね~」
大体こんな感じで俺の班はエマとちむりーのペースになっていることが多々。でもまあ平和が一番だって強く思う。マジで。モリ子がインターフェイスにラジオだけやりにきてて、みんなで遊ぶのとかが嫌いじゃなくてよかった。活動方針の違いは人間関係のトラブルにもなりかねないから。
「あー、そーだ向舞祭もあったー…!」
「カノンさんは対策委員との兼務ですから、無理は禁物ですわよ」
「あざーす」
end.
++++
フェーズ3は夏合宿の班割りをするだけのキャラがまだいない。カノン班は何となく埋まった(空き1)。
エマちむが組んだら美味しいお菓子の話には絶対なる。高級なヤツと庶民のお菓子とくるみの話。
アナミキ二刀流のカノンがモリ子にミキサー云々の話をしてる話とかも見たいしわかちゃんは星大の存在感向上を頑張れ。
(phase3)
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