2024
■すがやんネットワーク
++++
「すがやん」
「ん? おー、ササ! おはよー。どーした?」
「あ、おはよう。じゃなくて、えっと、同じゼミの人からすがやんに渡してくれって頼まれたんだ。渡せばわかるからって」
「んー、何だろ。サンキューなー」
さっき、同じゼミの亮真からすがやんへと小包を預かってきた。すがやんはとにかく顔が広くて、学部が違う佐藤ゼミの中にも普通に何人か友達がいる。普通に大学生活を送ってるんじゃ学部の違う友達なんかそうそう出来ない。それこそサークルとかで出会わない限りは。
それらの友達はサークル見学の過程だとか、友達の友達みたいな感じで出会っているそうだ。だけど、出会ったら出会いっぱなしじゃなくてそれらの縁をきちんと育てていることが凄い。インターフェイスでも、夏合宿で同じ班だったメンバーと今でも遊んでるそうだし。
「おー! 頼んでた本だ! うれしー! ササ、ありがとな! えーっと、亮真とレンにもお礼しとかなきゃ」
「いえいえ」
「うわー、すげー」
「すがやん、それって何の本? 表紙を見る限りクマのぬいぐるみにしか見えないけど」
「ああ、テディベアの作り方の本だよ。あと、こっちはぬいぐるみの作り方の本」
「えっ、すがやんがテディベアを作るのか? って言うかそんな本を持ってるとか、まさか亮真がぬいぐるみを」
「あ、違う違う。亮真に手芸の趣味はなかったはず」
「だよな」
あからさまにホッとしてしまったけど、亮真はアウトドアの経験に長けてるし、何でも出来そうなイメージだからボタン付けくらいの簡単な裁縫くらいは出来てしまうんだろうとは思っている。
「えっと、この本は俺と亮真の釣り友達の星大の子に頼んで貸してもらったんだよ。ほら、俺の車の鍵に付けてるクマいるじゃん、これ」
「ああ、うん。発掘調査隊仕様ですがやんぽいなとは」
「これもその子が作ってくれたんだよ。その子と亮真が同郷でさ」
「へえ、北辰なのか」
「そうそう。テディベアを作るのはその子。自分で着る服も型から作るからマジですげーんだよ」
「それは本当に凄いな」
「で、テディベアを自分で作るかはともかく、作り方とかには興味あったから、本を貸してもらってちょっと勉強してみようかと」
「ネットで良かったんじゃ?」
「ササならわかってくれると思うけど、ネットでザッと見るのと本でじっくり見るのって充実感が違くね?」
「わかる。その辺の感覚を理解してくれるのって同期内では実はすがやんだよな」
同期内では玲那とサキはデジタルの方に寄ってる印象だし、くるみは映像やブログのコンテンツを作っている人だから、どうやったらそっちに引き込めるのかに重きを置いている。シノはそもそも本をあまり読まない。歴史文化学科で文学少年でないとは言えさすが文学部、すがやん万歳。
「と言うか元は亮真の友達なんだろ、その子」
「だな」
「普通に釣り友達として付き合ってるって凄いよな」
「そうかな?」
「そんなことやってたら友達の友達が無限に増えて、どこ行っても友達か知り合いがいるみたいなことになるだろ」
「あー、その現象って確かに結構あって、その星大の子って星大のパソコン自習室でバイトしてるんだけど、そこでミドリ先輩とアオ先輩にぶち当たってさ」
「まあまあちゃんと知ってる人だな!?」
「で、アオ先輩から「すがやんと釣りに行ったんだね」みたいに話振られて驚いたってさ。先輩はその子のSNSで見たそうなんだけど」
「誰のポストにもすがやんが写ってる写真上がってそう。勝手なイメージだけど」
「さすがにそれは大袈裟じゃね?」
ただ、佐藤ゼミの同期だけでもすがやんの友達は俺とシノを含めて現在分かっているだけで5人いる。シノによれば、大学祭ではどこを歩いていてもすがやんの友達がいたらしい。1人見つけたら30人はいる、とかそういうレベルだと。友達100人が例えじゃなくてガチ。それがすがやんだ。
「おっはよー!」
「おーすくるみ」
「おはよう」
「なになに何の話?」
「SNS上の誰のポストにもすがやんの写った写真が上がってそうって話だよ」
「あ、わかる! すがやんがいつ、どこで、誰と何してるかはネット上で追跡できちゃいそうだよね!」
「いや、とりぃとの行動だけはわからないだろうな」
「あ~、それもわかる~」
「それこそネットやデジタルでの記録じゃなくて、現実を肌身で感じることに重きを置いて――」
「……あっ。ササ、すがやんがサキの目してる」
「すみませんでした」
サキの目をされてしまえば俺にはもう謝るしか出来ないので、そこは素直に謝っておく。玲那とサキによれば、俺は自分の基準ですがやんととりぃの恋愛を妄想しすぎなのだと。俺としては応援のつもりだけど、やりすぎ、やらせすぎらしい。で、すがやんを怒らせがちだ。
「ササって実は恋バナだーい好きだよね。すがやんととりぃの話になったらすっごい生き生きするじゃん」
「下世話なんだよコイツは。自分がオープンだからって人にもそれを要求する節がある」
「とりぃ関連の話になった時のすがやんが怖すぎるんだよな。他の友達の前でそういう顔になることある?」
「ねーよ。基本的にはない」
「ササの前科が重すぎたんだね」
「それな」
「すみませんでした」
「でも、すがやんを怒らせることの出来る友達っていうのも凄いことだよササ! 多分胸張っていいよ!」
「それはいいことなのか?」
ただ、すがやんの友達の大多数はすがやんが怒るのをほとんど見たことがないだろうし、そのすがやんをちょくちょく怒らせる俺は友達の種類としてはまあまあ特殊なんだとは思う。と言うか、基本とりぃ関連でしか怒らないし、とりぃへの愛がデカすぎるんだよな。
「すがやんととりぃはカップルチャンネル開設したって天文学と考古学の話しかしなさそうな2人なんだから、ササの基準で考えちゃダメだよ」
「か、カップルチャンネル…?」
「あっでも、すがやんととりぃがショートでダンスとかしてるのも見たいかも! ねえねえ、何か踊ってみない!?」
「踊らないし!」
「カップルチャンネルってあれだろ? 別れたら真っ黒な画面に「別れました」って高橋メソッドみたいなサムネイルにするヤツ」
「ササの認識が偏りすぎてるなあ」
「カップルチャンネルはやんないし、踊りもしない。俺はすみっこで本読んでるからもうそっとしといて」
「すみっこで本を読んでるといよいよ本物のサキだぞ」
「いーから! ほっといて!」
「あー、すがやんがイジケちゃった」
end.
++++
でもすがやんはこの後「さっきはごめんなー」って普通に謝る。サキは「ササとくるみが悪い」ってバッサリやる。
すがやんのSNS活用方法の件が入らなかった。自分がガツガツポストするよりいいね&リプ派だとか、考古学の先生などをフォローしてるとか
星大情報センターのフェーズ3仕様のキャラクターが詰まらないのでご無沙汰レンレン、名前だけでもお久しぶり。
(phase3)
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「すがやん」
「ん? おー、ササ! おはよー。どーした?」
「あ、おはよう。じゃなくて、えっと、同じゼミの人からすがやんに渡してくれって頼まれたんだ。渡せばわかるからって」
「んー、何だろ。サンキューなー」
さっき、同じゼミの亮真からすがやんへと小包を預かってきた。すがやんはとにかく顔が広くて、学部が違う佐藤ゼミの中にも普通に何人か友達がいる。普通に大学生活を送ってるんじゃ学部の違う友達なんかそうそう出来ない。それこそサークルとかで出会わない限りは。
それらの友達はサークル見学の過程だとか、友達の友達みたいな感じで出会っているそうだ。だけど、出会ったら出会いっぱなしじゃなくてそれらの縁をきちんと育てていることが凄い。インターフェイスでも、夏合宿で同じ班だったメンバーと今でも遊んでるそうだし。
「おー! 頼んでた本だ! うれしー! ササ、ありがとな! えーっと、亮真とレンにもお礼しとかなきゃ」
「いえいえ」
「うわー、すげー」
「すがやん、それって何の本? 表紙を見る限りクマのぬいぐるみにしか見えないけど」
「ああ、テディベアの作り方の本だよ。あと、こっちはぬいぐるみの作り方の本」
「えっ、すがやんがテディベアを作るのか? って言うかそんな本を持ってるとか、まさか亮真がぬいぐるみを」
「あ、違う違う。亮真に手芸の趣味はなかったはず」
「だよな」
あからさまにホッとしてしまったけど、亮真はアウトドアの経験に長けてるし、何でも出来そうなイメージだからボタン付けくらいの簡単な裁縫くらいは出来てしまうんだろうとは思っている。
「えっと、この本は俺と亮真の釣り友達の星大の子に頼んで貸してもらったんだよ。ほら、俺の車の鍵に付けてるクマいるじゃん、これ」
「ああ、うん。発掘調査隊仕様ですがやんぽいなとは」
「これもその子が作ってくれたんだよ。その子と亮真が同郷でさ」
「へえ、北辰なのか」
「そうそう。テディベアを作るのはその子。自分で着る服も型から作るからマジですげーんだよ」
「それは本当に凄いな」
「で、テディベアを自分で作るかはともかく、作り方とかには興味あったから、本を貸してもらってちょっと勉強してみようかと」
「ネットで良かったんじゃ?」
「ササならわかってくれると思うけど、ネットでザッと見るのと本でじっくり見るのって充実感が違くね?」
「わかる。その辺の感覚を理解してくれるのって同期内では実はすがやんだよな」
同期内では玲那とサキはデジタルの方に寄ってる印象だし、くるみは映像やブログのコンテンツを作っている人だから、どうやったらそっちに引き込めるのかに重きを置いている。シノはそもそも本をあまり読まない。歴史文化学科で文学少年でないとは言えさすが文学部、すがやん万歳。
「と言うか元は亮真の友達なんだろ、その子」
「だな」
「普通に釣り友達として付き合ってるって凄いよな」
「そうかな?」
「そんなことやってたら友達の友達が無限に増えて、どこ行っても友達か知り合いがいるみたいなことになるだろ」
「あー、その現象って確かに結構あって、その星大の子って星大のパソコン自習室でバイトしてるんだけど、そこでミドリ先輩とアオ先輩にぶち当たってさ」
「まあまあちゃんと知ってる人だな!?」
「で、アオ先輩から「すがやんと釣りに行ったんだね」みたいに話振られて驚いたってさ。先輩はその子のSNSで見たそうなんだけど」
「誰のポストにもすがやんが写ってる写真上がってそう。勝手なイメージだけど」
「さすがにそれは大袈裟じゃね?」
ただ、佐藤ゼミの同期だけでもすがやんの友達は俺とシノを含めて現在分かっているだけで5人いる。シノによれば、大学祭ではどこを歩いていてもすがやんの友達がいたらしい。1人見つけたら30人はいる、とかそういうレベルだと。友達100人が例えじゃなくてガチ。それがすがやんだ。
「おっはよー!」
「おーすくるみ」
「おはよう」
「なになに何の話?」
「SNS上の誰のポストにもすがやんの写った写真が上がってそうって話だよ」
「あ、わかる! すがやんがいつ、どこで、誰と何してるかはネット上で追跡できちゃいそうだよね!」
「いや、とりぃとの行動だけはわからないだろうな」
「あ~、それもわかる~」
「それこそネットやデジタルでの記録じゃなくて、現実を肌身で感じることに重きを置いて――」
「……あっ。ササ、すがやんがサキの目してる」
「すみませんでした」
サキの目をされてしまえば俺にはもう謝るしか出来ないので、そこは素直に謝っておく。玲那とサキによれば、俺は自分の基準ですがやんととりぃの恋愛を妄想しすぎなのだと。俺としては応援のつもりだけど、やりすぎ、やらせすぎらしい。で、すがやんを怒らせがちだ。
「ササって実は恋バナだーい好きだよね。すがやんととりぃの話になったらすっごい生き生きするじゃん」
「下世話なんだよコイツは。自分がオープンだからって人にもそれを要求する節がある」
「とりぃ関連の話になった時のすがやんが怖すぎるんだよな。他の友達の前でそういう顔になることある?」
「ねーよ。基本的にはない」
「ササの前科が重すぎたんだね」
「それな」
「すみませんでした」
「でも、すがやんを怒らせることの出来る友達っていうのも凄いことだよササ! 多分胸張っていいよ!」
「それはいいことなのか?」
ただ、すがやんの友達の大多数はすがやんが怒るのをほとんど見たことがないだろうし、そのすがやんをちょくちょく怒らせる俺は友達の種類としてはまあまあ特殊なんだとは思う。と言うか、基本とりぃ関連でしか怒らないし、とりぃへの愛がデカすぎるんだよな。
「すがやんととりぃはカップルチャンネル開設したって天文学と考古学の話しかしなさそうな2人なんだから、ササの基準で考えちゃダメだよ」
「か、カップルチャンネル…?」
「あっでも、すがやんととりぃがショートでダンスとかしてるのも見たいかも! ねえねえ、何か踊ってみない!?」
「踊らないし!」
「カップルチャンネルってあれだろ? 別れたら真っ黒な画面に「別れました」って高橋メソッドみたいなサムネイルにするヤツ」
「ササの認識が偏りすぎてるなあ」
「カップルチャンネルはやんないし、踊りもしない。俺はすみっこで本読んでるからもうそっとしといて」
「すみっこで本を読んでるといよいよ本物のサキだぞ」
「いーから! ほっといて!」
「あー、すがやんがイジケちゃった」
end.
++++
でもすがやんはこの後「さっきはごめんなー」って普通に謝る。サキは「ササとくるみが悪い」ってバッサリやる。
すがやんのSNS活用方法の件が入らなかった。自分がガツガツポストするよりいいね&リプ派だとか、考古学の先生などをフォローしてるとか
星大情報センターのフェーズ3仕様のキャラクターが詰まらないのでご無沙汰レンレン、名前だけでもお久しぶり。
(phase3)
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