2023
■髪はファッションの肝だから
++++
「あーもーあっづい! 緑ヶ丘大学はホントケチ! サークル棟にも冷房つけてくれればいいのに何で暖房だけなのー!」
「ねー」
「あのなあくるみ、緑ヶ丘大学がケチだったら世の中の大学全部ケチなんだわ」
毎日毎日暑すぎてホントにムリ! って言うか今年本当に暑すぎない!? 絶対気の所為じゃないよね。さすがにもうそろそろちょっとずつでも涼しくなってくれないと困る! そんな中でも夏合宿の打ち合わせはやんなきゃいけないし。みんな倒れてないのが不思議なくらいだよ。
サークル室の扇風機をフルパワーで回して、何とか6人が何となくそこにいられる空間を作る努力はする。でも窓を開けたら余計あっつい風が入ってくるような気がするし、どうすれば一番涼しいのかは全然わかんない。手探り状態だよね。
「だってジムは涼しいんだよ!」
「そりゃこのクソ暑い中運動なんかしたら倒れるに決まってんだろ」
「そうだけどー! 髪だってせっかく涼しい中で丁寧にドライヤーしたのに外に出た瞬間びっちゃびちゃなんだよ」
「それは分かりすぎる」
「でしょ!? 深青のこの長い髪って地毛?」
「地毛だな」
「だったら夏のドライヤーのめんどくささと熱さはわかるよね!」
「なんなら夏じゃなくてもめんどくさい」
「うんうん」
「めんどくさくてもこの髪型でいたいからやるけどな」
「それ~」
深青はヴィジュアル系バンドをやってて、服装とかもいかにもバンドやってますって感じなんだよね。その服装が女性物? って言うかスカートとかなのにすっごい似合ってるんだよね。髪も背中とか、もうちょっとで腰に付きそうなくらいのポニーテールで。
で、深青の何が凄いかって言ったらこの暑さの中であたしとかは汗だくで顔もぐっちゃぐちゃなのに、メイクが何一つとして崩れてないの! なんなら汗もかいてないように見える! 首にタオルはかけてるし、本人は暑いなーって言ってるけど、サラッとしてるんだよね。
「琉生はドライヤーとかどうしてる?」
「私はー、結構ばさばさーってやっちゃいまーす」
「えっ、そうなの? きちんとセットされてるのに、適当なの?」
「最終的にセットするんでー、ドライヤーは、まあ」
「そっかー」
「そんなに長くないですしねー。ちゃんみおパイセンは長すぎですけどー、くるみ先輩と比べても、そこまでですよー」
琉生はスチームパンクっていうのの世界観を基調にしたファッションで、割と長袖とか裾の締まった服が多いように思う。髪は白く脱色してあって、メイクも割と白っぽい感じかな。で、こちらもメイクはこの暑さの中でも全然崩れてないよね!
どんなに汗だくでも絶対に崩れないメイク、みたいな物の情報がきちんと回る世間っていうのもあるんだと思うけど、あたしの周りの世間ではあんまりその情報が回ってこないんだよなあ。深青や琉生の周りにはちゃんと情報が回ってて羨ましい。
「髪乾かすときってさ、地肌までちゃーんと乾かさなきゃって言うでしょ? それがもう熱いって言うか」
「くるみのドライヤーってあれ付いてねーの?」
「どれ!?」
「ぬるい風出てくるヤツ」
「えっ、ホットとコールドしかないよ。あとスカルプモードっていうのかな? ぬるくはならないよ」
「最近のドライヤーって、室温に合わせてちょうどいい温度の風出してくれる機能があって、暑い部屋だったらぬるい風出してくれんだぜ。だからじっくりちゃんと乾かせるし、今までみたいに「熱い!」ってなりにくい」
「何それいいなー! えっ、いくらぐらいするドライヤー?」
「2万だったかな」
「うっ。ちょっとしんどい」
「俺は姉と折半したから買えたけど、1人で買うんなら確かにちょっと厳しいかもな」
うちのドライヤーはまだまだ使えそうだし、新調するには早いんだよなー。でも、今のドライヤーってそんなことになってたんだ! びっくり! その機能を使うにはそれなりのお金をちゃんと出さないといけないんだけど、あると絶対便利だもんね。払う価値あり。
「厳しくたって、払う価値がある物にはちゃんとお金って払ってもらえるでしょ? あたしはそういうところにはちゃんと出していきたいんだよ。商品を開発するのだってタダじゃないし」
「くるみってそっち側の人のことまで考えてるんだな」
「お金のことって難しいし、とにかくまず自分ってなりがちだけどさ。値上げ値上げでしんどくたって、上げなきゃ暮らしていけない人たちもいるし、お金が隅々まで渡らないとみんなのところに回らないんだよ。あたしに出来る事なんてタカが知れてるけど、出す価値のあるものには出すし、ブログでは物の価値をきちんと紹介したいよね」
「くるみ先輩マジメー」
「あたしだってたまにはマジメだよ。で! あたしたちが払った学費は何がどうしてどこに回ってるのか、サークル棟の冷房にだって回ってきたっていいじゃん!」
「そのとーり」
「結局そこに戻ってくんのか」
ここで騒いだって涼しくはならないんだけどね。ここで出来るせめてもの抵抗は自販機で冷たい物を買ってくるだとか、学食に行ってアイスを買ってくるとかその程度。ミキサーを使う以上、打ち合わせはこの部屋でなきゃいけないからね。
「って言うか、この部屋にスポットクーラーとか持ち込んだら怒られるかな!?」
「コンセント、足りますー?」
「そうだよね~」
「それに、うるさそうじゃないですかー」
「そうだったー! ダメかー」
「くるみせんぱーい、無ですよ無」
end.
++++
夏くる班の緑ヶ丘大学がケチなら~の件は昨年度もやった。よく言えばテッパン化。
(phase3)
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「あーもーあっづい! 緑ヶ丘大学はホントケチ! サークル棟にも冷房つけてくれればいいのに何で暖房だけなのー!」
「ねー」
「あのなあくるみ、緑ヶ丘大学がケチだったら世の中の大学全部ケチなんだわ」
毎日毎日暑すぎてホントにムリ! って言うか今年本当に暑すぎない!? 絶対気の所為じゃないよね。さすがにもうそろそろちょっとずつでも涼しくなってくれないと困る! そんな中でも夏合宿の打ち合わせはやんなきゃいけないし。みんな倒れてないのが不思議なくらいだよ。
サークル室の扇風機をフルパワーで回して、何とか6人が何となくそこにいられる空間を作る努力はする。でも窓を開けたら余計あっつい風が入ってくるような気がするし、どうすれば一番涼しいのかは全然わかんない。手探り状態だよね。
「だってジムは涼しいんだよ!」
「そりゃこのクソ暑い中運動なんかしたら倒れるに決まってんだろ」
「そうだけどー! 髪だってせっかく涼しい中で丁寧にドライヤーしたのに外に出た瞬間びっちゃびちゃなんだよ」
「それは分かりすぎる」
「でしょ!? 深青のこの長い髪って地毛?」
「地毛だな」
「だったら夏のドライヤーのめんどくささと熱さはわかるよね!」
「なんなら夏じゃなくてもめんどくさい」
「うんうん」
「めんどくさくてもこの髪型でいたいからやるけどな」
「それ~」
深青はヴィジュアル系バンドをやってて、服装とかもいかにもバンドやってますって感じなんだよね。その服装が女性物? って言うかスカートとかなのにすっごい似合ってるんだよね。髪も背中とか、もうちょっとで腰に付きそうなくらいのポニーテールで。
で、深青の何が凄いかって言ったらこの暑さの中であたしとかは汗だくで顔もぐっちゃぐちゃなのに、メイクが何一つとして崩れてないの! なんなら汗もかいてないように見える! 首にタオルはかけてるし、本人は暑いなーって言ってるけど、サラッとしてるんだよね。
「琉生はドライヤーとかどうしてる?」
「私はー、結構ばさばさーってやっちゃいまーす」
「えっ、そうなの? きちんとセットされてるのに、適当なの?」
「最終的にセットするんでー、ドライヤーは、まあ」
「そっかー」
「そんなに長くないですしねー。ちゃんみおパイセンは長すぎですけどー、くるみ先輩と比べても、そこまでですよー」
琉生はスチームパンクっていうのの世界観を基調にしたファッションで、割と長袖とか裾の締まった服が多いように思う。髪は白く脱色してあって、メイクも割と白っぽい感じかな。で、こちらもメイクはこの暑さの中でも全然崩れてないよね!
どんなに汗だくでも絶対に崩れないメイク、みたいな物の情報がきちんと回る世間っていうのもあるんだと思うけど、あたしの周りの世間ではあんまりその情報が回ってこないんだよなあ。深青や琉生の周りにはちゃんと情報が回ってて羨ましい。
「髪乾かすときってさ、地肌までちゃーんと乾かさなきゃって言うでしょ? それがもう熱いって言うか」
「くるみのドライヤーってあれ付いてねーの?」
「どれ!?」
「ぬるい風出てくるヤツ」
「えっ、ホットとコールドしかないよ。あとスカルプモードっていうのかな? ぬるくはならないよ」
「最近のドライヤーって、室温に合わせてちょうどいい温度の風出してくれる機能があって、暑い部屋だったらぬるい風出してくれんだぜ。だからじっくりちゃんと乾かせるし、今までみたいに「熱い!」ってなりにくい」
「何それいいなー! えっ、いくらぐらいするドライヤー?」
「2万だったかな」
「うっ。ちょっとしんどい」
「俺は姉と折半したから買えたけど、1人で買うんなら確かにちょっと厳しいかもな」
うちのドライヤーはまだまだ使えそうだし、新調するには早いんだよなー。でも、今のドライヤーってそんなことになってたんだ! びっくり! その機能を使うにはそれなりのお金をちゃんと出さないといけないんだけど、あると絶対便利だもんね。払う価値あり。
「厳しくたって、払う価値がある物にはちゃんとお金って払ってもらえるでしょ? あたしはそういうところにはちゃんと出していきたいんだよ。商品を開発するのだってタダじゃないし」
「くるみってそっち側の人のことまで考えてるんだな」
「お金のことって難しいし、とにかくまず自分ってなりがちだけどさ。値上げ値上げでしんどくたって、上げなきゃ暮らしていけない人たちもいるし、お金が隅々まで渡らないとみんなのところに回らないんだよ。あたしに出来る事なんてタカが知れてるけど、出す価値のあるものには出すし、ブログでは物の価値をきちんと紹介したいよね」
「くるみ先輩マジメー」
「あたしだってたまにはマジメだよ。で! あたしたちが払った学費は何がどうしてどこに回ってるのか、サークル棟の冷房にだって回ってきたっていいじゃん!」
「そのとーり」
「結局そこに戻ってくんのか」
ここで騒いだって涼しくはならないんだけどね。ここで出来るせめてもの抵抗は自販機で冷たい物を買ってくるだとか、学食に行ってアイスを買ってくるとかその程度。ミキサーを使う以上、打ち合わせはこの部屋でなきゃいけないからね。
「って言うか、この部屋にスポットクーラーとか持ち込んだら怒られるかな!?」
「コンセント、足りますー?」
「そうだよね~」
「それに、うるさそうじゃないですかー」
「そうだったー! ダメかー」
「くるみせんぱーい、無ですよ無」
end.
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夏くる班の緑ヶ丘大学がケチなら~の件は昨年度もやった。よく言えばテッパン化。
(phase3)
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