2023
■How to Communicate
++++
インターフェイスの技術向上対策委員という組織が主催する初心者講習会という行事があって、1年生はそれにぜひ参加してくださいと言われていたのでやって来た。会場となるのは星港大学の教室。こんな形で星大の教室に入ることになったのは複雑な気持ちだけど、今日の目的はきちんと果たさないと。
参加者は機材保障費という名目で1人500円を払う。行事で使う機材に何かあったときのためのお金だそうだ。何もなければインターフェイスの予算となって、今後適切に運用されるとのこと。お金を払って教室に入ると、アナウンサーはこっちでミキサーはこっちです、と大まかな席分けがされているらしかった。
「ジュン、俺らアナだからこっち側だってー」
「そっか。とりあえず俺は端の方に行くよ」
「えっ。お前講義とか講習とか、真ん前のど真ん中で受けそうなのに」
「角度のない教室でそれをやると単純に邪魔だから。ほら、殿ももう後ろに行ってる」
「あー……まあ、殿はそうなるわなあ。デカい奴なりの気遣いっつーか、慣れか」
5人で固まってやって来た俺たち向島の一団だったけど、殿は早々にミキサーの側の一番後ろの席に行ってしまった。俺も真ん前にいたら邪魔だろうと思って端の席に行こうと思ってたけど、殿は言うより早く動いていた。殿は俺より大きいし、そうするのが当たり前なんだろうなあ。さすがに194もあれば。
「じゃ、俺らはあっちだから」
「はーい。ツッツ、僕たちはどこに座ろうか。僕たちは特別大きくもないからあまり場所を気にしなくて大丈夫だと思うけど。……ツッツ?」
「ひっ……す、すごい人……」
「大丈夫? ……じゃ、なさそうだね」
「……パロ、どこにも行かないで」
端の方に移動してもよく見えるんだけど、どうやらツッツが人口密度に困惑しているようだ。ツッツはサークル随一の人見知りで、インターフェイスの行事に出る時はどうしようと先輩たちも心配していた。親身になって考えていた3人の先輩たちに対し、奏多先輩は「そんなもんどうしようもねーんだから行くだけ行って慣れるしかねーんだよ」とバッサリ言っていた。
確かにこの状況だったら行くだけ行って状況を理解して環境に慣れるしかない。サークル室でそれを聞いた時には奏多先輩は随分いい加減に突き放したなあと思ったけど、これは確かにそうするしかないと納得した。ツッツの人見知りは今日明日で治る物でもないし、今後どうなっていくかは確かにちょっと心配だ。
「おー、パロはさすがのコミュ力」
「ホントだ。もう知らない人と話してる」
「俺も他校の人と話してみてーなー」
「ジャックなら出来るだろ」
「次の休み時間にでも声かけてみるかー。ラジオの話とかするんだったら緑ヶ丘の人とかがいいのかな?」
「どうやって誰がどこの大学の人かを判別するんだ」
「あ、ホントだ!」
パロが他校の人と挨拶しているのを後目に、ツッツはその陰でビクビクしている。この2人は本当に対照的だと思う。一方、殿はと言えば。まだ席を探している人もいるのに殿の周りには不自然な空席がいくつも出来ていて、こちらも先輩たちの心配が現実のものとなったのか、と察し。自分たちは3日で慣れたけど、殿の体の大きさや厳つい顔が他校の人に与えるインパクトだ。
「こんにちはー」
「あ、こんちはー」
「どこの大学の方ですか?」
「えっと、俺たちは向島です。DJネームは俺がジャックで、こっちはジュンっす。そっちは?」
「俺は星大ですね。荒島岳っていいます」
「おー、ホームじゃないすか」
「でも、インターフェイスってやっぱり個性的な人が多いですね。先輩たちからは星大は比較的地味だから埋もれるって聞いてたんですけど」
「でも頭いい人って変人って言うし、星大の人も中身はぶっちぎってるんじゃないすか?」
ジャックと星大の彼が話しているのを聞きながら、俺は周りの様子を窺ってみる。確かに見た目にインパクトのある人もちらほら。黒いベールを被った闇の修道女みたいな人もいるし、落ち着きなくきょろきょろしてる人もいる。見た目のインパクトだったら殿も強いんだろうけど如何せん俺たちは慣れた。
星大の荒島君によれば、インターフェイスというのはかなり個性的な人間が集まる場所なんだそうだ。大学ごとにカラーがあるという話で、その中で言えば星大は薄めだとも。向島はキャラが濃いみたいによく言われるそうだけど、今年はどうなんだろうか。そこにずっといると何が濃くて何が薄いのかもよくわからなくなる。
「こんにちは!」
「あ、ああ、こんにちは」
「そっちのグループはどこ大のどちらさんですか!」
「えっと、俺が星大の荒島で、こっちは向島さんです」
「向島のジャックこと朝宮と」
「ジュンこと鷹来です」
「そちらは?」
「星ヶ丘の大井沢きぬだよ! よろしくね!」
……と挨拶をして彼女はまた次の人に挨拶をしにいってしまった。ここまで来るとコミュニケーション能力とかそういう次元じゃないなと思う。もちろん俺には到底できる芸当じゃない。嵐のようだったね、と荒島君が言うのには、素直に頷く。インターフェイスで爪痕を残すにはあれくらいやらないとなのかー、とジャックは鼻息が荒い。
「そろそろみんな席に付けよー」
対策委員の先輩たちが教室に入ってくると、いよいよだという空気が漂う。それまではガヤガヤしていた教室も、ざわざわ程度のボリュームになる。ツッツは……相変わらずビクビクしているようだし、殿の周りには人1人分の空きがある。
「皆さんが席につき次第、本日の資料を配布します」
end.
++++
フェーズ3から出て来る1年生のキャラ付けなりキャラ生みの作業回。
一応現段階で名前のある緑大と星ヶ丘を強化しつつ、他もまずはモブ的に生み出したい
(phase3)
.
++++
インターフェイスの技術向上対策委員という組織が主催する初心者講習会という行事があって、1年生はそれにぜひ参加してくださいと言われていたのでやって来た。会場となるのは星港大学の教室。こんな形で星大の教室に入ることになったのは複雑な気持ちだけど、今日の目的はきちんと果たさないと。
参加者は機材保障費という名目で1人500円を払う。行事で使う機材に何かあったときのためのお金だそうだ。何もなければインターフェイスの予算となって、今後適切に運用されるとのこと。お金を払って教室に入ると、アナウンサーはこっちでミキサーはこっちです、と大まかな席分けがされているらしかった。
「ジュン、俺らアナだからこっち側だってー」
「そっか。とりあえず俺は端の方に行くよ」
「えっ。お前講義とか講習とか、真ん前のど真ん中で受けそうなのに」
「角度のない教室でそれをやると単純に邪魔だから。ほら、殿ももう後ろに行ってる」
「あー……まあ、殿はそうなるわなあ。デカい奴なりの気遣いっつーか、慣れか」
5人で固まってやって来た俺たち向島の一団だったけど、殿は早々にミキサーの側の一番後ろの席に行ってしまった。俺も真ん前にいたら邪魔だろうと思って端の席に行こうと思ってたけど、殿は言うより早く動いていた。殿は俺より大きいし、そうするのが当たり前なんだろうなあ。さすがに194もあれば。
「じゃ、俺らはあっちだから」
「はーい。ツッツ、僕たちはどこに座ろうか。僕たちは特別大きくもないからあまり場所を気にしなくて大丈夫だと思うけど。……ツッツ?」
「ひっ……す、すごい人……」
「大丈夫? ……じゃ、なさそうだね」
「……パロ、どこにも行かないで」
端の方に移動してもよく見えるんだけど、どうやらツッツが人口密度に困惑しているようだ。ツッツはサークル随一の人見知りで、インターフェイスの行事に出る時はどうしようと先輩たちも心配していた。親身になって考えていた3人の先輩たちに対し、奏多先輩は「そんなもんどうしようもねーんだから行くだけ行って慣れるしかねーんだよ」とバッサリ言っていた。
確かにこの状況だったら行くだけ行って状況を理解して環境に慣れるしかない。サークル室でそれを聞いた時には奏多先輩は随分いい加減に突き放したなあと思ったけど、これは確かにそうするしかないと納得した。ツッツの人見知りは今日明日で治る物でもないし、今後どうなっていくかは確かにちょっと心配だ。
「おー、パロはさすがのコミュ力」
「ホントだ。もう知らない人と話してる」
「俺も他校の人と話してみてーなー」
「ジャックなら出来るだろ」
「次の休み時間にでも声かけてみるかー。ラジオの話とかするんだったら緑ヶ丘の人とかがいいのかな?」
「どうやって誰がどこの大学の人かを判別するんだ」
「あ、ホントだ!」
パロが他校の人と挨拶しているのを後目に、ツッツはその陰でビクビクしている。この2人は本当に対照的だと思う。一方、殿はと言えば。まだ席を探している人もいるのに殿の周りには不自然な空席がいくつも出来ていて、こちらも先輩たちの心配が現実のものとなったのか、と察し。自分たちは3日で慣れたけど、殿の体の大きさや厳つい顔が他校の人に与えるインパクトだ。
「こんにちはー」
「あ、こんちはー」
「どこの大学の方ですか?」
「えっと、俺たちは向島です。DJネームは俺がジャックで、こっちはジュンっす。そっちは?」
「俺は星大ですね。荒島岳っていいます」
「おー、ホームじゃないすか」
「でも、インターフェイスってやっぱり個性的な人が多いですね。先輩たちからは星大は比較的地味だから埋もれるって聞いてたんですけど」
「でも頭いい人って変人って言うし、星大の人も中身はぶっちぎってるんじゃないすか?」
ジャックと星大の彼が話しているのを聞きながら、俺は周りの様子を窺ってみる。確かに見た目にインパクトのある人もちらほら。黒いベールを被った闇の修道女みたいな人もいるし、落ち着きなくきょろきょろしてる人もいる。見た目のインパクトだったら殿も強いんだろうけど如何せん俺たちは慣れた。
星大の荒島君によれば、インターフェイスというのはかなり個性的な人間が集まる場所なんだそうだ。大学ごとにカラーがあるという話で、その中で言えば星大は薄めだとも。向島はキャラが濃いみたいによく言われるそうだけど、今年はどうなんだろうか。そこにずっといると何が濃くて何が薄いのかもよくわからなくなる。
「こんにちは!」
「あ、ああ、こんにちは」
「そっちのグループはどこ大のどちらさんですか!」
「えっと、俺が星大の荒島で、こっちは向島さんです」
「向島のジャックこと朝宮と」
「ジュンこと鷹来です」
「そちらは?」
「星ヶ丘の大井沢きぬだよ! よろしくね!」
……と挨拶をして彼女はまた次の人に挨拶をしにいってしまった。ここまで来るとコミュニケーション能力とかそういう次元じゃないなと思う。もちろん俺には到底できる芸当じゃない。嵐のようだったね、と荒島君が言うのには、素直に頷く。インターフェイスで爪痕を残すにはあれくらいやらないとなのかー、とジャックは鼻息が荒い。
「そろそろみんな席に付けよー」
対策委員の先輩たちが教室に入ってくると、いよいよだという空気が漂う。それまではガヤガヤしていた教室も、ざわざわ程度のボリュームになる。ツッツは……相変わらずビクビクしているようだし、殿の周りには人1人分の空きがある。
「皆さんが席につき次第、本日の資料を配布します」
end.
++++
フェーズ3から出て来る1年生のキャラ付けなりキャラ生みの作業回。
一応現段階で名前のある緑大と星ヶ丘を強化しつつ、他もまずはモブ的に生み出したい
(phase3)
.