2018
■地図の中心で水平を保つ
++++
「定例会です」
例によってカズが遅刻してきて10分押しで始まった定例会。いよいよファンタジックフェスタまで1週間ちょっとということで、会議の方も回を重ねるごとにどんどん深いところに進んで行ってる。
「さて、前回は機材を星大さんで出してもらうことに決まったところで。大石君、その後どうだい? 星大さんからの要望など」
「えっと、機材補償費はウチで全額欲しいなーっていうのと、今より状態を悪くしなければってトコかな」
インターフェイスでも機材は持ってるんだけど、それを掘り起こすのが思った以上に重労働らしくて。ウチで出してもらえないかって頼まれたから、大学に持ち帰って石川との話し合いの結果、こうなりました。
石川からはインターフェイスの機材があるのにとか、対策委員の解散の時にしっかり片付けて定例会の担当にも引き継いだのに何を言ってるんだって言われた。壊したらどうするんだとも。元々石川は定例会に対する心象が良くなくて、警戒されたよね。
石川の言うこともわかるんだよね。機材を置かせてもらってるこのビルはファンフェスの会場からも近いし。物置の部屋は確かに暗いし汚い。だけど、どっちにしてもリクエスト用の音源は掘り起こしに来るんだから。
ただ、俺は定例会だから定例会サイドの言い分もわかるんだよね。ウチから出す方が楽だし路駐のリスクもない。圭斗の言うことも定例会としてはわかるし石川の言うことも星大の目線で見ればその通りだと思う。
だけど、何とか頼み込んでウチから機材を出させてもらうことになった。で、石川から提示されたのが先の条件。何かあったときの為に出す参加人数×500円の機材補償費は全額星大でもらうことと、機材の状態は絶対に落とさないでねっていうのと。
「ん、大石君にしては随分と条件が頑張ってる印象だね」
「圭斗、トオルを挟んだらこうなるって。わかったよちーちゃん、機材補償費は全額星大さんに渡すよ」
「いや、伊東お前その条件呑むか? まんまと石川君に丸め込まれてるじゃないか」
「いや、出すでしょ星大さんの機材なんだから。で、機材の状態に関しては俺がインターフェイスとして責任を持つし、トオルにはそう伝えてもらって」
「カズ、ありがとう」
――っていうことを伝えても、石川はきっと本当の意味では納得してくれないんだろうなあ。石川と圭斗って仲悪いもんなあ。互いの名前が絡んでるとどうも斜に構えちゃうんだろうなあ。
こんなとき、カズがいてくれてよかったなって思う。カズは3年生の数少ないミキサーとして石川とも仲がいいし(って言うかカズって誰とでも仲がいいよね)。腕のあるカズの名前を出しておけば、石川も機材のことは信用してくれるだろうから。
「では話は変わって。最近、星港市でもはしかの流行が確認されています。僕たちは予防接種をちゃんとしてる世代ではあるけど、一応気をつけてください」
「いえーい、俺高校の時やってるから余裕だぜ」
「と言うか、どうして予防接種をしてるのに拾うんだい?」
「それもそっか。でも1回やってるからもう平気だよな!」
あれっ、そう言えば兄さんってはしかの予防接種1回の世代じゃなかったっけ。30代は警戒してくださいってテレビでやってた気がする。本人が一番わかってるだろうけど、家に帰ったらそれとなく聞いてみよう。
「えーと、あとはあれだね。当日までと、当日の注意事項を今この場にいない班長たちにも連絡しないといけないね。その辺は伊東と朝霞君に任せていいかな?」
「オッケー了解了解」
「ああ、わかった。何を伝えれば」
「ん、そうだね。それをこれから決めようか。ああ、それと、高崎と山口君には当日、定例会以外の一般参加者を集めて現場に来てもらいたいんだ。その旨だね。それで、僕が今から言うことが一般参加者の集合に関する最重要項目なんだけども」
「うん」
「何だ」
「向島の遅刻に関しては切り捨ててきてくれと。1分1秒たりとも待つ必要はないということをお伝えください」
「へーきへーき、高ピーはその辺無慈悲だから」
「お前に鍛えられてるもんな」
「そーそー、って言わすな! あー、でもよっぺは優しいから確かに待っててくれそうだね」
「向島は切り捨てさせればいいんだな。その他の大学さんはどうする」
「お任せするよ。向島は切り捨てて構わないから」
そう言えばなっちが言ってたっけ、向島の子たちはりっちゃん以外時間にルーズで困ってるって。言っちゃえば圭斗もちょっと時間には大らかなところがあるそうだし(定例会じゃカズに怒ってるけどね)。
こんな感じで定例会は進む。圭斗とカズの、時々ヒビキも加わる漫才的な掛け合いを聞きながら。
end.
++++
圭斗さんとイシカー兄さんとの間で板挟みになるちーちゃんの図。どっちの言いたいこともわかるだけにつらいね!
そしていち氏がさらっと機材保障費を全額星大に渡すことを決定w これが後に定例会委員長兼会計兼機材管理担当になる男の力である
向島の遅刻を切り捨てるというお話。確かに高崎は無慈悲だし洋平ちゃんは待っててくれそう。そのイメージに間違いはなさそうだね!
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「定例会です」
例によってカズが遅刻してきて10分押しで始まった定例会。いよいよファンタジックフェスタまで1週間ちょっとということで、会議の方も回を重ねるごとにどんどん深いところに進んで行ってる。
「さて、前回は機材を星大さんで出してもらうことに決まったところで。大石君、その後どうだい? 星大さんからの要望など」
「えっと、機材補償費はウチで全額欲しいなーっていうのと、今より状態を悪くしなければってトコかな」
インターフェイスでも機材は持ってるんだけど、それを掘り起こすのが思った以上に重労働らしくて。ウチで出してもらえないかって頼まれたから、大学に持ち帰って石川との話し合いの結果、こうなりました。
石川からはインターフェイスの機材があるのにとか、対策委員の解散の時にしっかり片付けて定例会の担当にも引き継いだのに何を言ってるんだって言われた。壊したらどうするんだとも。元々石川は定例会に対する心象が良くなくて、警戒されたよね。
石川の言うこともわかるんだよね。機材を置かせてもらってるこのビルはファンフェスの会場からも近いし。物置の部屋は確かに暗いし汚い。だけど、どっちにしてもリクエスト用の音源は掘り起こしに来るんだから。
ただ、俺は定例会だから定例会サイドの言い分もわかるんだよね。ウチから出す方が楽だし路駐のリスクもない。圭斗の言うことも定例会としてはわかるし石川の言うことも星大の目線で見ればその通りだと思う。
だけど、何とか頼み込んでウチから機材を出させてもらうことになった。で、石川から提示されたのが先の条件。何かあったときの為に出す参加人数×500円の機材補償費は全額星大でもらうことと、機材の状態は絶対に落とさないでねっていうのと。
「ん、大石君にしては随分と条件が頑張ってる印象だね」
「圭斗、トオルを挟んだらこうなるって。わかったよちーちゃん、機材補償費は全額星大さんに渡すよ」
「いや、伊東お前その条件呑むか? まんまと石川君に丸め込まれてるじゃないか」
「いや、出すでしょ星大さんの機材なんだから。で、機材の状態に関しては俺がインターフェイスとして責任を持つし、トオルにはそう伝えてもらって」
「カズ、ありがとう」
――っていうことを伝えても、石川はきっと本当の意味では納得してくれないんだろうなあ。石川と圭斗って仲悪いもんなあ。互いの名前が絡んでるとどうも斜に構えちゃうんだろうなあ。
こんなとき、カズがいてくれてよかったなって思う。カズは3年生の数少ないミキサーとして石川とも仲がいいし(って言うかカズって誰とでも仲がいいよね)。腕のあるカズの名前を出しておけば、石川も機材のことは信用してくれるだろうから。
「では話は変わって。最近、星港市でもはしかの流行が確認されています。僕たちは予防接種をちゃんとしてる世代ではあるけど、一応気をつけてください」
「いえーい、俺高校の時やってるから余裕だぜ」
「と言うか、どうして予防接種をしてるのに拾うんだい?」
「それもそっか。でも1回やってるからもう平気だよな!」
あれっ、そう言えば兄さんってはしかの予防接種1回の世代じゃなかったっけ。30代は警戒してくださいってテレビでやってた気がする。本人が一番わかってるだろうけど、家に帰ったらそれとなく聞いてみよう。
「えーと、あとはあれだね。当日までと、当日の注意事項を今この場にいない班長たちにも連絡しないといけないね。その辺は伊東と朝霞君に任せていいかな?」
「オッケー了解了解」
「ああ、わかった。何を伝えれば」
「ん、そうだね。それをこれから決めようか。ああ、それと、高崎と山口君には当日、定例会以外の一般参加者を集めて現場に来てもらいたいんだ。その旨だね。それで、僕が今から言うことが一般参加者の集合に関する最重要項目なんだけども」
「うん」
「何だ」
「向島の遅刻に関しては切り捨ててきてくれと。1分1秒たりとも待つ必要はないということをお伝えください」
「へーきへーき、高ピーはその辺無慈悲だから」
「お前に鍛えられてるもんな」
「そーそー、って言わすな! あー、でもよっぺは優しいから確かに待っててくれそうだね」
「向島は切り捨てさせればいいんだな。その他の大学さんはどうする」
「お任せするよ。向島は切り捨てて構わないから」
そう言えばなっちが言ってたっけ、向島の子たちはりっちゃん以外時間にルーズで困ってるって。言っちゃえば圭斗もちょっと時間には大らかなところがあるそうだし(定例会じゃカズに怒ってるけどね)。
こんな感じで定例会は進む。圭斗とカズの、時々ヒビキも加わる漫才的な掛け合いを聞きながら。
end.
++++
圭斗さんとイシカー兄さんとの間で板挟みになるちーちゃんの図。どっちの言いたいこともわかるだけにつらいね!
そしていち氏がさらっと機材保障費を全額星大に渡すことを決定w これが後に定例会委員長兼会計兼機材管理担当になる男の力である
向島の遅刻を切り捨てるというお話。確かに高崎は無慈悲だし洋平ちゃんは待っててくれそう。そのイメージに間違いはなさそうだね!
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