2022(02)
■新体制の地盤固め
＋＋＋＋
「大体みんな来たかな。それじゃあ、今日のサークルを始めましょう」
大学祭が終わって、サークルの代替わりがあった。いよいよ今の２年生、俺たちの学年の代に入っていくことになる。大学祭の後夜祭後、片付けが終わって発表されたのが新人事だ。サークルのトップと言えるアナウンス部長と機材部長、会計に機材管理担当といった様々な役職が発表されて行くときには妙な緊張感があった。
結果として新アナウンス部長は玲那、機材部長はシノになった。会計はくるみ。サキはシステム担当ということでインターフェイスの機材との連携も図っていくことになる。俺とすがやんにはこれといった役職はないけれど、すがやんは定例会の方で重要な役割を担うことになっているだろう。……うん、まあ、俺も出来ることをやるだけだ。
「何か連絡のある人はいますか」
「はい」
「エージ先輩。お願いします」
「はい。それじゃあ大学祭関係の報告をします。食品ブースの売り上げを計算して――」
３年生が仕切るのは大学祭までというのがMBCCの慣わしで、大学祭の収支報告であったり、大学祭の打ち上げまでは先輩がやってくれるみたいだ。エージ先輩からの報告によれば今年の食品ブースも例年並みの黒字運営になったそうで、打ち上げも一番いいコースでやれることになったらしい。食品ブースの稼ぎでまず飲み会のグレードを上げて、それでも余れば積み立てだ。普通は逆なんだろうけど。
「大学祭関係の報告は以上です」
「ありがとうございました。他に連絡のある人。すがやん、定例会は？」
「あっ、そうだ。はい、それじゃあ定例会からのお知らせです。定例会も代替わりということで、役職人事が発表されました」
まあ例によって２年で集まるとサークルや定例会の次期役職人事の話が盛り上がるんだ。サークルに関しては大体予想通りって感じで、驚きも少なかったから来週からまたみんなで頑張って行こうっていう風に６人で話してたんだ。定例会の人事はインターフェイス全体を見た上で決まることとは言え、すがやんかカノンが議長になるだろうとみんな思っている風ではある。
と言うか、定例会と対策委員って役職の決め方が全然違うんだよな。定例会はサークルみたいに先の代の先輩が次の役職を指名するらしいんだけど、対策委員はまず顔を合わせてから本人たちが話し合って役職を決めていくそうだ。この役職決め会議で存在感とか立場が固まってしまうとは当麻が言っていた。
「新議長はエマで、委員長は彩人」
「あ、え？」
聞いてないんだが？
「陸さん、最後まで静かに聞いててね」
「あ、はい、すみません」
「えー、続きな？ 副委員長は俺が務めさせてもらいます。機材管理担当とシステム担当が引き続きサキと奏多。会計に千颯。あと、新たな役職として、動画サイトのチャンネル管理だとか、映像関係の仕事を雨竜にお願いすることになりました」
「すがやん、カノンは？ あたしカノンだったら議長とか、三役になってると思ってた！」
「あー、それな？ 一応先輩たちがこの人事の意図を説明してくれたんだけど、ラジオだけじゃない活動も増えてきてるし、ちゃんと土台を固めていく上ではきちんと“みんなで”話し合わないとダメだよって言ってたんだよなー。で、先入観なく人の話を聞けるし社交力も高いから、話し合いの場もしっかり回せるだろうとエマが議長に抜擢されたんだって」
「彩人が委員長になったのは？」
「ステージのプロデューサーとしての視点は必ず定例会、インターフェイス全体を見る上で役に立つ！ ってミドリ先輩が。あと普段静かなのは密かにめちゃくちゃ考えてるんだろうし、役職を与えてそれを表に出させよう、的な？ で、カノンが何の役職にもなってないのは現状対策委員兼務ってのもあるけどカノンだったら立場とか役職とか関係なく前に出て来てグイッグイ来るからって」
「あ、わかる！」
「もしカノンが暴走したら三役が止めろって先輩たちは笑ってたよ」
「三役がって言うか、主にすがやんが？」
「それに関してはあんま信用されてないっぽくてさ俺」
「えー！」
エマは骨のある奴だしなかなかに良い奴だという話はサキや彩人から聞いたことがあるけど、やっぱり青女のガチお嬢様の印象が強い。まさか定例会議長に指名されるほどとは思ってなかったワケで。と言うか彩人の委員長就任だよ。星ヶ丘の代替わりで新たに班長になったって話は聞いてたけど、何でこっちは黙ってたんだ。
「役職人事についてはこんな感じです。あと、向島さんとの交流会の企画が上がってます。毎年恒例の飲み会と缶蹴り大会を軸に行こうかって感じで、俺とカノンが中心になって企画してます」
「去年の缶蹴りってどっち勝ったっけ？」
「去年はウチが勝ったはず」
「高崎先輩が怖かったことしか覚えてない」
「「引き分けは負けと同じだ、連中を完膚なきまで叩き潰せ」ってヤツだよな。あれは確かに怖かった」
「えっと、交流会には３年生の先輩もぜひ参加してください」
「おっ、楽しみにしてるべ」
「うんうん」
こうやってどんどん予定が埋まって来ると、年末までのカレンダーを意識し始めるな。飲み会も増えて来るし金銭管理をしっかりしておかないと。あと、飲み食いがたたって体がだらしなくなりそうだし、絞るところでは絞っておかないと。缶蹴りもあるし、少し走るか？ それともくるみのトレーニングに付き合わせてもらうか？
「定例会からのお知らせは以上です」
「他に連絡のある人」
「はい、対策委員もいーすか」
「はいどうぞ」
「対策委員っす。夏合宿の全体打ち上げの店と日程が出ました。それで――」
end.
＋＋＋＋
MBCCの代替わりも重要役職は大体タカエイの話し合いの通りに進んだらしい。
緑ヶ丘と向島以外の大学は設定がまだほとんどないので風の噂程度の話しかないけど彩人が班長になるのはまあ既定路線かと
フェーズ２の缶蹴りは勝敗について語られたことがなかったけど、MBCCが勝ってたのね。これには高崎もにっこり
(phase3)
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「大体みんな来たかな。それじゃあ、今日のサークルを始めましょう」
大学祭が終わって、サークルの代替わりがあった。いよいよ今の２年生、俺たちの学年の代に入っていくことになる。大学祭の後夜祭後、片付けが終わって発表されたのが新人事だ。サークルのトップと言えるアナウンス部長と機材部長、会計に機材管理担当といった様々な役職が発表されて行くときには妙な緊張感があった。
結果として新アナウンス部長は玲那、機材部長はシノになった。会計はくるみ。サキはシステム担当ということでインターフェイスの機材との連携も図っていくことになる。俺とすがやんにはこれといった役職はないけれど、すがやんは定例会の方で重要な役割を担うことになっているだろう。……うん、まあ、俺も出来ることをやるだけだ。
「何か連絡のある人はいますか」
「はい」
「エージ先輩。お願いします」
「はい。それじゃあ大学祭関係の報告をします。食品ブースの売り上げを計算して――」
３年生が仕切るのは大学祭までというのがMBCCの慣わしで、大学祭の収支報告であったり、大学祭の打ち上げまでは先輩がやってくれるみたいだ。エージ先輩からの報告によれば今年の食品ブースも例年並みの黒字運営になったそうで、打ち上げも一番いいコースでやれることになったらしい。食品ブースの稼ぎでまず飲み会のグレードを上げて、それでも余れば積み立てだ。普通は逆なんだろうけど。
「大学祭関係の報告は以上です」
「ありがとうございました。他に連絡のある人。すがやん、定例会は？」
「あっ、そうだ。はい、それじゃあ定例会からのお知らせです。定例会も代替わりということで、役職人事が発表されました」
まあ例によって２年で集まるとサークルや定例会の次期役職人事の話が盛り上がるんだ。サークルに関しては大体予想通りって感じで、驚きも少なかったから来週からまたみんなで頑張って行こうっていう風に６人で話してたんだ。定例会の人事はインターフェイス全体を見た上で決まることとは言え、すがやんかカノンが議長になるだろうとみんな思っている風ではある。
と言うか、定例会と対策委員って役職の決め方が全然違うんだよな。定例会はサークルみたいに先の代の先輩が次の役職を指名するらしいんだけど、対策委員はまず顔を合わせてから本人たちが話し合って役職を決めていくそうだ。この役職決め会議で存在感とか立場が固まってしまうとは当麻が言っていた。
「新議長はエマで、委員長は彩人」
「あ、え？」
聞いてないんだが？
「陸さん、最後まで静かに聞いててね」
「あ、はい、すみません」
「えー、続きな？ 副委員長は俺が務めさせてもらいます。機材管理担当とシステム担当が引き続きサキと奏多。会計に千颯。あと、新たな役職として、動画サイトのチャンネル管理だとか、映像関係の仕事を雨竜にお願いすることになりました」
「すがやん、カノンは？ あたしカノンだったら議長とか、三役になってると思ってた！」
「あー、それな？ 一応先輩たちがこの人事の意図を説明してくれたんだけど、ラジオだけじゃない活動も増えてきてるし、ちゃんと土台を固めていく上ではきちんと“みんなで”話し合わないとダメだよって言ってたんだよなー。で、先入観なく人の話を聞けるし社交力も高いから、話し合いの場もしっかり回せるだろうとエマが議長に抜擢されたんだって」
「彩人が委員長になったのは？」
「ステージのプロデューサーとしての視点は必ず定例会、インターフェイス全体を見る上で役に立つ！ ってミドリ先輩が。あと普段静かなのは密かにめちゃくちゃ考えてるんだろうし、役職を与えてそれを表に出させよう、的な？ で、カノンが何の役職にもなってないのは現状対策委員兼務ってのもあるけどカノンだったら立場とか役職とか関係なく前に出て来てグイッグイ来るからって」
「あ、わかる！」
「もしカノンが暴走したら三役が止めろって先輩たちは笑ってたよ」
「三役がって言うか、主にすがやんが？」
「それに関してはあんま信用されてないっぽくてさ俺」
「えー！」
エマは骨のある奴だしなかなかに良い奴だという話はサキや彩人から聞いたことがあるけど、やっぱり青女のガチお嬢様の印象が強い。まさか定例会議長に指名されるほどとは思ってなかったワケで。と言うか彩人の委員長就任だよ。星ヶ丘の代替わりで新たに班長になったって話は聞いてたけど、何でこっちは黙ってたんだ。
「役職人事についてはこんな感じです。あと、向島さんとの交流会の企画が上がってます。毎年恒例の飲み会と缶蹴り大会を軸に行こうかって感じで、俺とカノンが中心になって企画してます」
「去年の缶蹴りってどっち勝ったっけ？」
「去年はウチが勝ったはず」
「高崎先輩が怖かったことしか覚えてない」
「「引き分けは負けと同じだ、連中を完膚なきまで叩き潰せ」ってヤツだよな。あれは確かに怖かった」
「えっと、交流会には３年生の先輩もぜひ参加してください」
「おっ、楽しみにしてるべ」
「うんうん」
こうやってどんどん予定が埋まって来ると、年末までのカレンダーを意識し始めるな。飲み会も増えて来るし金銭管理をしっかりしておかないと。あと、飲み食いがたたって体がだらしなくなりそうだし、絞るところでは絞っておかないと。缶蹴りもあるし、少し走るか？ それともくるみのトレーニングに付き合わせてもらうか？
「定例会からのお知らせは以上です」
「他に連絡のある人」
「はい、対策委員もいーすか」
「はいどうぞ」
「対策委員っす。夏合宿の全体打ち上げの店と日程が出ました。それで――」
end.
＋＋＋＋
MBCCの代替わりも重要役職は大体タカエイの話し合いの通りに進んだらしい。
緑ヶ丘と向島以外の大学は設定がまだほとんどないので風の噂程度の話しかないけど彩人が班長になるのはまあ既定路線かと
フェーズ２の缶蹴りは勝敗について語られたことがなかったけど、MBCCが勝ってたのね。これには高崎もにっこり
(phase3)
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