2022(02)
■God is real.
++++
「おいジュン! 大変やぞ!」
「どうしたんだうっしー、そんなに慌てて」
「ものっそいイケメンと、ものっそい美人がウチのブースんトコにおる!」
大学祭2日目、今日は土曜日で外部からの人も多く来場して賑わうのだという話を聞いている。食品ブースの仕込みも結構ガッツリやってたし、ラジオブースの中継にしても昨日は実質的にリハーサルだとか調整の意味合いが強かったように思う。で、うっしーが騒いでいることだ。外部からの人が来るんだから、イケメンや美人くらいいてもおかしくないだろうと。
「ほら見ーよ、あれ。ヤバない?」
「確かに美男美女だけど、ん…? でも、何となく見たことがあるような」
MMPのメンバーは代々ブースの中か裏で思い思いに過ごすことが多いらしく、近くにはアウトドア用の折り畳みイスがセットしてある。ただ、今年はDJブースと食品ブースの2ブースが稼働しているのでまあまあみんな休みなく働いているような感じだ。と言うか、近くにいるからシフトの時間じゃなくても大体働いてたりする。
アウトドア用の折り畳みイスはあくまでサークルの所有物なので、外部の人に横取りされないようケイトくんに場所取りをお願いしているような感じだ。今日のお願いは商売繁盛。さすが、MMPを見守る神だけあってそこまで大きくないご神体であるにも関わらずそこにあるだけで貫禄のような物が感じられる。大きさだけが貫禄ではないのだとよくわかる。
「ああ、懐かしいね。ケイトくんはまだ現役か」
「そうみたいだな。と言うか、わかるメンバーがいなくないか」
「うーん、そのようだね。野坂はロボコンの準備に忙しいだろうし、奈々は友達と出歩いている可能性もあるからね」
俺がうっしーの言う“ものっそいイケメン”の人に見覚えがあるのはよくよく考えれば当然だ。画力向上のための模写素材として使わせてもらっていたアルバムで見ていたのに違いない。まだ確認はしてないけど、男性の方は多分OBの人だろう。そんなことを考えていると、男性の方はケイトくんを抱きかかえる。それを女性の方がカメラに収める。
「あの、すみません」
「ああ、失礼。MMPの現役の子かな」
「1年の鷹来純平といいます。失礼ですが、OBの先輩ですか?」
「僕は今年の春に卒業した松岡圭斗で、彼女は同期の奥村菜月さんだね」
「もしかして、ケイトくんの、中の方でいらっしゃるのですか!?」
「中の人と言うか、元ネタと言うか。まあ、僕の名前から取られていることには違いないね」
「うっしー! ちょい来て」
「何やー」
「この間卒業された先輩方だそうだ。で、こちらの方がケイトくんの中の方の、松岡圭斗さん」
「はー!? 神が実在するんかー! バリイケメンっすね! あっ、自分イキリ陰キャのお喋り袋、うっしーこと牛山翔太いいますー。ケイトくんと言えば金運に恋愛、仕事に勉学、料理と花の神として崇め讃えられとりますからね! いやーヤバいわー本物やー」
「……圭斗がここまで神格化されてるとか、ノサカ教にでも入信してるのか?」
「自分もテスト期間には参拝させていただきました」
「勉学だったら僕よりも野坂を崇めた方が良くないかな?」
「あっ、あきませんよ圭斗先輩! ジュンに野坂先輩の成績の話を振ったらまっくろジュンジュンゆーてダークでブラックな人格が顔出しますからね、ぶん殴られますよ」
「うっしー。お前は先輩に何てことを言うんだ。すみません」
「ノサカや圭斗ならいくらでも殴ってもらって構わないぞ」
「さすがに先輩は殴れません」
圭斗先輩は華やかなビジュアルの通り、立ち振る舞いも何となく華やかな雰囲気がある。オーラと言うのだろうか。一方で、恐らくは野坂先輩と春風先輩が憧れている伝説のアナウンサーの菜月先輩(……と、心の中で馴れ馴れしく呼ぶことも憚られる)はクールと言うか、ピシッとした雰囲気がある……のだけど。し、視線が。
「ええと……失礼ですが、俺が、何か」
「いや。ジュンと言うと、MMPに突如として現れた神絵師だという話は聞いていて。圭斗、聞いたか? うちらが書くだけ書いてとっちらかしたラジドラの脚本を、このジュンがコミカライズしてるらしいぞ」
「ナ、ナンダッテー!?」
「そ、その話をどなたから…?」
「ノサカから漫画のファイルが送られて来たんだ。実によく出来てたなと思って」
「また知らないうちに広がってる……」
「そーなんですよ! ジュンは第10代MMPが誇る神絵師なんですわ! ブースの表に燦然と輝く看板もジュンが描いたんですよ!」
「遠くからでも目を引くし、凄いなあ。これは刺激を受けるぞ。看板の作りも高級になってるし。そもそもが段ボールと合板っていう、素材からして差が歴然としている」
「看板の土台に関しては、ツッツというDIYが得意なメンバーが担当してくれて、俺はその上に描かせてもらって」
「圭斗、聞いたか? とうとう装飾の作業を分担して行う時代だぞ。しかもこのクオリティだ」
「いかに時代が流れても、僕の中で菜月さんこそが装飾の神であるという事実は消えないよ」
「そう言うんならポテトはお前持ちだぞ」
「ん、それとこれとは別件だね」
OBの先輩たちの会話のテンポがどことなく4年生の先輩たちの雰囲気を彷彿とする……と言うか、厳密には4年生の先輩がOBの先輩の流れを受け継いでいるのかもしれない。少し前までは悪乗りだとか悪ふざけがベースにあったサークルだという話だけど、そういう雰囲気が節々から感じられる。
「ところで先輩らは仕事の休みに遊びに来たよーな感じなんです?」
「そうだね。野坂がロボコンに出ると言うからその冷やかしも兼ねてね」
「ロボコンには春風先輩も出場されるということで、MMPを上げて応援してるんですよ」
「春風と言えば、他の2年生はどうした? カノンと、奏多だっけ」
「それがですね、今年のDJブースは同時に学祭が行われているインターフェイスの他の大学さんと連携して中継を挟むという形になってるんです。そこで、せっかくだったら春風先輩の雄姿を配信したいとカノン先輩が張り切っていまして……奏多先輩はそれに巻き込まれてる感じです」
「何か、技術的にも進歩し過ぎてて最早ワケがわからないね」
「いいことなんじゃないのか、やりたいことがやれるっていうのは」
「それはそうだね。で? ロボコンを配信するって?」
「ロボコンが配信されるなら是非見たいとレナ先輩とすがやん先輩が強く頼み込んだという話もあるとかないとかという話ですね」
「すがやん。また懐かしいね。今年は留学生はいないのかな?」
「今年は交換留学みたいなことはやってないですね」
大学祭とロボコンは運営母体が違うので、配信に関する手続きみたいなことを頼んだりするのが結構大変だったとは奏多先輩談。カノン先輩の勢いは実際凄いけど、それを実現させるためには奏多先輩の力が必要不可欠なんだということが良く分かる。技術的な面であったり、カノン先輩の制御役としてであったりとか。
「菜月先輩! 圭斗先輩! お忙しいところをお越しいただきありがとうございます! ご無沙汰しております!」
「野坂。ロボコンの準備はいいのかい?」
「先輩方がお越しになっていると聞いて飛んできました!」
「ったく。相変わらずのヘンクツ理系男だな。そんなナメプで勝てるのか?」
「練習はこれでもかと重ねております」
「ちなみに、春風とはどこで当たりそうなんだ?」
「反対のブロックなので当たるとすれば決勝ですね。ああ、菜月先輩」
「ん?」
「福井先輩つてに激励をいただきまして、ありがとうございます」
「……お前の激励をした覚えはないぞ。春風の応援ならしたけど」
「いえ。あれは、お前も必ず決勝に上がって来いと、そう仰っていただいたのだと俺は解釈致しました。見応えのある試合をお約束しますし、必ず決勝に上がります」
「なら、さっさと持ち場に戻れ」
「……ってえ! 相変わらずの鋭いローキック、有り難い檄をいただきました……。では俺はこの辺で失礼します」
春風先輩によれば、野坂先輩はコード的にも機体的にも相当強いとのこと。同じゼミで模擬戦も何度かやっているので互いの手の内みたいなことはある程度わかっているけど、その上でどう対策を打てばいいのかが難しいそうだ。野坂先輩対策ばかりに囚われても、他の対戦相手には通用しない可能性もある。
「菜月先輩バリ鋭いローキックっすわ」
「主に野坂と神崎が受けていたね」
「師匠が受けとったんなら自分も一度受けとくべきなんちゃいますの」
「師匠?」
「我らがこーた師匠っすよ」
「かくかくしかじかな事がありまして」
「そうか、ウザドルの系譜か」
「うーん、まあ、これもまたMMPの“らしさ”なんじゃないのか?」
「そう思おうか? それじゃあ、僕たちはそろそろロボコン会場に行こうか」
「そうだな」
「他のメンバーにもよろしく。また顔は出すからと伝えてください」
「わかりました」
これが大学祭か。そんな風に思いながら先輩たちの後ろ姿を目で追う。先輩たちが現役だった頃から見た変化であったり、不変の伝統であったり。たまに見るからこそ気付きやすいのかもしれない。
「もし本当に決勝で春風先輩と野坂先輩が戦うんだったら現地で観戦したいな」
「でも何人かはブースに残っとらなアカンぞ」
「殿とかパロとかにお願い出来ないかな。そのカードだったらDJブースもロボコン中継になるだろさすがに」
「やったらアレちゃう、ワンチャン実況狙いでマイクくらい持ってったらええんちゃう」
end.
++++
圭斗さんは向島の中で就職したのでともかく、実家に戻った菜月さんからすれば今回は結構な旅行。
何気に今年のメンバー、ブースの留守番を殿とパロに投げっぱなしになっている疑惑
(phase3)
.
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「おいジュン! 大変やぞ!」
「どうしたんだうっしー、そんなに慌てて」
「ものっそいイケメンと、ものっそい美人がウチのブースんトコにおる!」
大学祭2日目、今日は土曜日で外部からの人も多く来場して賑わうのだという話を聞いている。食品ブースの仕込みも結構ガッツリやってたし、ラジオブースの中継にしても昨日は実質的にリハーサルだとか調整の意味合いが強かったように思う。で、うっしーが騒いでいることだ。外部からの人が来るんだから、イケメンや美人くらいいてもおかしくないだろうと。
「ほら見ーよ、あれ。ヤバない?」
「確かに美男美女だけど、ん…? でも、何となく見たことがあるような」
MMPのメンバーは代々ブースの中か裏で思い思いに過ごすことが多いらしく、近くにはアウトドア用の折り畳みイスがセットしてある。ただ、今年はDJブースと食品ブースの2ブースが稼働しているのでまあまあみんな休みなく働いているような感じだ。と言うか、近くにいるからシフトの時間じゃなくても大体働いてたりする。
アウトドア用の折り畳みイスはあくまでサークルの所有物なので、外部の人に横取りされないようケイトくんに場所取りをお願いしているような感じだ。今日のお願いは商売繁盛。さすが、MMPを見守る神だけあってそこまで大きくないご神体であるにも関わらずそこにあるだけで貫禄のような物が感じられる。大きさだけが貫禄ではないのだとよくわかる。
「ああ、懐かしいね。ケイトくんはまだ現役か」
「そうみたいだな。と言うか、わかるメンバーがいなくないか」
「うーん、そのようだね。野坂はロボコンの準備に忙しいだろうし、奈々は友達と出歩いている可能性もあるからね」
俺がうっしーの言う“ものっそいイケメン”の人に見覚えがあるのはよくよく考えれば当然だ。画力向上のための模写素材として使わせてもらっていたアルバムで見ていたのに違いない。まだ確認はしてないけど、男性の方は多分OBの人だろう。そんなことを考えていると、男性の方はケイトくんを抱きかかえる。それを女性の方がカメラに収める。
「あの、すみません」
「ああ、失礼。MMPの現役の子かな」
「1年の鷹来純平といいます。失礼ですが、OBの先輩ですか?」
「僕は今年の春に卒業した松岡圭斗で、彼女は同期の奥村菜月さんだね」
「もしかして、ケイトくんの、中の方でいらっしゃるのですか!?」
「中の人と言うか、元ネタと言うか。まあ、僕の名前から取られていることには違いないね」
「うっしー! ちょい来て」
「何やー」
「この間卒業された先輩方だそうだ。で、こちらの方がケイトくんの中の方の、松岡圭斗さん」
「はー!? 神が実在するんかー! バリイケメンっすね! あっ、自分イキリ陰キャのお喋り袋、うっしーこと牛山翔太いいますー。ケイトくんと言えば金運に恋愛、仕事に勉学、料理と花の神として崇め讃えられとりますからね! いやーヤバいわー本物やー」
「……圭斗がここまで神格化されてるとか、ノサカ教にでも入信してるのか?」
「自分もテスト期間には参拝させていただきました」
「勉学だったら僕よりも野坂を崇めた方が良くないかな?」
「あっ、あきませんよ圭斗先輩! ジュンに野坂先輩の成績の話を振ったらまっくろジュンジュンゆーてダークでブラックな人格が顔出しますからね、ぶん殴られますよ」
「うっしー。お前は先輩に何てことを言うんだ。すみません」
「ノサカや圭斗ならいくらでも殴ってもらって構わないぞ」
「さすがに先輩は殴れません」
圭斗先輩は華やかなビジュアルの通り、立ち振る舞いも何となく華やかな雰囲気がある。オーラと言うのだろうか。一方で、恐らくは野坂先輩と春風先輩が憧れている伝説のアナウンサーの菜月先輩(……と、心の中で馴れ馴れしく呼ぶことも憚られる)はクールと言うか、ピシッとした雰囲気がある……のだけど。し、視線が。
「ええと……失礼ですが、俺が、何か」
「いや。ジュンと言うと、MMPに突如として現れた神絵師だという話は聞いていて。圭斗、聞いたか? うちらが書くだけ書いてとっちらかしたラジドラの脚本を、このジュンがコミカライズしてるらしいぞ」
「ナ、ナンダッテー!?」
「そ、その話をどなたから…?」
「ノサカから漫画のファイルが送られて来たんだ。実によく出来てたなと思って」
「また知らないうちに広がってる……」
「そーなんですよ! ジュンは第10代MMPが誇る神絵師なんですわ! ブースの表に燦然と輝く看板もジュンが描いたんですよ!」
「遠くからでも目を引くし、凄いなあ。これは刺激を受けるぞ。看板の作りも高級になってるし。そもそもが段ボールと合板っていう、素材からして差が歴然としている」
「看板の土台に関しては、ツッツというDIYが得意なメンバーが担当してくれて、俺はその上に描かせてもらって」
「圭斗、聞いたか? とうとう装飾の作業を分担して行う時代だぞ。しかもこのクオリティだ」
「いかに時代が流れても、僕の中で菜月さんこそが装飾の神であるという事実は消えないよ」
「そう言うんならポテトはお前持ちだぞ」
「ん、それとこれとは別件だね」
OBの先輩たちの会話のテンポがどことなく4年生の先輩たちの雰囲気を彷彿とする……と言うか、厳密には4年生の先輩がOBの先輩の流れを受け継いでいるのかもしれない。少し前までは悪乗りだとか悪ふざけがベースにあったサークルだという話だけど、そういう雰囲気が節々から感じられる。
「ところで先輩らは仕事の休みに遊びに来たよーな感じなんです?」
「そうだね。野坂がロボコンに出ると言うからその冷やかしも兼ねてね」
「ロボコンには春風先輩も出場されるということで、MMPを上げて応援してるんですよ」
「春風と言えば、他の2年生はどうした? カノンと、奏多だっけ」
「それがですね、今年のDJブースは同時に学祭が行われているインターフェイスの他の大学さんと連携して中継を挟むという形になってるんです。そこで、せっかくだったら春風先輩の雄姿を配信したいとカノン先輩が張り切っていまして……奏多先輩はそれに巻き込まれてる感じです」
「何か、技術的にも進歩し過ぎてて最早ワケがわからないね」
「いいことなんじゃないのか、やりたいことがやれるっていうのは」
「それはそうだね。で? ロボコンを配信するって?」
「ロボコンが配信されるなら是非見たいとレナ先輩とすがやん先輩が強く頼み込んだという話もあるとかないとかという話ですね」
「すがやん。また懐かしいね。今年は留学生はいないのかな?」
「今年は交換留学みたいなことはやってないですね」
大学祭とロボコンは運営母体が違うので、配信に関する手続きみたいなことを頼んだりするのが結構大変だったとは奏多先輩談。カノン先輩の勢いは実際凄いけど、それを実現させるためには奏多先輩の力が必要不可欠なんだということが良く分かる。技術的な面であったり、カノン先輩の制御役としてであったりとか。
「菜月先輩! 圭斗先輩! お忙しいところをお越しいただきありがとうございます! ご無沙汰しております!」
「野坂。ロボコンの準備はいいのかい?」
「先輩方がお越しになっていると聞いて飛んできました!」
「ったく。相変わらずのヘンクツ理系男だな。そんなナメプで勝てるのか?」
「練習はこれでもかと重ねております」
「ちなみに、春風とはどこで当たりそうなんだ?」
「反対のブロックなので当たるとすれば決勝ですね。ああ、菜月先輩」
「ん?」
「福井先輩つてに激励をいただきまして、ありがとうございます」
「……お前の激励をした覚えはないぞ。春風の応援ならしたけど」
「いえ。あれは、お前も必ず決勝に上がって来いと、そう仰っていただいたのだと俺は解釈致しました。見応えのある試合をお約束しますし、必ず決勝に上がります」
「なら、さっさと持ち場に戻れ」
「……ってえ! 相変わらずの鋭いローキック、有り難い檄をいただきました……。では俺はこの辺で失礼します」
春風先輩によれば、野坂先輩はコード的にも機体的にも相当強いとのこと。同じゼミで模擬戦も何度かやっているので互いの手の内みたいなことはある程度わかっているけど、その上でどう対策を打てばいいのかが難しいそうだ。野坂先輩対策ばかりに囚われても、他の対戦相手には通用しない可能性もある。
「菜月先輩バリ鋭いローキックっすわ」
「主に野坂と神崎が受けていたね」
「師匠が受けとったんなら自分も一度受けとくべきなんちゃいますの」
「師匠?」
「我らがこーた師匠っすよ」
「かくかくしかじかな事がありまして」
「そうか、ウザドルの系譜か」
「うーん、まあ、これもまたMMPの“らしさ”なんじゃないのか?」
「そう思おうか? それじゃあ、僕たちはそろそろロボコン会場に行こうか」
「そうだな」
「他のメンバーにもよろしく。また顔は出すからと伝えてください」
「わかりました」
これが大学祭か。そんな風に思いながら先輩たちの後ろ姿を目で追う。先輩たちが現役だった頃から見た変化であったり、不変の伝統であったり。たまに見るからこそ気付きやすいのかもしれない。
「もし本当に決勝で春風先輩と野坂先輩が戦うんだったら現地で観戦したいな」
「でも何人かはブースに残っとらなアカンぞ」
「殿とかパロとかにお願い出来ないかな。そのカードだったらDJブースもロボコン中継になるだろさすがに」
「やったらアレちゃう、ワンチャン実況狙いでマイクくらい持ってったらええんちゃう」
end.
++++
圭斗さんは向島の中で就職したのでともかく、実家に戻った菜月さんからすれば今回は結構な旅行。
何気に今年のメンバー、ブースの留守番を殿とパロに投げっぱなしになっている疑惑
(phase3)
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