2022
■swerve from the course
++++
「やァー、しかし、殿もパロもよくもまァこンなド田舎の山の中のサ店に来ヤすねェ」
「お店がとてもいい雰囲気ですし、コーヒーも美味しいので足を運ぶ価値がありますよ。夏休みなので時間も取りやすいというのがありますね。平常授業が始まると、なかなか来れなくなると思うので今のうちに楽しんでおこうという話を殿としていたんです」
自分はいつものようにバイト中なんすが、この頃はたま~にではありヤすが殿とパロが店に来るようになってるンすね。公共交通機関網が張り巡らされているとはお世辞にも言えない土地なンすけどね。本当に、よく来ヤすわ。
ここで2人からはいろんな話を聞いてるンすけど、夏合宿がどーしたとか、オープンキャンパスがどーしたとか、長い休みと言ってもサークルは実質平常通りの活動が続いているようスね。あと、今年は作品出展がこの時期になったとか。
「そーいやこないだ野坂からジュンが描いたっつー漫画のファイルが送られてきヤしてね」
「えっ、そうなんですか? 殿、知ってた?」
「ファイルは見ていないが、サークル室に保管されている、過去のラジオドラマの脚本をコミカライズしているらしい、という話は聞いたことがある」
「へえ、そうなんだ。ジュンは絵の練習にも一生懸命だし、素人目にも日々の上達を感じるよね」
「真面目で、弛まぬ努力を積めるジュンの性質が、いい風に働いているのだろう」
「やァー、自分らが書いた懐かしのラジドラがまさか漫画になるとは思いもしヤせんシたし、画風ッつーか絵柄が特徴的スよね。シンプルでありながら印象的と言うか」
「りっちゃん先輩から見てもジュンの絵は凄いんですね!」
「ヤ、言って自分らは人様の描いた絵に文句を付けられる画力でないンでね。紛れもなくジュンはMMP歴代屈指の画力スよ」
自分らが知る中では菜月先輩の画力が飛び抜けてたと思うンすが、ジュンは菜月先輩とは少し違うベクトルで突き抜けた画力だと思いヤす。さすがの菜月先輩でも漫画は難しいと思いヤすし。その画力で以て学祭では装飾班に任命されたと聞いて納得スわ。
「うわっ! すみません、通知の音量が凄いことになってました」
「誰しもが、あることだ」
「LINEですね。あ、うっしークイズだ」
「1年の、グループか」
「そうだね」
「うっしークイズ?」
「はい。サークル室にある分厚いアルバムに感化されて、うっしーが自分も写真を撮るんだって言って身の回りの物だとか、みんなで集まったときとかに何でも撮影するようになったんです」
「菜月先輩も隙あらばいろいろ撮ってヤしたわ」
菜月先輩が無差別テロ的に撮影した写真は何百枚入りのアルバムが2、3冊くらいになってたと思うンすが。新歓で活動説明に使おうにも使えそうな写真がほんの少ししかないンでたま~に広げる程度だったンすけどね。ちなみに今はジュンが絵の模写練習の素材にしてるらしいス。
「LINEの1年グループにはジュンが1日1枚絵の練習の成果を上げてくれてるんですけど、それと同じ感じでうっしーがその日撮った写真を上げてるんです。ただ上げるんじゃ面白くないっていうんで、その写真にタイトルを付けて返信する、というのがうっしークイズです」
「クイズっつーより大喜利スね。や、放送サークルとしてはいいトレーニングだと思いヤすよ」
「トレーニングですか?」
「タイトルを付けるにしても1枚の写真からどう発想を広げるかとか、タイトルを付けるための語彙だとか、いろいろな物が必要になりヤすからね。他の人がどう思ってそのタイトルを付けたかッつーのも参考になりヤすね」
「へえ、うっしーの思いつきだと思ってましたけど、物は考えようですね。僕はいつも感じたそのままを送ってましたけど」
「自分らが現役だった頃ならその大喜利コーナーだけで1回のサークルが終わってヤしたね」
今は発声練習をしょーもない理由でサボることもなくなりヤしたし、その他の練習なんかも割と真面目にやってるらしーンで大喜利だの悪ノリ悪ふざけに費やされる時間は短くなってるンでしょーが。ただ、人を待つ間のUNOやトランプは健在のようで、それは良かったなと思いヤす。
「ここ最近のジュンやうっしーの動きを見ていると、クリエイティブな趣味って凄いなあと思うんです。僕は自分で何かを生み出すということはほとんどありませんし」
「俺も、同じだ」
「殿は料理が出来るじゃない」
「料理は、クリエイティブなのか? まあ、律先輩の、即興の創作料理まで行けば、クリエイティブだろうが」
「ヤ、自分はテキトーにやってるだけなンで。そんな大層なモンじゃありヤせん」
「僕は草花について調べたり、知らない調味料を探し歩く程度なので」
「十分アクティブに動けてヤすし、いーンじゃないすか?」
「そうだ。大学祭の食品ブースも、味付けを頼りにされていただろう」
「そーいや、今年の食品ブースは何を出すンすか?」
「去年と同じでフライドポテトです。僕としては、よくある塩味の他にも違うフレーバーを用意したいと思うんですけど」
「いーンでないです? 野菜だしの粉末をかけたらコンソメ風味で美味いとか、よく聞きヤすけど」
「と言うか、買うだけ買って使っていない調味料が家に積んであって、ここで使えるだけ使って新しい出会いを求めたいんですよね」
「積ん読だの積みゲーならぬ積み調味料スか」
「買って満足しちゃうところもあるんですよね。持ってるといざというときにも安心出来ると言うか」
常温保存出来る物は冷暗所に置いてあるんですけどね、とパロははにかみヤすけど、殿がそれもどうなんだという顔をしてるのがよーくわかりヤすね。でも、調味料に限らず珍しい物はとりあえず手元に置いておいて、それから使い道を考えるっつーのもあるにはありヤす。
「今年のMMPがどれだけやるか、期待しときヤしょう」
「あっ、まずは作品出展の作品がインターフェイスの動画チャンネルに上がっているのでそれも良ければ見てください」
「春風先輩と、ジュンの共同製作です。自分も一応、声の録音でミキサーを担当しましたが」
「へェー、そんじャ、それも楽しみにしときヤすわァー」
end.
++++
今年はMMP比真面目にやってる代なので大喜利でサークル1回は費やさない。
トンチキな行事が起こるのも大体4年生が強襲しに来たときだけなので現役からすれば何やコイツらという感じ?
(phase3)
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「やァー、しかし、殿もパロもよくもまァこンなド田舎の山の中のサ店に来ヤすねェ」
「お店がとてもいい雰囲気ですし、コーヒーも美味しいので足を運ぶ価値がありますよ。夏休みなので時間も取りやすいというのがありますね。平常授業が始まると、なかなか来れなくなると思うので今のうちに楽しんでおこうという話を殿としていたんです」
自分はいつものようにバイト中なんすが、この頃はたま~にではありヤすが殿とパロが店に来るようになってるンすね。公共交通機関網が張り巡らされているとはお世辞にも言えない土地なンすけどね。本当に、よく来ヤすわ。
ここで2人からはいろんな話を聞いてるンすけど、夏合宿がどーしたとか、オープンキャンパスがどーしたとか、長い休みと言ってもサークルは実質平常通りの活動が続いているようスね。あと、今年は作品出展がこの時期になったとか。
「そーいやこないだ野坂からジュンが描いたっつー漫画のファイルが送られてきヤしてね」
「えっ、そうなんですか? 殿、知ってた?」
「ファイルは見ていないが、サークル室に保管されている、過去のラジオドラマの脚本をコミカライズしているらしい、という話は聞いたことがある」
「へえ、そうなんだ。ジュンは絵の練習にも一生懸命だし、素人目にも日々の上達を感じるよね」
「真面目で、弛まぬ努力を積めるジュンの性質が、いい風に働いているのだろう」
「やァー、自分らが書いた懐かしのラジドラがまさか漫画になるとは思いもしヤせんシたし、画風ッつーか絵柄が特徴的スよね。シンプルでありながら印象的と言うか」
「りっちゃん先輩から見てもジュンの絵は凄いんですね!」
「ヤ、言って自分らは人様の描いた絵に文句を付けられる画力でないンでね。紛れもなくジュンはMMP歴代屈指の画力スよ」
自分らが知る中では菜月先輩の画力が飛び抜けてたと思うンすが、ジュンは菜月先輩とは少し違うベクトルで突き抜けた画力だと思いヤす。さすがの菜月先輩でも漫画は難しいと思いヤすし。その画力で以て学祭では装飾班に任命されたと聞いて納得スわ。
「うわっ! すみません、通知の音量が凄いことになってました」
「誰しもが、あることだ」
「LINEですね。あ、うっしークイズだ」
「1年の、グループか」
「そうだね」
「うっしークイズ?」
「はい。サークル室にある分厚いアルバムに感化されて、うっしーが自分も写真を撮るんだって言って身の回りの物だとか、みんなで集まったときとかに何でも撮影するようになったんです」
「菜月先輩も隙あらばいろいろ撮ってヤしたわ」
菜月先輩が無差別テロ的に撮影した写真は何百枚入りのアルバムが2、3冊くらいになってたと思うンすが。新歓で活動説明に使おうにも使えそうな写真がほんの少ししかないンでたま~に広げる程度だったンすけどね。ちなみに今はジュンが絵の模写練習の素材にしてるらしいス。
「LINEの1年グループにはジュンが1日1枚絵の練習の成果を上げてくれてるんですけど、それと同じ感じでうっしーがその日撮った写真を上げてるんです。ただ上げるんじゃ面白くないっていうんで、その写真にタイトルを付けて返信する、というのがうっしークイズです」
「クイズっつーより大喜利スね。や、放送サークルとしてはいいトレーニングだと思いヤすよ」
「トレーニングですか?」
「タイトルを付けるにしても1枚の写真からどう発想を広げるかとか、タイトルを付けるための語彙だとか、いろいろな物が必要になりヤすからね。他の人がどう思ってそのタイトルを付けたかッつーのも参考になりヤすね」
「へえ、うっしーの思いつきだと思ってましたけど、物は考えようですね。僕はいつも感じたそのままを送ってましたけど」
「自分らが現役だった頃ならその大喜利コーナーだけで1回のサークルが終わってヤしたね」
今は発声練習をしょーもない理由でサボることもなくなりヤしたし、その他の練習なんかも割と真面目にやってるらしーンで大喜利だの悪ノリ悪ふざけに費やされる時間は短くなってるンでしょーが。ただ、人を待つ間のUNOやトランプは健在のようで、それは良かったなと思いヤす。
「ここ最近のジュンやうっしーの動きを見ていると、クリエイティブな趣味って凄いなあと思うんです。僕は自分で何かを生み出すということはほとんどありませんし」
「俺も、同じだ」
「殿は料理が出来るじゃない」
「料理は、クリエイティブなのか? まあ、律先輩の、即興の創作料理まで行けば、クリエイティブだろうが」
「ヤ、自分はテキトーにやってるだけなンで。そんな大層なモンじゃありヤせん」
「僕は草花について調べたり、知らない調味料を探し歩く程度なので」
「十分アクティブに動けてヤすし、いーンじゃないすか?」
「そうだ。大学祭の食品ブースも、味付けを頼りにされていただろう」
「そーいや、今年の食品ブースは何を出すンすか?」
「去年と同じでフライドポテトです。僕としては、よくある塩味の他にも違うフレーバーを用意したいと思うんですけど」
「いーンでないです? 野菜だしの粉末をかけたらコンソメ風味で美味いとか、よく聞きヤすけど」
「と言うか、買うだけ買って使っていない調味料が家に積んであって、ここで使えるだけ使って新しい出会いを求めたいんですよね」
「積ん読だの積みゲーならぬ積み調味料スか」
「買って満足しちゃうところもあるんですよね。持ってるといざというときにも安心出来ると言うか」
常温保存出来る物は冷暗所に置いてあるんですけどね、とパロははにかみヤすけど、殿がそれもどうなんだという顔をしてるのがよーくわかりヤすね。でも、調味料に限らず珍しい物はとりあえず手元に置いておいて、それから使い道を考えるっつーのもあるにはありヤす。
「今年のMMPがどれだけやるか、期待しときヤしょう」
「あっ、まずは作品出展の作品がインターフェイスの動画チャンネルに上がっているのでそれも良ければ見てください」
「春風先輩と、ジュンの共同製作です。自分も一応、声の録音でミキサーを担当しましたが」
「へェー、そんじャ、それも楽しみにしときヤすわァー」
end.
++++
今年はMMP比真面目にやってる代なので大喜利でサークル1回は費やさない。
トンチキな行事が起こるのも大体4年生が強襲しに来たときだけなので現役からすれば何やコイツらという感じ?
(phase3)
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