2022
■Communication Tools
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「オープンキャンパスと作品出展はどーしたモンかなー。正直夏合宿も終わってないのにそんな先のことなんかわかんなくね?」
「ですが、どちらも期日のあることですし、並行して考えておかなければなりません。経験者の希くんが頼りなのです」
「そうなんだよなぁ~」
インターフェイス夏合宿も大事な行事ではありますが、9月には向島大学のオープンキャンパスがあります。MMPではこのオープンキャンパスで毎年学食で公開生放送をやっているそうなのです。例年はMMPが勝手にやっている非公式活動だったのですが、今年は大学側から「毎年やってるし今年もやるよね?」という風に声がかかったそうです。
大学に動きが掴まれていたことにも奈々先輩は驚いていたようですが、大学公認の活動になったからと言ってこれまでのスタンスを変えなければならないということはないそうです。希くんはどういった形で番組を回していくのか考えておいてと奈々先輩から頼まれたそうで、意外に日が無いことに気付き、話し合いに私も参加することになりました。
「過去の議事録を見る感じだと、例年オープンキャンパスの番組は2時間の枠をその時いる人数で分けているようですね」
「そう。そんで、今年も2時間かなっていう風には奈々先輩と話してたんだよ。どうせやるならやっぱ学食に高校生がいる時間帯の方がいいし」
「そうなると、現在いるアナウンサーは6人ですから、単純計算で1人20分になりますね」
「それだと持ち分が短いし、そもそもテーマをそんだけ出せんのかって問題が発生するなと思って」
「確かにそうですね」
「そんでさ、作品出展も時期がカブってるし、そっちに回る人がいてもいいのかなーとは思うんだよ」
「作品出展で出すのは、MMPの場合やはり正統派のラジオ番組になるのですか?」
「そうだなー。これまではこのためにラジドラを作ったりもしてたみたいだけど、時期が時期だけにそれはちょっと厳しいかなと」
「そうですねえ……」
「正統派のラジオ番組でもいいと思うし、せっかくインターフェイスの動画チャンネルがあるならそういうのに対応してってもいいのかなとは思うんだよ」
「映像作品ですか?」
「俺が今イメージしてたのは挿絵のあるラジオくらいの感じで、あんまりガッツリとした動画ってワケじゃないんだけど」
「挿絵のあるラジオですか。とてもいいと思いますよ」
「問題は挿絵をどう用意するかだなー。無料の素材サイトから引っ張ってくるのが無難だとは思うけど」
挿絵のあるラジオという言葉で思い浮かんだのが、紙芝居や絵本の読み聞かせでした。物語にせよ何にせよ、絵があることで話に惹きつけられるという効果はある程度あると思うのです。これはもしかして、私にとっては大きなチャンスなのではということに気付いてしまいました。これなら、星や宇宙の話を分かりやすく伝えられるのではないかと。
「希くんすみません。私に作品出展の」
「おはようございます」
「おはよージュン。どうした? 練習?」
「練習と言うか、夏合宿では番組中にインフォメーションが入って来るということを聞いて、そのイメージを掴むために過去の番組を聞きに来たんです」
「暑かったでしょう。風に当たって下さい」
「ありがとうございます」
過去の夏合宿でやった番組も希くんが先輩方から出来る限りかき集めてくれて、それを奏多がパソコンに取り込んでくれているので聞こうと思えば聞くことが出来るのです。何でも、夏合宿の講師としてお馴染みの水沢さんに頼み込んで、歴代MMPのメンバーに一斉連絡を回して番組を集めているという噂もあります。本当だとすると恐ろしい行動力です。
「インフォメーションかー…! 忘れてた! 鳥ちゃん、今からインフォメーションの練習日取れるかな!?」
「ええと、夏合宿で入って来るインフォメーションと言うと」
「あーそっか! 鳥ちゃんもやってないんだ! えっとねえ、どこそこからお越しの鳥居さま、お伝えしたいことがございますので1階サービスカウンターまでお越しください、的なヤツ。それが番組中に差し込まれるんだよ」
「それは私もぜひ練習したいですね……リクエストもありますもんね」
「先輩たちは対策委員の話し合いですか?」
「あ、いや、俺たちはオープンキャンパスと作品出展についての話し合い。9月にもちょこちょこ活動はやってくんだけど、地味に日が無いことに気付いたっていう」
「そうだったんですね」
「あっ、思い出しました! 希くん、私に作品出展の番組をやらせてください!」
「何か具体的にやりたいことでも思いついた感じ?」
「はい。私がMMPに来た目的のひとつなのです。星や宇宙についての話をわかりやすく伝えること。先程希くんが言った、挿絵のあるラジオならそれが出来そうな気がしたのです」
「友達としてそれを叶えさせてあげたいとは思うけど、アナウンス部長としては、鳥ちゃんはオープンキャンパスに欲しい人材って言うかなー。落ち着いた感じのアナウンサー自体ウチは少ないし、鳥ちゃんは唯一の女子でもあるから」
希くんの言っていることもわかるのです。そして、友達としてはそれを叶えさせてあげたいと思ってくれていることもとてもありがたく思います。ですが、オープンキャンパスの番組が大学公認の活動になった以上、これまでよりしっかりと勤め上げなければならないという事情はご尤もです。アナウンサーの比率的に、女声の効果が大きいということもわかります。
「それでは、どちらもやるという方向で話を進めることは出来ますか?」
「鳥ちゃんがやろうとしてることを考えると挿絵も鳥ちゃんの監修が不可欠だし、どっちもとなると相当キツイんじゃないかなとは。だって鳥ちゃんロボコン出るならそれもやんなきゃだし、天文部からもプラネタリウムの応援要請来るかもって言ってたっしょ」
「そうですよね。無理を言ってすみません」
「カノン先輩、作品出展の方は俺が春風先輩をサポートするので、やらせてあげてもらえませんか」
「サポートするって言うけど、どうすれば鳥ちゃんの負担が軽くなるかっていう具体案は何かある? 俺も意地悪で言ってるワケじゃないんだ」
「挿絵を描くことと、簡単な動画なら作れます。こないだの青敬さんの作品みたいなしっかりしたのは出来ませんけど、挿絵のあるラジオ、くらいの動画なら俺にも何とか」
「確かに、この間のアニメーションに音を挿入して時間を伸ばす感覚でやれそうですね」
「はい。そういう感覚でいました」
「鳥ちゃんの星の話とジュンの挿絵……。アリだな。むしろ新生MMPはこんなこともやれるぞってのをインターフェイスにアピールするいい機会だ! よーし、そしたら鳥ちゃんが作品出展のリーダーで、ジュンと誰か好きなミキサー選んでちょっと番組の内容を考え始めてもらって。枠は30分」
「この場合、ミキサーの仕事は音声の録音になるのですか?」
「そうだねー、BGMとかは動画編集の時に入れる形になると思うから、ジュンの仕事になってくんのかな?」
「わかりました、頑張ります」
「ジュン、本当にありがとうございます」
「いえ。いい作品を作りましょう」
「はい。それではどういった番組にするのかを考えて、どんな挿絵が要るのかを出さなければならないのですね! 本当に忙しくなりますね!」
「忙しいって言ってる割に、顔はめちゃくちゃ喜んでるんだよなあ」
そう言って希くんは呆れたように私を見るのですが、作品出展をやらせてもらえることが本当に嬉しいのですからここで頑張らずにいつ頑張るのだと。そして、ジュンにも本当に感謝しなくてはなりませんね。よくよく考えると、私の番組にジュンの挿絵を入れてもらえるだなんて、とても贅沢じゃないですか! 空回りしないようにしなくてはなりません。
「ああそうだ、ジュンはインフォのイメトレに来たんだったっけ。適当な過去ファイル流せばいい?」
「そうですね、お願いします」
「私も一緒にイメージトレーニングをすることにしましょう」
「つかイメトレと言わず、実戦練習もやればよくね? ミキサーだったら俺が出来るし」
end.
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春風とジュンは色恋の絡まないナツノサ的コンビネーションになるといいなと思ったなど
MMPは割と番組作りに関しては自由な風土なのでやりたいことがあるならやってみよう!と動きやすい
(phase3)
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「オープンキャンパスと作品出展はどーしたモンかなー。正直夏合宿も終わってないのにそんな先のことなんかわかんなくね?」
「ですが、どちらも期日のあることですし、並行して考えておかなければなりません。経験者の希くんが頼りなのです」
「そうなんだよなぁ~」
インターフェイス夏合宿も大事な行事ではありますが、9月には向島大学のオープンキャンパスがあります。MMPではこのオープンキャンパスで毎年学食で公開生放送をやっているそうなのです。例年はMMPが勝手にやっている非公式活動だったのですが、今年は大学側から「毎年やってるし今年もやるよね?」という風に声がかかったそうです。
大学に動きが掴まれていたことにも奈々先輩は驚いていたようですが、大学公認の活動になったからと言ってこれまでのスタンスを変えなければならないということはないそうです。希くんはどういった形で番組を回していくのか考えておいてと奈々先輩から頼まれたそうで、意外に日が無いことに気付き、話し合いに私も参加することになりました。
「過去の議事録を見る感じだと、例年オープンキャンパスの番組は2時間の枠をその時いる人数で分けているようですね」
「そう。そんで、今年も2時間かなっていう風には奈々先輩と話してたんだよ。どうせやるならやっぱ学食に高校生がいる時間帯の方がいいし」
「そうなると、現在いるアナウンサーは6人ですから、単純計算で1人20分になりますね」
「それだと持ち分が短いし、そもそもテーマをそんだけ出せんのかって問題が発生するなと思って」
「確かにそうですね」
「そんでさ、作品出展も時期がカブってるし、そっちに回る人がいてもいいのかなーとは思うんだよ」
「作品出展で出すのは、MMPの場合やはり正統派のラジオ番組になるのですか?」
「そうだなー。これまではこのためにラジドラを作ったりもしてたみたいだけど、時期が時期だけにそれはちょっと厳しいかなと」
「そうですねえ……」
「正統派のラジオ番組でもいいと思うし、せっかくインターフェイスの動画チャンネルがあるならそういうのに対応してってもいいのかなとは思うんだよ」
「映像作品ですか?」
「俺が今イメージしてたのは挿絵のあるラジオくらいの感じで、あんまりガッツリとした動画ってワケじゃないんだけど」
「挿絵のあるラジオですか。とてもいいと思いますよ」
「問題は挿絵をどう用意するかだなー。無料の素材サイトから引っ張ってくるのが無難だとは思うけど」
挿絵のあるラジオという言葉で思い浮かんだのが、紙芝居や絵本の読み聞かせでした。物語にせよ何にせよ、絵があることで話に惹きつけられるという効果はある程度あると思うのです。これはもしかして、私にとっては大きなチャンスなのではということに気付いてしまいました。これなら、星や宇宙の話を分かりやすく伝えられるのではないかと。
「希くんすみません。私に作品出展の」
「おはようございます」
「おはよージュン。どうした? 練習?」
「練習と言うか、夏合宿では番組中にインフォメーションが入って来るということを聞いて、そのイメージを掴むために過去の番組を聞きに来たんです」
「暑かったでしょう。風に当たって下さい」
「ありがとうございます」
過去の夏合宿でやった番組も希くんが先輩方から出来る限りかき集めてくれて、それを奏多がパソコンに取り込んでくれているので聞こうと思えば聞くことが出来るのです。何でも、夏合宿の講師としてお馴染みの水沢さんに頼み込んで、歴代MMPのメンバーに一斉連絡を回して番組を集めているという噂もあります。本当だとすると恐ろしい行動力です。
「インフォメーションかー…! 忘れてた! 鳥ちゃん、今からインフォメーションの練習日取れるかな!?」
「ええと、夏合宿で入って来るインフォメーションと言うと」
「あーそっか! 鳥ちゃんもやってないんだ! えっとねえ、どこそこからお越しの鳥居さま、お伝えしたいことがございますので1階サービスカウンターまでお越しください、的なヤツ。それが番組中に差し込まれるんだよ」
「それは私もぜひ練習したいですね……リクエストもありますもんね」
「先輩たちは対策委員の話し合いですか?」
「あ、いや、俺たちはオープンキャンパスと作品出展についての話し合い。9月にもちょこちょこ活動はやってくんだけど、地味に日が無いことに気付いたっていう」
「そうだったんですね」
「あっ、思い出しました! 希くん、私に作品出展の番組をやらせてください!」
「何か具体的にやりたいことでも思いついた感じ?」
「はい。私がMMPに来た目的のひとつなのです。星や宇宙についての話をわかりやすく伝えること。先程希くんが言った、挿絵のあるラジオならそれが出来そうな気がしたのです」
「友達としてそれを叶えさせてあげたいとは思うけど、アナウンス部長としては、鳥ちゃんはオープンキャンパスに欲しい人材って言うかなー。落ち着いた感じのアナウンサー自体ウチは少ないし、鳥ちゃんは唯一の女子でもあるから」
希くんの言っていることもわかるのです。そして、友達としてはそれを叶えさせてあげたいと思ってくれていることもとてもありがたく思います。ですが、オープンキャンパスの番組が大学公認の活動になった以上、これまでよりしっかりと勤め上げなければならないという事情はご尤もです。アナウンサーの比率的に、女声の効果が大きいということもわかります。
「それでは、どちらもやるという方向で話を進めることは出来ますか?」
「鳥ちゃんがやろうとしてることを考えると挿絵も鳥ちゃんの監修が不可欠だし、どっちもとなると相当キツイんじゃないかなとは。だって鳥ちゃんロボコン出るならそれもやんなきゃだし、天文部からもプラネタリウムの応援要請来るかもって言ってたっしょ」
「そうですよね。無理を言ってすみません」
「カノン先輩、作品出展の方は俺が春風先輩をサポートするので、やらせてあげてもらえませんか」
「サポートするって言うけど、どうすれば鳥ちゃんの負担が軽くなるかっていう具体案は何かある? 俺も意地悪で言ってるワケじゃないんだ」
「挿絵を描くことと、簡単な動画なら作れます。こないだの青敬さんの作品みたいなしっかりしたのは出来ませんけど、挿絵のあるラジオ、くらいの動画なら俺にも何とか」
「確かに、この間のアニメーションに音を挿入して時間を伸ばす感覚でやれそうですね」
「はい。そういう感覚でいました」
「鳥ちゃんの星の話とジュンの挿絵……。アリだな。むしろ新生MMPはこんなこともやれるぞってのをインターフェイスにアピールするいい機会だ! よーし、そしたら鳥ちゃんが作品出展のリーダーで、ジュンと誰か好きなミキサー選んでちょっと番組の内容を考え始めてもらって。枠は30分」
「この場合、ミキサーの仕事は音声の録音になるのですか?」
「そうだねー、BGMとかは動画編集の時に入れる形になると思うから、ジュンの仕事になってくんのかな?」
「わかりました、頑張ります」
「ジュン、本当にありがとうございます」
「いえ。いい作品を作りましょう」
「はい。それではどういった番組にするのかを考えて、どんな挿絵が要るのかを出さなければならないのですね! 本当に忙しくなりますね!」
「忙しいって言ってる割に、顔はめちゃくちゃ喜んでるんだよなあ」
そう言って希くんは呆れたように私を見るのですが、作品出展をやらせてもらえることが本当に嬉しいのですからここで頑張らずにいつ頑張るのだと。そして、ジュンにも本当に感謝しなくてはなりませんね。よくよく考えると、私の番組にジュンの挿絵を入れてもらえるだなんて、とても贅沢じゃないですか! 空回りしないようにしなくてはなりません。
「ああそうだ、ジュンはインフォのイメトレに来たんだったっけ。適当な過去ファイル流せばいい?」
「そうですね、お願いします」
「私も一緒にイメージトレーニングをすることにしましょう」
「つかイメトレと言わず、実戦練習もやればよくね? ミキサーだったら俺が出来るし」
end.
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春風とジュンは色恋の絡まないナツノサ的コンビネーションになるといいなと思ったなど
MMPは割と番組作りに関しては自由な風土なのでやりたいことがあるならやってみよう!と動きやすい
(phase3)
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