2022
■あつくてイライラする!
++++
「あー……あっづいよー……暖房があるんだから冷房もつけてくれればいいのに大学はケチだよー!」
「ねー」
「あのなあくるみ、琉生。緑ヶ丘大学がケチだったら世の中の大学全部ドケチなんよ」
班での練習をしにサークル室に来たんだけど、とにかくあっつい! どうせ大学に来るんだったらジム行ってシャワーしてから打ち合わせに行こう、これで完璧! って思ってたのにシャワーして外に出た瞬間汗だくっていうね! ジムが涼しすぎたんだよ。
だけどこんなに暑い中でも深青と琉生は自分のファッションを絶対に崩さないのがカッコいいよね。深青は全身真っ黒なヴィジュアル系ファッションだし、琉生はスチームパンクをモチーフにした格好なんだけど、2人ともメイクが全然崩れない! どうやってるの!?
「でも、暖房があるんだったら冷房付けても良くない?」
「夏は、こんなクソ暑いときにわざわざ来る奴がいることを考慮してないんじゃね? 冬は休みもまあまあ短いし」
「うーん、そうなのかなあ」
「これは練習が終わったら氷菓を買って帰るべしですね」
今日は録音をするワケじゃないから窓も全部開けて扇風機もフル回転させちゃう。冷房がないんだから電気は思いっきり使っちゃえの精神で。他のサークルとか部活はいないみたいだし、ウチがちょっと贅沢したくらいで怒られないよね!
「わー、凄い音ー」
「もー! 軽音うるさい!」
「へー、バンドいるんだ」
「そっか、深青はバンドやってるんだっけ」
「そーよ」
「軽音の人たち、いつもはぜーんぶドアとか開け放ってるのに、今日は人が出入りするときしかドアが開かないんだね」
「防音室には、冷房もついてるとかー?」
「絶対そうじゃん! ずっるーい! もー!」
「つか大学のサークル棟に防音室あるとかすげーな」
「軽音と演劇部が防音室を占拠してるんだけど、活動内容的にMBCCも使えるべきじゃない!? 何で当たり前のように我が物として使ってるのかわかんないんだけど!」
「くるみ先輩が暑さでカリカリしてるー」
「カリカリもするよ!」
でも、ここでわーわー言ってても涼しくはならないし、練習をしないと暑い中にいるのがただただ損でしかないからスイッチを切り替えなきゃ。対策委員で班長がこんな調子じゃダメだよね! とりあえず、自販機で冷たい飲み物を買ってきて、いざ練習!
「……機材の周りがあっづい」
「くるみドンマイ」
「汗がホントに止まんない。あたしの汗でミキサーが水没しちゃったらどうしよう。水没はしなくても机がべたべたになっちゃう」
「くるみ先輩の汗はー、多分さらさらしてるからー、軽く拭けば大丈夫ですよー」
「あっわかる。冬に汗かくと濃いなーって感じがすんだよな」
「くるみ先輩はージム行ってますしー、多分汗腺がきれいなんですー」
「扇風機、気持ちミキサーの方に向けてあげたら熱が散っていかないかな? ウチのサークル室は、メインの扇風機とは別に確かクリップ式の扇風機がミキサー席にあったと思うんだよ」
「おー、ナイスアイディアいろは」
「向島さんのいいところは部屋が広くて熱が籠もりにくそうってところだよね!」
「そもそもが山の中だから星港市内のビルの中とかよりは涼しいと思うけど、山だから行くのが面倒ってみんな言ったよね。距離で言えば緑ヶ丘も大差ないと思うけど」
「バス停からサークル棟までの距離が違うんだよ!」
「確かに。失念してた」
気持ち扇風機をミキサー席に向けてもらえば、気持ち汗もちょっと落ち着いてきたかもしれない。熱風みたいな風でもないよりは全然いい。もー、セミがうるさい!
「おっ、くるみの班か。やってたんだな」
「あっシノ。何か用事だった?」
「いや、過去の番組でも聞いてインフォ練習のイメージを掴もうと思ってただけ」
「退く?」
「いや、班練習の方が優先度高いだろ。俺はいつでも来れるし。つかこの部屋熱気がヤベーな!?」
「その割にシノはさらっとしてるけど」
「今まで図書館の個室にこもってたからな。まだ体が冷えてる」
「図書館! 図書館は涼しいよね!」
「闇雲にクーラー付けて自分ちの光熱費を上げるくらいなら払ってる学費の方を有効活用するんだよな」
「それだ…! みんな! 機材を使った練習を一通りやったら他の打ち合わせは図書館の学習室に避難してやろう! 図書館は涼しいって!」
「そーしましょー」
「うん、それがいい。緑ヶ丘大学の図書館はヤバいって噂だし、見てみたかったんだよなー」
「暑い寒い暑いの繰り返しで体がバカにならないようにだけしないと」
パソコンに用事があったらしいシノがまた涼しい図書館に帰って行って、あたしたちもさっさと練習して図書館に避難しようと一致団結。シノは光熱費の節約のために夏の日中は割と図書館にいるっていう話なんだよね。映画を見たり雑誌を読んだりしてるんだって。
いろはの言った暑い寒いの繰り返しで体がバカにならないようにっていうのもそう。気を付けなきゃいけないことだよね。でも帰りにアイスを買って食べながら帰るっていう楽しみは消えてない。そのためにはとにかく練習の進捗を進めること!
「よし! 今度こそ! やるぞー!」
「おー」
「気合い! だー!」
「おー」
end.
++++
ただただくるちゃんが暑さにブチ切れてるだけの話。暑いものは暑いのでどうしようもない
シノが相変わらず倹約と称して大学で涼んでる。でもせっかくの設備だから使って行きたい。くるちゃんのジムにしても。
(phase3)
.
++++
「あー……あっづいよー……暖房があるんだから冷房もつけてくれればいいのに大学はケチだよー!」
「ねー」
「あのなあくるみ、琉生。緑ヶ丘大学がケチだったら世の中の大学全部ドケチなんよ」
班での練習をしにサークル室に来たんだけど、とにかくあっつい! どうせ大学に来るんだったらジム行ってシャワーしてから打ち合わせに行こう、これで完璧! って思ってたのにシャワーして外に出た瞬間汗だくっていうね! ジムが涼しすぎたんだよ。
だけどこんなに暑い中でも深青と琉生は自分のファッションを絶対に崩さないのがカッコいいよね。深青は全身真っ黒なヴィジュアル系ファッションだし、琉生はスチームパンクをモチーフにした格好なんだけど、2人ともメイクが全然崩れない! どうやってるの!?
「でも、暖房があるんだったら冷房付けても良くない?」
「夏は、こんなクソ暑いときにわざわざ来る奴がいることを考慮してないんじゃね? 冬は休みもまあまあ短いし」
「うーん、そうなのかなあ」
「これは練習が終わったら氷菓を買って帰るべしですね」
今日は録音をするワケじゃないから窓も全部開けて扇風機もフル回転させちゃう。冷房がないんだから電気は思いっきり使っちゃえの精神で。他のサークルとか部活はいないみたいだし、ウチがちょっと贅沢したくらいで怒られないよね!
「わー、凄い音ー」
「もー! 軽音うるさい!」
「へー、バンドいるんだ」
「そっか、深青はバンドやってるんだっけ」
「そーよ」
「軽音の人たち、いつもはぜーんぶドアとか開け放ってるのに、今日は人が出入りするときしかドアが開かないんだね」
「防音室には、冷房もついてるとかー?」
「絶対そうじゃん! ずっるーい! もー!」
「つか大学のサークル棟に防音室あるとかすげーな」
「軽音と演劇部が防音室を占拠してるんだけど、活動内容的にMBCCも使えるべきじゃない!? 何で当たり前のように我が物として使ってるのかわかんないんだけど!」
「くるみ先輩が暑さでカリカリしてるー」
「カリカリもするよ!」
でも、ここでわーわー言ってても涼しくはならないし、練習をしないと暑い中にいるのがただただ損でしかないからスイッチを切り替えなきゃ。対策委員で班長がこんな調子じゃダメだよね! とりあえず、自販機で冷たい飲み物を買ってきて、いざ練習!
「……機材の周りがあっづい」
「くるみドンマイ」
「汗がホントに止まんない。あたしの汗でミキサーが水没しちゃったらどうしよう。水没はしなくても机がべたべたになっちゃう」
「くるみ先輩の汗はー、多分さらさらしてるからー、軽く拭けば大丈夫ですよー」
「あっわかる。冬に汗かくと濃いなーって感じがすんだよな」
「くるみ先輩はージム行ってますしー、多分汗腺がきれいなんですー」
「扇風機、気持ちミキサーの方に向けてあげたら熱が散っていかないかな? ウチのサークル室は、メインの扇風機とは別に確かクリップ式の扇風機がミキサー席にあったと思うんだよ」
「おー、ナイスアイディアいろは」
「向島さんのいいところは部屋が広くて熱が籠もりにくそうってところだよね!」
「そもそもが山の中だから星港市内のビルの中とかよりは涼しいと思うけど、山だから行くのが面倒ってみんな言ったよね。距離で言えば緑ヶ丘も大差ないと思うけど」
「バス停からサークル棟までの距離が違うんだよ!」
「確かに。失念してた」
気持ち扇風機をミキサー席に向けてもらえば、気持ち汗もちょっと落ち着いてきたかもしれない。熱風みたいな風でもないよりは全然いい。もー、セミがうるさい!
「おっ、くるみの班か。やってたんだな」
「あっシノ。何か用事だった?」
「いや、過去の番組でも聞いてインフォ練習のイメージを掴もうと思ってただけ」
「退く?」
「いや、班練習の方が優先度高いだろ。俺はいつでも来れるし。つかこの部屋熱気がヤベーな!?」
「その割にシノはさらっとしてるけど」
「今まで図書館の個室にこもってたからな。まだ体が冷えてる」
「図書館! 図書館は涼しいよね!」
「闇雲にクーラー付けて自分ちの光熱費を上げるくらいなら払ってる学費の方を有効活用するんだよな」
「それだ…! みんな! 機材を使った練習を一通りやったら他の打ち合わせは図書館の学習室に避難してやろう! 図書館は涼しいって!」
「そーしましょー」
「うん、それがいい。緑ヶ丘大学の図書館はヤバいって噂だし、見てみたかったんだよなー」
「暑い寒い暑いの繰り返しで体がバカにならないようにだけしないと」
パソコンに用事があったらしいシノがまた涼しい図書館に帰って行って、あたしたちもさっさと練習して図書館に避難しようと一致団結。シノは光熱費の節約のために夏の日中は割と図書館にいるっていう話なんだよね。映画を見たり雑誌を読んだりしてるんだって。
いろはの言った暑い寒いの繰り返しで体がバカにならないようにっていうのもそう。気を付けなきゃいけないことだよね。でも帰りにアイスを買って食べながら帰るっていう楽しみは消えてない。そのためにはとにかく練習の進捗を進めること!
「よし! 今度こそ! やるぞー!」
「おー」
「気合い! だー!」
「おー」
end.
++++
ただただくるちゃんが暑さにブチ切れてるだけの話。暑いものは暑いのでどうしようもない
シノが相変わらず倹約と称して大学で涼んでる。でもせっかくの設備だから使って行きたい。くるちゃんのジムにしても。
(phase3)
.