2022
■experience of others
++++
「奈々さんおざーっす」
「松兄おはよーッ」
「奈々さん今日は授業っすか?」
「ううん、休講になったけど番組のチェックを兼ねてとりあえずご飯食べようと思って」
「エライっすねー」
「あと、新歓コンパの方のお店探しとかもしたくて。何となく大学でやった方が捗ると思ったんだよ」
「新歓コンパねえ」
流れで一緒に飯食いましょと相席することにして、新歓コンパとやらの話を続けてもらう。ちなみに昼放送は誰か1人が食堂の事務所で再生やら停止やらをすればいいし、お知らせ放送くらいならオンエアも1年にやってもらってもいいんじゃねっていう感じで分担出来るようになったのがデカい。
ゴールデンウィークを過ぎればあからさまに学内の人口密度が緩くなったのを感じる。15回ほどある講義の最初と最後だけちゃんとやっとけば何とかなるというヤツがサボり始めるんだそうだ。俺は当然ちゃんとやってんだけど。ま、人が少なければ飯を食うにもゆったり出来るしラクっちゃラクなんだけどな。
「松兄って、背も高いしスポーツもやってるのにガッツリ食べるってよりはオシャレに食べる方だよね」
「オシャレなんすかね? 俺からしたら一般的な一人前の量を普通に食ってるだけっすけど」
「確かに普通の食事ではあるんだけど、MMPの人たちって何だかんだ食事に癖がある人が多いからかな?」
「あー。春風はめちゃ食うし」
「先輩たちが結構ね。好き嫌いがあったりいっぱい食べたりっていうので」
「そーいや新歓コンパっつーのをやるそうじゃないすか」
「そうなんだよ。1年生の子たちってどーゆーお店がいいのかなって思って」
「それはこっちがテキトーに決めりゃいーんすよ。1年なんかまだ右も左もわかってねーんすから。最初に行った居酒屋でこーゆーモンなんだなって飲み会を覚えて、好きなようなら自分で開拓してくんすから」
「そっか」
それじゃあお店は豊葦市内の駅近が第一条件で、と奈々さんは自分なりに店選びのポイントをまとめているようだ。サークル唯一の3年生だとこういう行事になったときに仕事だとか責任だとかが全部のしかかって来るっつーのが大変そうだなーとは思う。そういう話は2年3人でもしていて、俺らも出来ることはやってこうぜとは言ってんだけど。
「あっ、そうだ松兄。バドサーとかMMP以外のサークルって、新歓コンパでの1年生の負担ってどれくらいだった?」
「バドサーの場合は1年は1000円で良かったと思いますね。ちなみに春風の話では天文部はタダだったとか」
「MMPはそこまで大胆な負担軽減策を打てないサークルだけど大丈夫かな? 今年の1年生が6人で松兄ととりぃも歓迎される側とすると」
「そんなのを期待して来るような奴は俺が軒並みぶっ飛ばすんで、奈々さんが知ってるウチの常識を通してください。大体、これまでのことだって奈々さんしか知らないんすから、これって変えていーんじゃねって思った慣習だって改め放題なんすよ」
「松兄がしっかりし過ぎて誰が3年で誰が代表なんだかって感じ」
「ヤヤ、ゆーて俺実年齢はアンタの1コ上。普段はどうあれ密かにちゃんとしてなきゃいけないポジションよ。つか俺と春風は年度末の3年生追いコンやら卒コンやらで十分歓迎されてるからそこに含めなくていーんすよ。つか含めんな」
「ゴメンゴメン」
帰りとかに春風とたまに話すけど、サークルの運営方針みたいなことをわーわー出して進めているのはかっすーで、奈々さんはそれを後ろで見極めながらゴーとかストップとかの号令を掛けている感じだと。実際この人の話を聞いてみると、俺と春風含め、一気にここまでサークルが膨れ上がったことに対する戸惑いがまだあるようだ。
10人っつーのは奈々さんが1年生としてサークルに入ったときから見ても最大の人数だ。それを唯一の3年生、そして代表として束ね切れるかという重圧みたいなモンと戦ってる感がビシバシ伝わって来る。だからこそ2年生3人も協力してくぞとは言ってたんだけど、やっぱ2年には頼りにくいこともあるんだろうなとは。
今日の話だけでもかっすーがまだ見えてない部分のことは奈々さんが1人で全部考えて密かに処理してんだなっつーのがよーくわかるよな。で、そこに出くわした俺はと言えば、実年齢1コ上なら使えるところでは使い倒そうと話のノリでとは言え言われたワケであって。こないだハタチになったばっかのカワイイ先輩をサポートしてやんねーとな。
「大体、自分の時はどーだったんです? どれくらいおまけしてもらったとか」
「うちのときは3年生の先輩3人が500円ずつ出してくれて、3500円コースを2000円にしてもらったんだよ」
「まあ、何人を何人で担ぐかっつー問題は付き纏うからなあ。6人は確かにこのサークルじゃデカいわなあ」
「一応去年の大学祭で稼いだ分の貯蓄はあるけど、それをここで出すには早いなとは思ってて」
「めっちゃ稼いだ金を貯蓄したんだって話はかっすーからリアルタイムで聞きましたけど、それはこんなことに使うべきじゃねーっすよ。よし、まずはクーポンを探しましょ」
「クーポン?」
「ほら、例えばこの店だと8人以上の予約で幹事様無料ってあるっしょ? で、仮に3500円コースとする。2、3年生は1人600円多く出してる体で話を進めれば、奈々さんの3500円と4人で集めた2400円の6000円弱を1年の歓迎に使えるんすよ」
「あ~、こういうのを活用する手もあるんだねッ」
「こっちは会計10%オフっすね。3500円が10人で35000円だから、実質1人分タダっすね。何せ、場所とかの条件もあるんでそれも加味しつつの店選びにはなると思いますけど」
「始めはどうなるかと思ったけどやれる気がして来たよッ! ありがとう松兄ッ!」
「いやー、どーもどーも。使える年の功は使ってけ?」
end.
++++
カノンはまだまだ2年生になりたてで勢いで突っ走るのが主という感じ。その他はちゃんと奈々がやってます
MMPもなかなかに食にクセのある連中が揃ってたなあ。普通っぽいのは圭斗さんやらヒロやら? 圭斗さんは作る方にクセがあったけど
2年生3人で話してる時も奏多は1人で二手三手先と言うかその物事の裏まで考えてるんだろうなあ
(phase3)
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「奈々さんおざーっす」
「松兄おはよーッ」
「奈々さん今日は授業っすか?」
「ううん、休講になったけど番組のチェックを兼ねてとりあえずご飯食べようと思って」
「エライっすねー」
「あと、新歓コンパの方のお店探しとかもしたくて。何となく大学でやった方が捗ると思ったんだよ」
「新歓コンパねえ」
流れで一緒に飯食いましょと相席することにして、新歓コンパとやらの話を続けてもらう。ちなみに昼放送は誰か1人が食堂の事務所で再生やら停止やらをすればいいし、お知らせ放送くらいならオンエアも1年にやってもらってもいいんじゃねっていう感じで分担出来るようになったのがデカい。
ゴールデンウィークを過ぎればあからさまに学内の人口密度が緩くなったのを感じる。15回ほどある講義の最初と最後だけちゃんとやっとけば何とかなるというヤツがサボり始めるんだそうだ。俺は当然ちゃんとやってんだけど。ま、人が少なければ飯を食うにもゆったり出来るしラクっちゃラクなんだけどな。
「松兄って、背も高いしスポーツもやってるのにガッツリ食べるってよりはオシャレに食べる方だよね」
「オシャレなんすかね? 俺からしたら一般的な一人前の量を普通に食ってるだけっすけど」
「確かに普通の食事ではあるんだけど、MMPの人たちって何だかんだ食事に癖がある人が多いからかな?」
「あー。春風はめちゃ食うし」
「先輩たちが結構ね。好き嫌いがあったりいっぱい食べたりっていうので」
「そーいや新歓コンパっつーのをやるそうじゃないすか」
「そうなんだよ。1年生の子たちってどーゆーお店がいいのかなって思って」
「それはこっちがテキトーに決めりゃいーんすよ。1年なんかまだ右も左もわかってねーんすから。最初に行った居酒屋でこーゆーモンなんだなって飲み会を覚えて、好きなようなら自分で開拓してくんすから」
「そっか」
それじゃあお店は豊葦市内の駅近が第一条件で、と奈々さんは自分なりに店選びのポイントをまとめているようだ。サークル唯一の3年生だとこういう行事になったときに仕事だとか責任だとかが全部のしかかって来るっつーのが大変そうだなーとは思う。そういう話は2年3人でもしていて、俺らも出来ることはやってこうぜとは言ってんだけど。
「あっ、そうだ松兄。バドサーとかMMP以外のサークルって、新歓コンパでの1年生の負担ってどれくらいだった?」
「バドサーの場合は1年は1000円で良かったと思いますね。ちなみに春風の話では天文部はタダだったとか」
「MMPはそこまで大胆な負担軽減策を打てないサークルだけど大丈夫かな? 今年の1年生が6人で松兄ととりぃも歓迎される側とすると」
「そんなのを期待して来るような奴は俺が軒並みぶっ飛ばすんで、奈々さんが知ってるウチの常識を通してください。大体、これまでのことだって奈々さんしか知らないんすから、これって変えていーんじゃねって思った慣習だって改め放題なんすよ」
「松兄がしっかりし過ぎて誰が3年で誰が代表なんだかって感じ」
「ヤヤ、ゆーて俺実年齢はアンタの1コ上。普段はどうあれ密かにちゃんとしてなきゃいけないポジションよ。つか俺と春風は年度末の3年生追いコンやら卒コンやらで十分歓迎されてるからそこに含めなくていーんすよ。つか含めんな」
「ゴメンゴメン」
帰りとかに春風とたまに話すけど、サークルの運営方針みたいなことをわーわー出して進めているのはかっすーで、奈々さんはそれを後ろで見極めながらゴーとかストップとかの号令を掛けている感じだと。実際この人の話を聞いてみると、俺と春風含め、一気にここまでサークルが膨れ上がったことに対する戸惑いがまだあるようだ。
10人っつーのは奈々さんが1年生としてサークルに入ったときから見ても最大の人数だ。それを唯一の3年生、そして代表として束ね切れるかという重圧みたいなモンと戦ってる感がビシバシ伝わって来る。だからこそ2年生3人も協力してくぞとは言ってたんだけど、やっぱ2年には頼りにくいこともあるんだろうなとは。
今日の話だけでもかっすーがまだ見えてない部分のことは奈々さんが1人で全部考えて密かに処理してんだなっつーのがよーくわかるよな。で、そこに出くわした俺はと言えば、実年齢1コ上なら使えるところでは使い倒そうと話のノリでとは言え言われたワケであって。こないだハタチになったばっかのカワイイ先輩をサポートしてやんねーとな。
「大体、自分の時はどーだったんです? どれくらいおまけしてもらったとか」
「うちのときは3年生の先輩3人が500円ずつ出してくれて、3500円コースを2000円にしてもらったんだよ」
「まあ、何人を何人で担ぐかっつー問題は付き纏うからなあ。6人は確かにこのサークルじゃデカいわなあ」
「一応去年の大学祭で稼いだ分の貯蓄はあるけど、それをここで出すには早いなとは思ってて」
「めっちゃ稼いだ金を貯蓄したんだって話はかっすーからリアルタイムで聞きましたけど、それはこんなことに使うべきじゃねーっすよ。よし、まずはクーポンを探しましょ」
「クーポン?」
「ほら、例えばこの店だと8人以上の予約で幹事様無料ってあるっしょ? で、仮に3500円コースとする。2、3年生は1人600円多く出してる体で話を進めれば、奈々さんの3500円と4人で集めた2400円の6000円弱を1年の歓迎に使えるんすよ」
「あ~、こういうのを活用する手もあるんだねッ」
「こっちは会計10%オフっすね。3500円が10人で35000円だから、実質1人分タダっすね。何せ、場所とかの条件もあるんでそれも加味しつつの店選びにはなると思いますけど」
「始めはどうなるかと思ったけどやれる気がして来たよッ! ありがとう松兄ッ!」
「いやー、どーもどーも。使える年の功は使ってけ?」
end.
++++
カノンはまだまだ2年生になりたてで勢いで突っ走るのが主という感じ。その他はちゃんと奈々がやってます
MMPもなかなかに食にクセのある連中が揃ってたなあ。普通っぽいのは圭斗さんやらヒロやら? 圭斗さんは作る方にクセがあったけど
2年生3人で話してる時も奏多は1人で二手三手先と言うかその物事の裏まで考えてるんだろうなあ
(phase3)
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