2022
■話し合いはオートマチック
++++
「そしたら、みんな揃ったし打ち合わせしようかー」
「はーい」
「あのですね、今日は差し入れがあってー。このたい焼きがすっごい美味しいから絶対食べて欲しくって!」
「たい焼き?」
「ホント!? やったあ! まつりちゃんありがとう!」
ファンフェスの打ち合わせとして集まったけど、2年生が本当に賑やかだなって思う。俺は定例会議長として、それから班長としてバタバタするだろうなって思ってたけど、班打ち合わせは2年生が自動的に進めてくれてるから思ったよりもラクだったね。
アナウンサーが俺と向島のカノン、そしてミキサーが緑ヶ丘のくるみと青女のまつりだ。結構ガンガン系の子が集まったから、円卓会議でもエージから「やかましくなるべ」と冷やかされたけど、思ったよりも秩序のある賑やかさで安心してる。
「ミドリ先輩、番組の構成なんすけど、ホントに今のままでいいのかなってのはちょっと考えてたんす」
「カノン、何か思いついたの?」
「ウチの2年生で情報交換してたときに鳥ちゃんが言ってたんすけど、「3パートをきちんと15分で分けると案外時間がなくて構成の自由が利かない」っつー話になってたそうなんす」
「鳥ちゃんっていうのはとりぃのことだね。誰の班だっけ? ……と思ったけど、そんなことを言うのはタカティだなあ。ミソラの班か」
「そうっすね。それを受けて俺も考えてみたんすけど、確かにピントークのオープニングとエンディングは2人がそれぞれやる必要もないと思うんすね。その分トークなり、削った曲に回すなりやれるかなと」
「カノンカノン、それって、最初の人がOPをやってEDをやらなくって、次の人がOPをやらずにEDをやるみたいなこと?」
「削り方としてはそんな感じかな。もっと言えば45分でひとつの番組であることを考えるとOPとED自体1回でいいまである」
「じゃあ、人が変わった時にさらっとミドリとまつりでーすみたいな感じで触れるの?」
「でいいんじゃねーかと思うんすけど、どうっすかねミドリ先輩」
「俺はそれでもいいと思うよ。2年生の自由な発想で構成を組んでみて欲しいな」
「よーし、やるぞー!」
――っていう具合に、半自動で話が進んでるんだもんなあ。去年の夏合宿の時もそうだったけど、今の2年生がしっかりし過ぎてて俺の出る幕なんてないんだよね本当に。逆に、だからこそ番組のことは任せて定例会の仕事が出来てるんだけど。
あれよあれよと2年生が番組の構成を考えて、くるみとまつりが機材的にはこういう所作かなって確認してるのには向島で二刀流の練習をしてるっていうカノンもこうじゃね、って参加してるのが本当に強い。情報センターでも定例会でも、班でもそれらしくないリーダーですみません!
「大分形になってきたっすねミドリ先輩!」
「本当に2年生様々だよ。俺、何にもしてないもん」
「番組のことはガッツリラジオやってる向島の俺が引っ張るべきっす。ミドリ先輩は定例会議長で忙しいっすからね」
「本当に助かってます」
「でも、これをどう練習するかだよね」
「そう、ファンフェスは実戦練習がしにくい傾向にあるから、みんながそれぞれ大学でキューシートに沿って練習しておく必要があるんだよね。青女さんは植物園ステージもあって大変だろうけど、大丈夫?」
「アタシは体力と勢いが取り柄なんで大丈夫でーす! 今日の話し合いで変わった構成もそんなに難しくなさそうなんで来週みっちり練習しときまーす」
「頼もしいなあ。くるみはどう?」
「はいっ! あたしも来週ばっちり練習しますっ! あたしとカノンは大学が豊葦なので、その気になればあたしが向島に行くなりしてペア練習も出来るもんね」
「そーだな! 行き来のハードルが低いのは強い。くるみ、マジでやるんならすがやんに話付けとかないと」
「ホントだねっ! すがやんにお願いしとかないと」
「ウチの1年にも半分MMPのすがやんをちゃんと紹介しときたいしな!」
「カノン、すがやんは全部MBCCなんだからね。取らないでよー」
何だかんだで番組はちゃんと回りそうだし、次の円卓かファンフェス当日になるかな、エージには2年生がしっかりし過ぎて班長の出る幕がなかったですと報告をすることになりそうだ。
「そうだ、まつりちゃんのたい焼きってどこのお店のヤツ?」
「あのねー、地下鉄の丸の池公園駅の、6番出口の近くにあるお店だよ。養殖じゃなくて一匹一匹焼いてる天然モノってヤツで、焼きたてがホント~に美味しいの! 冷めちゃったら表面にほんの少しだけ水を塗って、30秒レンチンの後に3分オーブンでカリカリになるって」
「あったかスイーツは無造作に割った断面からふわ~っと出る湯気が醍醐味なんだよね!」
「俺の感覚だとたい焼きってスイーツってより甘味とかおやつって言いたい」
「カノンの感覚もわかるけど、あたしの扱う広い意味でのスイーツだから深い意味はないよ」
「ちとせが言ってたけどくるみってコンビニスイーツとかの断面の動画撮ってるんでしょ? たい焼きを切るならどう切る?」
「えー、どうしようかなー。今一瞬思ったのは、どこからどこまであんこが詰まってるのかを見るために2枚開きじゃないけど、タテにこう、ぱかっと」
「あ~。しっぽまであんこ詰まってて欲しいよねー」
「形も歪だし難しそうだな」
「うん。絶対難しい」
「和菓子とかって見た目に楽しい芸術品みたいなのもあるけど、断面を楽しむこと前提に作られてるヤツとかもあるじゃん、お茶菓子みたいなので。あーいうのはやってないの?」
「あたし今のところコンビニスイーツ専門なんだよね。でも、確かにそういう話を聞くとやってみたいかも! あ~ん、どれだけ運動しても摂取カロリーに追いつかな~い」
「くるみってスポーツとかしてるんだ!」
「あっ、スポーツじゃなくて大学のジムで体を動かしてるだけだよ!」
本当にお喋りが止まらないし俺がそこに口を挟む隙もないけど、話をただただ聞くのもそれなりに楽しいからまあいいかあって。番組のこともちゃんと話し合ってもらったしね。これくらいやってもらえるなら班長の影が薄いくらいがちょうどいいかなって。
end.
++++
基本やかましいメンバーだけど、やるときはやる真面目な熱さの3人なので番組にもまっすぐ。
すがやんは半分MMPに対抗する全部MBCCとかいう新しいワードが誕生。まあ全部MBCCではあるんだけどもだ
(phase3)
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「そしたら、みんな揃ったし打ち合わせしようかー」
「はーい」
「あのですね、今日は差し入れがあってー。このたい焼きがすっごい美味しいから絶対食べて欲しくって!」
「たい焼き?」
「ホント!? やったあ! まつりちゃんありがとう!」
ファンフェスの打ち合わせとして集まったけど、2年生が本当に賑やかだなって思う。俺は定例会議長として、それから班長としてバタバタするだろうなって思ってたけど、班打ち合わせは2年生が自動的に進めてくれてるから思ったよりもラクだったね。
アナウンサーが俺と向島のカノン、そしてミキサーが緑ヶ丘のくるみと青女のまつりだ。結構ガンガン系の子が集まったから、円卓会議でもエージから「やかましくなるべ」と冷やかされたけど、思ったよりも秩序のある賑やかさで安心してる。
「ミドリ先輩、番組の構成なんすけど、ホントに今のままでいいのかなってのはちょっと考えてたんす」
「カノン、何か思いついたの?」
「ウチの2年生で情報交換してたときに鳥ちゃんが言ってたんすけど、「3パートをきちんと15分で分けると案外時間がなくて構成の自由が利かない」っつー話になってたそうなんす」
「鳥ちゃんっていうのはとりぃのことだね。誰の班だっけ? ……と思ったけど、そんなことを言うのはタカティだなあ。ミソラの班か」
「そうっすね。それを受けて俺も考えてみたんすけど、確かにピントークのオープニングとエンディングは2人がそれぞれやる必要もないと思うんすね。その分トークなり、削った曲に回すなりやれるかなと」
「カノンカノン、それって、最初の人がOPをやってEDをやらなくって、次の人がOPをやらずにEDをやるみたいなこと?」
「削り方としてはそんな感じかな。もっと言えば45分でひとつの番組であることを考えるとOPとED自体1回でいいまである」
「じゃあ、人が変わった時にさらっとミドリとまつりでーすみたいな感じで触れるの?」
「でいいんじゃねーかと思うんすけど、どうっすかねミドリ先輩」
「俺はそれでもいいと思うよ。2年生の自由な発想で構成を組んでみて欲しいな」
「よーし、やるぞー!」
――っていう具合に、半自動で話が進んでるんだもんなあ。去年の夏合宿の時もそうだったけど、今の2年生がしっかりし過ぎてて俺の出る幕なんてないんだよね本当に。逆に、だからこそ番組のことは任せて定例会の仕事が出来てるんだけど。
あれよあれよと2年生が番組の構成を考えて、くるみとまつりが機材的にはこういう所作かなって確認してるのには向島で二刀流の練習をしてるっていうカノンもこうじゃね、って参加してるのが本当に強い。情報センターでも定例会でも、班でもそれらしくないリーダーですみません!
「大分形になってきたっすねミドリ先輩!」
「本当に2年生様々だよ。俺、何にもしてないもん」
「番組のことはガッツリラジオやってる向島の俺が引っ張るべきっす。ミドリ先輩は定例会議長で忙しいっすからね」
「本当に助かってます」
「でも、これをどう練習するかだよね」
「そう、ファンフェスは実戦練習がしにくい傾向にあるから、みんながそれぞれ大学でキューシートに沿って練習しておく必要があるんだよね。青女さんは植物園ステージもあって大変だろうけど、大丈夫?」
「アタシは体力と勢いが取り柄なんで大丈夫でーす! 今日の話し合いで変わった構成もそんなに難しくなさそうなんで来週みっちり練習しときまーす」
「頼もしいなあ。くるみはどう?」
「はいっ! あたしも来週ばっちり練習しますっ! あたしとカノンは大学が豊葦なので、その気になればあたしが向島に行くなりしてペア練習も出来るもんね」
「そーだな! 行き来のハードルが低いのは強い。くるみ、マジでやるんならすがやんに話付けとかないと」
「ホントだねっ! すがやんにお願いしとかないと」
「ウチの1年にも半分MMPのすがやんをちゃんと紹介しときたいしな!」
「カノン、すがやんは全部MBCCなんだからね。取らないでよー」
何だかんだで番組はちゃんと回りそうだし、次の円卓かファンフェス当日になるかな、エージには2年生がしっかりし過ぎて班長の出る幕がなかったですと報告をすることになりそうだ。
「そうだ、まつりちゃんのたい焼きってどこのお店のヤツ?」
「あのねー、地下鉄の丸の池公園駅の、6番出口の近くにあるお店だよ。養殖じゃなくて一匹一匹焼いてる天然モノってヤツで、焼きたてがホント~に美味しいの! 冷めちゃったら表面にほんの少しだけ水を塗って、30秒レンチンの後に3分オーブンでカリカリになるって」
「あったかスイーツは無造作に割った断面からふわ~っと出る湯気が醍醐味なんだよね!」
「俺の感覚だとたい焼きってスイーツってより甘味とかおやつって言いたい」
「カノンの感覚もわかるけど、あたしの扱う広い意味でのスイーツだから深い意味はないよ」
「ちとせが言ってたけどくるみってコンビニスイーツとかの断面の動画撮ってるんでしょ? たい焼きを切るならどう切る?」
「えー、どうしようかなー。今一瞬思ったのは、どこからどこまであんこが詰まってるのかを見るために2枚開きじゃないけど、タテにこう、ぱかっと」
「あ~。しっぽまであんこ詰まってて欲しいよねー」
「形も歪だし難しそうだな」
「うん。絶対難しい」
「和菓子とかって見た目に楽しい芸術品みたいなのもあるけど、断面を楽しむこと前提に作られてるヤツとかもあるじゃん、お茶菓子みたいなので。あーいうのはやってないの?」
「あたし今のところコンビニスイーツ専門なんだよね。でも、確かにそういう話を聞くとやってみたいかも! あ~ん、どれだけ運動しても摂取カロリーに追いつかな~い」
「くるみってスポーツとかしてるんだ!」
「あっ、スポーツじゃなくて大学のジムで体を動かしてるだけだよ!」
本当にお喋りが止まらないし俺がそこに口を挟む隙もないけど、話をただただ聞くのもそれなりに楽しいからまあいいかあって。番組のこともちゃんと話し合ってもらったしね。これくらいやってもらえるなら班長の影が薄いくらいがちょうどいいかなって。
end.
++++
基本やかましいメンバーだけど、やるときはやる真面目な熱さの3人なので番組にもまっすぐ。
すがやんは半分MMPに対抗する全部MBCCとかいう新しいワードが誕生。まあ全部MBCCではあるんだけどもだ
(phase3)
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