2022
■ほわほわ浮かぶあの顔
++++
「定例会です。そしたら、今日はファンフェスの班決めがメインということでやっていきたいと思います」
いよいよ来月に迫ったファンタジックフェスタに向けて、DJブースの班決めが行われることになった。ここで決まった班で番組を作っていくんだけど、インターフェイスでは現状これが唯一一般の人に向けた活動になるということで緊張感がちょっとある。
去年やっていたみたいに参加者の名前を書いた付箋を用意して、これを貼ったり剥がしたりしながら班を決めていくことにした。これはユキちゃんと一緒に用意してたんだけど、やりながら気付いたことがいくつか。そのうちのひとつが、今年は参加者がちょっと多いねっていうこと。
「ところで、班長は基本的に定例会の3年生が受け持つっていう形になってるんだけど、ミソラはどうする? 不安なら他の人に回すことも全然出来るけど」
「番組での働きに対する期待がされないんであれば大丈夫だけど」
「あ、その辺は大丈夫です。班長は班員に対する連絡なんかがメインの仕事で、番組はみんなで協力してやってくんで」
「それじゃあ班長で大丈夫です」
「そしたらそういうことでやっていきましょう。えっと、今回はラジオに加えて動画サイトに設立したインターフェイスのチャンネルも動かしていくということで、映像関係の仕事をするチームも設けることになったというのは前回の会議の通りです」
映像関係のチームは、番組の収録であったり編集であったりっていうのを担当することになっている。ライブ配信が出来れば一番良かったんだけど、曲の権利関係をどうクリアしていくかっていうことがまだまとまってないので今回は断念することに。やっぱりお金なのかな?
だから今回は曲を端折った上で声だけを別チャンネルで録音して、後からBGMを重ねて編集したアーカイブをアップ、という形をとるんだって。仮にも定例会議長なのに他人事みたいに話すけど、そういう技術的なところはさっぱりだからね。
その辺の技術的なことは緑ヶ丘と向島の2校合同番組でタカティが実際にやってたって言うし、その手法についてはサキがきっちり勉強してくれてるってことで安心出来る。動画化に関しては青敬さんと桜貝さんをメインに編集してくれるみたいだ。
「一応動画化するに当たって顔出しオッケーの人とNGの人がいると思うんで、班長さんはその辺も確認してください。そしたらこれから班を組んでいきまーす」
机の上にカラフルな付箋が並び、それをみんなで囲む光景。ドラマとかで見る捜査会議の様子にも見えるね。
「えっと、まずミソラの班から詰めようか」
「お願いします」
「ミソラが普段ラジオをやらないアナウンサーだから、ラジオ慣れしたミキサーがいると安心だと思うんだよね?」
「そうだね。班運営の上でも慣れた人を入れてもらえると助かるかなとは」
「ちなみにだけど、どんな番組をやりたいかなーっていうイメージは付く?」
「何となく。春の講習会でやった感じだよね」
「そうそう」
「でも、やっていいんなら派手にやりたい気持ちもある。動画映えする雑談放送じゃないけど、みんな横一線の形式ばった番組とはちょっと崩して、変えていきたいかなとは」
「ミソラ、やっちゃって」
あやめの情報ではミソラは結構真面目な感じだって聞いてたけど、やっぱり普段の活動が活動だからかインターフェイスの普通に染まってない感じが新しくていいなって思う。ミソラの希望を叶えられそうなミキサーとなると、みんな同じあの顔がほわほわと浮かぶワケで。
「えーと、そしたらミソラの班の3年生が無事に決まったところで、他の班もいつもの感じで埋めていこうかー」
「はーい」
ミソラの班には無事にタカティが組み込まれて、ここは面白くなりそうだねとみんなで納得。ミソラの意向にもタカティならバッチリ応えてくれるだろうからね。ラジオ慣れっていう意味でもこれ以上ない3年生の布陣じゃないかな。
「なあすがやん、これってどーゆー決め方してんだ? 規則性とか」
「えっと、ラジオメイン校とそうでない学校のバランスだったり、わかってるならその当人の力を見て決めてるとか。過去の行事で同じ班になったことがあれば避けるようにもしてるそうだし、大人の事情に配慮したりとかっていうのもあるらしい」
「大人の事情? 共演NGとかそーゆーの?」
「出せるんであれば俺は奏多に出したい」
「サキちー! なーんでそんなひでーコト言うんだよ!」
「そういうとこ」
「まあまあ、今はともかくゆくゆくはラジオメイン校の同学年ミキサーってだけで同じ班とかにはなりにくくなるだろうし、わざわざそんなの出さなくたって大丈夫だってサキ。仲良くな、仲良く」
「ミドリ先輩、奏多は規律とか常識に厳しい人がいる班がいいと思います」
「ちょっ、だからサキちー!」
一応これから一緒に音声ファイル関係のシステムを組んでいくチームメイトのはずだけど、サキと松兄の仲に関してはまだまだこれからって感じなのかな。板挟みになるすがやんは胃がキリキリするだろうなあ。
「規律や常識ねえ。奈々、どう思う?」
「松兄はキャラ作りのためにちょっとフランクなところはあるけど、一般常識とかの点ではまあ大丈夫だと思うけどなあ」
「奈々さーん! 俺の味方はアンタだけですマジ女神! でもキャラ作りってのは一言余計っす」
「でもインターフェイスにはいろいろな人がいるし、MMPだけじゃない歩き方をしてみてもいいかもねッ!」
「厳しめな人って言ったらやっぱエージかアオになるのかなあ?」
「うちの感覚だとマリンも厳しい」
「この流れでどーしてそーなるんだよ!」
「さすが奈々先輩、話が分かるね」
「あ、そーだミドリさん大人の事情と言えばすがやんと春風は一緒に出来ねーっすからね! コイツらラブラブなんで!」
「ちょっ、奏多お前それ絶対八つ当たりだろ!」
「その件は聞いてるから大丈夫だよ。心配しないで」
「もうインターフェイスの元締めみたいな人にも知られてるとか!」
「すがやん、あたしが春風ちゃんと仲良いの聞いてないことはないでしょ?」
「そーでした。ユキ先輩にはいつもお世話になってます」
班編成がドタバタするのは毎回のことらしいけど、今回は桜貝さんの復帰とかもあっていつもよりも難しさがわーってなってる気がする。でもしっかり決めないとね。何事も最初が肝心って言うし。
end.
++++
ミドリは基本女子の尻に敷かれてる系議長だけど、たまにはバシンと決めるところは決めてほしい
サキと奏多の件は多分そのうちまーたやってるよ的な感じでみんなスルーしだす。すがやんすらも
(phase3)
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「定例会です。そしたら、今日はファンフェスの班決めがメインということでやっていきたいと思います」
いよいよ来月に迫ったファンタジックフェスタに向けて、DJブースの班決めが行われることになった。ここで決まった班で番組を作っていくんだけど、インターフェイスでは現状これが唯一一般の人に向けた活動になるということで緊張感がちょっとある。
去年やっていたみたいに参加者の名前を書いた付箋を用意して、これを貼ったり剥がしたりしながら班を決めていくことにした。これはユキちゃんと一緒に用意してたんだけど、やりながら気付いたことがいくつか。そのうちのひとつが、今年は参加者がちょっと多いねっていうこと。
「ところで、班長は基本的に定例会の3年生が受け持つっていう形になってるんだけど、ミソラはどうする? 不安なら他の人に回すことも全然出来るけど」
「番組での働きに対する期待がされないんであれば大丈夫だけど」
「あ、その辺は大丈夫です。班長は班員に対する連絡なんかがメインの仕事で、番組はみんなで協力してやってくんで」
「それじゃあ班長で大丈夫です」
「そしたらそういうことでやっていきましょう。えっと、今回はラジオに加えて動画サイトに設立したインターフェイスのチャンネルも動かしていくということで、映像関係の仕事をするチームも設けることになったというのは前回の会議の通りです」
映像関係のチームは、番組の収録であったり編集であったりっていうのを担当することになっている。ライブ配信が出来れば一番良かったんだけど、曲の権利関係をどうクリアしていくかっていうことがまだまとまってないので今回は断念することに。やっぱりお金なのかな?
だから今回は曲を端折った上で声だけを別チャンネルで録音して、後からBGMを重ねて編集したアーカイブをアップ、という形をとるんだって。仮にも定例会議長なのに他人事みたいに話すけど、そういう技術的なところはさっぱりだからね。
その辺の技術的なことは緑ヶ丘と向島の2校合同番組でタカティが実際にやってたって言うし、その手法についてはサキがきっちり勉強してくれてるってことで安心出来る。動画化に関しては青敬さんと桜貝さんをメインに編集してくれるみたいだ。
「一応動画化するに当たって顔出しオッケーの人とNGの人がいると思うんで、班長さんはその辺も確認してください。そしたらこれから班を組んでいきまーす」
机の上にカラフルな付箋が並び、それをみんなで囲む光景。ドラマとかで見る捜査会議の様子にも見えるね。
「えっと、まずミソラの班から詰めようか」
「お願いします」
「ミソラが普段ラジオをやらないアナウンサーだから、ラジオ慣れしたミキサーがいると安心だと思うんだよね?」
「そうだね。班運営の上でも慣れた人を入れてもらえると助かるかなとは」
「ちなみにだけど、どんな番組をやりたいかなーっていうイメージは付く?」
「何となく。春の講習会でやった感じだよね」
「そうそう」
「でも、やっていいんなら派手にやりたい気持ちもある。動画映えする雑談放送じゃないけど、みんな横一線の形式ばった番組とはちょっと崩して、変えていきたいかなとは」
「ミソラ、やっちゃって」
あやめの情報ではミソラは結構真面目な感じだって聞いてたけど、やっぱり普段の活動が活動だからかインターフェイスの普通に染まってない感じが新しくていいなって思う。ミソラの希望を叶えられそうなミキサーとなると、みんな同じあの顔がほわほわと浮かぶワケで。
「えーと、そしたらミソラの班の3年生が無事に決まったところで、他の班もいつもの感じで埋めていこうかー」
「はーい」
ミソラの班には無事にタカティが組み込まれて、ここは面白くなりそうだねとみんなで納得。ミソラの意向にもタカティならバッチリ応えてくれるだろうからね。ラジオ慣れっていう意味でもこれ以上ない3年生の布陣じゃないかな。
「なあすがやん、これってどーゆー決め方してんだ? 規則性とか」
「えっと、ラジオメイン校とそうでない学校のバランスだったり、わかってるならその当人の力を見て決めてるとか。過去の行事で同じ班になったことがあれば避けるようにもしてるそうだし、大人の事情に配慮したりとかっていうのもあるらしい」
「大人の事情? 共演NGとかそーゆーの?」
「出せるんであれば俺は奏多に出したい」
「サキちー! なーんでそんなひでーコト言うんだよ!」
「そういうとこ」
「まあまあ、今はともかくゆくゆくはラジオメイン校の同学年ミキサーってだけで同じ班とかにはなりにくくなるだろうし、わざわざそんなの出さなくたって大丈夫だってサキ。仲良くな、仲良く」
「ミドリ先輩、奏多は規律とか常識に厳しい人がいる班がいいと思います」
「ちょっ、だからサキちー!」
一応これから一緒に音声ファイル関係のシステムを組んでいくチームメイトのはずだけど、サキと松兄の仲に関してはまだまだこれからって感じなのかな。板挟みになるすがやんは胃がキリキリするだろうなあ。
「規律や常識ねえ。奈々、どう思う?」
「松兄はキャラ作りのためにちょっとフランクなところはあるけど、一般常識とかの点ではまあ大丈夫だと思うけどなあ」
「奈々さーん! 俺の味方はアンタだけですマジ女神! でもキャラ作りってのは一言余計っす」
「でもインターフェイスにはいろいろな人がいるし、MMPだけじゃない歩き方をしてみてもいいかもねッ!」
「厳しめな人って言ったらやっぱエージかアオになるのかなあ?」
「うちの感覚だとマリンも厳しい」
「この流れでどーしてそーなるんだよ!」
「さすが奈々先輩、話が分かるね」
「あ、そーだミドリさん大人の事情と言えばすがやんと春風は一緒に出来ねーっすからね! コイツらラブラブなんで!」
「ちょっ、奏多お前それ絶対八つ当たりだろ!」
「その件は聞いてるから大丈夫だよ。心配しないで」
「もうインターフェイスの元締めみたいな人にも知られてるとか!」
「すがやん、あたしが春風ちゃんと仲良いの聞いてないことはないでしょ?」
「そーでした。ユキ先輩にはいつもお世話になってます」
班編成がドタバタするのは毎回のことらしいけど、今回は桜貝さんの復帰とかもあっていつもよりも難しさがわーってなってる気がする。でもしっかり決めないとね。何事も最初が肝心って言うし。
end.
++++
ミドリは基本女子の尻に敷かれてる系議長だけど、たまにはバシンと決めるところは決めてほしい
サキと奏多の件は多分そのうちまーたやってるよ的な感じでみんなスルーしだす。すがやんすらも
(phase3)
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