2022
■Nice to meet you and welcome!
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春学期開講を前に、サークルはその活動を開始しました。新入生勧誘活動としていろいろ手を尽くしてきましたが、如何せん始めたばかりなので手応えはまだ感じられません。月曜日からは学内のインフォメーション放送を主とした短い番組を15分程度、毎日放送しています。大学のニュースなどを読み上げるのが基本なので、自分で番組内容を考える必要があまりなく、負担は少ないのです。
番組は希くんと1日交代で行っています。ニュースの鮮度という物もあるのであまり先んじて収録をしてしまうということは出来ないのですが、この感じであるなら来週からは番組に少しだけでも私なりの色という物を加えようかなと考えています。これは昼休みに出しているブースで希くんと話していたことです。私の色と言えば、やはり星や宇宙のことですね。
「奈々先輩と奏多おせーなー」
「私たちが早かったのかもしれません。厳密にはまだ春学期は始まっていませんし、気長に待ちましょう」
「とりあえず機材でも立ち上げとくかー」
「希くん、外でウグイスが鳴いていますよ。すっかり春ですね」
「ホントだ。ケキョケキョいってんね。もうちょっとしたら春通り越して暑くなりそうだなー」
このサークル棟の各部室には空調などはないので、冷暖房などは各団体で準備をすることになっています。MMPではその辺りのことはどうしているのでしょうか。窓を開け放つと鳥の鳴き声などが番組に影響を及ぼしそうですし。またその時になったら聞いてみましょう。
「いよーすお前ら!」
「あ、おっせーよ奏多!」
「遅いのには遅いなりの理由があんだよ。まあまあ。見て驚くなって」
「奏多が大きなことを言うのはいつものことだし、大した期待感もないのよね」
「鳥ちゃんてマジで奏多に辛辣だよな」
「付き合いが長くなればこんなものです」
「ま、お前は俺の事をナメてんだろうけど、今日のはマジでビックリするぜ。おーい、奈々さーん」
はーいと奈々先輩の声が遠巻きに聞こえてきます。どうやら一緒に来たのでしょうか。だとすると部屋の前まで一緒に来れば良かったと思うのですが。もしかすると、奏多の言うビックリに奈々先輩が巻き込まれているのでは? だとすると良くないことが起こる気しかしません。
「カノンとりぃおはよッ! 見て見て~、じゃーんッ! 見学の、1・年・生、でーすッ!」
「えーっ!?」
「本当ですか!?」
「ほら、ちゃんと驚いただろ」
「私はてっきり奏多の茶番に奈々先輩が巻き込まれているのだとばっかり」
「何だ? 茶番だ?」
「えっと、そしたら適当なトコに座って座って」
「お邪魔します」
奈々先輩に連れられてきたのは、黒のレザージャケットに赤いチェックのパンツ、そしてブーツといった特徴的なファッションの男性です。よく見ると指輪などの装飾品も付けていて、ファッションにこだわりがあるのが見て取れます。奏多と比較すると、結構細身の体型のようです。
「普段はここで活動してて、昼にやってたあの番組もここで収録してるんだよ」
「そうなんですねー」
「今いる4人がサークルのメンバーで、うち以外はみんな2年生」
「昼やってるニュース番組みたいなのがメインって感じですか?」
「あれはせっかくだしMMPの存在をアピールするのに始めてみようかっていうのでこないだやり始めたばっかりで、普段はよくあるラジオみたいな感じで30分ほどの番組をやってるよ。それ以外にはインターフェイスっていう組織があって、それで他の大学さんと一緒にイベントに出たり、講習会があったり、合宿をやってたりもするよ」
「へー、面白そうっすね」
「昼の番組でMMPのことを知ってくれた系?」
「そうですね。で、昼食べて学内歩いてたらラジオって書いたブースあったんで、ちょっと話聞いてみようかなーと思って」
まさか、希くんと徹平くんの雑談から生まれたような短い放送で1年生が見学に来てくれるとは思いませんでした。いえ、こう言っては希くんには悪いのですが、10分から15分の番組は昼休みの時間に対しても短めですし、ましてや今は授業があるわけではないのでみんなきちんと時間に沿って動いているわけでもありません。その中でこの番組が届いているという事実が嬉しく感じられます。
「そしたら、せっかくだし何か適当にサンプルになりそうな番組でも流そうか。えっと、どれか良さそうな番組はあるかなあ? うーん、ラベルだけ見ても全然わかんないなー」
「あの、奈々先輩。私のスマホに希くんから送ってもらった菜月先輩の昼放送のファイルがあるのでそれなら流せると思うのですが」
「ホント!? めっちゃいいサンプルじゃんッ! 卒業してからも力になってくれるとかさすが菜月先輩、マジ神! そしたらとりぃ、ちょっとスマホ借りるね」
「どうぞ」
奈々先輩が私のスマホをミキサーに繋いでくれたので、私はその中にある菜月先輩の番組を再生します。その準備をしている間に、希くんは彼の名前や学部などを聞いていたようです。彼は名前を朝宮健人くんといい、希くんと同じ環境科学部に属しているようです。そして青尋エリア出身でこの近くに1人暮らしをしているそうです。希くんはさすがのコミュニケーション能力ですね。
「まああれだよ、今のMMPは俺たち4人と緑大にも半分MMPみたいな奴が1人いて、みんなでこれからどんどん盛り上げていこうって頑張ってるトコなんだよ」
「……なあ春風、かっすーのヤツ、ナチュラルにすがやんをみんなに数えてるけどそれはいいのか」
「留学は一応終わっているはずですから、さすがにいつもいるかのように数えるのは」
end.
++++
去年が去年だけにこの時期にもう見学が来るというのはMMP的には大快挙!
しかし例によって半分MMPに組み込まれているすがやん。ところで緑ヶ丘って今どうなってるんだろうね
(phase3)
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春学期開講を前に、サークルはその活動を開始しました。新入生勧誘活動としていろいろ手を尽くしてきましたが、如何せん始めたばかりなので手応えはまだ感じられません。月曜日からは学内のインフォメーション放送を主とした短い番組を15分程度、毎日放送しています。大学のニュースなどを読み上げるのが基本なので、自分で番組内容を考える必要があまりなく、負担は少ないのです。
番組は希くんと1日交代で行っています。ニュースの鮮度という物もあるのであまり先んじて収録をしてしまうということは出来ないのですが、この感じであるなら来週からは番組に少しだけでも私なりの色という物を加えようかなと考えています。これは昼休みに出しているブースで希くんと話していたことです。私の色と言えば、やはり星や宇宙のことですね。
「奈々先輩と奏多おせーなー」
「私たちが早かったのかもしれません。厳密にはまだ春学期は始まっていませんし、気長に待ちましょう」
「とりあえず機材でも立ち上げとくかー」
「希くん、外でウグイスが鳴いていますよ。すっかり春ですね」
「ホントだ。ケキョケキョいってんね。もうちょっとしたら春通り越して暑くなりそうだなー」
このサークル棟の各部室には空調などはないので、冷暖房などは各団体で準備をすることになっています。MMPではその辺りのことはどうしているのでしょうか。窓を開け放つと鳥の鳴き声などが番組に影響を及ぼしそうですし。またその時になったら聞いてみましょう。
「いよーすお前ら!」
「あ、おっせーよ奏多!」
「遅いのには遅いなりの理由があんだよ。まあまあ。見て驚くなって」
「奏多が大きなことを言うのはいつものことだし、大した期待感もないのよね」
「鳥ちゃんてマジで奏多に辛辣だよな」
「付き合いが長くなればこんなものです」
「ま、お前は俺の事をナメてんだろうけど、今日のはマジでビックリするぜ。おーい、奈々さーん」
はーいと奈々先輩の声が遠巻きに聞こえてきます。どうやら一緒に来たのでしょうか。だとすると部屋の前まで一緒に来れば良かったと思うのですが。もしかすると、奏多の言うビックリに奈々先輩が巻き込まれているのでは? だとすると良くないことが起こる気しかしません。
「カノンとりぃおはよッ! 見て見て~、じゃーんッ! 見学の、1・年・生、でーすッ!」
「えーっ!?」
「本当ですか!?」
「ほら、ちゃんと驚いただろ」
「私はてっきり奏多の茶番に奈々先輩が巻き込まれているのだとばっかり」
「何だ? 茶番だ?」
「えっと、そしたら適当なトコに座って座って」
「お邪魔します」
奈々先輩に連れられてきたのは、黒のレザージャケットに赤いチェックのパンツ、そしてブーツといった特徴的なファッションの男性です。よく見ると指輪などの装飾品も付けていて、ファッションにこだわりがあるのが見て取れます。奏多と比較すると、結構細身の体型のようです。
「普段はここで活動してて、昼にやってたあの番組もここで収録してるんだよ」
「そうなんですねー」
「今いる4人がサークルのメンバーで、うち以外はみんな2年生」
「昼やってるニュース番組みたいなのがメインって感じですか?」
「あれはせっかくだしMMPの存在をアピールするのに始めてみようかっていうのでこないだやり始めたばっかりで、普段はよくあるラジオみたいな感じで30分ほどの番組をやってるよ。それ以外にはインターフェイスっていう組織があって、それで他の大学さんと一緒にイベントに出たり、講習会があったり、合宿をやってたりもするよ」
「へー、面白そうっすね」
「昼の番組でMMPのことを知ってくれた系?」
「そうですね。で、昼食べて学内歩いてたらラジオって書いたブースあったんで、ちょっと話聞いてみようかなーと思って」
まさか、希くんと徹平くんの雑談から生まれたような短い放送で1年生が見学に来てくれるとは思いませんでした。いえ、こう言っては希くんには悪いのですが、10分から15分の番組は昼休みの時間に対しても短めですし、ましてや今は授業があるわけではないのでみんなきちんと時間に沿って動いているわけでもありません。その中でこの番組が届いているという事実が嬉しく感じられます。
「そしたら、せっかくだし何か適当にサンプルになりそうな番組でも流そうか。えっと、どれか良さそうな番組はあるかなあ? うーん、ラベルだけ見ても全然わかんないなー」
「あの、奈々先輩。私のスマホに希くんから送ってもらった菜月先輩の昼放送のファイルがあるのでそれなら流せると思うのですが」
「ホント!? めっちゃいいサンプルじゃんッ! 卒業してからも力になってくれるとかさすが菜月先輩、マジ神! そしたらとりぃ、ちょっとスマホ借りるね」
「どうぞ」
奈々先輩が私のスマホをミキサーに繋いでくれたので、私はその中にある菜月先輩の番組を再生します。その準備をしている間に、希くんは彼の名前や学部などを聞いていたようです。彼は名前を朝宮健人くんといい、希くんと同じ環境科学部に属しているようです。そして青尋エリア出身でこの近くに1人暮らしをしているそうです。希くんはさすがのコミュニケーション能力ですね。
「まああれだよ、今のMMPは俺たち4人と緑大にも半分MMPみたいな奴が1人いて、みんなでこれからどんどん盛り上げていこうって頑張ってるトコなんだよ」
「……なあ春風、かっすーのヤツ、ナチュラルにすがやんをみんなに数えてるけどそれはいいのか」
「留学は一応終わっているはずですから、さすがにいつもいるかのように数えるのは」
end.
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去年が去年だけにこの時期にもう見学が来るというのはMMP的には大快挙!
しかし例によって半分MMPに組み込まれているすがやん。ところで緑ヶ丘って今どうなってるんだろうね
(phase3)
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