2021(04)
■先行投資の御開帳
++++
「あー……調子乗ってめっちゃ金使っちまったぁー!」
「うっかり家具まで買ったもんな」
「マジで家具は誤算だったけど良い物を買ったと思うしかねー!」
昨日シノから頼まれて、大きな買い物のドライバーとして車を出すことになった。シノは1人暮らしを始めてそろそろ2ヶ月になる頃合いで、生活にも慣れて来たんだと思う。冷凍食品とかを上手く使って節約をしたいという話になったとかで、じゃあ倉庫型の店に行こうかあという流れになった。
いざ店の中に入るとあれもこれも魅力的に映ったのか、シノはとても興奮した様子だった。カートを押しながら、それはお前の生活に本当に必要な物なのかと一度制止を入れるササの役割がかなり大きかったと思う。ササのチェックを通した上でこれはいいなと思った物をカートに載せて行くと、冷凍食品とかを見る前に結構買う流れになってたもんな。
「とりあえずこの挽き肉はさっさとバラして冷凍しとかねーと。あとハンバーグと唐揚げと餃子と野菜な」
「肉は本当に罠だと思う。これが家にあることの安心感が大きい。レンジ調理なのも含めて」
「シノには肉がどんだけあっても足りなさそうだもんなー」
「それな! あとスーパーで買おうと思うと割引シール狙わなきゃマジで無理」
「そういう生活の仕方も覚えて来たんだな」
「何で肉ってあんな高いんだよー」
「育てるのにそれなりのコストがかかってるからだな」
「マジで今日の挽き肉は神」
大量の挽き肉を小分けにしながらフリーザーバッグに詰めていく作業はササも手伝っている。ササはシノの部屋に結構遊びに来ているそうで、シノの家の食糧は実質自分の食糧でもあるというスタンスだからか今回の買い物でもいくらか折半していた。もちろん冷凍食品や挽き肉にしてもその対象だ。
買い物を終えてシノの家に向かう道のりには有名な家具店もある。せっかくの機会だしと寄り道を勧めてみたらかなり反応が良かったので家具も見ていくことになった。家具の類は自分でも探していたけどこれという物にはまだ出会えてなく、いつちゃんと揃えるかなーと考えていたそうだ。ちなみに冷凍食品なんかは一応俺が保冷バッグを貸しているのでそれで何とかしているという感じ。
ここでの買い物でもあれもこれも欲しくなるのをササに制止してもらいながら見ているという感じだったけど、逆にこれは要るんじゃないかと進言を受けていたのは洗濯機上に物を置く用のランドリーラックという物。パイプ状の枠を組んでいくタイプのヤツ。必要だけど買っていなかったそうで、洗濯関係の道具は近くの床に置きっぱなしになっていたんだ。
「ササ、俺ランドリーラック組むから冷食頼むわー」
「わかった」
「シノ、俺も何かするか?」
「あー、すがやんは大丈夫かなー? や、ちょっと待てよ。食品以外の物を整理してもらっていいすか。電気とか開けてもらって」
「オッケー」
ベッドサイド用の電気スタンドの箱を開けて、LED電球を回しはめる。それから、キッチンに置く用に買った15センチ幅のスキマワゴンを組み立てる。これはプラスチック製ではめ込むだけなので割と簡単に出来る。あと部屋と洗面所用にそれぞれ3段のキャスター付きワゴンも買ったので、それを組み立てていく。
そうこうしている間に食品の整理をしていたササの手が空いたようで、姿見やクローゼット用の収納ラックをセットしてくれる。高崎先輩からのお下がりの家電があるから生活自体は出来ていたけど、家具などで細かいものが不足していたのを今の今まで放置していたらしい。それがようやくまとめて買う機会に恵まれての爆買いになったようだ。
もしかしたら、可能性の話としてだけど、俺も就職とかで家を出て1人暮らしを始める可能性だってゼロじゃない。1人暮らしをするならどういう物が必要なのかなーっていう勉強にはなったかなと思う。俺だったらどんな部屋に住んで、どんな物を置くのかな。本で結構場所は取りそうだし、化石を飾る棚とかも欲しいかなー。
「こういうワゴンが1台あるだけでそれっぽくなってきたなー」
「とりあえずティッシュとかハサミみたいな道具とかを置いとく場所になりそうかな。実は部屋での使い道は特に考えてなかったんだけど。水回りの方は洗ったタオルとかペーパータオルとか置ける物があるんだけど」
「よく見たらシノのベッドは引き出し収納があるヤツなんだな」
「そうなんだよ。Tシャツみたいなちょっとした服とかタオルとかが入ってんだけど、タオルは洗濯場のラックに移動するから空いたトコに何を入れるかだなー」
「予備のスペースにしておけばいいんじゃないか?」
「高木先輩の部屋にはエージ先輩の物を置いとく場所もあるらしいけど、シノには彼女も今のところいないし、部屋によく来る人が出来たらその人の私物なんかを入れたりして」
「すがやんもいつかとりぃと同棲なんかしたりして」
「だからお前はそういう話をするにはまだ早過ぎんだよ」
「つか俺の部屋の場合はいつの間にかササの物がしれっと入れてありそうな気がするぜ」
「あー」
「さすがにしれっとは入れない。入れる時には許可はもらう」
買ったものの整理が粗方終わったところで、さっき買ったピザを食べることに。大きなアメリカンサイズのそれを一気に全部食べるのかと一瞬思ったけど、シノとササなら全然食べたわ。こういうのを見てると1人暮らしもちょっといいかなって思うけど、実際やるには大変なんだろうなともわかるから、俺はまだまだ実家で暮らすんだろうな。
end.
++++
すがやんを運転手に何トコとかに行って来たようです。さすが俺たちのすがやんだぜ!
台所とかのちょっとした隙間にラックとかを入れたくなるし、使い道はともかくちょっとオシャレなワゴンとかも欲しくなる。
これからシノは自分でも料理を少しずつ覚えていくのだけど、最初は大容量冷凍食品のお世話になりまくるのである
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「あー……調子乗ってめっちゃ金使っちまったぁー!」
「うっかり家具まで買ったもんな」
「マジで家具は誤算だったけど良い物を買ったと思うしかねー!」
昨日シノから頼まれて、大きな買い物のドライバーとして車を出すことになった。シノは1人暮らしを始めてそろそろ2ヶ月になる頃合いで、生活にも慣れて来たんだと思う。冷凍食品とかを上手く使って節約をしたいという話になったとかで、じゃあ倉庫型の店に行こうかあという流れになった。
いざ店の中に入るとあれもこれも魅力的に映ったのか、シノはとても興奮した様子だった。カートを押しながら、それはお前の生活に本当に必要な物なのかと一度制止を入れるササの役割がかなり大きかったと思う。ササのチェックを通した上でこれはいいなと思った物をカートに載せて行くと、冷凍食品とかを見る前に結構買う流れになってたもんな。
「とりあえずこの挽き肉はさっさとバラして冷凍しとかねーと。あとハンバーグと唐揚げと餃子と野菜な」
「肉は本当に罠だと思う。これが家にあることの安心感が大きい。レンジ調理なのも含めて」
「シノには肉がどんだけあっても足りなさそうだもんなー」
「それな! あとスーパーで買おうと思うと割引シール狙わなきゃマジで無理」
「そういう生活の仕方も覚えて来たんだな」
「何で肉ってあんな高いんだよー」
「育てるのにそれなりのコストがかかってるからだな」
「マジで今日の挽き肉は神」
大量の挽き肉を小分けにしながらフリーザーバッグに詰めていく作業はササも手伝っている。ササはシノの部屋に結構遊びに来ているそうで、シノの家の食糧は実質自分の食糧でもあるというスタンスだからか今回の買い物でもいくらか折半していた。もちろん冷凍食品や挽き肉にしてもその対象だ。
買い物を終えてシノの家に向かう道のりには有名な家具店もある。せっかくの機会だしと寄り道を勧めてみたらかなり反応が良かったので家具も見ていくことになった。家具の類は自分でも探していたけどこれという物にはまだ出会えてなく、いつちゃんと揃えるかなーと考えていたそうだ。ちなみに冷凍食品なんかは一応俺が保冷バッグを貸しているのでそれで何とかしているという感じ。
ここでの買い物でもあれもこれも欲しくなるのをササに制止してもらいながら見ているという感じだったけど、逆にこれは要るんじゃないかと進言を受けていたのは洗濯機上に物を置く用のランドリーラックという物。パイプ状の枠を組んでいくタイプのヤツ。必要だけど買っていなかったそうで、洗濯関係の道具は近くの床に置きっぱなしになっていたんだ。
「ササ、俺ランドリーラック組むから冷食頼むわー」
「わかった」
「シノ、俺も何かするか?」
「あー、すがやんは大丈夫かなー? や、ちょっと待てよ。食品以外の物を整理してもらっていいすか。電気とか開けてもらって」
「オッケー」
ベッドサイド用の電気スタンドの箱を開けて、LED電球を回しはめる。それから、キッチンに置く用に買った15センチ幅のスキマワゴンを組み立てる。これはプラスチック製ではめ込むだけなので割と簡単に出来る。あと部屋と洗面所用にそれぞれ3段のキャスター付きワゴンも買ったので、それを組み立てていく。
そうこうしている間に食品の整理をしていたササの手が空いたようで、姿見やクローゼット用の収納ラックをセットしてくれる。高崎先輩からのお下がりの家電があるから生活自体は出来ていたけど、家具などで細かいものが不足していたのを今の今まで放置していたらしい。それがようやくまとめて買う機会に恵まれての爆買いになったようだ。
もしかしたら、可能性の話としてだけど、俺も就職とかで家を出て1人暮らしを始める可能性だってゼロじゃない。1人暮らしをするならどういう物が必要なのかなーっていう勉強にはなったかなと思う。俺だったらどんな部屋に住んで、どんな物を置くのかな。本で結構場所は取りそうだし、化石を飾る棚とかも欲しいかなー。
「こういうワゴンが1台あるだけでそれっぽくなってきたなー」
「とりあえずティッシュとかハサミみたいな道具とかを置いとく場所になりそうかな。実は部屋での使い道は特に考えてなかったんだけど。水回りの方は洗ったタオルとかペーパータオルとか置ける物があるんだけど」
「よく見たらシノのベッドは引き出し収納があるヤツなんだな」
「そうなんだよ。Tシャツみたいなちょっとした服とかタオルとかが入ってんだけど、タオルは洗濯場のラックに移動するから空いたトコに何を入れるかだなー」
「予備のスペースにしておけばいいんじゃないか?」
「高木先輩の部屋にはエージ先輩の物を置いとく場所もあるらしいけど、シノには彼女も今のところいないし、部屋によく来る人が出来たらその人の私物なんかを入れたりして」
「すがやんもいつかとりぃと同棲なんかしたりして」
「だからお前はそういう話をするにはまだ早過ぎんだよ」
「つか俺の部屋の場合はいつの間にかササの物がしれっと入れてありそうな気がするぜ」
「あー」
「さすがにしれっとは入れない。入れる時には許可はもらう」
買ったものの整理が粗方終わったところで、さっき買ったピザを食べることに。大きなアメリカンサイズのそれを一気に全部食べるのかと一瞬思ったけど、シノとササなら全然食べたわ。こういうのを見てると1人暮らしもちょっといいかなって思うけど、実際やるには大変なんだろうなともわかるから、俺はまだまだ実家で暮らすんだろうな。
end.
++++
すがやんを運転手に何トコとかに行って来たようです。さすが俺たちのすがやんだぜ!
台所とかのちょっとした隙間にラックとかを入れたくなるし、使い道はともかくちょっとオシャレなワゴンとかも欲しくなる。
これからシノは自分でも料理を少しずつ覚えていくのだけど、最初は大容量冷凍食品のお世話になりまくるのである
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