2021(04)
■目指せタテヨコ二刀流
++++
「そしたら、今日は卒業式に向けた連絡と、こないだの番組制作会のおさらいっつーことでお願いします。まず卒業式関係の連絡から」
3月も気が付けば中旬で、卒業式も今週末にあるということで一回MBCCのメンバーが3年生の先輩も含めてみんな招集されていた。卒業式ではサークルの先輩たちを会場となる星港市立市民会館で出待ちするというのが慣わしのようだ。寄せ書きの類の物は用意しないというサークル柄のようで、そんな費用があれば飲み会に回すんだそうだ。このブレなさがMBCCだなあと思う。
「一応今年の学祭でもある程度の黒字になってるんで、この卒コンに少し回していこうと思います。ただ、あんま積み立てを崩し過ぎるのもアレなんで、4年生の分の費用をサークル費で賄って、3年生以下に関しては額面通りの参加費を出してもらうという形で行きます。どーすか果林先輩」
「いいんじゃない? 自分が飲み食いする分の値段だけきっちり払うんなら納得も行くでしょう」
「あとは当日遅刻とかがないようにしてもらうっつー感じで、卒業式関係で言えばそれくらいすかね」
「はーい」
「で、今日の本題は番組制作会の講評とおさらいだな」
せっかく制作会があったんだから、それを4月のサークル開始まで持ち越すんじゃなくてこういった連絡ついでに復習しておくだけでも違って来るだろうということで今日は練習や各々の課題を確認することになっている。5月にあるファンタジックフェスタまでは何だかんだ言ってあまり時間がない。
「何かインターフェイスに桜貝さんが復帰してきたんでしょ?」
「そうっすね。ファンフェスにも出て来るそうっすけど、ラジオやるレベルにまで行かなかったら配信とか、映像関係の仕事を振ってくれっつー話になってるそうっすね」
「番組制作会でも実際に番組をやってもらったんですけど、みんな初めてには違いないんですけどレベル差が結構顕著な感じでしたね」
「ああ、そうなんだ。やっぱ映像でも自分が前に出る人とそうじゃない人っていうのはあるだろうからねえ」
「ミソラは普通によかったよねエイジ」
「ああ、あの人はちゃんと練習すれば通用するべ」
「向島の新メンバーはどうだった?」
「そっちはカノンとすがやんの指導の賜物か、1年春から始めた子たちと並べても遜色ない感じですね」
「あらそう。じゃ結構素質ある子がちゃんと練習してこの短期間でそうなったんだ」
「そうみたいですね」
向島の新メンバーとしてこないだの番組制作会でインターフェイスデビューをしたとりぃと松兄に関しては、本当にこの間加入したばっかりなのかというほど上手くて俺は正直焦っている。テスト期間くらいの時期からすがやんとカノンが指導をして一緒に練習をしてたっていう話だけど、1ヶ月そこそこでこうまでなるかと。
「ウチのアナウンサー3人はどんな感じだった?」
「レナは安定してて良かったっすね。向島の新メンバーを上手くリードしてトークを進めてました」
「やっぱレナは安定してますよねー」
「で、留学の延長で向島の練習に参加してたすがやんが基礎固めに成功してレベルアップしてたっすね。あと、ダブルトーク向きだっつー発見があったっす」
「日々の鍛錬なんですよねー。ササは?」
「ササは……サドニナと組んだ結果、予測不能の動きに翻弄されてっつー感じっす」
「あっちゃー。でも、それを何とかしてこそだからね。前々から指摘はしてたんだし」
「ササ、せっかく果林先輩いるんだし今日はみっちり扱いてもらえっていう」
「はい。お願いしたいです」
やっぱり、MBCCで生放送と言えば圧倒的に果林先輩だから、せっかくの機会を生かしたいと思う。自分1人でやる分には生放送でも全然やれるけど、人や外の状況といった外的要因が絡んで来ると一気に崩れるのが俺の弱点だとは前々から指摘されていたわけだ。ペアを組んでトークをするダブルトークなんかは俺の課題しかない。
「高木先輩から見て俺のダブルトークはどうでしたか?」
「あれからちょっと考えてたんだよ。MBCCのアナさんってタテの人が多いって言われがちだけど、案外ササ、と言うかササに限らず1年生3人ってヨコでも行けるんじゃないかと思ってて」
「と言うのは? タカちゃんの見解を聞きましょうか」
「一般的にタテは話を進行したりまとめたりする、所謂MCの役割をしますよね。ヨコはそこから話を広げる人」
「ですね」
「如何せんインターフェイスではラジオの技能であったり当人の性格でタテヨコが決まりがちなんで緑ヶ丘はタテだろうと思われがちですけど、ササの知識量、レナの好きなことを突き詰める力、すがやんの人脈と多趣味さからなる引き出しっていうのは、ヨコでも使えそうですよね。話を広げるには知識であったり、物事を疑問に思う力が大事だと思うんです。ただノリと勢いで話をぶっ飛ばすだけじゃないヨコのあり方って言うんですかね。この3人にはそれが出来ると思うんですよ」
高木先輩の考えるヨコのあり方を、果林先輩は面白いねと言ってこういうパターンだとどうなるかなとエージ先輩も含めて話し合いを始めた。確かに番組制作会では何となくタテかなと思って収まったポジションだったけど、俺にもヨコの可能性があるのかもしれない。やってみたことはないけど、だからこそ可能性が残っていると言うか、それを高めていく必要があるんだろう。
「実際ヒロもタテヨコが特に決まってなかったし、どっちがどうとか凝り固まる必要もないんだよね。アタシと朝霞P先輩が一緒になった時も役割が破綻してダブルトーク自体わちゃわちゃになっちゃったし。そうとなったらどっちも出来るようにしときますかー。1年生3人、来たついでだし練習見てくよ」
「マジすか! あざっす!」
「お願いします」
「はいエージ、お返しします」
「じゃ、さっそく3人の組み合わせで各々タテヨコやってみるべ」
end.
++++
+1年の概念の話でもササは生放送について悩んでいるので、これから練習をしても苦手意識は取れないままなのかもしれない
TKGパイセンの言うことがそれらしくなってきてるし、ラジオ関係の話ならしっかりやってるのである。学業がアレなだけで。
春風と奏多は言わばスーパールーキーの枠だし真面目に練習もするんで今後向島の国力を復興していくのに十分な力になるのである
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「そしたら、今日は卒業式に向けた連絡と、こないだの番組制作会のおさらいっつーことでお願いします。まず卒業式関係の連絡から」
3月も気が付けば中旬で、卒業式も今週末にあるということで一回MBCCのメンバーが3年生の先輩も含めてみんな招集されていた。卒業式ではサークルの先輩たちを会場となる星港市立市民会館で出待ちするというのが慣わしのようだ。寄せ書きの類の物は用意しないというサークル柄のようで、そんな費用があれば飲み会に回すんだそうだ。このブレなさがMBCCだなあと思う。
「一応今年の学祭でもある程度の黒字になってるんで、この卒コンに少し回していこうと思います。ただ、あんま積み立てを崩し過ぎるのもアレなんで、4年生の分の費用をサークル費で賄って、3年生以下に関しては額面通りの参加費を出してもらうという形で行きます。どーすか果林先輩」
「いいんじゃない? 自分が飲み食いする分の値段だけきっちり払うんなら納得も行くでしょう」
「あとは当日遅刻とかがないようにしてもらうっつー感じで、卒業式関係で言えばそれくらいすかね」
「はーい」
「で、今日の本題は番組制作会の講評とおさらいだな」
せっかく制作会があったんだから、それを4月のサークル開始まで持ち越すんじゃなくてこういった連絡ついでに復習しておくだけでも違って来るだろうということで今日は練習や各々の課題を確認することになっている。5月にあるファンタジックフェスタまでは何だかんだ言ってあまり時間がない。
「何かインターフェイスに桜貝さんが復帰してきたんでしょ?」
「そうっすね。ファンフェスにも出て来るそうっすけど、ラジオやるレベルにまで行かなかったら配信とか、映像関係の仕事を振ってくれっつー話になってるそうっすね」
「番組制作会でも実際に番組をやってもらったんですけど、みんな初めてには違いないんですけどレベル差が結構顕著な感じでしたね」
「ああ、そうなんだ。やっぱ映像でも自分が前に出る人とそうじゃない人っていうのはあるだろうからねえ」
「ミソラは普通によかったよねエイジ」
「ああ、あの人はちゃんと練習すれば通用するべ」
「向島の新メンバーはどうだった?」
「そっちはカノンとすがやんの指導の賜物か、1年春から始めた子たちと並べても遜色ない感じですね」
「あらそう。じゃ結構素質ある子がちゃんと練習してこの短期間でそうなったんだ」
「そうみたいですね」
向島の新メンバーとしてこないだの番組制作会でインターフェイスデビューをしたとりぃと松兄に関しては、本当にこの間加入したばっかりなのかというほど上手くて俺は正直焦っている。テスト期間くらいの時期からすがやんとカノンが指導をして一緒に練習をしてたっていう話だけど、1ヶ月そこそこでこうまでなるかと。
「ウチのアナウンサー3人はどんな感じだった?」
「レナは安定してて良かったっすね。向島の新メンバーを上手くリードしてトークを進めてました」
「やっぱレナは安定してますよねー」
「で、留学の延長で向島の練習に参加してたすがやんが基礎固めに成功してレベルアップしてたっすね。あと、ダブルトーク向きだっつー発見があったっす」
「日々の鍛錬なんですよねー。ササは?」
「ササは……サドニナと組んだ結果、予測不能の動きに翻弄されてっつー感じっす」
「あっちゃー。でも、それを何とかしてこそだからね。前々から指摘はしてたんだし」
「ササ、せっかく果林先輩いるんだし今日はみっちり扱いてもらえっていう」
「はい。お願いしたいです」
やっぱり、MBCCで生放送と言えば圧倒的に果林先輩だから、せっかくの機会を生かしたいと思う。自分1人でやる分には生放送でも全然やれるけど、人や外の状況といった外的要因が絡んで来ると一気に崩れるのが俺の弱点だとは前々から指摘されていたわけだ。ペアを組んでトークをするダブルトークなんかは俺の課題しかない。
「高木先輩から見て俺のダブルトークはどうでしたか?」
「あれからちょっと考えてたんだよ。MBCCのアナさんってタテの人が多いって言われがちだけど、案外ササ、と言うかササに限らず1年生3人ってヨコでも行けるんじゃないかと思ってて」
「と言うのは? タカちゃんの見解を聞きましょうか」
「一般的にタテは話を進行したりまとめたりする、所謂MCの役割をしますよね。ヨコはそこから話を広げる人」
「ですね」
「如何せんインターフェイスではラジオの技能であったり当人の性格でタテヨコが決まりがちなんで緑ヶ丘はタテだろうと思われがちですけど、ササの知識量、レナの好きなことを突き詰める力、すがやんの人脈と多趣味さからなる引き出しっていうのは、ヨコでも使えそうですよね。話を広げるには知識であったり、物事を疑問に思う力が大事だと思うんです。ただノリと勢いで話をぶっ飛ばすだけじゃないヨコのあり方って言うんですかね。この3人にはそれが出来ると思うんですよ」
高木先輩の考えるヨコのあり方を、果林先輩は面白いねと言ってこういうパターンだとどうなるかなとエージ先輩も含めて話し合いを始めた。確かに番組制作会では何となくタテかなと思って収まったポジションだったけど、俺にもヨコの可能性があるのかもしれない。やってみたことはないけど、だからこそ可能性が残っていると言うか、それを高めていく必要があるんだろう。
「実際ヒロもタテヨコが特に決まってなかったし、どっちがどうとか凝り固まる必要もないんだよね。アタシと朝霞P先輩が一緒になった時も役割が破綻してダブルトーク自体わちゃわちゃになっちゃったし。そうとなったらどっちも出来るようにしときますかー。1年生3人、来たついでだし練習見てくよ」
「マジすか! あざっす!」
「お願いします」
「はいエージ、お返しします」
「じゃ、さっそく3人の組み合わせで各々タテヨコやってみるべ」
end.
++++
+1年の概念の話でもササは生放送について悩んでいるので、これから練習をしても苦手意識は取れないままなのかもしれない
TKGパイセンの言うことがそれらしくなってきてるし、ラジオ関係の話ならしっかりやってるのである。学業がアレなだけで。
春風と奏多は言わばスーパールーキーの枠だし真面目に練習もするんで今後向島の国力を復興していくのに十分な力になるのである
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