2021(04)
■飲み会のボルテージ
＋＋＋＋
「何だかんだこの時期は忙しいんですよ。って言うかみんな元々いたサークルとかの都合は大丈夫なの？」
MMPでは４年生追いコンの他に３年生追いコンという行事があるらしく、追いコン関係以外の春の活動確認のために丸の池公園んトコにあるカフェに集合。俺と春風はこないだMMPに入ったばっかだし、追いコン関係はどーなんすかね、という話になった。
３年生追いコンとやらに関しても、野坂さん以外は会ったことがない俺たちにしてみれば体のいい新メンバーのお披露目会みたいな感じになるんだろう。この間引退した３年生は４人いたそうだから、人数比がデカかったなと。
奈々さんとかっすーからすれば、４月からはたった２人でやっていく物だと思っていたところの２人増員だから、先輩に対しても安心してくださいって言いやすいだろう。ま、俺と春風がそれなりに使える人間であればの話だけど。
「俺はこの間丁重に挨拶してきたんでお構いなくっつー感じっすね」
「奏多、あなたは４年生の先輩に凄くお世話になっているのに本当にそれでいいの？」
「いーんだよ。正直全員に世話になったワケじゃねーし。個人的にやっとくレベルで十分だ。大体、お前はどうなんだよ」
「それは」
「ブーメランを投げるなら投げた後の処理までちゃんと考えとけ」
「奏多は手厳しいなー。鳥ちゃんは天文部の方はどうなの？」
「言ってしまえば私も奏多が言ったように、個人的にご挨拶を済ませてあるのでこれ以上は特に」
「とりぃ、天文部ってどれくらいの規模なの？」
「私も全員を知っているわけではないのですが、50人以上はいるという話です」
「その中で真面目に天文やってたのは４、５人で、残りは天文部の皮を被った出会い系サークルとして酒とセックスに溺れてるっつー部活っす。飲み会で目当てのヤツを潰して持ち帰るとかはザラっすし、クスリが入ってても不思議じゃないっすよ」
「うっそ、ヤバっ。そんな中でよくやってきたね」
「私はちゃんと天文部としての活動をしていた先輩にとても良くしてもらっていました。ですから、奏多が言ったような人との関わりはほとんどなかったのです」
天文部に関するヤバい話を前原さんから聞いて、そんなところに春風を単騎で突っ込ませて何かあったときが怖すぎるって率直に思ったよな。だから天文部に人脈のあるあの人に頼んで春風を天文ガチ勢で囲ってもらったという経緯がある。
俺とかっすーがそのときの話に花を咲かせていると、奈々さんは「MMPは変なノリの時はあるけどちゃんとラジオをやってるサークルだからねッ」と春風に力説している。ちゃんとやってるっつーのはかっすー主催の練習の様子から十分に理解して納得している。
「天文部の宴会にも少しだけ参加したことはあるのですが、目も当てられない惨状で。毎度救急車が来ますし。MMPやインターフェイスでもそういった会はあるかと思うのですが、その様子だけ教えていただけると助かります」
「MMPの飲み会はお酒のあるお食事会っていう感じだよ」
「あー、そうっすね。酒のある食事会っすね。りっちゃん先輩はまあまあ強いけど他の人はそんなでもないし、酒より飯の方が好きな人たちだから至極平和。バドの体育会系な飲み会と比べてもマジで食事会」
「あ、バドの感じよりも大人しい感じ？」
「うん。コールだとか先輩にお酌して回るとかもないし鳥ちゃん、MMPの飲みに関しては安心してもらって」
「インターフェイスの方は規模が大きくなるからMMPの方よりも賑やかだけど、今はそこまでグダグダになる人もいないし、節度のある楽しい飲み会だよッ」
「それは安心しました」
「とりぃはお酒飲める方なの？」
「少し嗜む程度なのですが、程々には」
「そっかそっか」
……少し嗜む程度？ 社交辞令にも程があるだろ。
「インターフェイスの飲み会に出るとまず緑ヶ丘の人らに圧倒されんだよなー。緑ヶ丘の人ってほぼ全員ザルだから」
「そうだねー。緑ヶ丘はタカティを筆頭にとにかくヤバい」
「かっすー、すがやんてどれくらい飲むんだ？」
「すがやんもめちゃくちゃ強いんだよ。マジでザル。夏合宿で一緒の班だった１年４人で飲んでたけど、あと３人がもういいわーってなってんのにすがやんは顔色ひとつ変えずに飲んでるから」
「徹平君はお酒に強いのですね……」
春風が考え込んでいる原因は何となくわかっている。春風もまあまあ酒を飲む奴だけど、俺と飲んでるとか、余所行きの変な優等生をやってないときはめちゃくちゃ酒癖が悪いんだよな。そりゃあもう説教ばっかされてたまったモンじゃねーっていう。
本人曰く、どれだけ飲んでも泥酔してべろべろにはならないしほろ酔いで止まるけど、説教までするのは俺だけなんだと。仮にすがやんと飲んでほろ酔いになったときにどうなんのかはちょっと楽しみではあるけど、絶対そこまで飲まないだろうな。
「そう言えば、とりぃとすがやんの馴れ初めッ！」
「その話に戻ってきてしまうのですね」
「えっ、馴れ初めは松兄もカノンも知ってるの？」
「馴れ初めも何も、ラジオの練習でいい感じになってっつーだけの話なんで過度に期待しない方がいいっすよ」
「そっすねー。考古学と天文学の知的な話で意気投合してって感じで」
「あっ、うち知的な話は付いてけないんでそういうことで納得したっす、うっすうっす」
あまりに春風が困ったような顔をしてるから適当に出した助け船だけど、奈々さんが大人しく退いたから春風には帰りにお茶の一本でも奢ってもらおう。
「ちなみに松兄は彼女なんかは」
「俺ほどのいい男にもなると逆に近寄れないんすよ女の人が」
「また適当なことを言って」
「奏多は実際色男だし強ち大袈裟じゃないもんなー」
「うん。野坂先輩がテンションブチ上げだったから松兄は実際イケメンで間違いないと思うよッ」
「野坂先輩の価値観が基準になるのですか…？」
「野坂先輩は自他共に認めるイケメン好きなんだよ」
「女の人はカボチャ扱いなのにねッ」
end.
＋＋＋＋
ノサカが女性をカボチャ扱いするのは以下略。冬の王である。
下戸集団MMPだけど、新メンバーの２人はそこそこ飲むし、難ならまあまあ強い。圭斗さん以上お麻里様以下くらい？
よくよく考えたらご飯が好きなのは春風もだし、それはそれで戦争みたいなことになるのでは。ノサカout春風inくらいの感じで
.
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「何だかんだこの時期は忙しいんですよ。って言うかみんな元々いたサークルとかの都合は大丈夫なの？」
MMPでは４年生追いコンの他に３年生追いコンという行事があるらしく、追いコン関係以外の春の活動確認のために丸の池公園んトコにあるカフェに集合。俺と春風はこないだMMPに入ったばっかだし、追いコン関係はどーなんすかね、という話になった。
３年生追いコンとやらに関しても、野坂さん以外は会ったことがない俺たちにしてみれば体のいい新メンバーのお披露目会みたいな感じになるんだろう。この間引退した３年生は４人いたそうだから、人数比がデカかったなと。
奈々さんとかっすーからすれば、４月からはたった２人でやっていく物だと思っていたところの２人増員だから、先輩に対しても安心してくださいって言いやすいだろう。ま、俺と春風がそれなりに使える人間であればの話だけど。
「俺はこの間丁重に挨拶してきたんでお構いなくっつー感じっすね」
「奏多、あなたは４年生の先輩に凄くお世話になっているのに本当にそれでいいの？」
「いーんだよ。正直全員に世話になったワケじゃねーし。個人的にやっとくレベルで十分だ。大体、お前はどうなんだよ」
「それは」
「ブーメランを投げるなら投げた後の処理までちゃんと考えとけ」
「奏多は手厳しいなー。鳥ちゃんは天文部の方はどうなの？」
「言ってしまえば私も奏多が言ったように、個人的にご挨拶を済ませてあるのでこれ以上は特に」
「とりぃ、天文部ってどれくらいの規模なの？」
「私も全員を知っているわけではないのですが、50人以上はいるという話です」
「その中で真面目に天文やってたのは４、５人で、残りは天文部の皮を被った出会い系サークルとして酒とセックスに溺れてるっつー部活っす。飲み会で目当てのヤツを潰して持ち帰るとかはザラっすし、クスリが入ってても不思議じゃないっすよ」
「うっそ、ヤバっ。そんな中でよくやってきたね」
「私はちゃんと天文部としての活動をしていた先輩にとても良くしてもらっていました。ですから、奏多が言ったような人との関わりはほとんどなかったのです」
天文部に関するヤバい話を前原さんから聞いて、そんなところに春風を単騎で突っ込ませて何かあったときが怖すぎるって率直に思ったよな。だから天文部に人脈のあるあの人に頼んで春風を天文ガチ勢で囲ってもらったという経緯がある。
俺とかっすーがそのときの話に花を咲かせていると、奈々さんは「MMPは変なノリの時はあるけどちゃんとラジオをやってるサークルだからねッ」と春風に力説している。ちゃんとやってるっつーのはかっすー主催の練習の様子から十分に理解して納得している。
「天文部の宴会にも少しだけ参加したことはあるのですが、目も当てられない惨状で。毎度救急車が来ますし。MMPやインターフェイスでもそういった会はあるかと思うのですが、その様子だけ教えていただけると助かります」
「MMPの飲み会はお酒のあるお食事会っていう感じだよ」
「あー、そうっすね。酒のある食事会っすね。りっちゃん先輩はまあまあ強いけど他の人はそんなでもないし、酒より飯の方が好きな人たちだから至極平和。バドの体育会系な飲み会と比べてもマジで食事会」
「あ、バドの感じよりも大人しい感じ？」
「うん。コールだとか先輩にお酌して回るとかもないし鳥ちゃん、MMPの飲みに関しては安心してもらって」
「インターフェイスの方は規模が大きくなるからMMPの方よりも賑やかだけど、今はそこまでグダグダになる人もいないし、節度のある楽しい飲み会だよッ」
「それは安心しました」
「とりぃはお酒飲める方なの？」
「少し嗜む程度なのですが、程々には」
「そっかそっか」
……少し嗜む程度？ 社交辞令にも程があるだろ。
「インターフェイスの飲み会に出るとまず緑ヶ丘の人らに圧倒されんだよなー。緑ヶ丘の人ってほぼ全員ザルだから」
「そうだねー。緑ヶ丘はタカティを筆頭にとにかくヤバい」
「かっすー、すがやんてどれくらい飲むんだ？」
「すがやんもめちゃくちゃ強いんだよ。マジでザル。夏合宿で一緒の班だった１年４人で飲んでたけど、あと３人がもういいわーってなってんのにすがやんは顔色ひとつ変えずに飲んでるから」
「徹平君はお酒に強いのですね……」
春風が考え込んでいる原因は何となくわかっている。春風もまあまあ酒を飲む奴だけど、俺と飲んでるとか、余所行きの変な優等生をやってないときはめちゃくちゃ酒癖が悪いんだよな。そりゃあもう説教ばっかされてたまったモンじゃねーっていう。
本人曰く、どれだけ飲んでも泥酔してべろべろにはならないしほろ酔いで止まるけど、説教までするのは俺だけなんだと。仮にすがやんと飲んでほろ酔いになったときにどうなんのかはちょっと楽しみではあるけど、絶対そこまで飲まないだろうな。
「そう言えば、とりぃとすがやんの馴れ初めッ！」
「その話に戻ってきてしまうのですね」
「えっ、馴れ初めは松兄もカノンも知ってるの？」
「馴れ初めも何も、ラジオの練習でいい感じになってっつーだけの話なんで過度に期待しない方がいいっすよ」
「そっすねー。考古学と天文学の知的な話で意気投合してって感じで」
「あっ、うち知的な話は付いてけないんでそういうことで納得したっす、うっすうっす」
あまりに春風が困ったような顔をしてるから適当に出した助け船だけど、奈々さんが大人しく退いたから春風には帰りにお茶の一本でも奢ってもらおう。
「ちなみに松兄は彼女なんかは」
「俺ほどのいい男にもなると逆に近寄れないんすよ女の人が」
「また適当なことを言って」
「奏多は実際色男だし強ち大袈裟じゃないもんなー」
「うん。野坂先輩がテンションブチ上げだったから松兄は実際イケメンで間違いないと思うよッ」
「野坂先輩の価値観が基準になるのですか…？」
「野坂先輩は自他共に認めるイケメン好きなんだよ」
「女の人はカボチャ扱いなのにねッ」
end.
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ノサカが女性をカボチャ扱いするのは以下略。冬の王である。
下戸集団MMPだけど、新メンバーの２人はそこそこ飲むし、難ならまあまあ強い。圭斗さん以上お麻里様以下くらい？
よくよく考えたらご飯が好きなのは春風もだし、それはそれで戦争みたいなことになるのでは。ノサカout春風inくらいの感じで
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