2021(04)
■花の三人娘
++++
「春風、今度自動車博物館に行こう」
「はい! 是非!」
「そしたら予定合う日教えて。そこで調整しよう」
「今のところアルバイトとラジオの練習以外にこれと言った用事はないので、レナの都合で決めてください」
向島との親睦会という体でたこ焼きパーティーが開かれている。シノの家に9人が集まれば、結構な人口密度。引っ越し祝いでくるみとすがやんが選んでた電気鍋がたこ焼き器としてさっそく活躍していて、たこ焼きは家主のシノが一生懸命焼いてくれている。
すがやん以外のメンバーが向島の新メンバーとは初対面ということで、お互い自己紹介をしてからは思い思いに。春風の話はこの間の薪ストーブの会ですがやんから少し聞いてたんだけど、話に聞いた通りの清純で真面目そうな子だなというのが第一印象。
「春風、レナと話合いそうな感じ?」
「はい。今度自動車博物館へ行くことになりました」
「おー、良かったじゃん。いってらっしゃい。レナ、よろしくお願いします」
「いえいえ」
春風は家が自動車整備工場をやっているということで物心ついたときから工場の雰囲気や機械に囲まれて育ってきたそうだ。ロボットの他に車やバイクが好きな私からすれば実に羨ましい環境だなあと。……という話をしたらこうなりましたね。
大きく分類して機械類の他にも、第一印象ではとてもそんな風には見えなかったんだけど、実はゲームも結構やっているっていう話だった。可愛らしいゲームなのかなと思ったら全然そんなことはなくて、今度サキを交えて一緒に遊びましょうとも約束した。
ここまで話が合いすぎる女子にあまり出会ったことがなかったので私のテンションがおかしいことになっていないかはちょっと不安だけど、もしおかしなことになっていたら陸が何とかしてくれると信じて。アニメもゲームも特撮もかじっててこの雰囲気って無敵じゃない!?
「そうだ。くるみとも話しとく?」
「いいんですか?」
「大丈夫大丈夫。人懐っこい子だから。くるみー」
「はーい」
「春風、ウチのカメラ&スイーツ担当のくるみ。多分この間すがやんから星空の写真が送られてきたと思うけど、あの撮影指導をしたのがくるみなんだよ」
「とても素敵な写真でした。あんな風に夜景を撮影出来る技術は素晴らしいと思いますし、くるみさんは凄いですね」
「くるみでいいよー。って言うかスゴいのはあたしじゃなくて青敬の北星だよ。あっ、あたし趣味でスイーツの断面を撮影してブログに乗っけてるんだけど、それを北星にもちょっと手伝ってもらってるんだよ。スマホカメラのこともその流れで教えてもらって」
「スイーツの断面動画ですか。それはとても興味深いですね」
「凄いよ。見ると多分コンビニに行きたくなると思う」
――ということでくるみのブログを見てもらう。私は断面動画の方もそうだけど、商品紹介の文章の方が上手いなって思ってるんだよね。アナウンサーとしては、学ぶべきポイントがなかなか多いなと思いながらいつも見ている。
「これは本当に食欲をそそる映像ですね……」
「ちなみに、最寄りのコンビニは緑大の中にあるから行こうと思えばいつでも行けます」
「くるみさんは」
「くるみ」
「ええと……くるみは、この映像を撮るのにどれだけのスイーツを買っているのですか?」
「1種類につき3つくらいは買ってるかな。前はもっとやってたけど、慣れてきたから買う数も減ってきたよ」
「買ったそれは美味しくいただいてるんですか?」
「もちろん! だからも~う太っちゃって、何とかしなきゃって思って学内のジムで運動を始めたんだよ! とりぃって凄くシュッとしてるけど、何か運動とかしてるの?」
「水泳と剣道、それから空手の経験があります。今はたまにジョギングなどもしますし、自宅の工場脇にランニングマシンやサンドバッグなどがあるプレハブが建っていまして、今はそこで週に2回から3回ほど体を動かしています」
アニメゲームマンガも押さえながら運動もして勉強もして天文学の趣味もやっててって、ひょっとしなくても並大抵のバイタリティじゃないなこの子。さらに彼氏まで出来て忙しさに拍車がかかると思うんだけど。もしや完璧超人の類?
「えー、すっごー。いいなー、あたしもシュッとしたかったけど、スイーツの断面動画を撮ってる時点でムリなのはわかってるんだよ!」
「くるみはやわらかくてもちもちしてるのが可愛いのに」
「最近は青女の美雪さんとも運動をしたり、お茶をしたりして良くしてもらっています」
「えっ、ユキ先輩と仲良いの?」
「美雪さんのお兄さんが工場の従業員なのです。その縁で意気投合しまして」
「それじゃあとりぃ、あたしとも運動しよう!」
「でしたら、くるみは美味しいスイーツを教えてくださいね。それを撮影する技術の方もお願いします」
「任せてよ!」
「おーい、焼けてるぞー。女子もまだ食うだろ?」
「あっ、食べる食べる! レナもとりぃも食べよっ」
「そうですね。いただきましょう」
「男子はたこ焼きをおかずにご飯を食べてるね。やっぱこの人数じゃそうなるか」
「すがやんのお米様々だね!」
まだまだ話は尽きないけど、とりあえずたこ焼きをつまみながら話そう。また今度話すことも取っておかなきゃいけないかなとは思ったけど、2人で出かけた時に恋バナか。
end.
++++
レナはるはナツミナ亜種という話をちょっと前のこの枠でしたけど、くるちゃんとの接点も作ってみたかった
くるちゃんはジムで体動かしてるしその辺の話をしててもいいかなと思った。でもやわらかくてもちもちしてるのが可愛いのである。
ところで奏多ってどうしてるんだろうね? カノやんがあとのメンバーと繋いでくれてるとは思うのだけど?
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「春風、今度自動車博物館に行こう」
「はい! 是非!」
「そしたら予定合う日教えて。そこで調整しよう」
「今のところアルバイトとラジオの練習以外にこれと言った用事はないので、レナの都合で決めてください」
向島との親睦会という体でたこ焼きパーティーが開かれている。シノの家に9人が集まれば、結構な人口密度。引っ越し祝いでくるみとすがやんが選んでた電気鍋がたこ焼き器としてさっそく活躍していて、たこ焼きは家主のシノが一生懸命焼いてくれている。
すがやん以外のメンバーが向島の新メンバーとは初対面ということで、お互い自己紹介をしてからは思い思いに。春風の話はこの間の薪ストーブの会ですがやんから少し聞いてたんだけど、話に聞いた通りの清純で真面目そうな子だなというのが第一印象。
「春風、レナと話合いそうな感じ?」
「はい。今度自動車博物館へ行くことになりました」
「おー、良かったじゃん。いってらっしゃい。レナ、よろしくお願いします」
「いえいえ」
春風は家が自動車整備工場をやっているということで物心ついたときから工場の雰囲気や機械に囲まれて育ってきたそうだ。ロボットの他に車やバイクが好きな私からすれば実に羨ましい環境だなあと。……という話をしたらこうなりましたね。
大きく分類して機械類の他にも、第一印象ではとてもそんな風には見えなかったんだけど、実はゲームも結構やっているっていう話だった。可愛らしいゲームなのかなと思ったら全然そんなことはなくて、今度サキを交えて一緒に遊びましょうとも約束した。
ここまで話が合いすぎる女子にあまり出会ったことがなかったので私のテンションがおかしいことになっていないかはちょっと不安だけど、もしおかしなことになっていたら陸が何とかしてくれると信じて。アニメもゲームも特撮もかじっててこの雰囲気って無敵じゃない!?
「そうだ。くるみとも話しとく?」
「いいんですか?」
「大丈夫大丈夫。人懐っこい子だから。くるみー」
「はーい」
「春風、ウチのカメラ&スイーツ担当のくるみ。多分この間すがやんから星空の写真が送られてきたと思うけど、あの撮影指導をしたのがくるみなんだよ」
「とても素敵な写真でした。あんな風に夜景を撮影出来る技術は素晴らしいと思いますし、くるみさんは凄いですね」
「くるみでいいよー。って言うかスゴいのはあたしじゃなくて青敬の北星だよ。あっ、あたし趣味でスイーツの断面を撮影してブログに乗っけてるんだけど、それを北星にもちょっと手伝ってもらってるんだよ。スマホカメラのこともその流れで教えてもらって」
「スイーツの断面動画ですか。それはとても興味深いですね」
「凄いよ。見ると多分コンビニに行きたくなると思う」
――ということでくるみのブログを見てもらう。私は断面動画の方もそうだけど、商品紹介の文章の方が上手いなって思ってるんだよね。アナウンサーとしては、学ぶべきポイントがなかなか多いなと思いながらいつも見ている。
「これは本当に食欲をそそる映像ですね……」
「ちなみに、最寄りのコンビニは緑大の中にあるから行こうと思えばいつでも行けます」
「くるみさんは」
「くるみ」
「ええと……くるみは、この映像を撮るのにどれだけのスイーツを買っているのですか?」
「1種類につき3つくらいは買ってるかな。前はもっとやってたけど、慣れてきたから買う数も減ってきたよ」
「買ったそれは美味しくいただいてるんですか?」
「もちろん! だからも~う太っちゃって、何とかしなきゃって思って学内のジムで運動を始めたんだよ! とりぃって凄くシュッとしてるけど、何か運動とかしてるの?」
「水泳と剣道、それから空手の経験があります。今はたまにジョギングなどもしますし、自宅の工場脇にランニングマシンやサンドバッグなどがあるプレハブが建っていまして、今はそこで週に2回から3回ほど体を動かしています」
アニメゲームマンガも押さえながら運動もして勉強もして天文学の趣味もやっててって、ひょっとしなくても並大抵のバイタリティじゃないなこの子。さらに彼氏まで出来て忙しさに拍車がかかると思うんだけど。もしや完璧超人の類?
「えー、すっごー。いいなー、あたしもシュッとしたかったけど、スイーツの断面動画を撮ってる時点でムリなのはわかってるんだよ!」
「くるみはやわらかくてもちもちしてるのが可愛いのに」
「最近は青女の美雪さんとも運動をしたり、お茶をしたりして良くしてもらっています」
「えっ、ユキ先輩と仲良いの?」
「美雪さんのお兄さんが工場の従業員なのです。その縁で意気投合しまして」
「それじゃあとりぃ、あたしとも運動しよう!」
「でしたら、くるみは美味しいスイーツを教えてくださいね。それを撮影する技術の方もお願いします」
「任せてよ!」
「おーい、焼けてるぞー。女子もまだ食うだろ?」
「あっ、食べる食べる! レナもとりぃも食べよっ」
「そうですね。いただきましょう」
「男子はたこ焼きをおかずにご飯を食べてるね。やっぱこの人数じゃそうなるか」
「すがやんのお米様々だね!」
まだまだ話は尽きないけど、とりあえずたこ焼きをつまみながら話そう。また今度話すことも取っておかなきゃいけないかなとは思ったけど、2人で出かけた時に恋バナか。
end.
++++
レナはるはナツミナ亜種という話をちょっと前のこの枠でしたけど、くるちゃんとの接点も作ってみたかった
くるちゃんはジムで体動かしてるしその辺の話をしててもいいかなと思った。でもやわらかくてもちもちしてるのが可愛いのである。
ところで奏多ってどうしてるんだろうね? カノやんがあとのメンバーと繋いでくれてるとは思うのだけど?
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